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2016-10

昔を懐かしむ 3 - 2016.10.31 Mon


昔好きだった漫画のキャラを私の絵で描いてみるコーナー

今日はハロウィンですね。
ハロウィンと言えば…
そう、内田善美氏!
私はこの方の漫画で「ハロウィン」の存在を知りました。

あの時代、ハロウィンなんかほとんどの人が知らなかったんじゃないでしょうか。
まあ、神社仏閣もそうだけど、年中行事はどの宗教もありますからね。

で、内田善美さん。
この方の漫画は絵も内容も素晴らしいけど、そのタイトルにまず惹かれる。
一番好きなタイトルが「万聖節に黄金の雨が降る」です。
この響きだけで、ドキワクものなのに、三十数ページの短編でしかないのに、一本の映画を観たようなドラマチックなストーリーと絵画のような絵…。
どのコマもどのセリフも印象的で、しかも大どんでん返しで胸を打つ。
何回読んでも、涙が出る感動作。
これだけのものが「りぼん」で読めたんですからなあ~すげえ時代だった…。

で、パックです。似てません…適当に描きましたllllll(-ω-;)llllll

ハロウィン1-1

内田氏の作品はどれも大好きなんですけど、ファンタジーとして一押しが「銀河、どの星狩り」ですね。
北欧神話の神々の名前で、ラブストーリーなんですけどね、オージンもフレイヤも私は好きじゃない。
勿論誰もかれもが大好きなアムレード推しです!
アムレード、いいですよね~。男前だし、オージン一筋だし~(ここ大事~)
なんかねえ、オージンはヤケクソでフレイヤと駆け落ちした気がするんですよ。
国王の責任ほったらかしで、私はあんまり好きじゃないけどね。
だから、最後ああいう目に…
つうか、内田氏の漫画は割とアンハッピーものが多い気がするな。
「万聖節」もそうだし。
でも、そこがいい!

で、アムレード。
色気が足りなさすぎ~('ε`汗)

アムレード

今年もハッピーハロウィンで、ごきげんよう!

Assassin 6 - 2016.10.28 Fri

6
 イラストはサムネイルでアップしております。
 大きく見たい方は、イラストをクリックしてくださいね。


  理玖王5-1


6、
 熊川弦十郎は私の邨を滅ぼした敵を探す手伝いをしようと言い、私はその報酬として、彼に身体を与えた。
 忍宇海のアサシンは、男女問わず、仕事に必要なハニートラップなどは心掛けている。
 常套手段として色仕掛けは抜群の効果がある。だから、私もそれなりの訓練は受けてきた。相手は兄達の他、アサシンの女、男達とも経験がある。行っている最中も欲情に溺れず、お互いの隙を探す術で頭は一杯だ。そうやって自己鍛錬を積み上げていった。
 私にとって、遮那以外とのセックスは、もはや生き延びるための修行でしかなかった。
 
 だが、私に触れる弦十郎の興奮と喜びに、私は驚くしかない。こんなにもセックスを楽しみ、快楽に没頭できる者がいるのか…。
 それを正直に言うと、弦十郎は「だって気持ちいいじゃん」と、笑う。

「理玖王みたいな綺麗な子と抱き合えるなんて、なんて幸運!しかもめちゃ巧いし」
「それは…そういう訓練をしたからだ。アサシンにとって、ひ、必要なんだ…」
 柄にもなく照れてしまった。
 弦十郎の広い胸に抱かれている自分が、幼い子供のような気がして…。子供なのに精一杯、大人のふりをしている気がして恥ずかしかったのだ。
「でも、気持ち良かっただろ?」
 私は素直に頷いた。
 こんなに相手の考え弄ることなく、快楽に身を沈める事は滅多になかった。遮那にすら、私は自分の心の奥底を見透かされるのを拒んでいたから。

