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topimage

2010-08

リンミナデート - 2010.08.30 Mon

トップ秋用を二バージョン描いた。

一日中、空を見ててもふたりなら飽きない…なわけないwww

朝から~
昼

夜まで~
夜

橋を描くのが疲れたかな~
朝からずっとこれにかかってて疲れた~

夜空の写真はさとうさんから頂いたものを使わせてもらったなう~(⌒∇⌒)
ありがと~


もうちょっとアングルを変えるかもな~

すんません~(;´▽`A`` - 2010.08.30 Mon

只今お絵かきモードなので、

テキストの更新は2,3日待ってくださいね~



凛たん裸


凛の裸でも見て…(;´▽`A``

次は凛編に行くと思います~

永遠の命の言葉は汝にあり - 2010.08.29 Sun

やっとなんとかできましたよ~(;´Д`)

アダムの創造3

横幅が長いと見にくいね…

宿禰慧一編 「ペンテコステ」 9 - 2010.08.27 Fri

アダムの創造2

9、
 ペンションで過ごすのは三日間の予定だったから、好奇心旺盛の凛一は初めての那須をあちこちと観光したがるかと思ったが、食事以外はコテージを出ようとしなかった。
 主な時間を二階のベッドの上で過ごしている。
 朝と晩は食事が付くからいいが、「昼飯はどうする?どこか景色のいいところにでも行こうか?」と、誘っても、「別に昼抜きでもいい。俺、慧とくっついていたいもん」と、腰を掴んで離さない。
 仕方がないから、始終ベッドでじゃれあっては相手をその気にさせ、エキスが空っぽになるまで貪り続ける。
 全く持って欲に忠実な獣そのもの。
 しかも、飽きるどころではない。
 凛の身体と繋がるたびに、自分が求めていた精神と身体のバランスの域に近づいていくような気がしてならない。
 凛は俺を楽園へ誘おうとしているのだろうか。

 そうかと思えば、気が付くと、ベッドの中で参考書と鉛筆を手にぶつぶつと唸っている。
 受験生なのだし、最もな姿だと褒めたいところだが、恰好は真裸のままだ。
 注意しても「またすぐ脱ぐんだからいい」と、バスローブを軽く羽織るだけ。
「まさか、ここにまで参考書を持ってくるとは思わなかったよ。一応受験生だってことは、裸になろうと理解しているらしいね」
「まあね、T大を狙っているわけだからな。これでも成績上がってるんだぜ?」
「ああ、紫乃からメールを貰った。今のままならT大合格も充分可能だって言われた。期末の模試はかなり良かったんだろ?」
「うん。学年トップのミナには到底及ばないけれどさ。俺が成績いいとミナが喜ぶんだよね~。あいつは本気で俺と一緒にT大に行こうと思っているらしくてさ…俺は行かないって決めてるけど」
「…」
「大学が違えば、ミナとは疎遠になる…留学となりゃもっとだろ?…少しずつ自然消滅すりゃ、ミナの傷も少なくて済むかも知れないし…」
「凛…行きたい大学を好きに選んでいいんだよ。おまえが水川くんと一緒にT大に行きたいのなら、俺は止めたりしない。俺が恐ろしいのはおまえの未来を狭めたり、歪めることなんだ。俺のことは考えずに、自分のやりたい道を進んで欲しい」
「慧を選んだのは俺の意思だよ。慧がミナに対して後ろめたい気持ちを持つのはわかるけど、俺が慧と一緒に生きるって決めたんだ。建築家になって慧と一緒に働いて、暮らしたい。その為の学部も選考したいし、アメリカの大学って言っても、慧の仕事の関係もあるだろうから、離れて過ごさなきゃならなくなるかもしれない。すべてが上手くいくかどうかわからない。でも、未来の目標はちゃんと見えてるよ。慧の為だけじゃないよ。俺自身がそう決めたんだから。だから慧も自分を責めたりしないでくれ。同情や気遣いは俺に対してもミナにも余計なおせっかいになる」
「…わかったよ。おまえの良き未来に俺が役に立つのなら、何でも言ってくれ。おまえは俺に最上の幸福をくれたのだから、俺はなんでも与えてあげたい」
「じゃあ、沢山抱いてくれる?明後日には慧はニューヨークに行っちゃうんだから、慧の温もりを少しでも長く感じてたいもん」
「それは与えたことにはならないよ、凛。俺の方がより欲しがっているんだから」
 参考書をサイドテーブルに投げ、俺に身を寄せた凛は、俺の胸に手を置き、祈るポーズを取った。
「…慧が他所の男へ目移りしませんように。俺に呆れ果てて逃げたりしませんように…」
 わざと聞こえるように呟く凛一の腰を引き寄せる。
 擦れた吐息に欲が狂い始める。
 何度だって飽きない。
 凛とのセックスに一回だって同じ快感なんてありえない。
 誰にもどこへも行かせたくないな。
 手足を絡めて一生解けなくしてしまいたい。
 結びついたまま枯れ木になって海に流されたら、彼の地に辿り着けるのかな…
 いや、彼岸に母と梓がいたら呆れ果てることは必定。
 まだ心中はできない。
「なにが可笑しいのさ、慧」
 腕を巻きつけたまま、背中を撫でる凛はきつい顔で睨む。
 そろそろ限界かもしれないと、腰を深く入れた。
 華が散るようにシーツに項垂れる凛の神々しさ。
 与えられた愛に酩酊する喜びの姿がある。


 終わった後は、すぐに寝付いてしまう凛一だったが、気が向くと肌をくっつけ合ったまま、喋り続ける。
「言葉は精神であり、セックスは身体の求める泉である」
 と、大仰に言う凛は、俺の胸に腕を組んで綺麗な顔を乗せた。
「法要の時、お坊さんが説法をしたじゃん」
「ああ、人が苦と感じるのは、欲がある為である。何かを欲したりすることが自己愛であり、迷いもまた苦の種でもある…って言ってたな」
「人と比べたり、何かに対して怒ったりする感情を抑えることが悟りの一歩でもあるって言うけどさ、そんな感情を切り捨てて、欲望や煩悩を感じないで、それが生きていると言えるだろうか。迷ったり怒ったりするのは愚かなことだろうかねえ…俺、天上の上からわかったふりで下界を見下ろすより、地上に足をつけて、なにか面白いもんないかな~って、探しながら生きる方が豊かだと思うけれど…」
「悟りは遠くなるかもな…でも、俺もそちらがいいな。凛の歩く背中を追っている方が苦があるとしても、同じほどの楽もある。何もないより、どれだけマシかわからないさ」
「俺の後を追うの?せめて横並びに歩こうよ」
「そうだな。その方が手を握れるしね」
 伸ばした凛の手を取って絡めた指先にキスを落す。それを見つめた凛は
「…もし俺が死んでしまったら、残された慧が可哀相すぎるな」と、呟く。
「…」
「それとも、俺に囚われないで生きられて、楽になるかもしれない」
「凛、やめてくれ。盂蘭盆(うらぼん)は終わったんだから、母さん達の魂に惹かれないでおくれよ」
「わかってるって。俺は母さんや梓の分まで幸せになるって約束したんだから大丈夫だよ」

