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2019-11

流れる星の彼方に…1 - 2012.03.01 Thu

これは私が二十年以上前に書いたオリジナルBLです。

正直…ド下手で稚拙。
忘れたい黒歴史でもある。と、言うかすっかり忘れていましたよ。
この頃は、商業BL小説を必死で読んでいたころでもあるから、BLにエロは絶対必須だなあ~と思って、苦手なエロを追求して書いた必死の作品でもあります。
ワープロで書かれており、そのメモリも手元になかったし、印刷していたものも捨ててしまいました。気に入らないものはすぐに捨てて後になって後悔するんですよねえ~。実はこのシリーズの漫画もあったんですがねえ~。探しても無かったので多分捨ててるわなwww

かろうじて友人にあげていたものが残っており、ちょっと前にそれを貸してもらいました。
正直…読めませんでした。もう火が出るくらい恥ずかしくて。
でも、ちょっと頑張って読んで、それでそれをワードに写したものがこれです。

頑張ってエロを追求したは良かったが、どうも中途半端。
エロより、この世界感を構築するのが大変でしてねえ~
辛かった。
この終わりも難しかったよ~

この主人公リュウ・エリアードは私が作り上げたキャラの中で二番目の古株で、このキャラの性格は後の色んなキャラの基盤になっています。
最近で言えば凛一やアーシュはこのリュウの性格を受け継いでいます。
次回作品のアスタロトなどはリュウの性格丸写しかもしれませんね。
リュウ・エリアードは最近の作品「彼方の海から…」でも読めますが、この作品とはかなり違っています。この「流れる星…」のリュウは徹底的にマゾにしてますからね。
後になって、このリュウを転生させて、魔者のリュウ・エリアードにしたんですよ。そして人間のリュウの親はサイアート(綾瀬良)と言う少年でして…まあ、こういう一連の物語を作っていたんですね。

この物語はその中のホンの一部です。

呆れるぐらい支離滅裂ですが、若気の至りと思ってお読みください。
長いので何回かに分けて、更新しますね。
たまに18禁になりますから、ご注意ください。
では、どうぞ。

09.jpg



「流れる星の彼方に…」
1、
 硝子越しに見る夜空は、リュウの心の様だった。
 何も見えない…
 月も星も今夜はリュウを迎えるために、その輝きを顰めているのだろうか…
 リュウは溜息を吐いた。
 己の不安を隠せないまま、早鐘を打つ胸を知らず知らずのうちにそっと抑えた。
 絶え間なく続くエンジン音とその振動は、決して不快なものではなかった。だが、彼を見つめる黒い双眸がリュウの身体を慄わせていた。
 決して逸らさない痛いほどの熱い視線が、魂を疼かせた。
 リュウは重い沈黙をはぐらかすために、ポケットの煙草を取り出し、口にした。
 「フィオーレ」と言う花の名には程遠い苦々しい味が、口腔に、肺に広がる。
 空っぽになったケースを捻り潰す。
 (あんたに教えられたんだ…この煙草の味も、何もかも…そして、奪われた…)

 伏せた目を上げ、目の前に座る男を見つめた。艶やかな髪は胸まで流れ、穏やかに艶めかしい美貌は昔と変わらない。
 その顔に残酷な影が潜んでいるのもリュウは知っている。
 サンドベージュの肌に黒曜石の瞳、リュウを縛りつけるその宝石は、餓えた狼のごとく輝く。
 四方八方探しつくし、やっと手に入れた獲物を、どう味わおうかと舌なめずりをする狩人のごとく。
 リュウは堪え切れず目を逸らした。抗う事のできぬ視線…
 リュウの服も肉も通り越し、その魂だけを掴み取る。

 (ユエ・イェンリー…おまえを恐れ、おまえから逃げ、この四年間、おまえだけを待っていた…)

「リュウ…」
 右手を差し伸べ、低く俺を呼ぶ…
 夜を飛行する小型ジェット機の室内は暗く澱み、それと溶け合うかのようなユエ・イェンリーの姿は決して正しき道へと導きはしない。だが差し伸べられた手こそが、逃げ隠れ続けたリュウの本当に求めるものではなかったか…
 ゆっくりと腰を上げ、ユエ・イェンリーの足元に跪き、リュウはその手に口づけた。
 王(キング)への忠誠の証である。
 当然のごとく、そして、抗えぬユエ・イェンリーへの想いを抱いたまま、リュウ・エリアードは還ってきた。

 軽く押し付けられた唇を離し、ユエの右手はリュウの細顎を引き上げる。
 深い口づけ…魂が焼けつくほどの熱い痺れ…まさぐるユエの舌は優雅にリュウの口腔を支配し、次第に理性を失わせ、翻弄する。
 ユエの背に腕を廻し、リュウは満足のいくまでそれを味わった。
 四年ぶりに感じるユエ・イェンリーの官能…求めていたのはこれでしかない。
 身体中に燃え上がる熱い餓えは、お互いを貪りつくすほどに貪欲だ。
 止める術を失ったリュウは、彼を支配する男に呟いた。
「抱いてくれ…」と。

 高鳴る鼓動は、抑えが効かぬほどに膨れ上がっている。
 ドクン、ドクン…
 鼓動がユエにも聞こえたのか、ユエはその胸に耳をあてたまま、動かない。その間にも彼の指はリュウの身体を這うようにすべり、身体の奥に潜む魔物を揺すぶり起こす。
 身体中の触官を震えさせる完璧な愛撫。
 すべてを委ねるだけで得られる快感と苦痛は何ものを差し置いても、この身に与えられたい。
 リュウは身体を震わせ、弓なりに胸を反らした。
 張り詰めた四肢は感覚を奪われ、時折痙攣を起こした。噛みしめた口唇から途切れ途切れにもれる喘ぎは、よりいっそうの高みへと燃え上がらせる。

「うっ…ああーっ…」
 ユエ・イェンリーの激しいナイフを突き立てられたリュウは、その苦痛の果てに来る悦楽の扉をこじ開けようと、ユエにしがみつき、自ら身体を激しく揺らした。
「くっ…」
 直後、リュウはユエの胸で啜り泣いた。
 自由だった四年間を想い、泣いた。
 その月日が砂漠に彷徨う蜃気楼のように感じたのだ。そして、それはやがて遠い記憶の果てに、跡形もなく消え去るのだろう。


 五世紀前、私利私欲を尽くした人類は、この惑星をも食い尽くし、滅亡へと導くのみであった。 自然破壊、食糧危機は言うに及ばす、精神荒廃が引き起こした核戦争は、決定的な打撃を地上すべてに打ちつけた。
 自らの手により、自らの運命を葬っていく儚い運命…
 そして、今世紀初頭、60億の人口は粛清され、およそ15億となり、人類は新しい岐路に立たされたのだった。
 国々の境界線は消え、人々は理想理念を掲げ、新しい社会を作り上げようとする。
 そこには確かに生きのびる為に必要な未知への改革と、あくなき復興を手がける気力に満ち溢れていた。
 「惑星全体の統一」
 「資本主義でも社会主義でもない。そのどちらにも通じ、どちらにも属さない社会」
 人々の声の元、選ばれた代表者により、S・C・O(ソシアルコントロールオーガニゼイション)即ち、社会統制機構が創立される。
 それにより、地球は完全なる一個の連邦国となる。
 
 諸手を挙げて人々の喝采を浴びた政治体制も、半世紀も経てば腐敗が始まる。
 新しい秩序は古めかしい規律と成り果て、慢性的な経済不況が広がった。
 S・C・Oの管理体制は確かに浸透しつつあったが、その一方で国の端々で起こるテロなどの暴力行為の多発、飢餓や貧困の広がりは彼らさえ止める事が出来なかった。
 今や覇権的能力の無い不安定な行政機関と成り果てた。
 彼らが嫌々ながら頭を下げ、その力を借りたのは、前世紀の遺物と卑しまれたエクセレント・カンパニー「テュラニス」であった。
 
