FC2ブログ
topimage

2016-12

蛍の光 - 2016.12.31 Sat

大晦日ですね。

こちらは比較的暖かい日になりました。

2016年も終わります。
来年も良い年でありますように。

丁度、蛍丸のイラストがあったので、今年の最後にお目汚しを。

   2017年賀状蛍丸-3

来年もよろしくおねがいします。

メリクリ! - 2016.12.24 Sat

こちらは暖かなクリスマスイブです。

今年はクリスマスイラストにしましたよ。
アーシュが恋ダンスを踊った…の巻です。
普通にしても恰好がつかないので、ジョジョ立ちでの恋ダンスですけどねww
アーシュくんは次回登場なので、書く方も楽しみです。

恋ダンス

日頃、あまりテレビドラマは見ないのですが、逃げ恥は珍しく観ましたよ。
今期は連続ドラマは真田丸とこれだけですね。
単発はNHKのドラマが多かったかな。
夏目漱石をやった長谷川くんの「獄門島」の金田一さんは良かったなあ~。

アニメの方は…まあ、「ユーリ」は覇権アニメでしたね。
ホモホモしいけど、根っこがスポコンものだったので、楽しめたし、ちょこちょこと背景やらの遊びが見てて楽しかった。
リアルはフィギュアは町田君以来、あまり観なくなったので、久しぶりにスケートを楽しむ事が出来ました。
二部はあるのかなあ~
まあ、同人誌はめっちゃ賑わうでしょうね。
キャラがみんな、愛おしいもんねえ~

若い頃のヴィクトルが描くのはいいね。
あと、街でトイプードル見つけると、「マッチカン!」と「ヴィクトル!」と、思わず叫んでしまうようになりました。
かわいいなあ~ワンコ

ヴィクトル


と、言う事で、皆さん、楽しいクリスマスを。

メリークリスマス!

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村



Assassin 9 - 2016.12.16 Fri

9
 イラストはサムネイルでアップしております。
 大きく見たい方は、イラストをクリックしてくださいね。
 

  理玖王9-1

9、
 十日間の列車の旅を終え、終点のキエフへ着いた。
 そこからは弦十郎の仕事先を巡りながらいくつかの国を経て、ポルシカという国へ辿りついたのは邨を出て、ふた月程過ぎた頃だ。
 目的は敵(かたき)探しであっても、邨から出たのは初めてだったから、どの風景も、何を見ても、驚きと感動の連続であったのは正直否めない。
 あまりの興奮に時々、このまま弦十郎と一緒に旅を続けられたら、どんなに楽しいだろうかと、心が弱る。

 弦十郎は私が知りたい世界を教えてくれる。
 世捨て人のような事を言うと厳しく叱ったりする。
 そのくせ、弱い私を思い切り甘やかし、抱きしめてくれる。
 弦十郎の胸は温かい。
 兄達とも遮那とも違う、私を自由にしてくれる温かさだ。
 弦十郎に抱きしめられると、私は泣きそうになってしまう。
 このまま弦十郎といたら、私はアサシンではいられなくなる気がする。
 アサシンでない私に、存在の意味があるのだろうか?
 アサシンの邨に生まれ、アサシンの長として生きて行くと決めた私に、今更違う運命など受け入れられるはずもない。
 ましてや、邨と仲間たちの敵を討つ者は、私しかいないのだ。

 弦十郎はシュテーンの街のホテルに着くと、すぐに私を置いて仕事に出かけた。
 日頃は私に「用心棒になってくれ」と言い、傍に居る事を望むのに、仕事に関しては私を関わらせたくない様子だ。
 だけど、本当は弦十郎はボディガードなど必要ない程に腕が立つ。
 武器商人だから、身を守るぐらいの用心深さと技力を持つのは当然だろう。
 弦十郎が何を考えているのかは、ESPで読めるとしても、彼にとって、私はどんな存在なのかは…わからないんだ。
 
