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2009-10

宿禰凛一 「Swingby」 2 - 2009.10.23 Fri

2.
 ミナが寮に戻ったら、ふたりで初詣をしようと約束して電話を切る。
 慧一はいつの間にか、浴室から戻っていて、冷蔵庫から出したミネラルウォーターを飲んでいる。

「例の…恋人?」
「そうだよ。水川青弥って言うの」
 慧の声の響きが優しかったので、安心して答えた。
「付き合うようになったんだね」
「うん、まあ…色々とハードルは高そうだけど」
 バスローブのままでカウチに座り込んだ慧に近づき、手を伸ばすと、慧は飲んでいたミネラルウォーターのボトルを差し出した。
「なんの?」
「向こうは優等生のノンケで、何もかもが全くの初心者なんだよ。だから気を使うことしきり…」
「それをわかって付き合うって決めたんだろ?」
「ミナは…水川の事をそう呼んでいるんだけど…他の奴とは違うんだよ。あいつはなにも知らないイノセントだから、間違った道に進ませちゃいけないっていうか…そういう責任を感じてる。これから先…先なんて何もわかんないけどさ、ミナと付き合っていくと決めた以上、あいつを幸せにしたいって思っているんだ。付き合ったばかりでセックスもしていないのに、こんな風に考えるのは、俺の思い上がりかね?」
「…いいんじゃないか、それくらいの気負いがあっても。向こうも凛のことを、好きなのだろう?」
「好きじゃなきゃ付き合わないだろうけど…色々と躊躇うものがあるみたいだね、俺と違ってさ。どっちにしても俺はミナとセックスするとは思うけれどね」
 空になったボトルをテーブルに置くと、慧の膝に跨って抱きつき、首に腕を絡ませた。

「…凛、重い」
 顔を見なくてもわかるぐらいウザそうに言う。
「うん、わかってる。それよりベッドはひとつだし、やることもひとつだよね」
「…」
「セックスでもする?」
  慧の顔に近づいて、囁くように言ってみた。
「おまえは…去年のクリスマスにも同じようなことを言ってたな。なにかのまじないか?」
「だって、このシチュエーションで何もないっていうのも変じゃないか?」
「それこそ、おまえの大事な水川くんに悪いとは思わないのか?冗談にしても」
「だって、俺は慧の事好きなんだもん。慧とならいつだってセックスしていいと思ってる」
「兄弟でセックスはしないものだ。一般的な当然のモラルとして…」
「愛情にモラルは関係ない。そしてセックスは素晴らしきコミュニケーションだって言ってた」
「誰が?」
「嶌谷(とうや)さん」
「呆れた…なんて事を教える人だ」
 慧は肩を落として頭を抱えた。別に嶌谷さんを悪者にするつもりはなかったんだけど…印象を悪くしてしまったかな?
「嶌谷さんが言わなくても、俺は慧が兄弟であってもなくてもセックスしたいって思うし、梓が生きてりゃ、梓ともしていたね」
「凛っ!」
 慧は本気で俺を嗜めた。
 まあ、当たり前だろうが、俺はそういう道徳心は生まれつきと言おうか、事の他少ない。
「わかってるよ。兄貴が望まない事を俺は無理に頼んだりしない。慧だって選ぶ権利はあるからね。でもまあ、セックスはしなくても、抱き合って寝るぐらいはいいんじゃない?折角立派なベッドがあるんだからさ」
「もう…わかったから…先に寝なさい。クリスマスもお開きだろう。サンタクロースも閉店だよ。待っててもプレゼントは来ない」
「もう十分…プレゼントは貰っているよ。今宵慧がいりゃ何もいらない」
 お休みのキスを催促し、与えてもらった後、俺はひとりででけぇベッドに潜り込んだ。
 夜の向こうに目をやる慧の横顔を眺めながら、独りじゃないことに満足している俺は、ゆっくりと眠りにつくのだ。





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宿禰慧一のお話はこちら「イリュミナシオン」 
宿禰凛一の過去話「追想」の初めはこちら  



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