 凛一…おまえが死んだら…多分、俺は生きてはいられないだろう…
 誰がなんと言って俺を慰めようと、それが罪だろうと、おまえの後を追うだろう…
 光を失っては影の存在など、ないのだから。

 
 楽園を後にする空しさといったら…言葉にもならない。
 空港で凛一と別れた後は、すべての景色がモノクロになった。
 だから何度も繰り返し思い出し、俺のすべてを凛一で一杯にした。 
 見事に美しい天然色のそれは、歩く道を願いの道として輝き、俺を導いて行く。


 


指の先は…


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宿禰慧一のお話はこちら「イリュミナシオン」 
リンミナシリーズはこちらからどうぞ。目次へ


ミナたんの逆襲 - 2010.08.25 Wed

「こんにちは。
まだまだ暑い日が続いてますね。
僕はこの「Greenhouse」の主人公の水川青弥です。

ミナたん1

近頃はあの兄弟がいちゃついてて、おれとしては非常にむかついたりしてます。
こうやって楽屋で待っている間も、あいつらがやっているのかと想像するだけで…(-_-メ;)・・・
いやいや、私情剥き出しではいい演技はできませんもんね。常に冷静なミナでいるべきです。
きっとリンはおれの元に帰ってくると信じているので心配してません…(; ・`д・´)

そういうわけで、僕の活躍ももう少しなので、ミナファンの方、もうちょっと待っていてください。
あの兄貴には絶対負けません。

では、皆さん、体調に気をつけて。
僕も受験戦争にも恋の戦いにも勝利目指して頑張ります。

        水川青弥」





…どうでもいいが、ミナも暑さでいかれとるwww

ミナイラストリハビリの為、色々描いてみる~

宿禰慧一編 「ペンテコステ」 8 - 2010.08.24 Tue

慧たん1



8、
 翌日、和倉まで家族旅行を気取っては見たものの、凛一も俺もふたりきりになりたくて仕方がないものだから、どうやって疑われる事無く両親から逃れられるか、練っていたところ、ちょうど社宅の隣りの飯田さんから那須高原のペンションの予約があるが、自分達が行けないからお譲りするという申し出があり、喜んで承諾した。
 そそくさと親元から一旦離れ、鎌倉のマンションへ一時帰宅した。

「親父達と一緒じゃなきゃわざわざ那須まで行かなくても、別に鎌倉でも良くないか?」
 と、連日の疲れからか凛一の腰は重くなる。
「ここに居たんじゃ気が変わった両親がいつここへ帰ってくるかが気がかりで、セックスに没頭できやしない」
 俺は凛の尻を叩いて、一刻も早くマンションから出ようと促す。
「焦ってる慧の姿を拝めるのは滅多にないのに、その理由が俺とのセックスじゃあ、確かに母さんも梓も浮かばれないね」
 などと、皮肉を言う凛の腕を掴み、タクシーに飛び乗った。

「恋人のいるおまえと違って俺は綺麗なもんでね。独り者のひもじい思いをしているんだよ。少しぐらい同情されてもいいだろう」
「…なんだか、化けの皮が剥がれた狼って感じ。スリルだね。そういう慧も好みっちゃあ好みだけど…こっちの身体が持つか心配になるよ。お手柔らかに…」
 運転手に聞こえないように俺の耳元で囁く凛の声は甘い。
 上目遣いの媚態も計算してのことなのかは知らないが、こちらが負けるのはわけない。

 凛の誘いに乗って新幹線の洗面所で、誰も居ないのを確かめてキスを楽しんだ。
 正直スリルが過ぎて俺の性分には合わないと閉口するが、凛は構わない。
「何を恐れているの?親戚の連中も友人もいないし、誰も俺たちのことなんか知ったことじゃないのに。慧は人目を気にしすぎだ」
 罪の炎など畏れる気色は初めから持たない凛一の黒曜石の瞳が強く影を放つ。
 紅く濡れる口唇を味わうと、さっき飲んだ甘いソーダの味がした。

 那須塩原駅から車を借りて、目的のペンションまでドライブを始める。
 すると、凛はさっきまでの欲情の色はさっぱり消えて、目の前の自然のパノラマに感動の声を上げる。
 今に始まったことじゃないが、こいつはなんでこうもコロコロと移り気が激しいのだと呆れる。
「さっきまでとエライ違いだな」
「え?何が?」
「新幹線の中では今にもやりたそうに迫っていたクセに、もうすっかり忘却の彼方か?」
「別に忘れているわけじゃないさ。目の前に立ちはだかる自然の前じゃ、俺の性欲なんざちっぽけなもんで、まさにしっかりエコされた気分」
「おい、エコの使い道が違うだろう。…確かに心洗われる光景だがね」
 右手に見える那須連山を眺めつつ、車の往来も建物も少ない土地に来るとほっとする自分がいるのは確かだった。
「自然に感動するという意識は住んでいる人にとっては当たり前の風景だから、おまえみたいに情感は少ないだろう。それこそ常に浄化されているのだろうか。私欲が自然に淘汰されるなら、少しは罪も軽くなるだろうか」
「…なに?慧は俺と寝たことを後悔しているのか?」
「そうじゃないよ」
「じゃあ、罪だとかネガティブなことを言うなよ。俺は慧と繋がったことが倫理的に、思想的に禁忌だと言われようと、ちっとも罪だとは思わないね。生物学的に見ても何がファクターかどうかは後付に過ぎないし、そんなもんは個々で違うもんだろ。俺は慧と愛し合うのは生きてきた過程での当然の成り行きだと思うし、幸運だと思う。罪なんか感じない。もし慧が俺と寝ることで罪の意識を持つというのなら、俺が全部担ってやるよ。俺は重さなんて感じない性質(たち)だから、貰った罪は燃やして灰にしてやるから」
「ソロモンの大公爵みたいなことをい言う奴だな。大丈夫だよ。俺ももう乗り越えたよ。随分悩んだのは事実だし、おまえを抱いてしまうことを畏れていたよ。だけど、凛とこうなったからって俺の中で畏れていた後悔や自責なんてもんは、一度も沸いてこないんだ。あれだけ拘っていたのにと自分でも不思議なんだがね。
俺が言う罪というのは…凛が俺を、俺が凛を選んだことで、過去や未来の巡り来る回りの色んなものを犠牲にしてしまわないかと…それが心配になんだよ」
「それって…ミナのことも含まれる?」
「…それもある」
「ミナのことは嶌谷さんに相談したよ。嶌谷さんは恋する気持ちに罪はないと言ってくれた。その想いが純粋であれば尚の事、別れても大切な思い出になるだろうとも言うんだ。俺への優しさなんだろうけれど、ミナを傷つけることに変わりはない。
…ミナを誘ったのは俺だ。その俺から別れを言い渡すんだからね。それこそ、計略を謀って向こうから言わせる手立ても考えないこともない。だけど、ミナの純粋な想いには小賢しい謀り事はやめたよ。
卑怯すぎると物事は歪んでしまう。俺がミナを愛している事実は変えられないんだし。
 ミナとの恋愛を綺麗に終わらせる為にはどうしたらいいのか…どう考えても無理なんだ。ミナと別れる場面が俺には思いつかない。この恋は本物なんだ。だから俺とミナの中では、もう綺麗な思い出になるはずもない。
…慧に聞かせる話じゃないけどね…ああ、慧、ここだよ。目的地だ」
「…」
 複雑な気持ちで駐車場に車を止めた。