 その夜、弦十郎は私に大事な話があると言う。

「前に話しただろ?ホーリー・スピリット・コミュニオンって組織の事」
「…ああ、魔力の無い人間が、魔術師狩りをして世界をよくするとかなんとかの話だったな」
「…すげえ話を端折ったなあ~。まあ、いいか。理玖、明日そのハールートの右腕って言われる灰色の魔術師と会って来いよ」
「え?」
「その魔術師さんは時々、お悩み相談とかやってるらしくてな。人気があるから、無理かなって思ったけど、なんとかアポイントが取れたのさ。すげえ魔法使いって言う噂だから、理玖の敵(かたき)の情報もわかるかもしれないぜ」
「…」
「なんだよ」
「いや、弦十郎が本気で私の敵打ちを手助けしてくれるとは、思わなかったから」
「理玖がそれを望んでいるのなら、協力してやりたい。それが愛する者の務めですよ」
「茶化すな」
「茶化してない。理玖は俺が本気で愛しいと思った男だよ。できるなら…アサシンなんて稼業は辞めて欲しい。…なーんてな。武器商人の俺が言っても、説得力ゼロだな…」
「…」
「まあ、会うだけ会って来いよ。少しは気持ちが落ちつくかも知れないじゃんか」
「…ありがとう、弦十郎」

 弦十郎の優しさが心に突き刺さる。
 私は、こんな風な思いやりを与えたことも、受け止めたことも無かった。
 「愛」とは、こんなにも重いものなのか…
 「愛」を互いに重ね合う事が「幸福」であり、それを求めて生きることが、人生の目的であるならば、私の生き方は「幸福」とは言えまい。
 だが、私は「愛」や「幸福」を望んでいたわけでもない。
 では、私は何の為に生きていくのだろう。
 何の為に生きるべきなのだろう…
 「敵」を探し、目的を果たした時、私は何が得られるのだろう。
 生きる意味を得る事ができるのだろうか…。

 翌日、私は弦十郎が教えてくれた魔術師に会いに、コミュニオンのある建物を探した。
 シュテーンは古い街だ。
 あちこちに百年を越えた古い石で出来た建物が多い。
 ゴシック式と言い、古い宗教観があるらしいが、私には無駄な装飾が多くて、好みではない。
 目的の場所はその妙な建物の間にある、目立たないシンプルな聖堂だった。
 簡素な門を潜って、受付を済ませ、フロアに行くと、多くの人が集まっていた。
 多分、弦十郎が言った通りに、灰色の魔術師に会う為の訪問客なのだろう。
 私もそのひとりと思ったら、何だか可笑しくなった。
 何の害のない老若男女とアサシンの自分が同じ場所に居る圧倒的な違和感を嗤わずにはいられない。

 しばらくその様子を見ていると、廊下の奥に行く時と十数分後に出てくる人の様子が全く違う事に気がつく。
 名前を呼ばれ、係りに連れられる時は不安そうな顔をした人が、こちらへ戻って来る時は、充実した顔をしているのだ。
 「お悩み相談」とは聞いていたけれど、適当に怪しげな魔術を使っているのだとしたら、頼まれなくても始末しても構わないだろう。
 人の悩みが魔法や言葉で解決できるものなら、そんなものを抱えていること自体、馬鹿馬鹿しくて自己嫌悪になるだけだ。

 私の名前が呼ばれ、私は灰色の魔術師のいる部屋へ通された。
 あまり広くない部屋に向かい合わせの椅子があり、そこへ座り、魔術師の登場を待つ。
 すぐに次の部屋から早足で入ってきた男は、私が思うよりも若かった。
 灰色の魔術師と呼ばれるように、薄いグレーの髪を長く伸ばしている。瞳は濃いグレー、背が高く顔は整っているが、モンゴロイドとコーカソイドが混じったユーラシアンだろう。
 彼は簡単な自己紹介をし、私の前に立つと「少し頭の中を見せてもらってもよろしいか」と、言った。
 私が頷くと、彼は私の頭に右手を置き、しばらくスキミングを行った。
 手を離し、私の顔を改めて見直しと、少し柔らかい顔で「君はなかなかの能力者だね」と、言った。
 そして、「僕の事を疑っているみたいだから、どうぞ、君の魔力で覗いてみるといいよ」と、言い、私に握手を求めた。