 明け方、甲板で私は弦十郎と並んで暁光を眺めた。
 彼方にはっきりと美しい島影が見える。それが「ニッポン」なのだと弦十郎は教えてくれた。
 私の持つ「魔切」がどのような形で「忍宇海」の宝になったのか、興味が沸かない理由はないが、いつか…そう、いつか私が本望を遂げることが出来たなら、あの島に行ってみようと思う。
 そう呟くと、弦十郎は「じゃあ、その時は俺が案内してやるよ。ニッポン人は舌だけは肥えてるからさ、美味い飯をたらふく食べさせてやるよ」と、嬉しそうに言う。そういう彼の頭の中はすでに、どこかの屋台で私と一緒に美味そうに食べている妄想で膨れ上がっている。
 私は少々呆れ「おまえはよくそれだけ容易に相手に考えを読まれて、商売をやっていけるものだな」と、言った。
「そうだね。昔はそれで悩んだ事もあったけど、どうせ逆立ちしても魔法使いのお歴々方には太刀打ちできそうもないからさ、逆手に取ったのさ。心を曝け出すことで、俺にはやましい事はありません。単純明快に商売で儲けたいだけですよ~って、心で伝える。そうすると相手も安心するし、嘘を吐かない商売人として信用される。商売は信用が第一だからなあ」
「なんだか、ポジティブ過ぎて私は怖いな」
「そうか?」
「だって…誰しも覗かれたくない秘密の場所、自分だけの大切な想いとか、気づかせたくない卑しい思いとか…あるだろう」
「まあ、俺は敢えてあんまり重たいものは持たないって決めてるからなあ」
「私にはある。だから大事な部分は遮蔽する。…私は狡いのか?」
「別に。普通じゃないか。俺は商売柄そうやってるだけで、隠せる能力がありゃ、ガードするさ。俺みたいな一般のイルトにとっちゃ、魔法を使えるアルトってのは、そりゃあもう理不尽そのものの存在で、不気味で恐ろしくて、羨ましくていつだって嫉妬の対象だぜ。だが、イルトの中にもカリスマ性を持った奴は、アルトを下僕のように使いこなせるらしいんだ。俺にはそういう能力は微塵もねえけどなあ」
「イルト(能力の無い者)がアルト(ESP者)を、下僕のように?…それは本当か?」
「マジマジ。実際そういう関係は、結構見て来たからね」
「…私の邨がそういう奴らに襲われた…とは、考えられないだろうか」
「メリットがあればね。理玖王の邨に強い恨みを持つ誰かが、アルトの集団に襲わせた、なんていうのは一つの仮定でしかねえけどねえ。だが、暗殺集団の邨なら、それなりの用心はあって然るべきなんだよなあ。邨にもそれ相当の能力者は居たんだろ?それでいて一晩で滅されるってなあ。バケモノみたいな強力なアルトか、異能力集団の襲撃なのか…気になるな」
「私達の邨は…そんなにも憎まれていたのだろうか」
「金で請け負っていた稼業とは言え、やってることが殺人じゃ、誰かに恨まれても仕方なかろう。因果応報って奴だ」
「簡単に言うなっ!私達だって、精一杯…邨人は皆、精一杯生きてきたんだ」
「簡単じゃないさ。人の心はそれぞれに何かを抱えているって話だよ。理玖はまだ若いからさ、純粋なのさ。この世で一番恐ろしいのは、魔法や武器じゃない。それを使う人の心だぜ。理玖が抱える敵討ちってのは、立派な大望かもしれないが、叶えられても闇を抱えてしまうのは理玖自身だって事を忘れるなよ」
「そんなこと…わかっている」

 そんなことはわかっていた。
 弔い合戦なんて、非効率極まりなく、やるものではないと、父にも宇奈沙にも教えられてきた。それでも…それでも、遮那や邨の者たちを想うと、私にはこれしか生き残る方法はないのだと、わかるのだ。
 人を殺す道具として生まれた「アサシン」なら、逃れる道は、すでに無い。
 私は冷えた海風に晒されながら、朝日に輝く遠いニッポンの山々に見惚れていた。