 「テュラニス」…情報、技術研究事業団。
 この絶対資本主義シンジケートは、外見上は経済融資、技術開発が主な事業である。が、その真の姿は軍事産業、武器、兵器の開発ブローカー、そして大規模なテレポート(情報、通信処理システム)を持っていた。
 S・C・Oでさえ持て余す地球唯一の絶対君主「僭王(ティラント)」…その力は、政治干渉さえ可能であった。

 ユエ・イェンリーが「テュラニス」の総帥、通称「王(キング)」の地位に座したのは、今から四年前であった。
 先代が暗殺された為、急遽後を継いだ形とはなったものの、彼の能力を疑うものはおらず、また先王の遺志でもあったため、多くの後継者の中からユエ・イェンリーが選ばれた事は、至極当然と受け止められていた。また、ユエ・イェンリーはその力を如何なく発揮し、この四年の企業の伸びは「ティラニス」始まって以来の隆盛ぶりであった。

 今や「S・C・O」と「テュラニス」の癒着はすさまじく、二頭の統治者等は表と裏を完全に掌握した。
 しかし、その力の均衡(バランスオブパワー)は奇妙な形を映し出していた。
 食うか食われるか、いつの世にも弱者は強者に跪くしかない。

 お互いの駆け引きの緊張の糸は、この惑星の未来を賭ける程に引き合い、慄えていたのだ。



2へ

 え~と、少しずつ更新していきますが…これホントに大丈夫なのか?
 全く自信ないんだか…(;´∀`)

 私はこの文章をワードに写しながら、小型ジェット機の中でそんなに激しくやったら、飛行機そうとう揺れるんじゃないのかな~、墜ちるかもしれんな。そしたらこの話ここで終わるんじゃねえ?と、突っ込み入れましたけどね。
 しかし、これでもやっぱり18禁とか、入れとくべきなのか?(;^ω^)



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流れる星の彼方に…2 - 2012.03.03 Sat

こんにちは、サイアートです。
二十年前の恥部をみせよう~会へようこそ。

R指定はなくてもいいかな~と助言を頂きましたので、ナシでいきますが…
第二回目も私にしては、それなりにいやらしくなっております。あは(;^ω^)

え~と、今回新人さんが出ます。この人本当はアルベルトさんなんですが、アルバートさんに変えました。なぜかというと「アルベルト」って自転車の名前があるんです。つうかうちにもあるし…
そんでチェーンがベルトになったのでベルトがあるよ~ってことでアルベルトなんですね。それ知ってから、ベルト付きの自転車はアルベルト~って自分の中でウケてしまうんですね。
そんなしょうもないわけで「アルベルト」くんは「アルバート」君に変わっちゃったよ**(/▽/)**
因みに…私の自転車はじょうぶな「ジョブナ」です…もうちょっと考えて欲しいと思わないかね(;´Д`)

絵もサービスでやらしくしてますわ。うふ。

ではどうぞ~

futari99.jpg


2、
 唯一の絶対者である「テュラニスの王(キング)」ユエ・イェンリーには、管理体制の伴わないS・C・O(社会統制機構)上層部を叩く事は、そう手を煩わすものではなかった。が、己の手の平で溺れる様を見ていたかった。
 在りし日を懐かしむ大老どもの足掻きを鼻で笑い、二度と浮かび上がる舞台の無いことを徹底的に知らしむ必要があった。
 役に立たない消す。それはこの「ティラニス」では当たり前のはずだった。が、…
 (捨て切れぬものがある…)
 眉を寄せたユエ・イェンリーはフィオーレに火を付けた。
 リュウを想った。
 じっくりと味わった肢体の感触の余韻が未だに指に口唇に残り、消えることは無かった。
 リュウの身体は、四年前からは成長し、少年の荒々しさよりも、しっとりと艶めかしさが目立つようになり、より極上のものになったと言えよう。
 生まれついての器量と線の細い肢体、きめこまやかな光沢をもった白い肌は、より一層の色香を増し、彼自身の心のように、決して大人の男へとは成長しないことを示していた。

 この四年間の間、必死に探していたわけではなかった。それど頃ではないほどに、ユエ自身が忙殺した日々を送っていた。だが忘れられるわけがない。
 あのリュウ・エリアードのことを。
 そして、やっと手に入れた。
 再会の感慨は思いもかけぬほどに熱かった。
 ユエの差し出した手を掴み、自ら身体を開いたのはリュウの方だったのだ。
 四年間の空白を埋めるように、湧き上がる情欲のままに、際限なく求めあった。
 光に透ける絹のようなやわらかにゆるく流れる白金の髪。透きとおった薄紫の水晶の双眸。少女めいた清楚な美貌。
 開きかけた口唇を合わせ、まさぐると身体を小刻みに震わせた。時折見つめあう瞳が、言葉の代わりに甘い睦言を語りかけていた。

「伸びたな…」
 掬い取った指にゆるく絡む金の髪に口づけた。
「…おまえと同じ長さにしたかっただけだ」
 ユエの胸に頭をもたげたまま、リュウは甘えるような仕草でその肌に口唇を押しつけた。
 顔を上げ、ユエの顔を見つめたリュウは髪を弄ぶユエの指に自分の指を絡ませた。
「知ってる?俺の髪、おまえの髪に交わると、消えてしまうんだ。おまえに吸い込まれるみたいに…さ」
 蠱惑な媚態にそそられ、細い身体を組み敷く。
「あ…ん」
 ぞっとするほどの微笑。悪魔の目がユエを捉える。
 (これは…俺のものだ。もう二度と誰にも手出しさせるものか…)
 自ら足を開いてユエの身体に絡みつくリュウを、ユエは怖れはしなかった。 ただ、この天使の顔をした悪魔の男に、決して心を許すべきではないと、刻み込まねばならない自分自身が、酷く空しく、いつまで辛苦を舐めたら気が済むのかと、己をあざ笑うのだ。
 
「リュウ…おまえを連れ戻した理由を知らないとは言わせない。どんな罰でも受ける覚悟はあるんだろうな」
「…」
 黙ったまま目を逸らすリュウを嗤い、ユエは汗の滲むリュウの身体を容赦なく凌辱した。
 泣き叫び、「許してくれ」と、哀願しても許さなかった。
 刑罰のようなセックスに意識を失ったリュウを、ユエは決して許さなかった。頬を叩き痛めつけ、ユエの気力が続く限り、貪り続けるのだった。