 「灰色の魔術師」イスファール・ファルマーンの頭の中を、私は全身の力で透視を試みたが、それは叶わなかった。
 彼は確かに強い魔力を持つ魔術師なのだろう。

イスファーク・ファルマーン-1

「さて、君の頭の中の話によると、君の邨が何者かによって一夜にして滅ぼされたという事だね。その首謀者を探しているんだね」
「そうです」
「君の邨は暗殺集団の集まりだったらしいが、心当たりはないのかな?」
「…あるだろうけれど、私には見当もつかない。…私は子供だから何も知らされていなかった」
「では、邨が襲われた夜、君が見た出来る限りの記憶を僕に見せてくれませんか?」
「…」
 私は一瞬ためらった。
 何故なら、何もできなかった情けない自分をまた自覚しなければならないからだ。
 それでもこの魔術師が私の敵の情報を知り得る事ができるならと、記憶を読ませることを承諾した。
 私は魔術師の正面に立ち上がり、お互いの両腕を絡ませ合い、見つめあった。
 魔術師の魔力が血の流れの様に、私の身体を巡っていくのがわかる。
 私は出来るだけ、あの夜の記憶を彼に見せる努力をした。

「君には三人のお兄さんがいたんだね」
「そう…だ」
「その兄君たちは邨が襲われた時、仕事に出て邨には居なかった。何故、彼らが帰るまで待てなかったのかね?」
「…自分だけ生き残っているのが…嫌だったからだ」
「そう…。でも帰るのを待って、兄君たちに状況を説明するのが、一番早い解決方法だと、一般的には考えるけどね」
「私は…邨の長になる者だった。四男の私が長に選ばれたのだ。その意味がわかるか?…邨を守れなかった私に長の資格はない…。どのツラ下げて兄達に会えると言うのだ。兄達に会うくらいなら、死んだ方がマシだ」
「…君の事情はわかりました。だが、申し訳ないが、僕の魔力をしても、君の邨を襲った犯人の姿は見えないんだよ。…到底イルトの仕業とは思えない」
「…」
「ああ、イルトってわかります?」
「ESP、魔力を持たない人々の事だと聞いた」
「そう、そして魔力を持つ者を総称してアルトと言う。君の村を襲った者はアルトの中でも相当な能力を持つものだろうね。僕の魔力で皆目見当がつかないのだから」
「…アスタロト・レヴィ・クレメントを知っているか?」
「え?そりゃ…あの男の名前を知らない魔術師がこの世界にいるものかい」
「そいつなら、私の邨を一夜で滅亡することぐらいはできるのだろう?」
「そいつは面白いな。まあ、冗談として受け止めるよ。気が向いたらやりそうだけど、果たしてあの男がそんな辺境に気が向くかどうか…」
「アスタロトを知っているのか?」
「知るも何も…彼とは少々因縁がありますから。ロクなものじゃないけどね」
「ここを出たら、会いに行こうと思う」
「彼にですか?」
「そうだ。アスタロトが本当に私の敵なのかどうか、見極めたい」
「それはそれで良いけどね…。まあ、会えばわかるけれど、アスタロト・レヴィ・クレメントは本物のバケモノだよ。…充分気を付けて」
「…」
「君の邨の事は、こちらも情報を集めておきましょう。ひと月…まあ、ふた月あれば、何かわかる事もあるだろうからね。その頃にまた来るといいよ」
「…何故」
「え?」
「何故、そんなに会ったばかりの私の為に、力を貸してくれるのだ?大した報酬を払うことはできないかもしれないのだぞ」
「報酬など…。こう見えてもうちのコミュニオンは色んな副業で儲けているのでお金には困っていないんだ。まあ、折角の能力があるから、使わないのはもったいない…って事かな」
「…」
「君だって、自分の魔力の限界を知りたいだろう?案外、そういう好奇心が人を幸福にも絶望にもさせるものじゃないのかね」