 本館のフロントでチェックインをしながらも、凛の言葉が頭を支配した。
「この恋は本物なんだ」か…
 相変わらず歯に衣着せぬ物言いだが、多分その想いは本音なのだろう…俺だからこそ敢えて言葉にしたのかもしれない。
 本館から100メートルほどの上り坂を歩いたところに別館が立ち並んでいた。
 南仏風の洋館仕立てのメゾネットは、天井も高く、天窓の明りが部屋に満ち溢れていた。
 案内人から簡単な説明を聞き、鍵を受け取り見送って鍵を閉めた。
 リビングに戻ってみても、凛一の姿が見えない。
「凛!どこにいるんだ?」
「上だよ。ベッドが3つもある。慧、冷蔵庫から水持ってきて。喉が渇いちゃった」
 ミネラルウォーターを手に、二階に上がれば、ベッドの毛布に下半身だけ入り込んだ凛が横になっていた。
 もうひとつのベッドに脱いだ服が綺麗に重なっている。

「なんだよ、もう裸になりやがって。性欲は自然に淘汰されたんじゃなかったのか?」
 呆れながら、ペットボトルを渡す。
「ベッドを見たらここへ来た目的を思い出した。自然はまた欲を満たすものでもある。そこに山があるから人は登るんだろ?早く俺は満たされたいからね。ね、やろうよ、慧」
「夕食の時間まで二時間しかないよ。大丈夫なのか?」
「二時間もありゃ充分楽しめるじゃん」
「した後の名残りが凛の顔に映るから、心配だな」
「じゃあ、慧にも付けてやるよ、キスマーク」
 言うが早いか、凛は俺の首に腕を回し、襟際の最も見える場所に、真っ赤な痕を残した。
 その仕返しにとその後、何倍もの烙印を凛の身体に与えてやった。

 2時間後の食事予定を大幅に変更せざる負えなくなったのは、俺だけの所為じゃない。




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こいつらロクでもねえことしかやっておらんの(;´∀`)







凛一は何をやってる!

宿禰凛一編 「HAPPY」 14 - 2010.08.20 Fri

凛22


14、
 その夜嶌谷さん宅に泊まった。
 嶌谷さんは俺にとことん甘い。誰よりも俺に居心地のいい場所を提供してくれる。
 グラスを傾けながら、俺の話を美味い酒の肴代わりだとばかりに楽しそうに聞いてくれる。
 相談をすれば客観的視点での的確な指摘や、それでいて俺の心に寄り添う暖かな救いのある道を指し示してくれる。
 慧一とは違った意味で、頼れる指導者だ。

 やわらかいソファにふたり並んで座るのは毎度のことだ。
 嶌谷さんの肩に凭れて俺が甘えるのもデフォ。こうするのを案外嶌谷さんも喜んでいる。
 先日からの行事を嶌谷さんに促されるままに一通り話し続けていた。
 ウイスキーを嗜む嶌谷さんの横で、お酒を飲めない俺は軽いカクテルでマグロのカルパッチョや生ハムをつまんでいる。
「凛ひとりで法事の用意を整えたのか?そりゃご苦労だったなあ。でもお母さんもお姉さんも嬉しかっただろうよ。何より凛の事が一番の心残りだったろうからね…それで、那須のペンションはどうだった?慧一くんと楽しんだのか?」
「…嶌谷さんは俺と慧のことになると声が弾むよね。俺たちがどんなプレイをしたのか聞きたいの?」
「え?…いや、そんなことは…まあそうかもな。何と言っても綺麗に整った男が睦みあう姿は見ていて楽しいだろ?」
「…ヘンタイ…やだね~45も過ぎると恥じらいがなくなって猥雑になる」
「無心になると言えよ。それに慧一くんの苦悩を知っているから、凛を得た彼がどんなに嬉しかろうと考えると、こっちまで顔が綻んでくるんだよ」
「なんだよ、それ。今まで俺が気づかなかったのがアホってゆっている気がするじゃん。それに俺にじゃなくて、慧一寄りってとこも気に入らない。嶌谷さんはいつから慧一贔屓になったんだよ」
「凛の幸せを考えりゃ慧一くんが凛の騎士(ナイト)になってくれるのが、一番安心なんだよ。凛一は気が多いからね。いいじゃないか。収まるところへ収まったんだから。そりゃ色々隠さなきゃならないことも多いし、腕を組んで公然とはいかないが…」
「嶌谷さん、俺ね、慧一と兄弟っていうリスクや世間のタブーはあるかも知れないけど、俺は宿禰慧一という人間を心から愛しているから、こうなったことを後悔なんかしてない。愛する人と結ばれただけでも幸運だと思っているよ。これから先どうなろうと、俺と慧は離れないって誓いあったんだからね…でもなんだかね…法事で色んな親戚や関わった人達を見て改めて思ったよ。俺達兄弟が愛し合っているというタブーに関して世間的に言えば、この人たちに迷惑をかけないように、色んなものを欺いて、一般的な普通の兄弟としてカムフラージュして暮らしていかなきゃならないんだろうなあって…だって、ふたりきりで生きてゆくわけじゃないもの」
「凛がそれだけ考えていりゃ、大丈夫だ。後は慧一くんの建築家としてのスタンスを確固たるものにすりゃ、あまり問題にならない。宗二朗を見てみろ。家族持ちのクセに男も女も見境なく遊んで、気に入った若い子と仲良く高級ホテルの入ったところをゴシップ誌にスクープされたんだが、反省するどころか、逆に盗撮の軽犯罪行為として訴訟を起こしている。モラルのないあいつの方こそ訴えられるんじゃないかとこちらはハラハラしてしまうがね。別に仕事上ではなんの問題もないらしい。敏腕な弁護士も付いているからな。奥方も心配しているって聞いたが…なんというか…あの人も肝が据わっている」
「その奥さんは宗二朗さんを愛しているのかな?」
「さあ…綺麗で聡明な人だよ。昔の公家の出だっていうから、そういうことに関しては寛容なのかもな…所詮女の気持ちは男にはわからんよ」
「…嶌谷さんも苦労の多い人生だね。もっと楽な人を愛せば良かったのに」
「引き寄せる魂がそうであるなら、逆らえんのさ。宗二朗が…凛が誰のものであっても、俺は跪いて哀れを請うだけさ」
「嶌谷さんの親愛に報える為に…俺、頑張るから」

 翌日、帰り際に体育祭のことを話した。
 前学長から剣舞を習うと言ったら、嶌谷さんは驚いていた。
「そうか…鳴海さん…だったよな。久しぶりに思い出した」
「会ったことあるの?」
「いや、会ったことはないが、ちょっとね。そうか、変な縁があるものだな。おまえが聖ヨハネに入学する時に慧一くんから聞かされて不思議に思ったもんだが…今年の体育祭も楽しみにしているよ。慧一くんが来られないなら尚更だ。みんなを引き連れて行くからな」