 貨客船がウラジオストオク港へ着き、私と弦十郎は、シベリア鉄道に乗り換えて、キエフまで行くことになった。
 弦十郎は普通寝台のチケットを取ろうとしたが、私は二人用の個室が良いと言い張った。
 弦十郎は「そんなにふたりだけになりたいのか?」と、有頂天になったが、私は他人の思考が目障りだからと答えた。
「う~ん、個室のチケットは馬鹿高いんだよなあ。手持ちの金じゃ、目的地まで保てねえけど」
 私はカバンから宝石の入った袋を差し出した。
「邨の財産だ。敵討ちには何かと金がいると思って、持てるだけ持ってきた。これを使ってくれ」
「こりゃすげえ」
「弦十郎が欲しいのなら、好きなだけやるよ」
「必要なのは理玖の方だ。それに金は持ってて損はしねえさ。どれ、このエメラルドで当座の旅費は充分だ」
 弦十郎は大粒のエメラルドを金に換えてくるといい、小一時間ほどで戻ってきた彼は、ホクホクした顔で驚くほどの大枚を私に見せた。
「車両ごと買えるぞ」
「…そうなのか」
「キエフまで十日の列車の旅だ。これでふたりきりで思う存分セックスできるな」
「私は…もっと有意義な事を教えてもらいたいのだが…」
「セックスは有意義だろ?」
「…」
 言い負かす気にはならなかった。何故なら、確かに私は弦十郎に頼るしかないちっぽけな存在でしかなく、弦十郎の前ではただの十五歳の少年でいられる安心を得ていた。

 私と弦十郎は概ね良好な列車の旅を過ごした。
 多くの時間を個室の狭いベッドで戯れ、快楽を分かち合った。
 私は自分でも驚くほどに、人肌に餓えていた。
 だが、弦十郎が私に与えてくれるものは、快感だけではなく、邨では聞いたことも無い膨大な情報と知識だった。
 
 取りわけ弦十郎が話すアルトとイルトの話は、私を驚愕させた。 

「まず能力者であるアルトは世界の至る処に存在する。だが、ずば抜けた天賦の才を持つ生存者と言うと、数える程になる。そいつらの多くが自己顕示欲と理想を掲げるか、力を隠して目立たずに一生を終るかだ。目立ちたがり屋はアルトだけじゃないぞ。強力なカリスマを持つイルトはその卑屈さ故に、歴史的偉人になりたがるんだ。理想を掲げて突き進むうちは良いが、それがねじ曲がってくると妙な展開になる。それが十年前に起った聖光革命だ」
「…革命?」
「そっか、辺境の邨に住む理玖には、関係の無い事象だろうなあ。結構世間を騒がした事件だったんだぜ」
「…どうせ私は世間知らずだ」
「イジけなさんな。聖光革命ってのはなあ…まあ、なんつうか…ハールート・リダ・アズラエルってイルトの酋長みたいなカリスマがな、魔法使いは異端だ。尊大なアルトは時期に力の無いイルト達を奴隷にするであろうと、世界に向けて発信したわけだ。そうなる前にイルトは力を合わせて邪悪なアルトを抹殺しなければならない、とねえ。まあ、魔女狩りだな。大方のアルトは闇の中に棲む者であり、ハールートの掲げるものは光であり、光を求めるアルトには救いが与えられるが、ハールートに従わないアルトは闇の者として、断罪する。それが信心深い人間すべての救いにもなる…」
「…よく、判らないが、ESP能力者は悪と決めつけているのか?その上で、そのハールートという輩の側に付けば、善になると言う事なのか?」
「さあねえ。俺は善も悪も意義は同じようなもんと考えているからねえ。そんなもんどうでもいいんだが、それで救われた者が現実に居るし、それで殺された者も少なくないってわけ」
「…わからないな…」
「じゃあ、その目で確かめて見るかい?」
「え?」
「ハールートに会えるかどうかはわからないが、キエフから列車を乗り継いだ先にシュテーンの街がある。今は彼らの本部になっているらしい」
「でも…」
「あいつらの組織『ホーリー・スピリット・コミュニオン』にはつてがある」
「え?」
「単なる商売相手だよ。好き嫌いに関係なく、客としては払いが真っ当なんでね。そんな顔するなよ。大丈夫だ。俺みたいなチンピラには奴らも牙を剥いたりしないからさ」
「別に怖いわけじゃないが…なんだか気が乗らない話だな」
「じゃあ、気が乗る話をしてやろうか?」
「今度は、どんな話だ?」
「『魔王』と呼ばれるバケモノの魔法使いの話さ…」
「…面白そうだね」