 灰色の魔術師の言葉が私の心に突き刺さる。
 私は…何か大事なものを見落としてはいないだろうか…



Assassin  8へ /10へ

なげえ~('ε`汗)
クリスマスが近づいてきたよ~。なんか書けるといいんだけど…未定だ~


お気に召しましたらポチなどして頂ければ、嬉しく思います。

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

昔を懐かしむ 5 - 2016.12.05 Mon


昔好きだった漫画のキャラを私の絵で描いてみるコーナー

今回は「ポーの一族」です。

なんか急にアランと出会った学校の制服を描きたくなって、描いてみたお。
エドガーとアラン

意外とアランが難しい。似てねえし('ε`汗)

ホントはコレ、下の靴下とブーツが揃ってカッコいいんですよね。
1972年に描かれているんだけど、すでにデザインが完璧というね。
ここらへんの背景とかの書き込みは素晴らしく素敵で、今でもこういうセンスの方はなかなかいないのでは…

個人的にポーシリーズの一番好きな絵柄は、75年辺り「エヴァンスの遺書」「ペニーレイン」が最高だと思ってます。
リアタイで読んでいたんですが、子供でも分かるぐらいに少女コミックでは異質の絵柄に見え、何か異次元の漫画を見ている気がしました。
でも田舎なので、当時コミックよりも「フレンド」の「アリエスの乙女たち」とか「はいからさんが通る」の方が人気があり、週刊で書かれてた「トーマの心臓」などは、周りの皆は全く読んでなく、エドガーやオスカーの事を話せるのはたったひとりの友人だけでした。

今にして思えば、中学生では難しかったテーマではあったんですが、絵の凄さにやられましたね。
結局、後々その友人とは同人誌の仲間となり、今でも交流があるんですけどね。
絵を描ける友達が彼女しかいなかったという事です。
まだ漫画を描いてると、大人から怒られる時代でしたからね。

この間、久しぶりに「ポーシリーズ」が描かれたそうなんですが、手に入らずにがっくり。
画像で調べて、少し内容の絵を見たんですが、やはり相当変わっていましたね。
それは当然の事で、きっとエドとアランの中身は変わらないとは思いますけどね。
まあ、エドガーがジェルミにそっくりな目なので、怖かった…と、だけ言っておこうかな~。
でも「残酷な神が支配する」は、ポーシリーズの次に好きな作品なのですよ。特にイアンが好物で好物で~

私が今、エドガーを描いてみたら、こうなると思って少し前に描いた絵。
エドガー9

今の十四歳はもっと、男らしい身体つきなんだろうけど、あの時代なら、少年の華奢があってしかるべきですよね。
因みにうちの息子も十四の時、145センチでめっちゃ細身で、声代わり前でしたからねえ~

Assassin 8 - 2016.12.03 Sat

8
 イラストはサムネイルでアップしております。
 大きく見たい方は、イラストをクリックしてくださいね。


アーシュ学生-1

8、

 嘘か真か、それは、あっと言う間の出来事だった。
 出会ったばかりの名も知らぬ少年の手を取り、円盤の光に包まれた瞬間、俺の身体は宙を浮いていた。
 それから、しばらく暗闇の中を浮遊し(多分煙草を一服喫う一時よりも短いであろう)、辺りが明るくなって、真下を見ると、どっかの町が見えた。
 少年が「一応、ニッポンの真ん中辺りにワープしてみたけど、弦十郎の言う桜は見えないな」と、言うので、地形的に大阪辺りだと思い、「もう少し東の方」と答えた。