 帰る途中、世田谷のミナの実家に寄ってみた。
 突然の思いつきで来た為、案の定、あんぐり口を開けたミナが頬を赤らめて迎えてくれた。
 二階のミナの部屋でうな重を奢ってもらった。
 ミナの部屋は思い描いてたとおりの質素な色で統一され、目障りなインテリアなどはない。ロハス主義ではないだろうが、ミナのセンスの良さが感じられる空間だ。
 それを褒めるとミナは「え?そんなの思ってもみなかった」と、目をパチクリとさせた。
 昼飯を頂いたお礼をと、キッチンに立つミナのお母さんにひとりで声を掛けた。
 すると、彼女は息子がどんな高校生活を送っているのかを聞きたがった。
「あの子はあまり学校のことを話さないから、上手く皆さんと生活しているのかわからないんですよ」
 離れて暮らす子供を心配するのは親としては最もだろう。
 簡単に差し障り無く話してやり、安心させた。
「そうですか。中学の頃よりなんだか明るくなったような気がしてたので、いいお友達ができたのかとは思ってたんですよ。宿禰さんのようなお友達なら母親としても安心です。これからもあの子をよろしくお願いしますね」
 丁重なお願いをされてしまうのも気が引けるが…いやいや、嘘は言ってない。俺とミナがデキてる事以外は。
 まあ、なんにしろ、この親を裏切りたくないミナの気持ちはわかった。
 「親思う心にまさる親心…」ってわけだ。
 口では見縊っているミナの本心は下の句にあるのかもな。

 鎌倉に帰ろうとミナと一緒に駅へ歩いてたら、中学の同級生という女の子がミナに声を掛けてきた。
 ひと目でミナが付き合っていた女子とわかった。
 気が強くて華やかな女だ。こういう女は相手を自分の好みに仕立てないと気がすまないタイプだ。
 俺は後ろに控える彼氏と思われる男子に少し同情した。
 ミナの様子を伺えば、全く動揺する風もなく、心残りも微塵も感じなかったから、正直ほっとした。
 別れた後、ミナを見つめた。
 恋する喜びに輝くまなこが愛おしい。
 指を絡ませた部分から、お互いの愛情を隅々まで巡らせた。

 品川から総武線に乗り換えて、やっと並んで座席に座った。
「二週間も連絡くれないから、リンは俺のことなんてどうでもよくなったのかなって…少し心配した」
 前に誰も居ないけれどミナは小声で俺に言う。
「寂しかったならミナから連絡をくれれば良かったのに…」
 わざとミナの耳元へ息を吹きかけて囁く。
「だって…さ。電話って相手の状況を考えるじゃん。メールは返事が来ないと恨めしくなるし…待ってた方が気が楽だ」
「控えめな上品さはミナのポイントかもしれないが、本当に欲しがるのなら自分から手を伸ばさないと、掴めないよ」
「それはリンにも当てはまるのか?」
「時と場合によるけどね。いつだってミナの手を掴む気満々でいるから、俺に遠慮はするなよ」
「わかった」
 そう言って、俺の手を強く握り締めるミナをどうしたら悲しませずに済むのか…そればかりが胸を締め付ける。


 二学期が始まると三年生はいよいよ受験の臨戦態勢にはいるものだが、その勢いをつける為か、体育祭までは三年生も必死に行事に参加する。
 応援合戦は俺が出るのは他のクラスとの差が出るという事で、特別にひとりで剣舞をすることになった。
 生徒会命令だが、面白そうだからすぐに承諾した。
 幼い頃から古武術はやっていたから、それなりに自信もあったし、滅多にお目にかかれない前学長から指導を受けられるというのも好奇心をそそられる。
 指導の前に挨拶をと、時間通りに校長室に出向いた。
 ソファに座った学長の隣りに前学長の鳴海譲総長が居た。
 遠目には見たことがあるが、こんなに近くで見るのは初めてだ。
 見た目は剣舞なんかしそうにもない優しい上品なおじいさんだ。
 立ち上がってにこりと笑いかけられ握手を求められた。
 なんだか妙に懐かしくて、ひと目で好きになった。





鳴海前学長


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宿禰凛一編 「HAPPY」 13 - 2010.08.17 Tue

keiiti11.jpg


13、
 法要が終わり、家族四人で街から少し離れた旅館に泊まる。
 親父達とは部屋は別だが、食事は別室で一緒に取った。
 和やかに夕食を取りながらの最中、父は突然俺に今日の式を整えた労をねぎらい、畏まって礼を述べた。
 父にとって実家の敷居は高く、あまり近づきたくないそうだ。
 父の母親が早くに亡くなったことも関係があるらしい。
 俺は母親と梓の墓を慧一と一緒に作りたいと言うと、父は少し考え、わかったと賛成してくれた。
 賛成してくれただけではなく、建物は俺たちに任せるから、土地は自分がなんとか探し購入すると言う。
 俺と慧一は見晴らしが良く、星空が綺麗に見える場所を探してくれと頼んだ。
 和佳子さんが親父の隣りから、「私にも協力させてね。すごくステキな場所を見つけるからね」と、朗らかな笑みをみせてくれた。

 翌日、午前中は親戚への挨拶回りに費やし、午後からは和倉温泉まで足を延ばし、有名な宿に宿泊することになった。
 水入らずの家族ごっこも、大体2日が限度で、ここいらになると両親から逃げたくて仕方が無くなる。
 すると、ジャストタイミングで慧一が良い話を持ってくる。
 ユニオンシティの社宅でお世話になった飯田さん家族が夏の休暇に日本に帰国して、那須のペンションで過ごそうと予定したはずが、急に私用で行けなくなったらしいのだ。
 折角予約していたからもし良かったらとキャンセルする前に、慧一に連絡をしてくれたのだが、俺は喜んで二つ返事でOKを出した。
「慧とふたりきり?」
「うん、家族3人で三日間の予定だったんだが…飯田さんの奥さんが、是非凛ちゃんと一緒に楽しんでって言ってくれているらしいよ」
「マジで?超嬉しいじゃん。じゃあ、飯田さんには一杯お土産を買わなきゃならないね、慧」
「そうだな…親父達には悪いが、俺も凛とふたりになりたいのが本音だよ。あの人達の前でイイヒトでいるのも疲れるからな」
「俺は親父も和佳子さんも好きなんだけど…あのふたりって周りにお構い無しにいつも惚気てるんだもん。付き合うこっちの身にもなれって」

 親父たちには事の成り行きを説明し、翌日、朝早くに慧とふたり和倉を発った。
 鎌倉まで戻り、すぐに新幹線で那須まで直行。那須塩原駅からは車を借りて、目的地まで急ぐ。
 なんだか変な気がした。
 誰も知らない土地でないと、慧とふたり、睦み合うことは何かが咎める気がした。
「まるで逃避行みたいだ」と呟く俺に
「何から逃げるんだ?」と、意味深に慧は言う。
「…そうだね。俺たちを否定するものからかな…慧は?」
「俺は逆かな。凛を世間から隠して俺だけのものにしたい…独占欲のかたまりだからね」
「それ、嬉しいよ。独占欲って自分のものだけにしたいってことだからなあ。恋人的関係において根源の感情だろ?俺も慧を独り占めしたいって思うしね」

