FC2ブログ
topimage

2019-10

R-a-guardian-sprite 2 その3 - 2010.02.10 Wed

「R-a guardian sprite」は 「悩まない男」の7月さんとのコラボです。


ルカナル小説2

これまでは青い瞳のルカからのがれたくて姑息にも画策してきたのに、このひとつきといっては複雑にして鬱々たる思いでじりじりつぎの満月を待ちわびたのだ。
津波であれば遭うのは畏怖すべきものだが、この守護番人とのくだりがあってからはどうしても顔を見ずにはいられなくなった。
だいじなルカのために男をとっつかまえずにはいられない心持だった。
槐の根元でルカを抱きしめながら「聞こえているんだろう」と問うたのはまちがいでないと確信していた。
できうるものならルカのなかから男を引っぱり出してやりたかった。
ルカにとっては黒い扉のむこうにあるものについてはいっさい感知しえない、であるのだからこれはないのと同義だ、翻り、青い両目をもつルカにはすべてを重ねあわせて落掌していくことができるのである。


いったいこれが公平か? と考え、それをさらに演繹して追っていこうとして潰えた。
高窓のむこうにぽかりとまるい衛星がうかんでいる。
なじみにして兇悪な月だった。
隣人のいわく、まがまがしい力を地上にむけ好き勝手に突き刺してゆく剣呑な星だった。
いつものように寝台のかたすみにまるまって眠っていたルカのちいさなからだが、やがて半透明にぐらぐらゆらぎはじめる。
白い毛筋の一本一本が哭声をはなち生きた門扉となる。
億と破砕した銀の星屑が夜気と迎合し、いっとき寝台のうえをぎらりとぶっそうに装飾したが、それらが滲みきれいに消滅してしまえば、あとにのこったものはひとか魔かといった明眸皓歯の男だった。


青い目のルカが現出するのをまのあたりにしたのはこれで二度めだったが、やはり息をつめて見まもらずにはいられなかった。
津波ですら端からながめているぶんには美しい形状だった、どうしてそうできない、なぜながめているだけではいけないのだ、この力にまきこまれたが最後、自分は押すも引くも叶わなくなる、いいたいことは甲斐なく摘まれる、それをナルヴィにいっさい許さぬルカであるのなら、かれは絶対にこの男を受け入れられないと思う。
いいたいことがあるんだろう? ときれいな男がちくりと口角をあげたから、やはりルカとのことをすべて承知しているのだとわかった。
いいたいことなら抱えるほどに。
なのにそのことばに囲繞され捕縛され根をはやし、からだを動かすことがかけらも為果せなくなる。


「ないのか、ナルヴィ? おれはあれを聞いていたといったんだ」
長躯の男、妍容の男、ぼんやり振り仰ぐナルヴィのおもてはランプの引き絞られた室内でしらじら浮かびあがり、口唇はその蝶番を優婉にゆるめていたから、どうしたってあいての唇をせつなく待ちわびているようにしか映らなかったろう。
だからそうしたのだ、なにが悪いといいこそしなかったが二度男が瞼を打ち鳴らしたら、急に呪縛を解かれたらしいナルヴィのほそいからだが男の腕のなかからがくんとまろびでた。
壊れかけた顔様にもう涙は品切れなのか、それでも胸腔に息苦しいほど詰まりに詰まっているものが少年をこうまで痛苦においやっている。
ルカは手をのばさなかった。ナルヴィも近寄らなかった。
ほどなく死人の足どりでナルヴィは退き、しずかに家を出た。


あいもかわらず夜空には月がかかっていて落ちる兆しもない。
気温の降下してゆく暗い深更を、とぼとぼ地にのめりこみそうになりながら歩きづめに歩いた。
頬がぴりぴりと突っ張ったがいっさいふれたくなかったので、両の拳をわきにぶらさげたまま莫迦のように歩いた。
考えていたことがあったはずだった。
自分をああも愛してくれる守護番人のルカを、あのちいさなルカをナルヴィもまた深く愛している。
ナルヴィのためになにかがしたいのだといった。
かれのためにしたいことがあるのだと。
自分はナルヴィのためだったらなんだってするのだからと。
愛するもののために与えてやりたいことがあるのだと。
よくわかる、ルカ、とナルヴィは音のない声を吐息とした。
あの青い両眼のルカはところが自分にいっさいそれをさせない。
強的に波は泡立ち押し寄せそれに太刀打ちできる力をこちらに残させない。
それができたら、とナルヴィは考える、津波に揉まれても潰えることなく対峙する力を得られたら。