 俺の腕を掴んだまま少年は、吉野の山に向けて飛んでいく。
 あちらとは違い、ニッポンは夜が明けたばかりで、朝日が山肌にまぶしい程に反射して神々しいぐらいだ。そして、山の峰に沿って咲き誇る薄紅色の白山桜が緑の山木から割れる様に見えてくる。
 まさに息を呑むような絶妙なコントラスト。
「ホント、素晴らしい景色だね」と、ゆっくりと地面に降りながら、少年が言う。
 それに応える余裕もなく、俺は地面に足が着いた途端、舞い落ちる桜の花びらを子供の様に追いかけた。

 ああ、そうだ。
 まだ母が生きていた幼い頃、親父と三人で花見へ出かけた事があった。
 旅廻りばかりの親父は滅多に家に居る事がなかった。
 勿論、俺がそんな親父に懐くわけもなく、親父もじっと睨む俺にどこか戸惑った顔を見せた。そんな中、母親だけが、嬉しそうに親父に寄り添うのだ。
 俺には何も言わなかったが、母はどんなにか寂しかったことだろう。
 あの時、こんな風に桜の舞う下で、母は親父の隣で幸せそうに微笑んでいた。俺は穏やかに優しいふたりの姿を見て、子供らしく昂揚し、はしゃいでいたんだっけ。
 母が死んだのは、俺が九つの時だ。
 親父は仕事で居なくて、俺はひとりで母の最期を看取った。
 母は死ぬまで父への愚痴は一言も言わなかった。
 そんな母が不憫で俺は、親父を恨んだ。  
 だが、ひと月後、母の墓の前で泣き止まぬ親父の後姿を見た時、俺は親父を許そうと思った。大人だからって誰しも完璧な人間にはなれぬものなんだと、悟ったからだ。
 それから、親父は俺を連れて、それまで通りの武器商の旅に出た。
 親父は死ぬまで故郷の地を踏まなかった。だが最後の時に、桜を見たいと言った親父の為に、俺は母と同じ墓に親父の遺骨を埋めた。
 ここには両親の墓はないけれどさ…はらはらと舞い落ちる桜をこうやって眺めているだけで、ふたりの供養になるなあ、なんてね。
 自己満足のノスタルジーに酔い痴れても構うまい。

 濡れた頬を両手で拭き、あの少年に目をやると、少し離れたところでじっと上を見て立っている。
 しかもその姿が、桜の花びらで頭の先から薄いピンク色の布を纏ったみたいだったから、思わず笑おうとした。そしたら少年の顔がちょうどこちらを向いて、ニコリと微笑んだんだ。
 さっきまで暗闇の所為で、彼の顔なんてよく見えてなかったし、掛けていた眼鏡はいつしか外れていて、なんだがさ…妙にときめいてしまってさあ…。

