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2019-11

君の見た夢 1 - 2008.11.04 Tue

1. 出会い

その日は、俺の26回目の誕生日だった。

「腹減った」
冷蔵庫に食い物が入ってなかったので、コンビニまで買い出しに行こうと、まだ肌寒い春雨の降る中を、傘さして出かけてみた。
いつものように、変わり映えのしないパンとカップラーメンを買い込んでの帰り道、せっかくだから、土手の桜並木でも眺めてみようと、寄り道をする。

ああ、あのひと際でかい桜の木、今年はすげぇ咲き誇ってる。確か去年はこの桜の木は、ひとつも花を咲かせていなかったんじゃないかな。一本だけ花が咲いていないのが珍しくて、逆に覚えていた。そうか、今年はキレイに咲いたんだな、おまえ。

もっと近くで見ようと近寄ると、木の陰から脚が見えて、反対側に回ってみると、根元に凭れるように人が倒れてる。
眠っているのか?いや、昼寝をするには天気が悪すぎるし、寒いし、ジーンズの裾も大分濡れてる。
死んでる?…おい、ぶっそうだ。パトカー?いや、救急車呼ばないとダメなのか?

そっと近づいて、様子を伺う。
若い男。俺より、少し下くらい?
白い顔。透き通るぐらいに白い。雨粒が濡らしているのか、伏せられた睫毛も濡れている。髪は茶褐色。長い前髪が、少し湿って額にくっ付いている。
桜の花びらが身体全体にまばらに散っていて、一瞬だが、桜の化身かもって思った。

なんだろ。初めて見る顔なのにどこか懐かしい…

ともかく、生きてるかどうか確かめなきゃ…そっと首筋に指を当てた。
…あたたかいし、脈もある。良かった、生きてる。
「あの、ちょっと…君?大丈夫ですか?」
肩をゆすってみる。
「…ん…うん…」声を聞いて安堵した。
「こんなところで寝ていると、風邪引くよ」
「…あっ…」
「それともどっか具合悪い?…救急車呼ぶ?」
「あの…」
「はい」
「ここ…どこですか?」
…?何?記憶喪失…なのか?……ドラマみてぇ…
「どこって?分からないの?」
「…はあ」
「…」
やはり、救急車を呼ぶべきなんだろうな。俺は腰に入れてた携帯を取り出す。
「…寒い…」
男は身体を縮ませて震えている。このままにしておくのはまずいか。救急車呼ぶにも、それなりの時間がかかるし、とにかく俺がそのままにしておく気分じゃない。取り出した携帯を元に戻し、男を見た。
「俺んちね、すぐ近くだから、とにかく来てくれないか?」
「あ…でも」
「立てる?」
「う、うん」
右手を差し出したら、思ったよりしっかりと掴んでくれて、実在するそのぬくもりにホッとした。
よろめきながらなんとか立ち上がっても、まだふらつくのか、足元がおぼつかない。
よろめいた瞬間、危ないと思ってその腰を掴んだら、その細さに驚いてしまった。身長は…俺より高いぐらいあるのに、なんだ?この細さは。
「大丈夫?」
「あ…なんだか…フラフラする」
「肩貸すよ」
「すみません…」
片手で傘を持ちながら、もう片方でふらつく男を抱きかかえるように歩く。さすがにこっちも体力もガタイもないから、ヨロヨロと歩く羽目になる。

なんとか我が家に着いた。
傘一本ではその役目は半分しか役目を果たさず、随分と濡れさせてしまった。男の薄いジャケットもジーンズも左側はびしょびしょになってる。
とにかくシャワーを浴びるように促すと、その男は素直に従った。
風呂場に連れてゆき、バスタオルを渡す。
「すみません」と、短く答える。
「風邪引かないようにちゃんとあったまってな」そう言いながら男の顔を見ると、濡れた髪の間から覗く目が柔らかく笑ったので、つられて笑みが零れる。