 この時、私は「アスタロト・レヴィ・クレメント」という魔王の存在を初めて知ることになる。
 彼こそが、私を破滅へ向かわせた悪魔だった…。




Assassin 5へ /7へ
 


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昔を懐かしむ 2 - 2016.10.27 Thu


昔好きだった漫画のキャラを私の絵で描いてみるコーナー

「LaLa」に出会ったのは、高校二年生の頃だったかなあ~
うちはド田舎で、少し大きい本屋さんに行くには、バスで十五分揺られて、町に出るしかなかった。
マーガレットやリボン、少女コミックは近所の小さな文具兼雑貨屋さんでも置いてあるけど、コミックすら売ってなかった。
勿論LaLaの存在も知らなかった。
たまたま町の本屋で見かけた漫画がLaLaでした。
当時、LaLaは他の雑誌と違って「LaLa」と、いう文字の下にほぼ四角形の枠が描かれ、そこに絵が描いてあったんだけど、それが私には新鮮にみえたんだよね。
その時の表紙が木原敏江の「摩利と新吾」だった気がする。
木原敏江の漫画は友人が毎週貸してくれた週刊マーガレットの「天までとどけ!」が好きだったから、ついLaLaも手に取ってみたってわけ。
で、一番驚いたのが森川久美の「シメール」
一撃で恋に落ちたと言っても過言ではない。
内容云々より、絵の凄さ…
それまで私は少女コミックの萩尾、竹宮、マーガレット系のくらもち、有吉、小椋、田淵、一条などが好きだったんだが、森川久美の絵柄はすべてを凌駕してみえたんだよね。
多分私がああいうデカダンチックなものに餓えていた時期だったのかもしれないけれど、物語も十九世紀の復讐奇譚で、主人公のイヴ・ラクロウだったっけ?
本は実家の倉庫に眠ったままで、もうずいぶん読んでいないのから、自信ないけど、主人公は舞台俳優だったよね。
両親が騙されて破産して自殺。その復讐の機会を狙う。裏切った友人の娘がイヴのファンで近づいて、自殺に追い込むが、自分もすげえ後悔する…とかなんとか…
まあ、ストーリーは大したことないんだが、絵がとにかく豪奢で華麗で退廃的。
私は西洋かぶれだったので、なんつうかああいうヨーロッパの雰囲気を醸し出す漫画が好物だったの。
でもねえ、何故かベルバラとかオルフェウスの窓とかは全く興味なかったから、やっぱり絵柄だと思う。

シメールを読んでからすぐに森川久美のコミックを探し、青色廃園とヴィネチア風琴だったか?を買って読んだ。
どっちも短編集だったけど、どれも凄くて参ったね。
特にリチャード三世の解釈。
それまでシェークスピアの描いた、せむし男のイメージが強かったから、ああいうナイーブなリチャードの書き方に感銘を受けた。
ヴェネチア風琴も良かった。あれ読んで、新婚旅行はヴェネチアって決めたんだから。

私が好きな森川久美の絵柄は「蘇州夜曲」までで、それからはあまり好みじゃなくなった。
これは仕方ない事だと思う。
この後にでてきた高口里純も私は「赤鼻のアズナブル」が最高だと、今でも思っているし、伯爵シリーズぐらいまでがギリギリ好きだったから。
自分でもそうだけど、絵描きが絵柄が変わるのは、当たり前だし、どれが正解なんてないんだから、描き続ける限りは、変わり続けるものだと思う。
どれが自分の感性に合うかだけだと思う。

さっき、私が描いたイヴ・ラクロウさん。
シメール
全く全然にてねえ~けどね~('ε`汗)
当時、まつげの多さとアイシャドウの凄さ、それと口唇を塗りつぶしてる絵が、たまらなく色っぽくて好きだったなあ~

なんかイヴのセリフで一番好きだったのは「神が罰さないのなら、私がこの世の摂理になるしかない」みたいなことを言ったところかな~。よく考えりゃ、勝手な男だったなあwww