 にこやかにゆっくりと彼が近づいてくる。
 歩を進める毎に、彼の頭や肩から花弁がはらはらと落ちていく様も幻の様に麗しく、それ以上にその顔は喩えようもない美しさで、絹地のような肌に薄い桜色の頬、薔薇色の整った口唇。そして、大きく黒い二つの眼(まなこ)には、幾つもの星空が煌めいていた。
 俺は確かに見惚れていた。
 少年はきっとアホ面した顔がよっぽど可笑しかったのだろう。突然声を上げて笑い出した。
「なんだよ、弦十郎は桜の花より、俺の顔に見惚れているのか?」
「へ?…ああ、まあ、そうだ」
 こいつが人の頭の中を簡単に読む魔術師だと言う事を、うっかり忘れるところだった。
 しかし、それも後の祭りで…
「弦十郎は俺みたいな美少年好きなのか」と、あからさまに俺を嘲笑う。その仕草がまたなんともねえ、小悪魔みたいにそそるわけさ。
「え…ま、まあ、君みたいな綺麗な子を好きにならない奴はいないさ」
「そうね。確かにモテてモテてしょうがねえけどねえ~。でもね、俺には大事な恋人がいるからさ。弦十郎とはセックスできないなあ~。悪いね」
 こちらの浮かれ気分をあっさりと断る潔さに、僅かな期待も木端微塵と散る。その速さときたら、目の前の桜の花びらが舞い落ちるスピードよりも速い。
「いや、いいけど…と、いうか、恥ずかしいからやめてくれ。妄想する事と口にする事と実行する事は別物だ。偉大な魔術師だろうが、言いたくない事をわざわざ引きずり出すのは、悪趣味だ…と…思う」
 言いながらも、自信を無くすのは、絶対的に勝てないとわかっているからだ。
 だが、少年はあっさりと、自分の非を認めた。
「ああ、ごめん。人の心を勝手に読むのは俺の悪い癖だ。表面上の言葉と裏腹な心のご託を読むのは、くだらねえ小説を読むより面白いからな。だが、弦十郎は良い男だから、これからは出来るだけ真っ当に付き合うように努力するよ」
「…」
 本当にわかっているのか甚だ疑問符が残る態度だが、慢心は美少年の特権だと理解する俺はそれ以上突っ込むのを諦めた。

「じゃあ、そろそろ帰ろうか」と、来た時と同じように差し出した少年の手を、俺は迷うことなくしっかりと繋いだ。
 その後の事はよく覚えていない。
 多分同じ場所に戻ったところまではなんとなく覚えているのだが、桜吹雪の眩しさと、不思議な少年の言動に酔ったのだろう。
 いつ少年と別れたのかさえ定かではない。
 翌日、俺は自分の泊っているホテルのベッドで目覚めた。

「ありゃ、夢だったのか?」と、呟いてみたが、シャツのポケットにひとひらの桜の花びらが紛れ込んでいたのを見つけ、思わず苦笑した。
「なんて夢を見せてくれたんだよ」
 名も知らぬ魔法使いの少年に、俺は恋をし、あっさり失恋し、そして今は恋煩いだ。
 
 その日、俺はサマシティの商工取引所の所長から呼び出された。
 急いで行ってみると、サマシティでの武器商売を許すと命じられた。昨日までとは様変わりした態度に何があったのかを問いただすが、笑うだけで答えてはくれなかった。
 もしかしたら、あの少年の所為なのか?
 そう思った俺は、昨夜、招待された館へ行き、当主に事情を説明した。

 伯爵であるエドワード・スタンリーはサマシティでもトップの大企業「セイヴァリ・カンパニー」という、貿易会社の社長でもある。
 俺の苦手の豪奢な金髪と碧眼のいけすかねえ見るからに高慢ちきな顔をしてるが、あの少年の事を話すと、彼は笑って「ああ、アーシュに気に入られたのなら、この街では何をしても構わないさ。いわゆるお墨付きって奴だ」
「え?アーシュ…。あの少年にはそんな権限があるんですか?」
「少年?…ああ見えてもあれはそれ相当な大人なんだがね…。君ねえ、幾ら東方の田舎の国育ちだとは言え、アスタロト・レヴィ・クレメントの名前くらいは聞いたことはあるだろう?」
「アスタロト…。あ、あの聖光革命を鎮圧した魔術師ですか?」
「そうだよ。この地上の魔王ともバケモノとも呼ばれる偉大な魔術師がアレだよ。…まあ、あいつもマジで変人だからなあ。変人は変人を呼ぶってねえ。仕方ないね。これからは私も君との取引を許可するよ。よろしく、熊川弦十郎君」
「よ、よろしくお願いします」
 