 窓の外に目をやったまま動かないユエ・イェンリーの横顔は、いつもより艶めいて見えた。
 机の上のキーボードにはICカードが散乱している。
 眺めの金髪を目深に下ろした眉目の整った若者はユエ・イェンリーの第一秘書、アルバート・ルードと言う。
 彼の敬愛する王の一挙手一投足を見のがさぬ様、薄青の瞳でただ一心に注き続けた。
「…それで奴の動向は判っているのか」
 かき上げる漆黒の長髪の奥に、冷徹な光が宿る。
 見つめられたアルバートは思わず目を伏せた。
「…はい。モーロックはレーヴィタル島鉱山の膨大なアクセスチャージを要求しています」
「一端のテレポート気取りめが…。怖いもの知らずの新参者にはそれなりの躾が必要のようだな。徹底的に締めあげろ。この世界で息をしたいのなら、礼儀をわきまえてもらおう」
「 S・C・Oのネットワークと手を結び、秘密裏に動いている気配がありますが…」
「…ほう。 S・C・Oも相変わらず呑気なものだ。そろいも揃って頭上のハエも払えぬおいぼれどもが…まあいい。モーロックは叩き潰す。ティラニスの許可なくして S・C・Oとの関係を保とうとする馬鹿者を見過ごすわけにはいくまい。だが S・C・Oには構うな。こちらで圧力をかける。『力の均衡』は必要だが、主導権は常にこちらが手にしておくのが我が定石だ」
「わかりました。それから…」
 躊躇いがちにアルバートは続けた。
「システムバンクのファベル様の夜会のご招待はいかがなさいますか?」
「今夜だったな。お招きに預かろう。丁度いい。リュウを連れて行く」
 返答もしないままに訝しげにユエを見つめるアルバートを、ユエは楽しんだ。
「どうした?何か言いたいことがあるのか?」
「…」
「構わない。言ってみろ」
「王(キング)は本当にリュウ・エリアードを王の後継者になさるつもりですか?僕は納得できません。あの一件にあの男が関与していたのは周知の事。リュウ・エリアードの不始末で誰よりも苦労なされたのは王であるあなたです。僕には理解できない。何故今更彼を…」
「リュウ・エリアードは先王のただひとりの養子である。当然の権利を有すると思うが…まあ、本人は不本意のようだが…」
「ですが…」
「あれの身体を捨てるのが惜しいからだ。…そう言えばおまえは納得するのか?」
 あいまいな微笑さえ、今までに無い色香が潜んでいる。
 (本気で…惹かれているのか?あの裏切り者に…)
 戸惑いと嫉妬がアルバートの胸をざわめかせ、制御できないほどに痛みを感じた。
 その口唇の震えを見たユエ・イェンリーは、クスリと嗤う。


 閉ざされたカーテン越しに差し込む光でさえ、この薄暗い一室の澱んだ空気を暖めてはくれない。
 ベッドに肢体を投げ出したまま、リュウは枕元の煙草に手を伸ばした。たったそれだけでも身体のどこかが悲鳴を上げる。傷ついた身体は泥底深く沈んで、引きずり上げる術がないほど、朽ちていた。
 震える手で火を点け、肺の奥まで染み渡るように、深くゆっくりと吸い込んだ。
 フィオーレの強い苦みに眉を顰めながら、頭を振る。

 ここへ来てどれくらい経ったのだろう。リュウには判らなかった。外出はおろか、部屋から一歩も出るなと、命じられたまま、一日中部屋でじっと息をこらし、夜が来るのを待った。
 夜はユエ・イェンリーを呼ぶ。
 今やユエ・イェンリーだけがリュウの生きる糧だった。
 (これが俺の望んだ生き方だったのか…)
 幾度となく繰り返してきた自問。
 リュウは己を呪いながら嗤う。
 だが、たとえ抱き人形でしかない堕ちた自分を嘲笑うには、この想いはあまりにも切なすぎた。
 
 この四年間、リュウは望んだ自由を手に入れた。
 確かに望んだものだったのだ。
 真の自由とは…なにひとつ枷のない個の実体であり続ける事。
 しかし心は乾ききっていた。途方もなく心もとない夜。
 日中の楽しさなど跡形もなく消してしまう喪失感。
 手に入れた自由とは一体…
 
 鬱屈した心のひだを隠し、ただ世間の陽を煌々と浴びていた。それと同時に心と身体に繋がれた糸を自らの手で断ち切る覚悟さえなかったことを、嫌と言うほど見せつけられた。
 あの時、ユエ・イェンリーの姿を見た時、彼の手が差し伸べられた時、その胸にしがみついた時に…リュウは答えを出してしまったのだ。 
 心臓を鷲掴み、息をも止めてしまうその手が欲しかった。縛りつけ、自分の薄汚れた欲望を突きつけられることを、望んだのだ。
 (あれほどに憎み、この手で殺してやりたいと…思っていたのに…) 
 リュウは己の心変わりが不思議でならなかった。


 初めて抱かれたのは13の時だった。
 それまで、砂漠の町にひっそりと隠れるように住んでいたリュウは、突然「テュラニス」という組織に連れ去られ、アジトを焼かれたばかりではなく、仲間を殺された。
 「テュラニス」の王(キング)の前に差し出されたリュウは、養父と言うジャック・エリアード、即ち王の命により、ユエ・イェンリーに差し出されたのだ。
 いたぶられ、意地も誇りも剥ぎ取られ、屈辱だけを与えられた。ユエ・イェンリーの足元に這い蹲るしか許されなかった。そして淫らな色情魔に仕立て上げたユエを、リュウは心から憎悪した。
 僅かな反抗さえ許されぬのなら、残された感情は憎しみしかない。
 ほどなくリュウは王の愛玩物になった。
 (いつか殺してやる…王もユエ・イェンリーも、いつか、きっと…)
 苦悶に喘ぐ様を楽しむ王とユエ・イェンリーの残虐な技が続く中、止める事のできない叫びの声を上げながら、リュウは復讐を誓うのだった。

 しかし、今のリュウに昔の憎しみなどどこにもなかった。
 (あれほど泣き叫んだ痛みが、今では甘い痛みに変わる。ユエ・イェンリーとのセックスが俺の救いになってしまうのは…どういうことなんだ。なぜ俺はユエを求める…)
 胸に疼く想いがユエ・イェンリーへの愛だとは、リュウには到底思えなかった。だが、締めつける胸の痛み、湧き上がる熱い感情を抑えることができないのだ。
「馬鹿な…」
 リュウはベッドに埋めた身体を縮め、自分を抱きすくめた。
 理解できない感情が恐ろしい魔物に見えた。

 突然、開けられたカーテンの間から差し込んだ光に、閉じた目を薄く開けた。
「夕刻が近いのに、裸のままなのか?連日連夜のご公務にさぞやお疲れなんだろうけれど…」
 逆光の影に映し出された男の姿に見覚えはなかった。身体を捩らせ、リュウは眩しげにその男の顔を見た。
「誰?」
「三日前、自己紹介したはずだけど…忘れたのか?…覚える気もないか」
「…」
「ユエ・イェンリーの第一秘書のアルバート・ルードだよ」
 名前を聞いても思い出せない。しかしその薄青の瞳が暗く輝き、明らかに敵意の込められた眼差しというのは理解できた。

「そのあんたがここに何の用がある」
 リュウは裸の身体を起こし、ベッドの端に腰掛けた。
「支度をしろよ…今夜、夜会へ出席するようにと王からの命令だ」
「俺が?」
「君がだよ、リュウ・エリアード。ユエ・イェンリーは君を正式なパートナーと認めた。…おめでとう。君は次代の王(キング)となる」
 アルバートの言葉に、リュウは肩を竦めた。
「そんなもん…」
「そう、君には相応しくない。この世界を統べる我がティラニスの王にはね。だがユエ・イェンリーが決めたことに僕らが意義を唱えることはできまい?」
「くだらねえな…」
 片膝を抱え込んだリュウは、窓からの光を眩しそうに浴びた。
 その酩酊した揺らぐ紫水晶(アメジスト)の幻惑。
 紅光を浴びたリュウの裸体に、アルバートはギクリとした。
 たおやかに艶めいた姿態。けだるい、朽ちていく瀬戸際の、しかし無辜なる美にさえも愛でられた、性など超越してしまう…聖物が在った。

 アルバートは湧き上がる己の情欲が信じられなかった。
 (見てはいけない)
 だが視線を逸らすこともできぬまま、吸い込まれるようにリュウのベッドへ近づいてしまう。
 それと判る赤い痕が、リュウの身体中に残されていた。それを恥じらいもせず、むしろ誘うようにリュウは胸を広げ、髪を掻きあげる。
 その姿に誘われたアルバートは、リュウの顔を撫でた。
 次第に嗜虐的な感覚が、身体中を襲う。
 (このまま凌辱し、こいつを泣かせたい…)
 おかしい話だった。アルバートにはリュウへの思慕は一切無いというのに…

「覚えておくがいい、リュウ・エリアード。ここへ還ってきたことを後悔させてやる。僕は…君を殺すよ」
 アルバートの告白に、薄紫の目は涼やかに、楽しげに笑うのだった。



1へ /3へ

原文をやっとのことで読み直しましたよ。
一話はあまりに恥ずかしくて、あまり改訂しないまま、アップしてしまいましたが…
原文があまりに酷い有様なので、段々と今の自分の文章で書きなおしつつ進めています。
そんで最後には…原文無視してストーリーが変わってしまう可能性大ですな。
まあ、やっとこの内容に自分が慣れて、直す余裕ができたっていうことだね。
まだまだ恥ずかしい部分があるけどさ~
この部分が新しく書きなおしているなあ~と、思ったあなたは「サイアートオタク賞」を差し上げよう。


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流れる星の彼方に…3 - 2012.03.05 Mon

オッス!おらサイアート!おめーら元気か?
この間はエロい絵につられていっぱいきやがったな。
ああいうのを釣り絵っていうんだぞ。いいか、気をつけなきゃダメだぞ。
じゃあ、今日もいっちょうやってやっかっ!