昔を懐かしむ 1 - 2016.10.22 Sat

昔好きだった漫画のキャラを私の絵で描いてみるコーナー

最初は「妖精国の騎士」中山星香先生。

これ、かなり長い連載でしたね。
当時私は「プリンセス」は読んでいなかったのですが、下の子を出産した時、新生児黄疸で入院してしまって、私も発熱で普通より一週間程長く病院に入院していました。
総合病院だったので、三時間おきに授乳して小児科の子供に届けていました。
心配で落ち込んでいたけど、授乳するぐらいしかすることないので、売店で本買って読んだのが「プリンセス」なんです。
ちょうどローゼリィがグラーンのディオルトに掴まった時の話で、すごくワクワクして読んだのを覚えてます。
でも、その後は子育てが忙しかったので、わざわざ買ってまで読まなかったんですよね。
漫画が終わって、コミックになってから全部買ってよみましたね。
途中、結構話が長くて、くたびれた時もあったけど、読み終わった時は、ひとつの叙事詩を味わったようで、心に残りました。

一番好きなキャラは、間違いなくローラントです。
私はアーサーは初めから好みではなく、ローゼリィもあまり好きではなく、能天気で快活なローラントとどこまでも俺さまなディオルト事オディアル・ルーフィフィスなんですよ。
特にローラントは好きですね。
シェンドラと結婚するのは仕方ないとは思うけど、どうせならファラントとかとくっ付いて欲しかった…。
まあ、この漫画にBLを求めても仕方ないけどね~( -ω-)y─┛~~~

で、ローラントさん、描いてみた。


ローラント2

Assassin 5 - 2016.10.14 Fri

5
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    理玖王5


5、
 突然、現われた熊川(こもがい)弦十郎が何者か…私は過分の興味を持って、彼の心を覗いてみた。
 …
 驚いた。
 この男の感情…見事に負の意識がない。なんというか…迷いや憎悪、嫉妬などの暗い感情が全く見えないのだ。
 人はどこかに他人に見せたくない感情やら、自分に対する嫌悪感やら…様々な負の感情があるはずだ。
 私はともかく、日頃からとりわけ明るかった遮那だって、心の奥底には触れられぬほどの嫉妬や羨望が渦巻いていた。そのすべてが悪いわけではなく、負の意識を情熱や努力、向上心への原動力と変えていくことが各々にとって重要な過程であるべきなのだ。
 だがこの男にはそういう意識がない。
 目の前の熊川弦十郎の頭の中は、私と「魔切」への好奇心だけがすべてなのだ。
 そのあっけらかんとした心の構図…
 …人がこんなに真正直なはずがない。

「こりゃ、中々すげえシロモノだぜ」
「え?」
「この刀…まあ、刀身の長さから見りゃ、短剣と脇差の中間。緩く反った両刃造りもちょいと珍しいな。…まあ、五百年前程の備前辺りかな。出来は中々だが…おいおい、ここ最近…人を切ったな?血痕が残ってるぜ」
「…」
「ま、俺がちょいと研いてやるよ。同室の好で安くしといてやる」
 弦十郎は慣れた手つきで柄を外し、リュックから道具を取り出して、私の「魔切」を勝手に研き始めた。
 私はなにやら呆気に取られたままで、この状況に戸惑いつつも成り行きを見極めようとしていた。もしこの男が少しでも不審な行動に出たら、容赦はしない。だがそれよりも、全能力を使って見透かしても、弦十郎からは、嫌な気を感じる事が出来ない。
 
「この剣の出処が、おまえには分かるのか?」
 私はしゃがんで魔切を研いでいる弦十郎を見下ろしながら、問うた。
「ああ、大体ね。手に持つところを茎(なかご)って言うんだが、ここに刀工の名や場所が刻んであってね。…ほら、備前の祐定って読めるだろ?間違いなく良い刀だよ」
「備前ってどこだ?」
「ニッポンだよ」
「…」
「なんだ、知らないのか?ここらへんの大陸から比べりゃ小さい島国だよ。そうだな、明日辺り甲板にでて東を覗いてみたら、見えてくるはずさ」
「おまえはそこから来たのか?」
「いや、俺は生まれてこの方、ひとつの土地に落ち着いてたことはないね。親はニッポン生まれのニッポン育ちらしいが、この商売を始めてからは旅ばかりさ。まあ、俺は親の跡を継いだってわけ」
「そうか…」
「君さ、もしかして忍宇海のアサシンじゃない?」
「…」
「警戒しなさんな。鼻が利かなきゃこういう商売は続けていけないからね。ここらへんにそういう邨があるらしいって噂は聞いている。それにこの刀の使い方に残り血…君が只者じゃないって馬鹿でも判る。まさかこんなところで本物のアサシンに会えるとは思わなかったけどね」
「…」
「でもなあ、些かオーラを出し過ぎた。殺しは初めてだったのかい?」
「…」
「まあ、宿命とは言え、人を殺す商売なんて、あまり気持ちの良い仕事じゃないだろうしなあ」
「別に…なんともない」
「そうか?…ほい、出来た」
 弦十郎は研き終えた魔切を元通りにして、私に渡した。
 私は手にした魔切をじっと見つめ、私の正体を知ったこの男を始末するかどうか悩んでいた。