着替えは…俺のでいいな。背格好は同じ様なモンだし…新しいパンツとTシャツとトレーナーとジャージをたたんで、脱衣所に持っていく。丁度、風呂場から出てきた男の身体にちょっと驚いた。
すげぇ白いし、細い…それは大体分かっていたが…やっぱり男だ…それも分かってはいたが…
「…これ、着替え」
「あっ、すみません」
濡れたままの髪の毛から、雫が滴る。思わず横にあったタオルで、その髪を拭いてやった。なんだろ、俺、そんなに世話好きではないのに、かまってやりたくなる。
「あっ、自分でやりますから」
「いいよ、ついでだから」…何がついでなのか、さっぱりだよ。自分で言っておいて可笑しくて、笑いを堪えた。
「…すみません…なんか…」さっきからそればっかりだな。
「じゃあ、着替えたら何か食べるだろ?ってゆうか、気分は良くなった?」
「はい、大丈夫です」
「よかった」
「すいません、なんか、色々してもらって…」
「それ、やめよう。俺達あんまり変わらない気がするんだ」
「えっ?」
「いや、歳…年齢だよ」
「はあ」
「だからさ、タメ語でいいよ」
「そうですか?」
「そうだよ」
「わかった」
素直でよろしい。



相変わらずの長編パラレル文です。すんません<(_ _)>ゆっくりとUPしていきますので…

君の見た夢 2 - 2008.11.06 Thu

適当にレトルトのポタージュスープとバターを塗って焼いたロールパンを用意した。朝ごはんのメニューだな。もう昼はとっくに過ぎてるのに。
「ごめん、こんなのしか用意できなかった」
「全然いいよ、ありがとう。お腹けっこう空いてるみたい」
「そう?じゃあ、食べて」
良かった。俺のお気に入りのトレーナー、丁度いいし、ちゃんと似合ってる。
「おいしいよ、このスープ」
「唯の即席だよ」
「でもおいしいもん」
「そう、良かった」なんだろ、こいつ。喋り方がなんか、舌ったらずで辿々しくて、無茶苦茶かわいいじゃんか。
「パンもおいしいね」
「夜はちゃんとまともなもの作るからね」
「ありがと」
「ところでさ…名前とか…わかる?」
「うん…なんかさ、頭打ったみたいで…」
「えっ?どこ」
「ここ」頭の後ろを指す。そっと触ってみると、酷くは無いけれど、コブが出来てる。
「痛い?」
「うん、少し」
「冷やそ。確か、アイスノンあったと思うから」
一年中冷蔵庫に入れたままの、アイスノンを取り出し、タオルにくるんで、男の後頭部に当てる。
そういえばさっき頭を拭いた時、何も言わなかったけど、痛いのに我慢してたんだろうか…と、思い聞いてみた。
「いや、俺もまだボーッとしてたから、あんまり気づいてなかった」
「どう?」あんまり冷やしすぎてもいけないと思い、伺ってみる。
「うん、気持ちいい」
後ろから見る男の細いうなじや後ろななめに見える顔の輪郭が、なんだか凄く繊細でキレイだと感じた。それ以上に感じるのは親近感。なんだろ、家族にも似た近しい感情。

「名前」
「えっ?」
突然、言われてびっくりした。節目がちに何か考え込むように、頭を傾けるから、アイスノンを持った俺の手も合わせて傾いた。
「えっとねぇ…ユキ…って…」
「ユキ?」
「うん、そう呼ばれてた気がする」
「そうなんだ」それだけしか覚えてないのかな。
「住所とか?」
「…ごめん、わかんない」
その言い方が小さな迷い子みたいに途方にくれたみたいで、保護欲をそそる奴だと思った。
なんだか子犬拾ったみてぇだな。いやいや、こいつは人間だ。
ちゃんと警察とかに届けなきゃならないんだろうけど、そんな気には全くならなかった。

「もう大丈夫みたいだよ。ありがとう」
「そう?」
「うん。ソレ持って冷たかったでしょ、ゴメンね」
「別に、気にしなくていい」
俺はユキの頭のコブをもう一度確かめて、冷たくなったところをタオルで押さえた。
「ほら、しばらく押さえてろよ」
「うん」