時代背景は非常に適当で、パソはあるけど携帯はねえのかよっ!と突っ込みたくなるんですが…
ほら、二十年前は携帯持ってなかったしね。

しかし
この時代なかなかどうして面白い byギルガメッシュ
的な気分で楽しんでくださいませ。

では、どうぞ~

yue.jpg

3.
 大手資産家のファベル氏のその日の夜会の一番の話題をさらったのは、ティラニスの王(キング)、ユエ・イェンリーが同伴したパートナーだった。
 パートナーとは、一生の誓いを立てた公的な恋人と同じ意味を持つ。
 ユエ・イェンリーがパートナーを同伴したのはこれが初めてだった。
 その相手が四年間、行方不明だった先王の養子、リュウ・エリアードだったことも一同を驚かせた。
 リュウ・エリアードがこの世界でどういう存在であったのかは…言うまでもなかった。
 彼は最高級の男娼であり、芸術品だった。
 多くのマーケットでも彼だけは王に直接売値を伺い、一晩だけの悦楽を味わうのだ。
 むろん、リュウ・エリアードが先王の愛人であり、あのリョウ・アヤセの実の遺児と承知の上だった。

リュウ14歳

 
 四年前のリュウなら、躊躇いもせず売品としての自分を魅せ、高値を吊り上げる術を楽しむ余裕さえあったかもしれない。
 自分の運命を諦めたリュウには、憎悪と快楽を得ることしか生きる道は許されなかったからだ。
 だが今のリュウに、昔と同じ気分で振舞えるはずもない。
 広間を歩くリュウの身体を品定めするように嘗め回す人々の眼差し、囁く声と薄笑い。
 思わせぶりな接触、殊更に慇懃な社交辞令、溜息と嚥下が交錯する。
 そのひとつひとつが、身震いするほどおぞましいものに感じた。
 リュウはユエの腕を掴んだまま離さない。
 そうでもしなければ一歩も歩けなかったのだ。


 帰りの車の中でリュウは向かい合うユエを責めた。
「よくも…俺を晒し者にしやがったな、ユエ・イェンリー。あの豚どもに俺を売るつもりでいるのか」
「幾人かのオーナーがおまえの売値の交渉を伺ってきたがね。おまえが望むなら話を進めるが…」
「やめろよ。俺を幾つだと思っている。21の男が商品になるかよ。…冗談じゃない」
「そうだな。俺もおまえを売り物にする気はないさ。だが四年前と同じく、あいつらのおまえを見る目つきはひとつも変わりはしない。物欲しげで今にも飛びつきそうなハイエナの群れそのものだったな。傑作だよ」
「…楽しそうでなによりだな、王様」
 舌を打ち、煙草に火をつけようとするリュウの手を押さえ、ユエは咥えた煙草を取り上げた。
「今夜おまえを見世物にしたのはおまえが次代のティラニスの王だと知らしめるためだ」
「…なに、考えてる。本気でこの俺を玉座に座らせる気か?…俺にやれると思っているのか?」
「ただの抱き人形の傀儡で構わない。血塗られた権力と悪名高き名誉…そのたおやかな顔にはふさわしかろう。だが…おまえがただの馬鹿ではないと知っている。おまえに帝王学を学ばせたのはこの俺なんだからな」
「昔のことなんぞ、忘れたね」
「ビューロクラシー(官僚主義)の崩壊は近い。テュラニスがこの惑星に王国を創るのはそう遠くない」
「おまえがそこまで傲慢な野心家だとは知らなかったよ。…S・C・Oを侮るな。足元をすくわれるぞ」
「S・C・Oのネズミが、大そうな口を利く。おまえたちを野放図にしてきたのは、おまえをおびき寄せる罠だと気づかなかったか?…あの連中を皆殺しにするのは簡単なことだ」
「…やめろ」
「おまえがおとなしく俺の奴隷でいる限りは、おまえの友人は生かしておく。そう肝に銘じておけ」
「…」
 リュウはユエの本当の恐ろしさを今更ながら知った。
 掴まれた手が震えている。
 (何も知らぬまま俺を信頼し、四年間、共に笑い懸命に生きてきた人達だけには、手を出させるわけにはいかない。…絶対に)
 
「変わらずに細く白い美しい指で、俺も嬉しいよ、リュウ…」
 ユエ・イェンリーは冷たくなったリュウの両手を取った。
「おまえのこの指は人殺しの兵器にもなりうる。だがそれも必要あるまい。これから先、俺はおまえに人殺しをさせるつもりはないのだから」
「…」
 ユエはリュウの右の人差し指を掴み、反対側に反らせた。
「昔話に戻るが…先王を暗殺したのはフランシス・ユージィンと公表されている。王が亡くなって半月後,逃げ回っていた本人が本部に戻り、そう自白したのだから。だが、あの男はおまえを庇う為にすべての罪を負った…そうじゃないのか?リュウ・エリアード。真実は…おまえが先王を殺し、己の逃亡の為にフランシスを陥れた…」
「…違う」
「何が違うんだ」
「俺は…」
 確かに先王、ジャック・エリアードを殺したのはリュウ自身であった。が、その意味をユエは知らない。
 だが、あの頃の想いを告白したとしても、ユエは許さないだろう。ユエ・イェンリーにとってフランシス・ユージィンは「特別な男」だったのだから。

「…殺せよ。おまえは俺を殺したいんだろう」
「ああ、じっくりといたぶって地獄に突き落としてやろう。だが今はこの指…おまえは右も左でも狙った的を外すことは滅多になかったなあ。上等の殺し屋だがこれまでだ。引き金を引けないように…十本の指をすべて折ってやろうか…」
「…」
 ユエの言葉にリュウは背中が震えた。
 この男なら本気でやるかもしれない。
 殺されても構わないと覚悟したはずの心が恐怖に強張るのだ。
 ユエ・イェンリーはリュウの目を見つめたまま、その指一本一本をじっくりと舐めた。
 ユエが少しでもその気なら、簡単に折ってしまうだろう。
 リュウは凶暴に渦巻くユエの瞳から目を逸らすことができなかった。目を逸らせば、ユエ・イェンリーは確実にリュウの指を折ってしまう、と、知っていたからだ。

 震えながらも目を逸らさぬリュウを「愛おしい」…と、ユエ・イェンリーは思った。
 「殺せ」と、言うリュウの本性は、昔と変わらずに生きる事に執拗だったからだ。
 (これを俺が、殺せるわけがない…)
 (だが、許すわけにはいかない。だから…)
「苦痛にあがくおまえが、愛しいよ」
 引き攣った顔を撫で、その首筋の動脈を押さえた。
 震える口唇をユエのそれと重ねた途端、涙を流すリュウを見たユエは嗤った。
 リュウは泣いているのも気づかずに、ただ「許してくれ」と、繰り返すのだった。