ちいさなルカが愛するものにたいしてなにかをしたいのだとせつなく願うように、自分もまたかつえながらそれを欲しているのだと考える。
それができたら、とナルヴィは、皓皓と照り輝く冷えた野原にながい影をしたがえひっそりとたたずんだ。
ふるえる息を二度、三度とのがし、やがて引き結んだ。
ちいさなルカがやろうとしたことだ。ぼくにもできるだろう。
道をみつけてやる、とひとりごちた。
こうべをめぐらし、少年は往路を拾いなおした。
そのさきにはルカがいる。

(R-a-guardian-sprite 2 完結)


ナルヴィ3

その2へ

文章…7月
イラスト…サイアート


● COMMENT ●

このあとどうなるんだろう……
ねーねーねーサイアートさん、どうなるの?
サイアートさんのテキストが読みたいよう!

いや~7月さんの独特な文章がこの物語を描くには必要だと思うので、私が書かないほうがいいかもよ~
だって台詞ばっかりになるし、なかなか三人称では書けない人だからね~
この後…そうだね。やっぱり人ルカの視点が必要だろうね。
昔から、あれが生まれた時から、俺はずっと待っていた。俺の腕の中で俺を求める声を聞くことを…
…ん?慧一みたいになるじゃんよwww(;´Д`)

(^u^;)ハァハァゼェゼェ…

ルカの台詞、もっといって~~~~~!!!!!!

萌えのあまり酸欠状態……

「あの猫はおまえの為に生きる事が自らの生きる糧だ。そう魂に刻み付けられている。おまえはあれからどれだけのものをもらった?献身愛、おまえを守り抜こうとする、あまえをさみしがらせまいとする、おまえの労わり深い心を育てようとする。だがおまえはアレに何を与えた?
アレが与えた分を俺がおまえから奪うことは理不尽なことか?違うだろう。
愛は均衡を保たなければならない。ならば、アレが与えた分を俺が頂く。
真に理にかなっている」
萌えるか?(;´Д`)

しかし、何故人ルカが封印されたのか…少し考えてみたが、ナルヴィの母は強い魔力を持った魔女で、彼女はこのふたりの守護番人を生まれたばかりのナルヴィに守らせるのだが、人ルカの残忍な性格を怖れて彼女の死と引き換えに17までは表へ出ないように封印させた…しかし、人ルカはまた違った考えを持ってナルヴィを見守っていた…とかとか~

どうしてそんなにすらすらアイデアが!!!
サイアートさんすごい!!!!!
師匠だ~~~~~

その人ルカの台詞にもうすこしだけつけたせば、掌篇として記事アップできる!
して。

いや、だから無理って。
これにイラスト描いてたら…時間がないじゃん。
リンミナ進まないじゃん。

しかしこの魔女っていうところはまだ考える余地があるね。
ひとつのものを二つに分けたという手もあるが、これは最終的にひとつになって大団円になりそうだ。これでは面白くない。
やはり初めからルカという媒体に二つのものが存在していたとするべきだろうね。
だが封印する必要として、ただ残虐だからは少し弱い。
何かがあって封印された。それに17で解除されるという理由もいる。
もし母親が17まで封印したのならナルヴィが17になった時、それを抑える力があると母親はどこかで知っていたのだろうか。また人ルカは猫ルカの中でまったく他人事のようにこれをみているが、彼はナルヴィに愛情がある。それは封印されてずっとルカの中でナルヴィを見つめていて育った愛とはいえないだろうか…

とてもじゃないが掌編で終わる長さじゃないんだよ。自分が書くとなると。


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://arrowseternal.blog57.fc2.com/tb.php/487-ffab5760
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

水川青弥編 「焦点」 10 «  | BLOG TOP |  » R-a-guardian-sprite 2 その2

プロフィール

サイアート

Author:サイアート
イラストと駄文を更新しております。

少年愛を中心としたシリアス重視なオリジナル作品でございます。

ゆっくりしていってね~

サイズを記憶するフォントサイズ変更ボタン

文字を大きくする 文字を規定のサイズに戻す 文字を小さくする

ツリーカテゴリー

Script by Lc-Factory
(詳細:Lc-Factory/雑記)

最新記事

FC2カウンター

リンク

このブログをリンクに追加する