コーヒーを差し出すと、ブラックで飲み始めた。俺は猫舌の為、適温になるまでしばらく待つ。
「あの…さ」目の前に座るユキが、上目遣いで俺に聞く。
「なに?」
「名前…聞いていい?」
「あ…」不安げな声に俺はハッとなった。
そういえば自分の名前どころか、何もゆってねぇよ。軽い誘拐犯みたいに思われた?
「ゴメン。自己紹介まだだったな。えーと、香月麗乃っていいます」
「れいの?」
「うん、麗しいにすなわちだね。ついでに、今日で26才になりました」
「えっ?今日が誕生日だったの?」
「うん」
「あ…ゴメンね。なんか俺みたいなの、迷惑かけてしまって」
「別に、迷惑とか思ってねーし…それにね、26にもなると誕生日が特別とか、あんまねーし」
「そう?」
「うん、だから気にしなくていいの」
「うん」
「でね、詩とか絵を描いて暮らしを建ててます」
「へぇ、詩人で絵描きさんなんだ…すごいね」
「別にすごくねぇよ」
「なんかわかんねぇケド、想像して形に出来る人って凄いような気がする」
「…」すごい不思議な回答をする子だ。
「あの…」
「はい」
「こうづきさん…って呼んでいいの?」
「いや、麗乃でいいけど」
「れいの…きれいな響きだよね…」
「そっかな~女と間違われるんだけどね。まあ仕方ねえか」
「そんなことないよ。きれいだけど…こう…芯があるってゆうか…かっこいいと思う」
「…」
なんか顔が熱くなる。なんだ?結構名前に突っ込まれるのは慣れているハズなのに…
「麗乃って呼んでいい?」
「勿論」
なんだかね、すごいかわいい言い方するのな。
おんなじ呼ばれ方でもこんなにニュアンスが違うのかね。不思議…
「あの、麗乃…くん」
「麗乃でいいからさ」
「ん、麗乃」
「はい」
「俺、ここにいてもいいの?」
「俺はかまわねーけど…け、警察とか届けた方がいいのかも知れないし…」
「そう…だよね。俺、自分が何者かもわかんねぇんだし…」
「もしかしたら、おまえを探している人が心配してるかもしんねーし…」
「うん…なんかさ、なんか、思い出せそうな気がするんだよね~なんだろ、すげぇ頭ン中モヤモヤするもん」
「まぁさ、焦らずゆっくり思い出せよ。好きなだけここにいても、俺は全然かまわないからね」
「ホント!…よかった~」
「なんで?」
「だってさ、警察とか行ったら怖そうだもん」
はぁ、やっぱかわいいわ。なんだろ、男にかわいいとか思ったことねーのに。なんか、こいつ見てると本能的に守ってやりたくなる。
「ここに居ろよ、ユキ」
俺の言葉にユキは嬉しそうに頷いた。



☆彡生活感ありまくり^_^;

君の見た夢 3 - 2008.11.07 Fri

「おーい、麗乃!邪魔するよ~」
ふたりでたわいも無い話をリビングでしていると、玄関から聞きなれた声。
「Happy Birthday!レイくん。今日はこのスーパーシェフ岬様が、腕によりかけてご馳走作ってやっから…って……」」
両手に抱えきれないぐらいの紙袋やスーパーの袋を、キッチンのテーブルに置いた岬がリビングでくつろぐ俺達を不思議そうに見る。
「へっ?そいつ誰?」
後ろからケーキの袋をぶら下げた木久地が、何も知らずに「うぇ~す」と続く。
「あれ?香月の友達?」
友達とゆーか、さっき知り合ったばかりなんだけどね。
「誰?誰?紹介して?」
人懐っこい仕草で岬がユキの側に近寄る。続いて木久地も興味深げにユキを眺める。
ふたりに見つめられてユキが困った顔を俺にしてくるから、大丈夫だよって微笑んだ。