 アスタロト・レヴィ・クレメントのおかげで、俺はサマシティでの商売を許される事になった。
 アーシュと呼ばれる少年…に見える魔術師は、この街の中心にある「天の王学園」と言う寄宿学校の学長であると教えられ、またしても驚愕。しかし、どうしてもお礼を言いたくて、天の王学園を尋ねようと思った。
 門前までは行ってみたが、俺にはどうしてもその門を押し開ける事はできなかった。
 理由は…
 怖かったからだ。
 それは、何も感じることのないイルトの俺が、唯一怖れた場所だったんだ。

  ※

「それってどういうことだ?強大な魔力を感じたって事なのか?」
 私は弦十郎の長い話に聞き入ってはいたが、何よりも「アスタロト・レヴィ・クレメント」の事を知りたくて仕方がなかった。
「なんだろな。俺みたいな普通の人間が居るべき場所じゃないってことかなあ~」
「…もしかしたら…」
「え?どうした?理玖」
「そのアスタロトという魔術師だったら、私の邨(むら)を一晩で滅ぼす事など、わけはないんじゃないだろうか…」
「馬鹿な事言うな。そんな事をする意味がどこにある?思い過ごしも甚だしいんじゃねえのか?」
「…敵(かたき)じゃない証拠もないじゃないか。魔王、バケモノって言われるほど恐ろしい魔術師なんだろう?…誰かがその男に頼んで、私の邨を滅ぼしたかもしれない。弦十郎だって、私の邨が誰に復讐されてもおかしくないって言ったじゃないか」
「理玖…俺はそんなつもりで、話したわけじゃないよ」
 これ以上私の言葉を聞きたくないと言う体で、不機嫌な様で弦十郎は部屋を出て行く。
 そんな事は少しも気にならない。
 今や、私の頭の中には「アスタロト・レヴィ・クレメント」の事だけしかなかった。
 
 あいつだ。
 あいつが私の邨を滅ぼしたに違いない。
 私はその魔術師を探しだし、殺さなければならない…。



理玖王5-9

Assassin 7へ /9
 


お気に召しましたらポチなどして頂ければ、嬉しく思います。

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

昔を懐かしむ 4 - 2016.12.02 Fri

昔好きだった漫画を描いてみるコーナー。

古屋兎丸氏の漫画、「ライチ☆光クラブ」です。

ゼラ

大分前に描いたイラストですけど、これ以上描ける自信はありません。
それくらい当時、入れ込んだ作品です。

もともとこの話はホラー舞台劇からの作品なので、突っ込みどころも多いし、なんで?って感じで終わるんだけど、古屋さんの画力が凄いので、のめり込んで読んでしまいましたね。
私はこの後、三島の「午後の曳航」って作品を読んで、主人公の少年「登」の友人が「ゼラ」にそっくりなので、これを読んでこの作品が出来上がったんじゃないかと思いましたね。
この少年グループの純粋な悪党さがゼラ達と同じ目線なんですよね。

古屋さんの「インノサン少年十字軍」って作品も面白いです。
実際にあった話なので、興味深いしね。
この実際の話の続きが、三島の書いた「海と夕焼」に書かれてあるけど、(もちろん作り話だろうけれど)、それも素晴らしいので、併せて読んで欲しい。
私もね、漫画を読んだ時、あの時、海が割れなかった事が一番ショックだったろうなあ~って思うのと、少年にとって、良い大人と巡り会うのは難しいって思ったよ。
だから、私は良いオジサン達を書きたいのかもしれないなあ。

ライチ光

NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

プロフィール

サイアート

Author:サイアート
イラストと駄文を更新しております。

少年愛を中心としたシリアス重視なオリジナル作品でございます。

ゆっくりしていってね~

サイズを記憶するフォントサイズ変更ボタン

文字を大きくする 文字を規定のサイズに戻す 文字を小さくする

ツリーカテゴリー

Script by Lc-Factory
(詳細:Lc-Factory/雑記)

最新記事

FC2カウンター

リンク

このブログをリンクに追加する