 白樺の木立に囲まれた川のせせらぎが聞こえる静かなペンションだった。
 俺たちの部屋は母屋とは別に立つ別館のメゾネットで、二階はベッド、長期ステイ用にか、一階はキッチンやダイニングテーブルまで設備されている。
「ステキな部屋だね」
「飯田さんに感謝しないといけないな」

 食事は本館で取るのだが、本格的なフランス料理で野菜のテリーヌやコンフィなど、オリジナルの自然食が多い。雄大な自然の中で貸切の露天風呂も格別だ。だが、最大の目的は慧と営むことであり、それさえ出来れば、後は背景を彩るものでしかなかった。



りんけい


 求め合う行動は、イコール肌を重ねるという事以外あるのだろうか。
 とにかく渇望しあっていたのは間違いない。
 コテージであることも、蝉や虫達の大合唱であることも俺たちには幸いした。
 食事以外はお互いの身体から離れようとしなかった。貪りあうとはこの状況を指すのだろう。
 他人の介入は勿論、あらゆる世間の情報など一切切り離して過ごした。
 携帯もTVも音楽すら、必要なかった。
 慧は俺に最大限の快楽を与えてくれる。勿論俺も慧に与えようと努力する。
 しかし、経験や歳の違いというものだろう。与えてもらう割合は俺の方が遥かに多い。
 ミナとやる時、俺はここまで快楽や安心というものを与えてやれているのか少し不安になる。
 受けと攻めの立場が違うといっても、俺にとっては「愛する者」と「セックス」をするという意味に違いはないのだから。
 慧は「俺の立場から言うなら、おまえが他の奴と寝るのは嫉妬もするし、許しがたい話だよ。普通なら浮気をされた奴となんのわだかまりも無く付き合い続けられるだろうか。無理に決まっている。だけど、凛への想いはただの愛や恋ではないからね。数え切れないくらいの感情が折り重なって『凛への愛』という形を作っているんだ。結局、幸か不幸か、おまえが何をしても、手放すよりマシだと思わせてくれる」
「…兄貴はトンだ選択をしてしまったね。俺はきっと貧乏クジだよ」
「いいさ。どんな貧乏クジでも凛は俺の弟だから…切れることのない絆であり、こうして愛し合うことができる…これ以上求めたら運命に申し訳ないよ。凛が何をしても俺は凛に背かない。約束するよ」
 
 絶対的な愛を捧げる慧一に、甘えている俺はやはりロクな人間であるはずもない。
 そう言うと、慧一は凛は人間ではないのだろうと笑う。まだ俺の背に羽は見えるのかと問うと、勿論、だが昔は6枚の羽だったのが近頃は透明なより大きい二翼になった気がする。これは何を意味するのだろうかねえ…俺にわかるわけもねえな…。本人に見えないとは残念な話だ。慧、人に言うんじゃないよ。兄貴が狂人だと思われるのは嫌だからね。すでに弟に狂っている時点で常人ではあるまい?しかし、ない物の証明など誰にもできないものだから凛の羽だって無いとは言えないはずだろう。…悪魔が証明しない限りはね…

 蜜月とも言える濃厚なバカンスはあっという間に過ぎた。
 慧を成田へ送り出す頃には、離れがたくて泣きそうになる。
「このまま付いていきたい…」などと泣き言を言う俺を、慧一は人目もはばからずしっかりと抱き締めてくれた。
「欲しがって、もてあましてしまう時間があるから、お互いの愛が見極められるのかもしれない。俺も寂しいよ、凛。体育祭には来られないけれど、頑張れよ」
「ああ、今年は応援団には出ないけれど、ひとりで剣舞をやるんだ。前の学長直々に指導を受けるんだよ。楽しみだ。嶌谷さんにビデオを撮ってもらうよ」
「前の学長って…たしか嶌谷さんの父親が友人だと伺った気がするよ。聞いてごらん」
「へえ~そうなの?今度、聞いてみるよ」

 彼方へ消える慧の飛行機を見送って、その足で嶌谷さんに会いに行く。
 慧と別れた後は、いつだって独りで居るのが耐えられない。
 とことん俺は堪え性のない人間だ。
 それを言うと嶌谷さんは「凛だけじゃない。誰だって好きな奴と別れた後は寂しさが募るもんだよ。きっと慧一くんも空の上で泣いているのさ」
 そうは言っても、嶌谷さんの腕に抱かれて、慰めてもらう俺はやはり甘ったれと罵られても反論はできないね。




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凛一1




宿禰慧一編 「ペンテコステ」 7 - 2010.08.11 Wed

慧一1


7、
 凛一が去った後の虚しさは覚悟を決めていたはずだった。
 俺はそれを埋めようと仕事に打ち込んでいく。
 いくつかの小規模な建築の立案、設計、プレゼン、人の残業を買ってまで自身をもてあます暇など作らぬように仕事に励んだ。
 休日も持ち込んだ仕事にかかりっきりになっていた。
 夕方近くになり、隣の飯田さんの奥さんが、遠慮がちに尋ねてくる。
 何かと伺えば、夕餉を持ってきたという。
「わざわざすいません」
「大したものじゃないけど、おかずの足しになるならと思って」
「いえ、ありがたいです。実は仕事に没頭していて、昼飯も食べていなくて…早速頂きます」
「実はね…凛ちゃんなのよ。『兄貴は仕事人で食事もまともに取らないから、たまにでいいから、残り物があったら食べさせてやって下さい』ってね…帰り際に頼まれたんですよ。凛ちゃんは本当にお兄さん思いのいい子って家族みんなで感心したのよ」
「そうでしたか…」
 飯田さんが帰った後、すぐに凛に連絡を取った。
 朝起きたばかりで少し寝ぼけ声ではあったが、嬉しそうな気配にこちらも笑みが零れる。
「色々気を使ってくれたみたいで、驚いた」
『なに?俺が人のメシの心配をしそうにないって話?』
「まあ、そういう話だな…嬉しかったよ」
『だって兄貴に倒れられたら、俺、帰る場所がなくなってしまうからね。元気にしててくれなきゃこっちが困るもの』
「そうだな…」
『あ、そうだ、嶌谷さんにお礼言っててね。帰った後も色々と世話になってしまったから』
「わかったよ。じゃあ、元気でな、凛」
『うん、愛してるよ、慧』
 携帯を切った後、安息と寂しさの混じった気分になった。
 凛の言う「愛している」の言葉を疑ったりはしない。
 ただ失うのが怖いだけ。
 手に入れた後のこの幸せの頼りなさはいかんともしがたい。

 今になって、離れて暮らすことへの不安は募るばかりだ。
 あいつをひとりで日本に置いてしまったこと、あいつが付き合っている恋人のこと、嶌谷さんや宗二朗さんのこと、凛の周りのすべてが遠く離れて見えない俺には、変わっていく事さえ知らないままの愚か者でいてしまわないか…
 今「愛してる」と、言う凛は明日には別の誰かに同じ言葉を吐くかもしれない…
 凛と繋がった今、もどかしさは切りが無い。
 消えないジレンマを水底に溜めていくしかないのだ。