「こいつさ、ユキってゆーの」
「ゆ、ユキです。コンニチワ」
「ユキ?かわいい名前だなあ~あっ、俺、臼羽岬っての。こいつの幼馴染みね。岬って呼んでね」
「岬?…きれいな名前だ…」
「うん、よく言われる。ギャップありすぎるって」
「そ、そんなこと、ないですよ。な、んか合ってるって、思う…」
「…まあ、そんな顔して言われると…照れる」
「照れる顔じゃねえだろうが…」
「うっせよ!マコトっ。でね、この黒いのが木久地眞人」
「黒いゆーなっ!」
「だって、黒いじゃん」
「今日わ、マコちゃんって呼んでくれ」
「キモイよ…マコト」
「うるせ!で、ユキちゃんは幾つかな?」
「おい、ガキに聞くような言い方ヤメロ」
「だってユキしかいわねーからさ。普通、フルネーム言うだろう」
「それは…」
「ごめんなさい。俺、記憶喪失みたいなんで…覚えてなくて…」
「はっ?記憶そーしつ?」
「マジで?」
「…はい」
「麗乃、ホントなの?」
「うん、えーと、土手のでかい桜の木があるじゃん」
「うん」
「あそこで…ひろった」
「ひろったって…」
『おい、大丈夫かよ』岬が俺の耳元で囁く。
『っな事言ったって、ほっとくわけいかねーじゃん』

「で、ユキくんはどっから来たのかわかんないのかな?」
木久地の奴がニコニコしながら、先生みたいな言い方でユキと会話してる。初対面の奴とは滅多にコミュニケーション取らないのに珍しい。こいつもユキが気に入ったらしい。
「すみません。わかんないんです」相変わらず舌ったらずの言い方で律儀に答えてる。
「あっ…でも、なんか思い出した」
「えっ?何?」
「俺ね、たぶん…25になってる。なんかクリスマス頃、誕生日のお祝いしたの覚えてるし…あれ?どこだったかなぁ~…う~ん」
「えっ?じゃあ、俺達とタメじゃん。ねぇ、レイくん」
「う、うん。いや、ちょっと下かなって思ったけど…そっかタメだったのかぁ」
なんか、ちょっと嬉しいかも知れね…
「みんな一緒なの?」今度はユキがちょっとビックリしてる。
今風のギャル男の岬とスーツをカッチリ着たサラリーマン風の眞人と、まるでプー太郎の俺とじゃ、同い年とは思えねーか。
「俺達みんな幼稚園からの幼馴染みなんよ」
「へぇ~凄いね。今も仲いいんだ」
「うん、仕事は全然違うんだけどね。俺はフランス料理店のシェフで、眞人は出版会社のサラリーマン。で、将来はエロ小説家になるんだよな~、マコちゃん」
「エロは余計だ。見てろ、今に直木賞取ってやっから」
「うん、有名になったら、俺も超嬉しいよ~」
「って、紹介終ったところで、岬、晩飯よろしく頼むな。なんか俺あんま料理できねーからさ。ユキに何に食べさせるか、悩んでたの」
「そんな…俺、なんでもいいよ」
「…うん、じゃあ、麗乃、ちょっと手伝って」
「オッケ」
「マコちゃん、悪いけどさ、ビールとジュース買ってきて、あと白ワインも」
「え~面倒くせぇ」
「ビールはマコちゃんしか飲まないんだしさ。ねっ、行ってきて」
かわいく頼めば何でも言う事を聞くと思っている岬に、眞人はいつだって逆らえない。
「んじゃあ、行ってくる」
「ん、ワインは安いのでいいからね」

