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2018-09

大分涼しくなりました~ - 2018.09.26 Wed

この前まで、すげえ暑かったのに…と、考えると、ホント季節って不思議だし、その分、洋服は増えてしまうよね~
半分は衣替えしました。けどまだ半袖でも大丈夫な日もあるし…
風邪引かない様に、上に羽織るものを着たり脱いだりして過ごしてます。

まだ一度も観劇はしてないんですけど、ファンです!(*'ω`*)ゞ

↓メサイヤ天草四郎さん。

メサイヤ-13

描いてて思うんですけど、明日海さんが一番美形の青年に見える要因は、やっぱり顔の輪郭なんですよね。
どの角度から見ても、完璧に美青年になりうる稜線の持ち主なんですなあ~
美声にしても天性なものだろうけど、磨くことができる。演技も同じ。
でも顔の輪郭は生まれ持った形容なので、ほんとうに恵まれているなあと思う。
ただし男役としては完璧だけど、女の役者さんだと、また違うだろうね。
天海さんとかも女らしい顔立ちじゃないし。
でも、宝塚の男役としては、完璧です。

まあ、私はDVDで楽しむくらいで良いかな~と、思ってます。

Again 5 - 2018.09.19 Wed

5
 イラストはサムネイルでアップしております。
 大きく見たい方は、イラストをクリックしてくださいね。
 

  ハルとルスラン-3-1


ハールート 3

 僕は図書館で出会った「ルスラン」の事が忘れられなくなった。
 恋人のミカは、ルスランとはクラスメートで、仲も良いらしい。

「ルスランの事が聞きたいって?あれあれ、通な君もとうとうルスランに目を付けたってわけか…。それで、ハルはルスランと寝たいのかい?」
「駄目?だって、彼、インプレシブで、なんとなくミステリアスじゃない?そういう男に僕、興味あるなあ~」
 ベッドの中では、誰もが優しい。
 ミカの腕の中で、他の男の話なんて、嫉妬心に火が点くかもしれないけれど、それはそれで、楽しい。
 でもミカは至って真面目な顔をする。

「ルスランはいい奴だけど、お勧めはしないよ」
「どうして?」
「彼は一度寝た相手と、二度は寝ないんだ」
「どういう意味?」
「あいつはモテるし、それに優しい。お誘いを受けたら、一応は応じる。だけど二度目は無い。本気で人に惹かれたり、愛したりしないそうだ。本人は面倒臭いからだと言うけどね」
「…ふ~ん」
「益々興味が増したって顔だね」
「だってさ、そういう男をこちらに振り向かせるのって、奮い立つもの、でしょ?」
「彼を見ただろ?あいつは相当に強い魔力を持つアルトだ。ハルのカリスマも通じまい」
「そんなの、やってみなきゃわからないじゃない」
「…君のそういうとこ、僕は嫌いじゃないけどね」

 ミカはそう言って、僕の身体を軽々と抱き上げ、自分の胸に抱き寄せた。

「ハルはまだ子供だからわからないかもしれないけどさ、…人は誰だって、誰にも見られたくない秘密を持っている。勿論ルスランにもね。僕はルスランのいい友人でありたいから、彼の奥底を覗いたりしない。それが、友人であり続ける秘訣だと思っているのさ」
「…」

 僕はミカとは違う。
 僕はルスランのすべてが知りたい。
 彼を理解したい。
 もし、彼の魂が暗闇に隠れているのなら、僕が光指す庭に引きずり出してやろう。
 もし、彼の過去が暗いものなら、明るい未来を僕と一緒に歩ける為の努力をしよう。
 もし、彼が…
 僕の恋人になってくれたなら、
 僕は、どんなに嬉しかろう…

 ひと目見ただけなのに、どうしてこんなに惹かれるのだろう…
 本物の恋は、魔法にかかった如く…なんて言うけれど、僕は彼の魔法に操られているのかしら。
 そうだったらいいな。
 彼の意志が、僕を求めるなら、僕はなんでもあげるのに…


 ルスランは「天の王」の特待生だ。
 特待生は、授業料が免除になる代わりに、成績優秀、品行方正でなければならない。
 成績優秀はわかるけれど、「天の王」に品行方正や生徒なんて、どこにいるのさって話。ちゃんちゃらおかしい。
 聞いた話によると、彼はメジェレ公国の公子と言う話だから、貧乏ではないはずだけど、休日は図書の整理や教師らの資料をまとめたりと、アルバイト的なものもやっているらしい。
 公子なのに、不思議な人。なんだか益々興味が沸いてしまうじゃないか。