 車は出かけた時の建物ではなく、超高層ビルの玄関へ到着した。
「おまえと俺の背徳の城だ」と、ユエはリュウの手を取る。
 拒めるはずもないリュウは、ユエの身体に寄り添うように最上階へのエレベーターに乗り込んだ。
 42階のコンドミニアムはセキュリティが厳しく、ふたりの指紋を確認しなければドアは開かないと説明するユエに、リュウはいぶかしんだ。

「なぜそこまでする必要がある」
「おまえを監禁するために決まっている」
「今更、おまえから逃げる気はない…」
「手負いの虎は気を抜くとこちらがやられる。俺は先王やフランシスのように、おまえを見縊ったりしない」
 
 通されたリビングはシンプルだが、細部に行き届いた建具とモダンなデザインで構成され、レトロな間接照明の淡い灯りが、緊張したリュウの気分を幾分和らげてくれた。
 首都ニューアレイの街並みが一望できるインテリジェントシティであるオールトの街は高台にある。その高層ビルの窓枠のないはめこまれた硝子越しから見る景色にリュウは見惚れた。
 色とりどりのイルミネーションライトと夜空の闇色が奇妙に交じり合い、その境界線がオーロラの儚い輝きのようだった。
 
 上着を脱いだユエはソファに座り、カシャッサを飲んでいる。
 カシャッサはアルコール分が強く、先王の好んでいた酒だ。そしてフランシス・ユージィンも好きだった。
 (あの男と同じように飲みやがる)
 スーツを脱ぎ捨て、シャツを羽織っただけのリュウは、ユエの姿を苦々しく思った。
 (俺とおまえだけでいいはずだ。なのに、何故、今更…)
「ユエ・イェンリー、何故それほどまでにジャック・エリアードの死を惜しむ。おまえだって…俺と同じようにあの親父にいたぶられ続けていたくせに…憎んでいたくせに。あの男の肩を持つとは思わなかったよ。王の座を譲られたからか?だから忌まわしい過去は捨てたというのか?」
 リュウの詰問を聞いたユエはグラスの氷を鳴らし、飲み干した。
「ジャック・エリアードは行き倒れの孤児だったの俺を拾い、育ててくれた。リュウ、おまえは死ぬほどの餓えを味わったことがあるか?雨風をしのげる家と、寒さを防げる服、飢えることもない毎日の食事、あらゆる高等教育を彼は受けさせてくれた。それまでの泥の中を這い蹲り、やっとのことで生きてきた俺には信じられぬほどの恵まれた生活を彼はくれた。玩具にされようが人に売られようが、恩義に報いるのは当たり前だ。…その王をおまえが殺した。俺への情念の為に…」
 ユエの最後の言葉に、リュウは驚愕した。
「知って…いたのか?俺がおまえにどれ程焦がれ、会いたいと願ったのか」
「ああ、おまえが俺を欲しがるように調教したのは俺だからな」
「…ジャック・エリアードはおまえを俺から無理矢理離し、会わせなかったんだ。俺は…王におまえに会わせてくれと何度も頼んだ。だけど…王はそれを許さなかった…」
「だから、殺した。ジャック・エリアードを」
「…そうだ」
「ではまずはその罪を購ってもらう。そして、フランシス・ユージィンへは罪はその後に聞く」
「…」
「こちらへ…」
 リュウは言われるままに、ユエの足元に這いつくばった。
「両手を後ろへ」
 廻したリュウの両手を絹の細い組み紐できつく縛る。
 ユエは道具は使わない。鞭で打つ事さえしない。
 ただ縛りながら責めるのだ。
 「瞬時に痛めつけるのは二流。時間をかけて苦痛を味あわせる方が何事にも面白みが増す」と、言う。その言葉通り、ユエ・イェンリーの拷問とも言えるリュウへの罰は肉体よりも精神的苦痛が大きい。
「あっ…う…うっ…」
 頭と腰を掴まれ、繋ぎとめられたまま、達することも許さないユエの責め苦に、リュウは啼く他はないが、こうまでもしてもリュウはこの男に蹂躙されることを望んでいた。
 リュウにとって罰は褒美でもある。
 リュウを縛りつけるユエ・イェンリーもまた、リュウに縛られているのだから。

「アルバート・ルードに会ったか?」
 何度かの失神の後、ベッドに移されたリュウは半場意識を失いつつも、ユエ・イェンリーの言葉の意味を理解しようと思考した。 
「?…ああ、あのインテリ男か。おまえの第一秘書らしいな。おまえの趣味も変わったもんだと思ったが…」
「あれはフランシスが特別に可愛がっていた舎弟だよ。いずれはパートナーにと話していた。おまえに会わせる前までは…な」
「…だとしたら…全部、おまえの所為だな、ユエ・イェンリー。俺とおまえ、どちらが悪魔なのか、神にでも聞いてみるか?」
「聞く必要はない。神は俺達など、とうに見捨てている」
 (そうかもしれない)と、リュウは思った。
 
 昔、テュラニスに連れられる以前の太陽神を崇めていた生活が懐かしい。貧しくても日一日の穏やかさは仰ぐ空のように清清しいものであった。しかし、今は、陽の眩しさから目を瞑り、光から影へと逃げ、蜉蝣のように足元さえ心もとない。
 与えられる苦痛だけを生きる糧にし、快楽を味わいつくそうと媚を売る。
 堕ちるところまで行き着けば、いつかは這い上がる時が来るのか…
 (いや、いつか俺の身体に厭きた時、ユエは俺を殺すだろう…それまでこの朽ち果てた部屋でふたり、ただの淫獣でいるのも悪くはない)

「ああっ…」
 リュウの悲鳴が無音の部屋に啼いた。
 絡み合うふたりのひとつひとつの行為が、部屋に散りばめられ、処刑の痕をたどっていた。


ryu2.jpg

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この頃の自分の作品は必ず無理矢理に凌辱するシーンがありましたね。
ジュネ的に言えばカタストロフ的な物語が好きだったんです。
Blは牧歌的なハッピーエンドを目指しているのが多い感じですかね。
と、いうか幸せというカテゴリを探しているのがBL。男同士の恋愛は祝福をもたらさないのがジュネ…みたいな感じ。
私は、男同士の結婚とか、女との三角関係や、子供が欲しいと思ったり、養子になったり…そういうのに全く興味はないです。
女と男でできないことがある、天から見放されている、それが同性の恋愛の醍醐味と、私は思っています。
もちろん作り物の恋愛小説であり、リアルなゲイさんがに幸せになることを祈ってはおります。
だけど私が書きたいのはリアルなゲイ小説ではなく、カタストロフのゲイ小説なんです。

私が好きな漫画家さんの作品にこういう台詞があります。
「非合理で非生産的な行為の果てに、何が得られるのか。無駄にしか思えないことが何を生むのか」
その真理を知りたい。
これが私の男同士の恋愛を描く理由ですね。

サイアートオタク賞は…当たった方には希望のイラストを描いてさしあげようと思ったのですが、無理ですね。
だって、70パーぐらい原文を書きなおしてしまいましたから。
誰でも当てることができるでしょ?(;´▽`A``


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流れる星の彼方に…4 - 2012.03.08 Thu

花粉症が辛い時期になってきましたね。
皆さん、お変わりございませんか?
今回は悲しいお知らせがあります。
今回…エロ画はございません~
描いているんですが…そういうシーンが無いんですっ!キリッ
なので、エロ絵、もしくはエロシーンなど期待されたお客様はU~タ~ンでオネガイ。

では、エロくないお話のはじまりですわ~

ryuui3.jpg
4、
 「テュラニス」のオフィスビルは、ニューアレイの中心部に聳え立つ「S・C・O(社会統制機構)」の本部と競い合うように道を挟んだ真向かいに建てられている。
 機能的にデザインされた無機質な外観は、人々の目を惹き、その威圧的な重圧感に頭を垂れる者も多い。
 ビルの屋上に配された空中庭園(アトリウム)はすべて最新式のOSで管理され、開閉式の円形硝子に覆われた天上や、天候や室温で庭園の常緑樹までを自動で管理するシステムだ。