 多少複雑な気持ちで嶌谷さんへ電話を入れる。
『凛から聞いたよ。おめでとう。慧一くんの想いが叶って良かったじゃないか』
「嶌谷さん…これで良かったのか。どれだけ考えても答えは出ない。俺は待つって誓ったはずなのに…凛にせがませたとは言え、とうとう…」
『後悔しているのかい?』
「いえ、遅かれ早かれ俺たちがこうなるのはお互い覚悟してましたから。ただ闇雲に喜んでばかりはいられない気がしてならない。凛を手に入れたということは…俺は凛を縛り付けてしまうかもしれない。凛はそれを窮屈に感じてしまうかもしれない…」
『慧一くん、それを杞憂っていうんだよ。君がどう縛りつけようと凛一は窮屈に思わないし、君がいくら縛り付けておこうとしても、自由になりたい時は縄を引きちぎって出て行く奴だよ。奴より君の方が心配だなあ。慧一くんはマイナス思考が身についてしまっているからな』
「否定できません…もうこのことに関しては己の業なので、今更すべてが霧が晴れるようにとはいきませんね。たけど今は本当に…幸せすぎて、夢のような気がしてならないんですよ」
『幸せすぎる…なんて言葉を君から聞くなんて思わなかったよ。悩めるファウストもとうとう最後の言葉を吐くのかい?』
「時よ、止まれなんていいませんよ。魂の救済なんて望んでいません。凛がメフィストなら…構いませんが」
『ああ、凛は本気でメフィストになる気でいるよ。あれがメフィストなら俺の魂も差し出すがね。それよりも宗二朗が迷惑をかけて済まなかったね。あいつも君たち兄弟が気に入ったみたいなんだ。悪い奴じゃないから許してやってくれ』
「いいえ、俺もいいかげん凛に関しては大人気ないので、世話になった宗二朗さんにロクなお礼も出来ませんでしたよ。嶌谷さんといい、お世話になりっぱなしで、どうやって返していいのか見当もつきません」
『礼なんていいよ。好きでやってるんだ。いわゆる子育ての疑似体験。罪滅ぼしにしては美味しい目に合っていると思うよ。まあ、凛は…あれで歳相応な悩みも抱えているから、できる範囲で俺も力になるつもりだよ。慧一くんは自分の仕事に打ち込みなさい。凛一との未来の為にも社会人としても基盤は大事だからね』
「はい、わかってます。じゃあ、よろしくお願いします」
『なあ、慧一くん。…本当のところ、俺は百パーセントの幸せなんか面白みに欠けると思っているんだよ。凛には真逆のことを言っているけどね。俺みたいにヒネてくると少しぐらい自分は不幸だって思っていたほうが、光の恩恵をちゃんと有り難いって思えていいもんさ』
「そうかも知れませんね…」
 
 嶌谷さんほどの域に到達していないから、悩みも尽きないが、俺は俺なりに生きるしかないのだろうと思う。それでも凛を思うだけの苦悶の日々を省みたら、今がどれだけ充足しているのかは計り知れない。
 俺は幸せを感じている。

 



 夏の休暇をどうにか貰って、日本に帰国した。
 父の故郷である金沢の実家では、お盆も兼ねて母と梓の法要が営まれる。
 手筈は凛一が整えたと言う。
 いくら忙しくても死んだ女房と娘の法要ぐらい、自分でやれよと、父を恨めしく思うが、あの人はそういう行事に全く興味がないから、周りがどうこう言っても仕方がない。

 羽田からの飛行機が遅れて、あやうく読経に間に合わなくなるところだった。
 実家の古い屋敷に着き、急ぎ上がる。客間と仏間を繋げた広間に、大勢の参列者が行儀良く低頭していた。
 すぐに凛一の頼りなさげな背中を見つけた。
 あわてて傍によると、緊張感から解放されたのか、少し潤んだ目をしている。
 少し甘えたいような素振りに、抱き締めたくなる欲を精一杯押しとどめた。
 仏壇の母と梓の写真が、恨めしそうに俺を見ている気がする。

 会食が済んで参列者を見送り、俺たちも予約しておいた旅館へ帰る。
 金沢へは両親も今日の朝、着いたばかり。凛一は3日前からひとりでこちらに来て、慣れない実家の古い屋敷で過ごしたそうだ。
 寂しかったと愚痴を聞かされながら、寄り添ってくる身体を抱きしめた。
 めちゃくちゃにしたいのは山々だが…別室とはいえ、隣に父親がいたんじゃ、さすがに兄弟で乳繰り合うわけにはいかない。
 すでにその気になっている凛一を宥めて、キスだけを繰り返す。
 
「キスだけで後はお預けなんて…これってなんかの刑罰にあたらねえ?供養した甲斐がないよね」
 苦笑いをする凛の頭を撫で、
「世俗的な真理と言うものは、耐え忍ぶことなんだよ。きっと母さんと梓が俺たちに戒告してるのさ」
「ホント?」
「…嘘さ」
 俺の腕の中でポカンと呆れる凛の顔がたまらなく愛おしくて、愛おしくて…
 この「幸福」と言う感情を綺麗に切り取って、誰彼とも無く見せ付けたい気持ちになった。



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慧と凛1


宿禰凛一編 「HAPPY」 12 - 2010.08.08 Sun

リンバスケ

12、
 高校最後の新学期が始まった。

 三年になっても俺の担任は藤宮紫乃だ。
「運命かしら?」と、笑うと
「慧一の呪詛だな。おまえの面倒を見ないと呪い殺すって言う…」と、紫乃の眼鏡の奥の目が笑う。
「ああ…かも知れない」
 俺と慧一が相思相愛であり、告白した事は紫乃に告げたけれど、セックスをしたとはまだ紫乃には言ってない。慧一の元恋人であり、未だに未練を残している紫乃の気持ちを考えると、どうしても同情的になるのは当たり前だ。俺たちが愛によって結び付けられたとしても、その所為で多くの者を傷つけるだろうし、その罪は勿論俺たちが購わなければならないのはわかっている。
「で、おまえ、慧一と寝たのか?」
「は?」
「春休みは慧一のところに行ってたんだろ?」
「うん…でも…」
「どうした?ケンカでもしたのか?」
「いや、慧一は仕事が忙しくて、あまりゆっくりと出来なかったんだ。だから…まだしてない」
「…そうか。慧一にしてはよく我慢できるな。お互いに告白したのなら即効でやるのがおまえら兄弟だと思ったんだがな」
「学校でそういうエロ話はやめにしない?青春真最中って言ってもただでさえ、男同士の恋愛なんかマトモじゃないんだし。しかも兄弟で愛し合ってるなんて、道徳に厳しいミッション系としては断罪だよ。」
「おまえがそういう事を気にするとはね」
「俺は地獄に落ちても構わないんだが、慧は社会人だからね。世間で認められる為にはくだらん偏見に晒される必要もないだろ?そのうちわかるとしても」
「…おまえは良く出来た弟だな」
「今まで俺は慧の想いに気づかずに、慧を苦しめてきたからね。これからは俺が慧のために何が出来るのかと考える番だと思うんだ。紫乃にもアドバイスして欲しい。先生としてじゃなくて、慧を理解している人として…ねえ、今週末暇なら、前に言ってたジャズクラブに一緒に行かないか?」
「あ?ああ、そんなことを言ってたな」
「紫乃には紫乃の趣味があるだろうから無理強いはしないよ。ただ、サテュロスは息抜きにはいい場所だからさ。紫乃もきっと気に入ると思うよ」
「おまえが俺のことまで気を回してくれるなんてね…気持ち悪いにも程があるが…わかった、付き合ってやる…体育祭で来た連中なら初対面ってわけでもねえしな。それより部長、ほら、今年の『詩人の会』の活動予定表と文化祭の出し物の件についての資料。部員で話合って決めてくれ」
「わかりました」
 俺は国語準備室を後にした。
 今になって紫乃の優しさが少しずつだがわかる気がする。
 