「おい少年、こっち来いよ。どうせ初めての旅なんだろ?ニッポンも知らないなら他の国にも行った事なんかねえんだろ?教えてやるよ」
 弦十郎は壁に貼ってある世界地図を叩きながら、私を手招きした。
 私は何故か素直に彼の傍に歩み寄る。

「これが世界地図、まあ航路が主なんだが、見たことあるかい?」
「いや、こんなに詳しいものは初めて見る」
「…お坊ちゃんなんだなあ」
「え?」
「だって忍宇海のアサシンは世界中からの頼みごとを請け負うっていうじゃないか。長旅は当たり前、世界の知識は半端ないって聞いたぜ」
「わ…私はまだ成人しておらん。それに邨を出たのは…初めてなんだ」
「…なんかわけありだな。確かにね、まだ子供の君が悲壮なオーラで一人旅って変だよな」
「子供じゃない。もうひと月で成人の証を貰えるはずだった…」
「はずだった…なのに、邨を出てきたんだ」
「…」
 なんだ、こいつ。私を誘導しているのか?
 この男の心の中は私への親しみ…と、言うか慈しみ…いや、愛情?
 …へ?モノにしたい…
 めちゃくちゃセックスしたい?
 …こ…こいつ……
 
「お、おまえは私を抱きたいのか?」
「へ?…すげえ、よくわかってらっしゃる。君、アルトかい?」
「ある、と?」
「魔法使い、能力者って意味。一般的な呼び名でアルトはその超能力を持つ者、それ以外はイルトと呼ばれる」
「ESP保持者って事か?」
「そう、アサシン稼業集団の忍宇海邨ってとこは、そういう能力に長けた者が多かったんじゃないのか?」
「…」
 
 この者にすべてを話しても良いのか…。
 私はあまりに世間に疎い。敵を見つける術も知らない。どこへ行ったら良いのかさえ、全くわからない状態だ。
 何かの情報が欲しい。
 裏社会に詳しいこの男の力を借りたい。
 何よりこの男は、私に好意を持っている。
 今はこいつを利用するのが最善の方法ではないのか?

「私は…赤羽理玖王と言う。つい最近の事だ。私の邨、忍宇海の邨は一夜にして何者かに滅ぼされた。そして私だけが生き残った…。私は邨を滅ぼした奴らを殺さなければならない。どうしても邨人の敵を討ちたいんだ。弦十郎、私に力を貸してはくれないだろうか?」
 私の頼みを聞いた弦十郎はしばらく腕を組んで考えていた。
 弦十郎の考えは、力を使うまでもなく頭に流れてきた。
 …
 弦十郎は私とのセックスしか頭になかった。
 私に殺されるかもしれないのに、真面目な顔で私とのセックスだけを妄想しているこの男が、私には可笑しくてたまらなかった。

「…おまえと言う男は、どスケベで大馬鹿者なのだな」
 弦十郎はちらりと私を見て「そりゃ、こんな可愛い子を目の前にして、勃たないゲイがいるもんかね」と、真面目に答えた。
 その言葉に私は思わず声をあげて笑った。
「笑った顔も可愛いやね」と、弦十郎が嬉しそうに笑った。