 ユエ・イェンリーはこの場所が好きだった。
 人工的に作られたとはいえ、硝子の天上から差し込む光の筋が、生きていく寄る辺のような気がしてならない。手にした温かな光に、まだ許される…と、思いたかったのだ。
「フランシス…俺はリュウを捨てきれずにいるよ。…おまえは俺を嗤うだろう。蔑むだろう…すまない。もう少しだけ…待ってくれ。必ずリュウを…おまえに返すから…」
 ユエ・イェンリーは手の平の僅かなともしびを、そっと胸に抱いた。


 アルバート・ルードは酷く不機嫌だった。
 それでなくてもリュウが戻ってからは、穏やかな心持ちになったことなど一度もないと言うのに。
 それを知っての上で、ユエ・イェンリーはアルバートにリュウのチューター(家庭教師)を命じのだ。無駄だと知りつつアルバートは必死で拒絶するも、一笑されただけで辞令書とコンドミニアムのキーカードを渡された。
「週に二、三度でいい。時間を決めて、部屋へ通ってくれ。一応基礎は学ばせているが、あの男は王になる気はないらしいし、俺相手では学習する気にもならないと言う。君は研究部門では特待生だし、内部の事情も良く把握している。適任だろう。指導方法は任せる」
「僕にリュウ・エリアードの指導だなんて。皮肉ですか?」
「君の怨恨を知らぬ者はいない」
「だったら…」
「フランシス・ユージィンはリュウになみなみならぬ執着があった。…おまえは何故フランシスがあれを愛したのか、知りたくはないのか?」
「それは…」
「リュウに聞けばいい。長年くすぶり続けた疑問に答えを出すのも悪くない話だろう」
「僕は…彼を殺すかもしれません。それでもいいと?」
「おまえはフランシスが信じていた数少ない男だ。…おまえの審判に任せるよ」
「…」
 「任せる」…と、言うユエ・イェンリーの本心はどこにある?
 アルバートはリュウへの未練など微塵も見せないユエ・イェンリーの表情に何が隠されているのか理解できなかった。
 いくつもの選択の中でどれを選ぶべきなのか…今すぐにでもリュウを殺したいと願うアルバートでさえ、それを選ぶことを迷うのだ。


 アルバートがリュウ・エリアードを一端の実業家として指導するように勤め始めて10日ほど経つ。
 リュウはアルバートの想像と反して、頭脳明晰だった。
 社会情勢などはアルバートよりも遥かに理解しており、この管理体制がそう長く続くはずもなく、また民衆の暴発するエネルギーを抑える手立ては無いと、綿密な情報と状況を見据えて結論を出した。
 ティラニスが生き残る為に必要なのは、民衆の求めるイデオロギーをよりわかりやすく説明し、開かれた政治体制を作ること。観念的な自由を彼らに与え、餓えない程度に満たすことが重要。それを管理するのがS・C・Oかティラニスかは、民衆が選ぶ話だと言う。
 アルバートとても考えない理論ではなかったが…民衆に権利を渡すことを、権威者は好まない。

「好き嫌いの問題じゃない。やるかやらないかだろう。俺はこの四年間、外で生きて民衆の生活がどんなものなのか見てきたつもりだ。生きている人間に必要なのは、権力じゃなく、明日の飯だ。飯を与えてくれる方に寄り添うのは当たり前だ。何を誰を味方につけるべきか…頭の良いおまえ等で考えろ」
「…」
「なんだ?その気持ち悪いものでも見るような顔は。抱き人形の俺が、セックス以外のことを喋るのが、そんなに気色悪いのか?」
「…い、いや…確かに君は、先王の養子だし、ユエ・イェンリーの後継者だからそれぐらいは当然だろうが…正直驚いたよ」
「昔は、セックスしながらでもあいつは俺に帝王学とやらを教え込んだからな。覚えなきゃ痛い目に合わせられるから、子供だった俺は必死に宿題をやるのさ」
「それで、本気でユエ・イェンリーの後を継ぐ気なのか?」
「いや…俺がユエの後継者になることは、ユエ自身の首を絞めることになるだろう」
「…」
 (そこまで知っているのか…)
 アルバートはリュウの推測に驚いた。

 確かに表面には先王の養子であり、リョウ・アヤセの遺児であるリュウが、ユエの後を継ぐのは一見理想的に思われる。
 ユエが王の座に就く際、彼に異を唱えるものが水面下で広がっていたのも事実だ。
 それはどこの馬の骨かも知らぬ孤児であり、先王の男娼であった男が、上に立つことを不快に思う先王の直属の部下達だった。
 彼等は血脈を重んじる人格であり、「ティラニス」の繁栄を導いた「リョウ・アヤセ」の崇拝者でもあった。その第一人者がジャック・エリアードだった。
 ジャックにとって、「リョウ・アヤセ」は神のごとく信仰するに値する少年であった。
 そのリョウの実の息子であるリュウをジャックは寵愛し、自分の後継者にと望んでいた。
 ジャックが死に、その直後にリュウが「ティラニス」を出奔したのは、ユエ・イェンリーが自身の恋人であったフランシス・ユージィンと企んだ所業だと、多くの者が噂し、信じていた。

 リュウ・エリアードのシンパサイザーが台頭することは、ユエ・イェンリーにとって脅威となる。
 
 アルバートは物憂げに椅子にもたれるリュウの姿に囚われた。
 これだけ雄弁に語っていながら、リュウの身体からは妖艶さが漂い、その色香に惑わされぬように、必死に勤めなければならないのだ。
 この男が四年間、どこでどのような生活をしていたのかは知る由もないが、さぞやユエ・イェンリーは口惜しかろうと、哀れな感情が去来した。
「リュウ…聞きたいことがある。フランシス・ユージィンのことだ。僕は彼の舎弟であり、愛人だったんだ」
「ユエに聞いた。フランシスの口からおまえの名前を聞いたことが無かったから、俺は…知らなかったんだ」
「フランが君と出会った頃は、僕はテュラニスの研究機関(シンクタンク)に居た。だから君には会っていない。…フランとは、ずっと離れ離れだったんだ。最後に会ったのは、フランが死んだ時だった…」
「俺を、憎んでいるのだろう…フランシス・ユージィンを死に追いやった俺を。だが真実を知ったら、おまえは後悔する」
「そうかも知れない…」
 リュウの言葉は虚ろ気に彷徨うものでもなく、からかうような虚偽の妄想でもなかった。だからこそ、リュウの話す内容が恐ろしくも、決してこの気を逃すべきでないと、アルバートに決意させていた。

「それでも知りたい…あの頃の僕にとってフランシスはすべてだった。彼に拾われ、僕を本物の弟のように慈しみ可愛がって…愛してくれたんだ」
「俺は真実しか話さない」
「すべて話してくれ」
「…フランシス・ユージィンは俺を愛していると何度も繰り返した。勝手にここから俺を連れ出して、あの穏やかな顔で俺を滅茶苦茶に強姦し、一方的な愛情で縛りつけ…誰にも触れさせないと、俺を監禁し続けたんだ」
「…嘘だ」
「…本当だ…」