で、ふたりでキッチンに立って下ごしらえをする。
「なあ、麗乃。あいつホントに大丈夫か?」岬が小声で俺に言う。たぶん状況を詳しく知りたいんだろう。でも、俺もあんまりよくわかんないんだよねぇ。
「何が?」
「だって、警察とか届けなくていいのか?捜索願いとかさ、出てるかも知れねーし…もしかしたらどっかの病院から逃げてきたのかも…」
「バカ、ンな事あるんよ。あいつ、すごくマトモだよ。受け答えもしっかりしてるし…」
「レイくん、気に入っちゃった?」
「えっ?」
「たってさ、おまえのお気に入りのトレーナーなんか着せちゃってさ」
「…」岬に返事もせずに、リビングでおとなしくテレビ見ているユキを振り返り…
「もしかしたら…おまえ、マジで…恋しちゃったの?」
「ばっか、声でけぇよ、岬」
「いや、そりゃおまえの好みちゅーのは分かるケド、あいつどーみても男だよ?」
「見りゃわかるよ」
「…そう…なら何も言わねーケドさ…確かにな…かわいいっちゃ~かわいい…」
ふたりしてユキを見たら、目が合って思わず意味無くにっこり…だよ。ユキも首傾けてにっこりって…マジかわいい…

「…ありゃ天然に天使系だな」
「だろ?」
「でも、おまえ、出会って何時間だよ」
「好きになるのに時間は関係ない」
「…すげぇ、言い切ってる…おまえ、本気?」
「本気だよ」
「はぁ~、なんか大変だと思うけどねぇ」
「恋に試練はつきものだ」
「はいはい、わかりました。幼馴染みのよしみだ。協力は惜しまんよ」
「ありがと、岬」



☆彡まだ誕生日終わらないね~^_^;

君の見た夢 4 - 2008.11.09 Sun

夕食は俺の誕生日パーティって事で、豪華なご馳走で、四人とも満足した。
ユキは昔からの友人のように俺達に馴染んでいた。
驚いたのはユキがお酒が強い事だ。
俺と岬は全く嗜まないが、うわばみの木久地に負けないほど飲む。
それでもさすがに疲れたのか、ため息を繰り返すから、早く休むように促した。

「悪いけど、俺のベッドで寝てもらっていいかな。シーツは代えといたから」
「…それはいいけど…麗乃は?」
「俺は仕事する部屋で寝るから」
「ごめんね、ベッド取っちゃって」
「んな事、気にしなくていいから。ゆっくり寝なさい。今日は疲れたろ」
「ん…なんかさ、岬くんもマコちゃんも楽しいね」
「あいつらバカだから」
「フフ…あのさ、なんかね、初めてって気がしないよね。ねぇ、麗乃。そう思わない?」
「うん」
「なんかさ、昔どっかで俺達会った事あるんじゃないかな…って気がするんだけど」
それは俺も考えた。けどな、どう考えたって、俺の生きてきた過去に全く、一片もおまえの存在は無いんだよ。
「そうだね、どっかで会ってるかもな…もう寝な」
「うん、おやすみ、麗乃」
「おやすみ、ユキ」


「どう、寝た?」
「うん、疲れてるみたいだったし…」
「なんか不思議だな」
「ん?何が、マコちゃん」
「俺さ、けっこう人見知りってか、初めての人はダメな人じゃん」
「うん」
「その俺がだよ、あいつに関しては全く抵抗無かった。これって結構珍しくねぇ?」
「それね、俺も思った。違和感ゼロ!昔から知ってる奴みたい」
「なんか懐かしい感じがするんだよな」
「でも俺の記憶辿ってもなんにも出でこないしな。かすりもしねぇ…おまえらあるか?」
「…これがねぇ、ない」
「だろ?コレって変だと思わねーか?俺達の生きてきた過去にあいつの存在が居なくても、三人ともどっか懐かしいってさ…おかしくねぇか?」
「うん」
「でもな、香月。おまえ嫌だろうけど、あいつの出所調べた方がいいと思う。明日あたりでもちゃんと警察に届けろよ」
「そうだよ。家族の人とか探してるかも知れんじゃん」
「分かってるって。ちゃんと連れてくから」
「…なんかねぇ、おまえ、信用ならねぇ」
「つーか、ユキを監禁してしまいそうな気がしてきた」
「香月ならやりかねないな」
「おいっ!」
「まあ、冗談はさておき、俺ら泊まってくから」
「いっけど、ここで寝てもらうしかないけど」
「ああ、ベッドはかわいいユキくん専用だからね」
「なんとでも言え」
「おい、かわいいからって夜中に襲うなよ」
「おまえらなぁ、俺はケダモノかっ!」
「言えなくは無い」
「右に同じ」
「…好きに言ってくれっ!」
何言われても腹が立たないのは、やっぱりユキに魂持っていかれてしまったからかなぁ。こんなの初めてだから、俺もわかんねぇ。