 ああ、そうだ。
 こんな風に笑ったのはあの日以来だ。
 …
 遮那はこんな風に笑える私を、責めるだろうか。
 


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Assassin 4 - 2016.10.03 Mon

4
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   理玖王3-1


4、
 私は案内すると言う男の後をゆっくりと追いつつ、辺りを眺めた。
 壁に立つ人影は如何わしさを漂わせ、すれ違う人の顔は怠惰に満ち、寂れた胡乱な空気に、小さく咳き込んだ。
「こういう場所は初めてかい?」
 男の問いに私は黙って頷いた。
「ここら辺は表通りと違って、浮浪者や外からの密航者も多くてね。犯罪に事欠かんよ。気を抜くとカツアゲされるどころじゃない。おまえさんみたいな可愛い子は特に危ない。警察も見て見ぬふりでなあ。ヤクザもんが居なくなってくれりゃあ、少しは平和になるだろうがねえ。そういう剛毅な奴はめっきり見なくなったよ。まあ、儂がついとりゃ大丈夫だ。安心しな」
 振り向きざまに笑う男の顔は滑稽さを通り越して、見難いものだ。

 歩を進める毎に、通りは暗さを増し、人影も無くなった。すると、間もなく狭い袋小路の広場に出た。
「ちょっとここで待ってておくれ。すぐに使いの者を呼びにこらせるから」
 男は私から離れ、そそくさと階段を登り、そのまま建物の中へ消えていった。
 暫くしてその扉から見るからにヤクザなガタイの良い男三人が、勇ましげに肩をそびやかしながら、階段を降りてきた。
 私を囲み、金品を出せと脅す。ついでに私を売りとばす算段が付いたから、今晩はじっくりとかわいがってやると下劣な顔で言う。
 私はそれに返事はしなかった。
 上を見ると建物のバルコニーから、あの初老の男が私を見下ろし、笑っているのが見えた。
「こりゃ中々の上物だ。娼館のボスにふっかけりゃ、高く売れそうだ」
「まあまあ、あんまり怖がらせるなよ。こんな綺麗なナリして、どっかのお坊ちゃんじゃないのか?」
「まあこんなところへひとりでくるのが悪い。諦めな」
「おい、なんとか言ったらどうだ?坊や。怖いなら泣き叫んでもいいんだぜ?まあ、助けになんぞ、来る奴はいねえけどな」
 笑いながら一人の男が私の肩に手を掛けた。
 それが始まりだった。
 私は腰に挿した「魔切」を鞘から取り出し、男たちを殺した。
 「殺し」は「一撃必殺」が真意である。
 「忍宇海」の暗殺術は、苦しむことなく「死」を与えることだ。
 多量の血を出さず、声を上げさせることなく、殺す。
 多分この男たちも自分がどうやって殺された事を知る暇もなく、命を失ったことだろう。
 
 ところで…
 私はさっきから自分に起こった奇跡的な事に、多少の興奮を抑えきれずにいた。
 能力の突然の発動とでも言おうか…。
 波止場で初老の男に肩を叩かれた時、私はこれまでとは全く違う概念を相手から受け取った。
 男の考えが私の頭に突如、言葉としてせせらぎの様に流れ始めたのだ。
 言うなれば「テレパシー」、もしくは「エンパシー」。
 お互いの考えを伝え合う術は、遮那と頻繁に務めてきた。この場合、お互いがお互いに伝え合おうと言う意志が働き成り立つという程度のものであり、兄たちからすれば、程度の低いESPで、とても仕事の役に立つ能力ではないと叱られた。
 だが、この鮮明さは何だ?
 この男の卑劣さ、愚劣さ、非道徳さが手に取るように頭に響く。
 私を騙し、陥れ、少しのお零れを授かろうと夢想する哀れな男…
 さて、どう利用すれば、一番利口なやり方か。
 私は邨で教えられたことを反芻した。
 実践は初めてだが、準備は万端であったと言ってよいだろう。
 だから、男が狼藉者に私を売る意志を確認し、私は安堵した。
 これで少しの良心も痛めることなく、万事を図る事が出来る。
 仕事は悪人が相手なら、容易く処されるのだ。

