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2011-06

夏日憂歌 - 2011.06.06 Mon

夏日憂歌  summer time blues



「あっちぃな」
「あっついね」
真夏の炎天下を二人で歩く。
夏休みも終盤に近づく。
受験生の最大の敵はこの暑さと一刻の猶予も無い限りある時間だ。
それにしても…はぁ~あっちぃ…

「うち来る?」
「どうすっかな~」
「アイスあるよ。ハルカの好きなガリガリくん」
「じゃあ行く」
塾の帰り道、ミナん家寄って、アイスと麦茶で身体を冷やす。
ミナトの部屋は風は通るんだけど、西向きなんで、日が傾くに従って熱気が増す。
「この部屋あっついなぁ」
「ねぇ~。夜寝る時なんかすげぇもん。寝付けねぇの」
「わかる。俺んとこもそう」
「こんだけ暑いとさ、勉強もなんもあったもんじゃねえよな」
「あったもんじゃないねぇ」

半パンに着替えたミナトが細くて白い脚を投げ出す。両手で後ろに体重を支え、ダルそうに頭を後ろにのけぞらせた。その…横顔から喉のラインに釘づけとなる。
…ダメだ。目が外せない…
滲んだ汗が首筋を伝うのがわかった。

「…って、ハルくん」
「はぁ?」
「なんだよ、聞いてなかったのかよ」
「わりぃ」
「暑すぎてボケてんじゃねぇの?」
「うるせ…で、何?」
「だから、志望校決めたかって聞いてんの」
「…まだ、はっきりしねぇな」
「一緒に行きたいよね」
「うん」
「嵯峨高にしない?」
「嵯峨か…レベルたけぇな」
「俺もあんま自信ねぇけどさ。家から近いし…学校終ったら、色々一緒に遊べるじゃん」
「そだな」
「頑張ろうよ、ハルカ」
「うん、ミナと一緒に行きてぇしな」
「うん、でさ、高校行ってもまたバカやろうな」
「うん、やろうな」
「よし、なんかやる気出てきた。とりあえず、塾の宿題やっちまおう!」
「おうっ!」
なんかね、こいつのこういう一緒に頑張ろう的な気持ちが、俺にはたまんなく嬉しくて…やるぜっ!って気持ちになるの。…マジで俺って単純バカだ…

ぬるい扇風機の風になびくミナトの髪。
汗ばんだ額にこびりつく髪が気になって、思わず指で髪を払った。
「…?」
「…いや、おまえの髪の毛…邪魔臭そうだったから…って、おまえ、前髪伸びすぎだ。切れよ」
「う~ん、ハルくんには言われたくない」
「そっかぁ?」
「そーだよ。おまえの方こそ伸ばしすぎだよ。目ぇ悪くなるから」
「もう、なってんの」
「だったねぇ。俺も悪くなったよぉ」
ぶつぶつ言いながら、机の問題集に目を戻したミナにホッとした。
…懸命に誤魔化して…自分の想い誤魔化して…おまえに心悟られまいとして、必死こいてる自分の姿を滑稽に思った。

ミナトが好きだ。

この気持ちが友情の上を行く度の過ぎた感情なのか、それとも「恋」っていうものなのか…わからない。
大体「恋」って何だ?
今までだって学校の女の子にドキドキしたり、アニメのギャルにキュンとしたり、マジで結婚したいと思ったり…何回だって胸をときめかせた。
でも、ミナトに対しての想いはそんなんじゃない。
全く異質の…いつも俺の側に居て欲しい、俺の隣で笑って欲しいって…そしたら俺も嬉しくて、心優しくなれて、幸せだって感じる。
…これって何?…わからないよ。だってこんな感情初めてだ。今まで他の誰にも持った事のない溢れてくる想い…何なんだよ…方程式みたいにちゃんとした答えを、誰か教えて欲しい。

「…ねぇ、コレわかる?」
「…」
「聞こえてますか?一ノ宮遥くん」
「あっ、ご、ごめん」
「…何回目だよ」
「わりぃ」
「おまえやる気あんの?」
「あるっ!」
「ホント?」
「マジで…でも…な。あっちいからな」
「まぁな、あっちぃもんなぁ」
「しょうがねぇ」
「しょうがないねぇ」
「フフフ…」
「ハハ…アイス食べる?」
「いらね」
「じゃあ、遊ぶ?」って、言い終わらないうちに、横からミナが飛びついて来て、俺の脇腹を擽り始める。
「おまっ…バカッ…ひやっ…くすぐってぇ…」
「だってハルくん、真面目に勉強しないから、罰ゲーム」
「バッカっ…ミナ、おまえ…やめろって…ハハハ…ょっとタンマっ!」
過剰なスキンシップと言われても、こんなの俺達の間ではフツーの事だ。
「ミナ、てめ~俺の反撃受けてみろっ!」
「あはは、やめてよ、ハルく~ん」
背中から抱きついて、床に転がってミナトの腹を擽り返す。なんて無邪気な遊び。
でも俺はわかってる。

俺の目はミナトを追いかける。
俺の指はミナトを感じてる。
俺の身体はミナトを欲しがってる。
気づかれないように、口唇を一瞬だけミナトの首筋に押しつけた。
「ほら、羽交い絞めだ。動けねぇだろ、ミナ」
「きつーい、ハルくん」
「降参?」
「うん、降参」
フニャっと笑って俺の腕を握る。
その手の熱さに俺は眩暈がする。

俺は恋しているのか?
…わからない。
ただ身体の底から沸いて来る欲情を、精一杯押さえた。
こいつの純粋さの前では…酷く…自分が汚いものに思えた。
いつの日か…俺は、おまえを汚してしまうんだろうか…

「好き」という感情の結末は何だ。
何を求めて、何を望んで…
おまえの濁りの無い瞳に映る俺は…おまえをどうしたいと思っているか…知っているか?

床に転がったままのふたり。
俺の下で、ミナトの胸が呼吸する度に上下に動く。
熱さに酔ったミナトが、だるそうに額の汗をぬぐった。
「あっついねハルくん」
「うん、あっついな、ミナ…」

熱いのは外も中も同じ。同じ温度でおまえを欲しがってるからだよ。


「好き」と「欲しい」が同意語だって
俺は、今、知った。





ソラキオ放課後


※実はこれ、2006年に書いたものですね。
前にこのブログに載せてたけど、この続きが倉庫から見つかったので、連動して掲載します。
「Simple」のふたりです。

私にとってはこのハルカというキャラは凛へと繋がるものでした。
ミナは…まあ、偶然にリンミナと重なってしまったんだけど、その頃はそういうつもりは無かったですね。




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