 彼の姿を見つけるには図書館に行けばいいと、ミカから教えられたけれど、中々捉えられない。
 自習室は覗き窓から見ればわかるけれど、資料室に入る為には司書の許可が必要になる。結構面倒なんだ。
 最近来た新しい司書は、見慣れない東洋系の男。長い黒髪と冷たい目。何を考えているのかわからない顔で、僕を見る。
 僕の下心まで読まれそうで、近づきにくい。だから書架と資料室の受付には近づかないで、図書館や自習室の入り口付近をウロウロと。


 何度も図書館へ出向いていた或る日、自習室に居るルスランの姿を見つけた。
 勿論、ひとりきり。
 僕はドアをノックし、ゆっくりと開けた。
 机を向こうにしたルスランはベッドホンをしているからか、こちらを見ようとしない。
 僕はドアをそっと閉めて、彼の後ろ姿を見つめていた。

「僕になにか用?」
 驚きもせず、ルスランは上半身を捻り、僕を振り返った。
「あ…ごめんなさい。勉強の邪魔だった?」
「うん。次の授業、ケルト語のスピーチだからね。ちょっと忙しい」
「…勉強、好きだね」
 それには答えず、彼は僕から視線を離し、机の方へ向いてしまった。

「知識を得ることは、見えないものが見えていく様に似ている。見なくて良いものまで、目に映ってしまうけれど、見れずにいられないのは、人間の罪…」
 窓からの光に淡く輝く白金の髪を掻き上げ、穏やかなテノールの声が、僕の耳に響く。まるでミンストレルの如く…

「…誰の格言?」
「僕の母」
「そう…なんだ。あの…さ」
「何?」
「頼みがあるんだ」
「どんな?」
「僕と…その…付き合って欲しい」
「…君、ミカの恋人なんだろ?」
「そう…だけど、ミカの許しは得ているし、一度だけ寝てくれるだけでいいんだ」
「一度だけ…ねえ」
 そう言うと、ルスランは少し笑いながら、「いいよ」と。
「ホント?」
「一度だけなら、断る理由は無い、だろ?礼儀だよ」
「じゃあ、今晩、僕の寮室へ来てくれる?一号館の四階、特別室だよ」
「今日は先約がある。明日は先生の手伝い。その次は…」
 手元の手帳を何枚かめくった後、ルスランは「五日後なら空いてる」と、言ってくれた。
「じゃあ、その夜で構わない。絶対来てよね。待ってるから」
 そう言って、僕は足早に自習室から出て行った。

 図書館を出て誰もいない林まで走って、やっと大きく息を吐いた。
「すげえ、緊張した~」
 馬鹿みたいに身体が火照って仕方が無かった。
 なんだろう…。
 誰かの前で、こんなに緊張したり、ドキドキしたりすることなんて一度だってないのに…。ルスランの声を聞いただけで、頭が痺れた。目が合っただけで、身体が固まった。
 巧い言葉も出ないのに、傍に居られるのがたまらなく嬉しくて、気恥ずかしくて…
 僕はみっともなくなかっただろうか。いきなり寝たいなんて浅ましい奴と思われただろうか。ミカの事を気にしただろうか…
 なんだが…不安になってきた。
 彼は本当に僕と寝てくれるだろうか…

 ミカを呼んで、事の次第を話した。
 ミカは「ハルがねえ~」と、何度も言いつつ、腹を抱えて笑う。
「バカにしてる?」
「いや、君の本気を見て、心から可愛いと思ったよ。君はまだ十五歳になったばかりなんだものねえ」
「僕、ルスランにどう思われたのかしら。寝たいって言ったけど、遊びって思われたなら、そうじゃないって言った方がいい?」
 そう言うと、ミカはまた大きく笑った。
「おめでとう!ハル、それが初恋だ。君は初めて人を本気で好きになったのさ。大丈夫、ルスランは君よりずっと大人だし、アルトだから、君の気持ちはわかっているよ。彼は本当に優しい奴だよ。でも…」
「でも?」
「いや、今はやめておこう。折角君が本当の恋に浮かれているのに、水を差しちゃつまらない。何にせよ、先の事を考えて生きるなんて、この上もなく愚かだし、何事もハルにとっては、貴重な経験になるだろうからね」
「なんだか大げさ」
「今の君にルスランは大げさかい?」
「…ううん。世界はルスランで回っているみたい…」
「じゃあ、全力で彼に向っていけばいいさ。困った時は何なりと。僕は君の信頼に値する恋人の役で十分だ」
「…ミカ」
「なに?」
「ありがとう」
「どういたしまして。まあ、本当のところ、僕は楽しんでるだけだから、気にするな」

