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2019-10

「彼方の海より…」 メトネ日記 4 - 2009.02.06 Fri

メトネ日記 4

果てしない闇のような夜の空を飛んでいた。
今夜に限って三日月すらない空を恨んだ。
私とリュウ・エリアードを乗せた魔獣は、風のように夜空を飛行した。

リュウの背中にしがみつきながら眼下を見下ろすと、私の愛するもの…国、宮殿、臣下達、兄上の姿はすでに見る影も及ばず、夜天光に淡く光っている。
私は本当にあの場所には戻れない、と思うと、涙が溢れてくる。
食いしばって我慢しても、溢れる涙は止めることも出来ずに泣いていると、リュウの怒号が耳元で鳴った。
「しっかり掴まっていろっ!じゃないと、振り落とされて、この闇に食われてしまうぞっ!」
「…」
あなたと一緒にいるよりマシだと言いたかったが、嗚咽で言葉も出なかった。

後悔していた。
軽はずみで宣言したわけではない。
我が身で購えるならどうなってもいいとさえ思ったのは本心だった。
だが、その悪災の元であるリュウ・エリアードのものにならなくなった自分が恨めしい。いっそこのままこの身を投げ出したいくらいだ。
そんなことをしても仕方が無い。この悪魔を怒らせて、また兄上たちに何かあったら何の意味もない。

私は…耐えるしかないのだ。

魔獣の柔らかい翼が時折、私の足に触れ、私を慰めているように思えた。
そんなことはありえない。こいつもリュウの言いなりの獣なのだ。

私は…どうなるのだろう…

不安と絶望しかない胸中の思いは、涙でしか言葉にすることはできなかった。

いつまで飛んでいるのだろう…そう思った瞬間、突然魔獣の身体が降下した。
冷たい気流が身体を纏う。
すると、ゆっくりと振動も感じないくらいに静かに、岩山の頂に着地した。

黙ったままのリュウが魔獣から降りると、私を振り返った。
「ひとりで降りれるかい?坊ちゃん」
「あ、当たり前です」
私は涙を拭きながら、背の高い魔獣から降りようと飛び降りた。
思わず足がよろけて転びそうになる。
「手を貸してやっても良かったんだぜ」
「いらない。あなたに同情してもらおうとは思わない」
「じゃあ、逆に同情して欲しいね。おまえの涙と鼻水で、俺の肩も背中も驟雨にあったみたいに気持ち悪いんだがね」
「あ、…ご、めんなさい。弁償します」
私の言葉にリュウは呆れたから笑いを発した。
「どうやって弁償してくれるんだ?その身ひとつしかないおまえに、何が出来る?」
「私は」
「ラサイマ国公主か?…昨日まではね。でも今のおまえは何もない。言わせてもらえば俺のお荷物でしかない」
「?」
「ユエの手前、おまえを連れてはきたが、はっきり言ってどうでもいいんでね」
「どういう意味…」
「俺にとっちゃおまえなんか何の価値も無いって話だよ。でもまあ、ここまで来たんだ。魔界に連れてやってもいい」
「行きたくないって言ったら?」
「ここに置いていく。後は好きにしていい。まあ、ここの高さはそれ相当あるから、地上に降りるのは大変だろうが」
「本当に…酷い人だね」
「人じゃない。魔族だよ、ガキ」
「…」
「いいから向こうの空を見ろ」
怒りが治まらなかったが、私は言われた方の暗闇を見つめた。

遠くにうっすらと闇とは違う色の空が見える。
月の無い夜が明けようとしている。

「暁闇だ。ここは俺には不要な人間の世界だが、この暁はいつ見ても心奪われるもんだよ」
「…魔族にそういう趣を解する者がいるの?」半分皮肉で言ってみた。怒鳴られるのも覚悟の上で。
しかしリュウは面白そうに笑った。

「魔族は大抵美しいものが好きなのさ。だから醜いものは排除するんだよ。跡形も無く」





日記なのか?…すでにわからない…あはは


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● COMMENT ●

いえ、日記で無くても・・

もう、すっかり心を奪われているので日記でも小説でも探検記でも行って下さい。メトネ~、メトネ~可愛くて健気!
もうすぐリュウはあなたにメロメロよ~
そんな場面が読みたいです。

ドキドキ・・・

メトネはどうなってしまうのしょうか~~
こいういうシチュエーションは萌えますね><

アドさん

いつもありがとう!
リュウがメロメロになるのか?www
リュウは大人だから、メロメロになっても見せないよ。
メトネはオトメンだから、甘えっこになるね。
「ねえ、この刺繍自分で縫ったんだよ。リュウのイニシャルだよ~」
「し、刺繍?」自分の知らない所で、そんなもんに嵌まっているのかをまざまざと知るダンナ…

まりさん

コメントありがとね~
ドキドキしてもらって嬉しいです。
こんな世界観はあの企画を知らない人はわかりにくいだろうと思いますが。
時代も歳もあの企画で設定した要項とは少し違ってきそうなんです。
できれば、あいつもこいつも…とエピソードだけは入れて、縺れ合う因果関係を描きたいんですよ。
もちろん自分のキャラだけにしておきます。
その方が動かしやすいからね。


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