 慧一が俺への情愛を打ち明けられぬまま悩み苦しみ、その想いから逃げる手段として、紫乃に癒しを求めたのは仕方のない話だと思う。紫乃もそれをわかっていたんじゃないかな。その上で慧と付き合っていた。
 慧一にとっては紫乃みたいな情に厚い奴の方が、一緒に生きるパートナーには俺より相応しいのかも知れない。
 それでも、俺は決めてしまったから…ごめん、紫乃。慧はあんたには譲れないよ。


 文化祭も無事に済み、夏休み前の進路面談が始まった。
 推薦狙いの奴らはここで最終選考を決めなきゃならないんだが、俺たち国立希望の生徒はセンターの出来次第ってところがあるから、最終的なものはそれ以降になる。
 「詩人の会」の部活も一応後輩に引継ぎ、俺たちは夏休みに突入した。
 ミナは三年になってふたつの県の絵画展に入賞し、表彰された。
 ひとつは長谷寺の伽藍を描いた風景画で、もうひとつは版画だ。
 エッチングは始めてだと悩んでいたが、温室の花々が生き生きと彫り起こされ、色がないのに見えるようだ。
 彼は花々の中に人の輪郭だけを黒く浮かし、光と影を見事な対照にして見せた。
 モデルは俺だ。温室で描いていたのを見ていたし、シルエットで俺だとわかる。
 「眩耀(げんよう)」と題されたその版画は県の最優秀賞に輝いた。
 
「リン、じっとしててくれ。今、大事な箇所を描いているんだから」
「あ、悪い」
 温室の窓に手をかけ、モデルをするのはいいんだが、じっとしているのは苦手だ。しかし、絵を描いている時のミナはなにをおいても厳しい。

 俺はミナの画家としての才能を評価している。その道に進んでいけば、一端の芸術家として極めることができるんじゃないかと思う。だが、道を決めるのは俺じゃない。
 ミナが親の為か、その逆で親に有無と言わせぬ為なのかはどうでもいい。T大を目指し、必死に勉学している努力は決して無駄ではないだろう。だがいい子である意味を疑う日も来るかも知れない。
 もし、ミナが将来、画家の道を目指すことになるとしても、今、それを俺が示唆するのは余計なおせっかいだ。
 

 夏休みになっても、受験生に休みはない。
 朝から夕方まで、学校で補習授業だ。
 放課後になり、陽が落ちるまでの時間、俺たちは温室で過ごしている。
 水撒きから始まり、それが終わると雑草を抜いたり、肥料を与えたり、大きく育ちすぎた花をポットに移し変えたり…
「なんでこんなに世話がかかるんだ?くそ、いくら抜いても雑草の奴。いっそ除草剤でも撒こうか」額の汗を拭きながら愚痴を言うと、
「汗を搔いて手を入れるから、花も美しく咲いてくれるんだろう。どっちにしても世話をしてやれるのももう少しだから、頑張ろうよ」と、ミナが冷たく濡らしたタオルをくれる。

 今年で最後、それが何を意味するのかミナはわかっているのだろうか…
 
 八月にはミナは予備校の夏期講習の為、実家へ帰った。
「母親が勝手に申し込んだんだ。おれは不本意だ」と、むくれるミナだが、親の愛とはそういうものではないだろうかと、俺は少し羨ましく思う。

 俺の方も今年のお盆は母の十三回忌、梓の七回忌の法要を行うことになり、慌しくなった。
 法要の事は、静岡に住んでいる母の姉の佐伯茜伯母の提案による。
 父の実家は金沢だが、母も梓の遺骨も金沢の宿禰家の墓に納骨している。
 父は宿禰家の長男だが、実のところは弟が継いだ実家とはそんなに頻繁な行き来はない。
 いつかはこちらの近くにふたりの遺骨を移したいと思ってはいる。
 それが俺と慧一の作る寺院であれば最高なのだが…

 簡単には帰って来れない父と兄の代わりに、俺が金沢の寺や親戚と連絡を取り合い、挨拶にも行くことになった。なによりも母と姉の法要だ。他を頼りにするわけにはいかない。
 俺がやれることはするべきだと思ったから、面倒臭くても投げ出す気にはならなかった。
 
 法要の当日、親父以下、みんなが揃う中、慧一が現れないのをやきもきしていたが、坊さんのお経になんとか間に合った。
 慧一が少し慌てた顔で俺の隣に座る。
「間に合って良かったよ。天候が悪くて飛行機が遅れてね。マジで焦った…凛、元気だったか?おまえひとりに世話を押し付けてすまなかったね」
 慧一の指が畳に座る俺に膝に触れた途端、何故だか俺は泣きそうになった。
「慧の馬鹿っ!遅れたら母さんと梓が許しても俺が許さねえんだから…」
 小声で責める俺の肩を、慧は優しく抱いてくれた。





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水川青弥編 「フラクタル」 5 - 2010.08.01 Sun


5、
 昼飯は豪勢にうな重が出てきた。
 二階のおれの部屋に運んできた母親は、さっきと違ってしっかりお化粧直しをして、リンに愛想を振りまいていた。リンは慣れた調子でそれに応え、上っ面だけのふたりの会話に、俺は閉口した。

「よくあんなどうでもいい話に付き合ってられるな」
 痩せたうなぎを口に入れるリンをおれは眺めた。
「なんで?いいお母さんじゃないか。ミナはあのお母さんのどこに文句があるんだ?」
「文句って…別に無いけど…」
「急にお邪魔したのに高いうなぎまでご馳走してもらって悪かったね」
「母さんのあんな…顔初めて見たよ。母もイケメンには弱かったんだな」
「ミナのお母さんに気に入られる顔で良かったよ」
「だけどなんで急にうちに来こうと思ったわけ?」
「ああ、昨日嶌谷さんのマンションに泊まってたの。で、ミナが今日寮に帰るって言ってたのを思い出して、それで行こうってなったの。嶌谷さんにあげるはずのお土産をミナん宅へ持ってきたってわけ」
「あ、そう」
 嶌谷(とうや)さんってのは、リンの行きつけの新橋にあるジャズクラブのマスターで、リンを息子のように可愛がっているらしい。去年のうちの体育祭の時にちらりを見たけれど、渋くてかっこいいおじさんだった。いわゆるちょい悪系親父で、しかもゲイだ。
 リンが嶌谷さんのマンションに良く泊まることは知っているけど、彼らの関係がどこまでか…なんていう下世話な憶測はしたって仕方ない。