 フランシス・ユージィンのことを思い出すのは、リュウにとって苦痛でしかなかった。
 彼と出会った時、リュウは15歳だった。
 神経衰弱で拒食症になり、また毎晩のように続く男相手のセックスで不感症になりかかっていた。
 リュウを誰に売るのかは、王の命で決まる。
 リュウを貰い受けたとは言え、ユエ・イェンリーにリュウの相手を決める権限はなかった。
 客の相手をし終え、死んだようにベッドに沈むリュウを連れ帰り、身体を洗い寝かしつけるのもユエの仕事だった。だがユエ自身さえ、そのような仕事は当たり前に経験してきたことだった。さしてリュウへの哀れを感じることもなく、懐かないペットを調教しているのだと思っていた。
 だが、ユエが思うよりも、リュウは忍耐強くなかった。
 リュウにはセックスを楽しむ余裕が無かったのだ。
 リュウの精神が壊れ始めた時、ユエはジャックに頼み、リュウに生きる糧を与えることを提案した。
 ジャックはそれを許し、ユエはフランシス・ユージィンにリュウを指導するように頼んだ。

 フランシス・ユージィンは一流の狙撃手(スナイパー)であり、ティラニスの殺し屋(アサシン)だった。その上、ユエとフランシスは孤児だった頃から親密な関係にあり、揺るがぬ愛情と信頼に満ちた恋人同士だった。
 フランシスはユエの指導力を疑っていなかったし、ユエがティラニスを導く権力者になるのなら、自分がユエの背後は守りぬく役目だと、決めていた。
 だから、ユエ・イェンリーが王の養子であるリュウ・エリアードを与えられたと知ると、嫉妬よりもユエの将来の明るい道筋に喜んだ。
 そのユエ・イェンリーがリュウを自分の元へ連れて来た時、フランシス・ユージィンは妙な胸のざわめきを感じていた。

 精神が病み、弱り果てたリュウは、敏感で扱いにくい子供だった。
 信頼に値する奴など誰もいないと心を閉ざし、泣く事も耐えていた。
 フランシスは自分が危険な人物ではないと教え込むのに数ヶ月をも要した。
 リュウの精神的な病が急激に良好に向かいだしたのは、誰の力でもなかった。
 人を殺す為に在る銃がリュウを正気に戻していった。
 リュウにとって銃を扱うことは、子供がプラモデルに夢中になる事と同じで、分解し、仕組みを知り尽くして、また組み立てる事を一日中繰り返した。
 どの銃がどれだけの殺傷力を持っているのか、どう扱えば効果的に狙えるのか、銃に関しての知識と技術のすべてをフランシスから学んだ。
 一年も経たずに、リュウ・エリアードはただの男娼ではなく、狙撃手(スナイパー)として、テュラニスに必要な兵器に成長していったのだ。
 リュウもまた男娼として生きるより、殺し屋として生きる方が楽だった。
 いたぶられた身体と精神は、銃を撃つことで解放された。的がモノであろうと人であろうと、リュウにはシューティングゲームぐらいにしか思えなかったのだ。

 人の命の重さなど、それまでリュウに教える者はいなかったし、自分の手が血に染まっていることすらリュウにはわからなかった。




furann1.jpg

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あと、一回で終わらせようとしてみたが…相変わらず先をかんがえないで書いているので、あと二回は確実にある。
と、いうかもう二十年前だから、恥ずかしい~とか言えない。
原文殆ど無視して、今の自分の思考で書いてます。
性格も書きたい方向性も完全に変わってしまった。
エロシーンなどどうでも良くなった。
リュウとユエの愛の行方を徹底的に追及する。
あと、二回で…たぶん、…終わり…たい(;´▽`A``

明日から小旅行でしばらくお休み~で~す。



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流れる星の彼方に…5 - 2012.03.13 Tue

少し説明いたします。
この話は未来の地球を描いたものです。
が、この世界観は私ひとりで創作したものではありません。
この基盤はずう~と昔、創作漫画同人誌を友人たち四人と作っていまして、その中で合作漫画制作に当たり作り上げた世界観です。
学生時代からの漫研のノリのまま、社会人になっても同人誌制作を続けていました。
四人とも絵も漫画もストーリーも書いていたので、四人一緒にひとつのものを創りあげる事に関しては全く心配も違和感もありませんでした。
この四人の始めての作品は「緑焦点の影」と言う題名ですが、世界の様子や、政治体制 S・C・O(ソシアルコントロールオーガニゼーション)などは皆で考え出したものです。
内容は四人がひとりひとりキャラを出し合い、スパイ大作戦みたいなノリで描いていましたね。
大事なことを言い忘れていました。
この合作の漫画はBLじゃないです。
リュウはホモだけど、あとの3人のキャラはマトモですっ!キリッ(私以外の三人はそんなに腐っていなかったので~(;^ω^))

時代はリュウが「ティラニス」から出奔していた4年の間の話です。
S・C・O機関の秘密結社みたいなところから四人に仕事が舞い込んでくるんですな。
それで「ティラニス」(これは私が考えたんだよな)がロクなもんを造りあがったんで、それを壊滅させる為に四人が テュラニスの研究機関へ変装して(S・C・O の研究員になってたわww)忍び込んだ。
リュウ(ここではルーファスと名乗っているんです)は、 行きたくないテュラニスへ乗り込むんですな。…そら怖いわな~でも研究機関だがらまあ、知ってる奴はいねえし…とか能天気におもうわけなんですな。でもそんな楽な話はねえな…
そんで色々あって(はしょる)なんだかんだで無事仕事は終わるんですがね…
いや~、楽しかったです。土、日に泊り込みで描きに行ったり、本を売りに行ったり。
今みたいにでかいコミケはあんまりなかったけど、充実していましたねえ~
青春でした…
まあ、
そんなこたあどうでもいい。

この漫画の後、色々ルーファスの事を考え、この「流れる星の彼方に…」を描いたんです。
中二病的な話だし、古臭いし…どうしようもない内容ですが…
まずこの題名が中二ですな。今回変えようかなあ~と思ったんですけど、実は流れるとリュウをかけていたことを思い出し~そのままにしておきましたわ…
どうでもええがなwww

それではどうぞ、ごゆっくり~


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5、
 フランシス・ユージィンはリュウにとって、この「テュラニス」で唯一安全な居場所だった。
 フランシスはリュウを性的欲望の対象にはしなかったし、彼の接し方は良き指導者の域を決して超えなかった。
 孤児の頃から常に一緒だったフランシスとユエ・イェンリーが義兄弟であり、誰にも入り込むことを許さない確固たる絆で結ばれていることをリュウは知っていた。
 彼らはまた濃密な恋人同士であり、実際彼らが交わるのを目の当たりにもした。
 その時、ふたりの行為を眺めていたリュウは、ユエを抱くフランシスに嫉妬をしている自分自身に驚いたのだ。ユエが自分以外に誰かを求めている事実がいまいましく、リュウはそれまで以上にユエを憎んだ。
 
 フランシス・ユージィンがいつリュウに対して執拗な執着を持ったのか、リュウは全く気がつかなかった。
 ユエの悪趣味に付きあわされ、リュウを挟んで三人でプレイした時も、フランシスは乗り気ではなかった。リュウを犯すようにユエに強要され、フランシスは仕方なしにリュウを抱いたのだ。
 その時でさえ、リュウにはフランシスが自分に執着するほどの情熱があるとは思えなかったのだから。
 フランシスはユエ・イェンリーを愛している。
 だからリュウには絶対傾くことは無い…と、どこかで思い込んでいた。
 だが、性的な感情抜きでもフランシスはリュウに優しかった。
 リュウのすべてを奪い引き裂きながらも支配される心地良さをユエに覚えてしまった心と身体だったが、逆にフランシスはリュウを決して束縛しないし、甘すぎない優しさをくれる人だった。