 三人の男たちの急所を突くと、男たちは声も無くその場に倒れた。
 それを観ていた男のバルコニーに、私は一目散に飛び移り、事の成り行きに縮み上がる男の頸動脈に刃先を向けた。
「報酬を払ってもらおう」
「な…なんのことだ…」
「じいさん、さっきここから狼藉者がいなくなって欲しいって、言っただろ?私が始末してやった報酬だよ。タダで殺しはしない主義でね。きさまがこの殺しの雇い主だ」
「…い、幾らじゃ」
「そうだな…。今夜の宿賃とパスポート代でいいだろう。すぐに案内しろ」
「…」
「言っておくが私に嘘は効かない。きさまの考えはすべてお見通しだ」
「お、おまえは一体…何だ?」
「噂に聞いたことはないか?私は…忍宇海のアサシンさ」
 男はギェッと言葉にならない声を出し、その場に腰砕けになった。

 男は的確に私の言葉の意味を理解したらしい。
 その夜は思ったよりも良いベッドで、静かな夜を過ごし、朝にはパスポートも出来上がっていた。
 その足で港に向い、チケットを買い、初めての旅客船に乗り込んだ。
 どこに行くかも知らぬまま、ただ消えかかった「蘭陵丸」と言う船名に惹かれて選んだ航海船だった。
 タラップを渡る時、私の育った峰を振り返り、もう帰る事はないだろうと、感傷的になった。
 殊に遮那を想うと涙が出る。

 不思議だ。
 昨晩、私が始めて殺した男三人に、私は微塵も感慨を感じなかった。
 哀れさも楽しさも罪悪感の一欠けらも沸き起こっては来ない。なのに、遮那を想うだけで、こんなにも胸が痛い。
 もっと早く私が能力を身に着けていたのなら、邨があんなことにはならなかったかもしれない。それとも、能力が導かれたのは破壊された邨のおかげなのか?
 邨を想うと辛さが募った。
 何を思おうと、時間は戻らず、あの邨人達の声を聞くことは不可能なのだ。

 案内された二等客室は狭い二人部屋だった。
 二段ベッドとソファにテーブル、小さな丸窓を覗くと海が見えた。
 ドラが鳴り、船はゆっくりと港を出港した。
 
「お~、ここか~」
 突然、一人の男が部屋へ入ってきた。
 無精髭にぼさぼさの黒髪、典型的なモンゴロイドの顔形、大型のバックパックを背負いくたびれた黒コートを来た壮年の男だ。
 
 本当はこの貨客船に乗る際、私は一人部屋を選びたかった。何故なら、昨夜からテレパシーに制御が効かなくなり、私の周りに居るすべての人の考えが、頭に勝手に入り込み、五月蠅くて仕方ないのだ。
 だが、一人部屋は空いておらず、仕方なく二人部屋を選んだ。
 一人ぐらいなら、我慢はできるし、怪しい者なら消せば済む。死んだとしても海に投げ込めば、大事にはなるまい。

「ほ?へえ~、あんたひとりかい?」
男はソファに腰を下ろし、ベッドに腰掛けた私を見定める様に目をキョロキョロさせた。
「そうだ」
「そっか~。まだ若いのに一人旅たあ、大変だね。俺は熊川(こもがい)弦十郎。フリーのアームズコーディネーターだ。ま、よろしく頼むよ」
「ア…武器、コーディネーター…?」
「え?君、興味ある?そうかそうか。まあ、簡単に説明するとだなあ、武器の需要と供給を調達する仕事でね。欲しい武器や新しい武器の注文を受けるだろ?その仕入れとか開発企業とかとにね、金品のやり取りとかさあ、メンドクサイ手続きを円滑に調整する仕事なのよ。個人は元よりわけのわからん団体、でけえ国の王さまとだって取引するんだぜ。俺、すごくね?」
「…いや…よくわからないが…」
「そう、残念。つうか、君、ちょっとその刀、見せてくれねえ?」
「カタナ?」
「そうそう、君の腰に挿してる奴よ」
 弦十郎とか言う男は、目をキラキラさせて、私の「魔切」を指差す。
 私は布に巻いた「魔切」を解き、差し出した彼の手に渡した。同時に、相手の感情を読むためにその手をそっと握りしめた。

 もし、この男が私の敵(かたき)であるのなら、私の旅はすぐにも終わるのに…などと、夢事を思うのは私の弱さなのだろう。



Assassin 3へ /5へ
 
理玖王の事を思うと、やっぱり辛すぎるので、ポジティブん弦十郎が居てくれて、書いてる私もホッとします。まあ、すぐに別れるけど…。理玖王はどんどん泥沼に落ちていくからなあ…


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