 リンはおれ以外とは寝ていないと言うが…
 彼は別の言い方もする。
『嘘も方便というが、それは相手による。真実を話すということ裁判では原則ではあるが、果たして日頃の付き合いにおいて、真実だけで上手く人間関係が続くのだろうか。特に恋人同士において、お互いが聞きたくない真実を伝えるのはどうだろう…良く人は言う、だって本当のことだから仕方ない。だけど、言わなきゃ済む話も沢山あるはずだ。悪意でも好意でもなく真実を伝えるのは報道だけでいい。個人のやりとりにおいて優しい嘘は必要だよ』と、リンは言う。
 だから…リンが寝ていないと言ってもそれは彼にとってはおれに対しての「優しい嘘」にもなりかねないという事だ。
 本当のことを言うなら、リンがおれ以外の奴と寝るのは当然気分のいい話じゃないし、ムカつくのは当たり前だ。
 だが、結局のところ、リンが他の奴と寝ててもそうじゃなくても、おれがリンを好きでいられるかどうかって話なんだ。
 そして、おれはリンが他の誰かと寝ていても、おれがリンから離れられるわけがないっていう真実を誤魔化せないっていう事なんだ。

 
「金沢って…実家に帰っていたの?」
「うん、今年はお袋と梓が13回忌と7回忌なんだ。で、お盆にまとめて法要しようって話になっててさ。段取りは親戚連中がやってくれるんだが、さすがにまかせっきりってわけにはいかないだろう。親父も兄貴も日本にいないんだから、俺が挨拶回りやらなんやらしなくちゃならない」
「へ~、旧家って大変なんだね」
 リンの実家は金沢で代々営む古い造り酒屋で、昔は地元の名士だった。それこそ今でも地元で蔵元さんの名前を知らない人はいないという。
 リンのお父さんは長男で跡継ぎを期待されたのだが、商売が性に合わなくて、弟さんが跡を継がれている。昔ほどの勢いはないが、堅実に造り酒屋を継承しているらしい。
「普段はあまり親戚の付き合いはないけど、法事は個人的に済まされないしなあ。まあ、俺は別にかまわないけどね。いい子のフリは得意だ」
「お継母さんも来たのか?」
「勿論。和佳子さんも人付き合いも上手いからね。五月蝿い親戚連中も文句は言わない。だけど法要が済んでからがまた大変だ。例の家族旅行に付き合う羽目になる」
「また?いいね、今度はどこの温泉?」
「金沢から和倉へ行って…それから、別れた。向こうは向こうで勝手にやってくださいってことで、俺と兄貴は別行動で、那須のペンションで過ごしてた」
「慧一さんと…ふたりで?」
「…そうだけど。なに?…なにか引っかかる?」
 気が引ける態度をとるならまだしも、リンはなにかを企むかのような挑発的な態度を取る。しかもそれに触れたらこちらが絶対火傷をしそうな気がしてならないから、聞きたいけど聞けない。それさえも計算に入れているんじゃないかと思わせる…そんな素振りなんだ。
 迂闊に慧一さんと何かあったのか?なんて…絶対こっちから聞くもんか。


 母はリンのことが気になるらしく、階下に降りる度に、リンの事を事細かく聞く。
「ね、宿禰くんは頭いいの?」 
「いいよ。宿禰は俺と同じT大を受ける予定だよ」
「そうなの?あんなにハンサムで頭もいいんじゃ…モテるでしょうねえ~」 
「後輩の子らにも人気だよ」
「天は二物を与えるってああいう子を言うんでしょうねえ。親御さんも嬉しいでしょうねえ」
「宿禰は…お母さんは小さい頃に亡くなっているし、お父さんは外交官で外国に居るから…独りで暮らしているんだよ」
「そうなの?…じゃあ、青弥が色々と力になってあげたらいいわね」
「…そうだね」
と、おれは苦笑い。


 夕方、おれ達は自宅を出た。
 見送る母はいつもより長く玄関先で俺たちを見送っていた。
「ありゃ、ミーハー魂に火がついたかね。リンの追っかけでもやりかねない」
「俺、どこでもオバサン達には可愛がられるんだよ。ニューヨークの慧のアパート連中からも色々と貰ってたもん」
 どこに居てもリンはリンでしかないのはわかっているが、恋人としてはちょっぴり恨めしいのも本音だよ。

 リンとおれが自宅界隈を歩くのも初めてだが、こういう時は何故か奇遇というか運命と言うか、へんてこりんな歯車が噛み合うようで、駅の近くで、ばったりと会ったのが、中学時代付き合ってた原田理香子で、その隣に彼氏らしい男性と一緒だった。
 声を掛けてきたのは向こうからだ。
「水川くん、久しぶりだね」
「あ、…ああ、こんにちは」
 にこやかな笑顔にこっちもやましいものはないから会釈で応えた。
 手に持っていた大き目の旅行カバンを見て、彼女は「今から旅行?」と、尋ねる。
「いや、鎌倉の寮へ帰るところだよ」
「ああ、そうか…こちらは…お友達?」
 リンを見て少し恥らうように顔を傾げる。
 リンを見る人はみんなこういう顔をするなあ~

 紹介しようと口を開きかけたその時、リンは一歩前へ進み、手を出しながら彼女の質問に答える。
「初めまして。宿禰といいます。水川クンとは同級生でして、彼は成績バツグンなので色々と教えてもらっているんですよ。今日も水川クンの御宅にお邪魔して勉強していたというわけです」と、強制的に原田と握手しながら、相変わらずの営業スマイル…つうか…水川クンってさあ…
「水川クンの中学のお友達ですか?お綺麗ですね。で、そちらは?」
 握手された手を慌てて引っ込めた原田は、おれの方を向いて隣の男の肩を叩いた。
「森山くんだよ。ほら、覚えてない?中学の時の…」
「そうだったけ?」
 あからさまに不機嫌そうなそいつの顔を見つめるが、全く思い浮かばない。
「いいよ、理香子。水川は昔から他人に興味がない奴だったから、俺のことも覚えているわけないだろ。それよりもう行こうよ。映画の時間に遅れるよ」
「そうだね。じゃあ、水川くん、宿禰…さん。さようなら」
 リンの顔を見て明らかに顔を赤らめた原田の頭を小突く彼氏を見送った。
 勿論なんの感傷もない。彼女らが上手くいけばいいなとは少しは思ったけれど。

「俺たちも行こうか?」
 幾分いつもより優しいリンの声に促されて、駅の構内へ歩き出した。
 平日の夕方、仕事帰りの人ごみの中、上りの電車を待つ。

「あれがミナの言ってた昔付き合ってた彼女なのか」
「何故そう思う?」
「勘だよ。それにミナの好みの顔だ」
「そうかな…おれは自分が面食いだとは思わないけれど、リンの顔を見ているとつくづく綺麗に出来てて、ずっと見てたいなあって思ってしまうよ」
「…おまえ…さらっと惚気るなよ。ここがプラットホームじゃなかったら押し倒しているぞ」
「え?おれ惚気たのか?」
「ばーか。だからミナはかわいすぎる。このまま寮に無事に帰れると思うなよ」
「え?」
「まずは俺のマンションへ直行だ。誘ったのはおまえだからな。嫌とは言わせない」
「言うもんか」
 だって、今日、リンの姿を見た時から、ずっと身体が疼いて仕方なかったのは真実だよ。
 絶対言わないけれど。

 込み合う人ごみに紛れ、微かに触れる程度に指先を絡めて、おれ達は家へ帰る電車に乗り込む。





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