「取り敢えず、香月麗乃くん、26才おめでとう!」
「おめでとう!」
「ありがとう」
「君の恋が成就するように願いを込めて」
「カンパーイ!」

持つべきものは幼馴染みかな。
俺の26才の日々はこうして始まった。



☆彡ここからちょっと、うpスピードが落ちます。
色々書き直しが大変なんだよね~(~_~;)


君の見た夢 5 - 2008.11.10 Mon

2. 迷路

夢を見てたんだよ。
おもしろかった~
岬はフランス料理店のシェフで、マコちゃんは小説家希望のサラリーマン。
麗乃は詩人で絵描きだってさ。皆なあんまりそれらしくて笑っちまうよな…
レイくん、笑ってないでさ、何とか言えよ。
…ってところで目が覚めた。

あ、夢だったんだ…えっと、ここは…どこだっけ?
見知らぬ部屋の中、ひとりベッドに寝てる俺。
…俺の部屋じゃねぇし…麗乃の部屋じゃねぇし…ここどこ?

ベッドから起き上がって、明るくなっている窓際に近づいてみる。やっぱり知らないカーテンの柄。それを開けてみると眩しい光の洪水。ああ、朝の光だ。すげぇ天気いい。昨日はあんな雨だったのに…
…やっぱりなんかヘン。

おかしくね?俺さ、昨日、麗乃の誕生日で……そう、あいつに呼び出されて、散歩がてらに桜並木の土手を歩いてて、そしたら急に雨が降ってきて、桜の木の下で雨宿りして…それから、迎えに来いって携帯で麗乃に連絡しようとして…それから…?

それから、どうしたんだっけ!何?…えっ、そう、確か、俺は麗乃の家で…いや、違う。頭打って記憶が無かった。そうだ。そんで麗乃が俺を助けて…でも麗乃は俺の事知らなくて…?へっ?知らない?なんで知らないんだ?
…岬とマコちゃんも全然俺の事知らないって……えっ?えっ?ちょっと待て。昨日話したことは夢なんだろう?でも、あれって…さ…どこからどこまでが夢の話だよ。
はぁ?わかんなくなってきたじゃん。えっ?はあ?…えっと…ここは…麗乃の部屋って事なのかな?…じゃあ、何?俺、今、夢ん中居るの?

部屋を見渡すと、どれひとつとして見覚えの無いものばかり。その中に唯一つ…あった!本棚の中…中学校の卒業アルバムだった。
「これは一緒だよ…えっと…」
俺は覚えて久しい友の顔を次々と見比べ、そして、俺の顔を捜した。…無い。どこにも無い、俺の顔も名前も…なんで…おかしいだろう。ちゃんとあるべき場所には知ってる友の顔写真が載ってる。
「嘘だろ…」
俺は別のアルバムを手に取った。幼稚園の卒業アルバム。四人とも一緒だからな。絶対載ってるよ。
…嘘だよ。俺、載ってねーじゃん!…なんかすげぇ悪質なドッキリとしか思えねぇ…こんなのヤダよ。

あれ?…これ。なんでここに桜ヶ丘高校の卒業アルバムがあるの?木久地と俺の母校だろ。木久地が香月のところに置いていったのかな…おそるおそる開いてみる。
香月の写真は知ってる。見慣れた写真だ。
…!これ…麗乃?麗乃がなんでここに居るわけ?見慣れねぇ俺達の高校の制服着て…はぁ~?あいつ違う高校。しかも卒業してねぇし…なんだよ、コレ、おかしくねぇ?俺、俺は…俺はどこだよっ!いねぇじゃん!…どこにも俺の顔写真なんかねぇじゃん!