「人を信じるなとユエは俺に教えた…だけど、俺はフランシスを信じてしまった。フランシスは俺をより良い場所へ導こうとしてくれていた…」
 リュウの言葉にアルバートは同調した。
 彼もまた、フランシスによって拾われ、保護され、慈しまれた者だった。アルバートの将来の為に、人を殺める道ではなく、またアルバートが売り物として扱われないように、彼を研究所(シンクタンク)へ薦めたのもアルバートを思ってのことだった。
 アルバートはフランシスを敬愛していた。彼ほどの高潔な人格はいないと信じていた。
 別な意味で今の主であるユエ・イェンリーもまた、アルバートにとって尊敬する王(キング)だった。
 今でも目に浮かぶ。
 ユエとフランシスがふたり並んで顔を寄せ合い微笑んでいた光景…美しい絵画のようだと、何度も思った。
 そのふたりが逃れられないのが、目の前にいる見目麗しき魔性の者リュウ・エリアードなのは、宿命なのだろうか… 
 アルバートは初めてリュウへの憎しみよりも、宿命の過酷さに項垂れた。
「何故…フランシスは君と一緒に『テュラニス』から出奔したのだろう」
「…」

 17になろうとしていたリュウに、突然ユエ・イェンリーは王(キング)の命を受け、開拓の為、まだ荒れ果てている西方へ行くと別れを告げた。
 しばらくは戻れないというユエの言葉にリュウはうろたえた。
「今後のおまえの世話は、フランシスに頼んでいるから…王の後継者として励めよ、リュウ」と、言い残しユエはリュウを捨てた。
 リュウは震えた。
「何故…俺から離れようとする。俺はおまえじゃなければ…おまえがいなければ息をすることもできない」
 愛ではなかった。
 リュウの心と身体の依存は、ユエ・イェンリーにより仕立てられたものだ。それが無いと生きてはいけないリュウにしたのはユエ・イェンリー自身ではないか。
 ユエ以外に抱かれてもリュウの身体は満足を得られない。
 ユエ・イェンリーでなければ飛翔することができない…

 いくら憎んでもユエは戻らない。リュウの身体を温めてくれない。
 誰かに抱かれながら、ユエを想ってもリュウには空しいばかりだった。
 何度も手紙を出したけれど返事は来ない。王にどれだけ頭を下げ、頼んでも聞き入れては貰えない。
 ジャック・エリアードは、リョウ・アヤセの代わりとしてのリュウを、愛玩する自分だけの所有物として傍らに置き、自由を与えなかった。
 故に…リュウは、ジャックを恨み、そして殺した。
 フランシスはジャックを撃ち殺した現場へいち早く赴き、呆然と立ち尽くすリュウをその場から連れ出し、かくまった。
 「ユエに会わなければ…ユエのいるところへ連れて行ってくれ」と、リュウはフランシスに泣きながら頼んだ。
 その言葉にフランシスは「わかったよ、リュウ。一緒に行こう」と、約束したのだ。
 それなのに…
 
 平穏な逃避行は一週間も続かなかった。
 「ティラニス」の追っ手から隠れるように安ホテルを転々とした。すると、ふたりだけでいる時間が多くなる。
 リュウはただじっとユエ・イェンリーに会えることだけを考えていた。
 或る夜、包まった毛布を剥がされたリュウは、襲い掛かるフランシスから強姦された。レイプなど男娼のリュウにとって珍しくもない。だが、リュウはそれまで信じていたフランシスからの裏切りを許さなかった。
 リュウが嫌がれば嫌がるほど、逆らえば逆らうほど、フランシスは狂い、リュウを犯し続ける。
 それでもリュウは、フランシスがユエ・イェンリーの元へ連れて行ってくれるのではないか、と信じていた。それを頼るしかリュウには無かった。
 凶暴なセックスが終わった後、フランシスはリュウに優しくなる。それを見計らって、リュウは尋ねた。
「いつになったらユエに会えるの?」と。
 フランシスは言った。
「ユエには会わせない。君は俺のものだよ、リュウ。誰にも渡さない」と。
 リュウは激怒した。
「何故?約束してくれたじゃないかっ!ユエのところに連れて行ってくれるって、そう、おまえは俺に言ったはずだっ!」
「君がユエに会っても、ユエ・イェンリーは君を幸せにはしてはくれない。あれは君よりも『ティラニス』と、言う組織を取る男だ。俺は君を大事にする。俺が君を守る。リュウ…愛しているよ」
 
 (バカな…)と、リュウは目の前の男を嘲笑った。
 (俺を愛しているだと?この男はなんて頭の悪い奴だろう。俺が欲しいのは「愛」ではなくユエとのセックスだ。ユエ以外の男に価値が無いことを、こいつはわかっていない)

「愛している。リュウ、愛しているよ」と、繰り返すフランシスを、リュウは憎み、罵った。
 結局は力ずくで犯す下らぬ男なのだと、リュウは悟った。
 フランシスを殺して逃げることも考えたが、殺し屋としてのフランシスに隙などない。その上、フランシスはリュウを監禁し、自分が出かける時はリュウを紐で拘束した。
 (この男のやることはユエ・イェンリーの二番煎じだ)と、リュウは苦々しく唾を吐いた。
 
 一方的なフランシスの愛欲に塗れた日々は、ひと月続いた。
 リュウはフランシスに犯されながら、ユエ・イェンリーが自分を助けにくるのではないかと妄想し、何度も部屋の戸を眺めた。
 (ジャック・エリアードが死んで、俺達が消えてひと月も経っているんだ。あいつらが動かないはずはない。絶対にユエは俺を助けに来る)
 そう信じたかった。
 
  いつものようにフランシスの凶暴な行為の後、リュウは圧し掛かったままのフランシスに切り出した。
「フラン…いつまでこうしている気だ。このまま組織から逃げおおせるわけでもない。…一度『ティラニス』へ一緒に戻ろう」
「無理だよ、リュウ。今、帰ったら僕らは殺される。君は王(キング)を殺したんだからね」
「どんな罰を受けても構わない。俺は…ユエに会いたい」
「…ユエは君を許さないよ」
「それでもいいんだ。ユエの奴隷でもなんでもいい。傍にいられるなら…」
「それほどまでに、君は…ユエを愛しているんだね」
「違う…何度も言ったろ?俺はユエに依存しなければ生きていけない様にされたんだ…だから…」
 フランシスは、その胸に抱いたリュウに見惚れながら、その頬を優しく撫でた。
「ユエが君から離れたわけを知ってる?」
「…知るもんか」
「ユエは…僕が君を愛してしまったことを知って、君を僕に譲ったんだよ」
「…え?」
「ユエは何も言わないよ。だけど言わなくてもわかる。…ユエ・イェンリーはそういう男だから。だからこれからは俺が君を愛し続けるよ、リュウ。約束する」
 (バカな…)
 またもや怒りしかない。
 (こいつらは俺に感情があるのを知らないのか?おまえらの勝手で好きにされる俺が、どれだけの憎しみを持って生きているのか…こいつらは…)
 (おまえらだって好き勝手な感情で動いているくせに。どうして俺にだけこれほどの苦痛を与える。その権利がある…おまえら、みんな…)
 (死ねばいい)

「フランシス…俺を殺してくれ」
「…リュウ」
「そうでなければ、今すぐに俺の前から消えてくれ。…おまえなんかちっとも好きじゃない。おまえのセックスなんか少しも気持ち良くない。俺はおまえの愛なんかいらないんだよ」
「…」
「フランシス・ユージィン、今すぐにここから立ち去れっ!…おまえなんか、消えて無くなればいい。死んでしまえっ。…死ねよ、フラン。…二度と、俺に触れるな」
 
 フランシス・ユージィンは呆然とリュウを見つめた。
 激昂するリュウの姿に見惚れていた。
 そして、リュウの言葉になにひとつ返さず、ベッドから降り、身支度を整え、部屋から出て行った。
 フランシスが消えるのを確認した後、リュウもまたそのホテルから逃げ出したのだ。



hosi3.jpg


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いよいよ後一回…と、言うわけにはいかず、終わりが見えない…(;´▽`A``あと二回で終わると思うんだが~
ユエ・イェンリーは許してくれるんかいな~



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