「…な、なんだよ、コレ。こんなん、あるかよ…ゆ、夢だよな…」
なんか、アレ?ほら、ゲームとかでさぁ、別の次元に空間移動して冒険とかする奴。あんな感じなのか…なぁ…でも、でもさ、皆なは居るんだぜ?…なんで俺だけ…いねぇんだよ…


あ…涙出てきた。クソッ、もう、何でなんかな。
「ユキ、起きた?…ユキ、どうした?」
部屋を覗いた香月が、泣いてる俺を見て驚いてる。
涙を拭いて、近づいてくる香月の顔を凝視した。
どう見ても麗乃だ。麗乃以外の何者でもない…だよな。
「…麗乃」
「なに」
「俺の事、知らないの?」
「えっ?ユキだろ?」
「ちげーよっ!俺だよっ!俺…雨音由貴人っ!」
「あま…ね…ゆきと…おまえ記憶戻ったの?」
「幼馴染みの…幼稚園から中学からずっと一緒で、親友で、一緒に音楽やってさ、そんで…」
俺達付き合ってたじゃん。…おまえ、違うの?俺の知ってる香月じゃないの?
…もう、なんか悔しくて腹立ってきた…

「ご、ごめん。あのさ、ユキ。ちょっと筋道立てて話してくれない?」
「…」
「記憶が…戻ったんだね」
「うん」
「良かったじゃん」
よくねぇよ。全然よくねぇ。全く全然意味わかんねぇんだって!

「あ、雨音って…言うんだ、名字」
「そうだよっ。雨音由貴人っ!」
「…なんか、怒ってる?」
「別に怒ってねーよっ」
何、今更名前とか聞くんだよ。麗乃のばかぁ…ってこいつは俺の事知らない麗乃で…あーもう、頭ん中ぐちゃぐちゃ…

「なあ、ホントに俺の事知らねーの?」
「昨日おまえに初めて会った以外は…俺の記憶に無いよ」
「はぁ~…」
「ゴメン」
おちつけ、おちつけ。これじゃ先に進まねぇじゃんか。落ち着いて整理しよう。とにかく深呼吸…

「…いや、あのさ、俺も良く把握は出来てない気はするケドさ。これが夢じゃないとするのなら…」
「うん」
「俺は異次元から来たんだよ、きっとな」
「……へっ?」
「…」当然の反応だわな。俺も信じがたい…

「なにが?わからん、おまえの言ってる事」
「…あのな、俺はおまえの事知ってるの。香月麗乃の事をずっと二十年以上も前から。幼稚園の頃から知ってるの」
「…はあ?」
「岬もマコちゃんも知ってる。一緒だったじゃん」
「ち、ちょっと待て。訳がわからん。と、とにかくあいつらも呼んでくるわ」
「ああ、その方が話早いわ。呼んで来てよ」
どうせ説明するのなら、三人まとめた方が面倒臭くねぇしな。
で、寝ぼけ眼の二人と香月を相手に一連の話を延々と説明。
当然信じられないと声を上げる三人。でも俺達四人しか知らない事を話したら、さすがに信じる気になったらしい。
俺は気になる事を聞いてみた。
「あのさ、雨音家ってさ…やっぱ存在しないの?」
「いや、あるよ」
「へっ?」
「俺も知ってる。確か学年二つ下に女の子居たよな」
「そうそう、利恵ちゃんっていう」
「利恵は妹だよ」
「…兄貴はいなかったよ。あそこ一人っ子だもの。母ちゃん同士仲いいから、知ってる」
「…」
そういう事になってるんだ、この世界。
じゃあ、俺の存在だけが、全くないって事なの?
…すげぇ、漫画だよ…
俺、漫画の主人公だよ…

…うれしくねぇよ…



☆彡ファンタジーというより、安易なSFBL…しかも長いんですよ~覚悟してね~( ^^) _旦~~

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Author:サイアート
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