 ミカは本気で僕など愛していない。必要ともしていない。
 そう、楽しんでいるだけ。
 「天の王」とはそういう場所。
 本当は本気になった方が、負けなのかもしれない。
 けれど、この熱情は自分でも、コントロールできないんだ。
 僕に本当のカリスマがあるのなら、一時でもいい。
 ルスランを僕に振り向かせたい。
 ああ、僕が力のあるアルトだったら…
 彼の心を、捉えることができるのだろうか…


 約束の夜、いつまで経ってもルスランは来なかった。
 ベッドのシーツも新しくメイクしたし、上等な紅茶とデザートだって用意していたのに…
 酷いや。
 ルスラン…こんなに好きなのに…
 寝てくれるって言ってくれたじゃないか…

 

Again 4へ6へ

十一年目になっても、更新遅くてすいませんねえ~(*'ω`*)ゞ

このお話は「senso」の世界に繋がっています。
色々なお話がありますので、それぞれ左のカテゴリから、どうぞ~


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十年になりました~ - 2018.09.13 Thu

10周年おめでと!

このブログもなんと満十年を迎えました。
十年…短いようで…長かったです。
この十年間、世間も私の周りも色々な事がありましたが、未来は続いていくものなんですね。
自分の顔を見て、老けたな~と思いますけど、嫌だな~とは、あまり思いません。

さて、この十年で色んな物語を創作してまいりましたが、今、主人公を描いたら、どんな感じ?って事で描いてみましたよ。
全員のキャラがわかる方は、「サイアートマニア」勲章を差し上げますですよ~(笑)


 イラストはサムネイルでアップしております。
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 10syuunenn-1


「Green House」 

約二年間続きました。
この話は、ブロ友の朔田さんと、キャラを分け合って書いたものなんですが、途中から朔ちゃんの都合で、私がどちらのキャラも受け持つようになって、それからが大変でした。
でも育ったキャラ達はちゃんと自分の考えで動いてくれたので、書く方は楽しいばかりでした。
リンに関しては、自分の好きな性格を描けば良かったんですけど、ミナは私には全く浮かばないキャラだったので、創っていくのに凄く勉強になりました。
このキャラを描く事で、他の自分にないキャラを作り出すのに、苦労しなくなった気がします。
朔ちゃん、どうもありがとね~!元気にしてる?


「人魚姫♂」「夏の名残りのばら」

主人公の瀬尾尚吾は、イケメンなんだけど、性格に問題あり。
その男がオトメンな乃亜に本気で恋をした…なんですが、この人すげえ浮気性なので、乃亜の兄さんたちと、この先も色々不倫しまくる気がします。
乃亜も尚吾もそういう事を深く反省しないタチなので、これからも楽に生きていきそうですね(笑)


「超いいひと」

上杉由宇くんは、めちゃくちゃ普通の良い青年で、これまためちゃくちゃイイヒトの三門信彦(名前も平凡過ぎて覚えてなかったわww)との恋愛物語でした。
なんかその前が「senso」の世界で、ありえないことばかり書いてたので、現実に戻りたくなった…気がしたのかな。
でも現実社会…特に仕事の話は、自分が専業主婦なので、本当によくわからない。ので、すげえ間違っていると思いながらいつも書いてます。


「破壊者のススメ」

グリーンハウスの渋い脇キャラなんだけど、私が本当に描きたかったのは、実は…
萩尾望都氏の「トーマの心臓」のその後だったんですよ。
つまり私の中では、ユーリが神学校に行った後、どうなっていくのかがすげえ興味があって、彼を救うのはオスカーであって欲しい…と、ずっと感じていたのですよ。
なので、宗二朗はオスカーで、誠一郎はユーリなんです。
絵も宗二朗はオスカー寄りに描いてますけどね。
宗二朗がなんとかして、闇の中で彷徨う誠一郎を救い出すストーリーを描きたかったんです。
だから誠一郎の最後のセリフ「俺を壊してくれ」は、あそこで宗二朗に救ってもらおうと決心した言葉なんですよね~
私は精一杯誠を助けようと奮闘する宗二朗が大好きでした。
大人になった彼も、カッコいいからね。


「彼方の海より…」

題名忘れてた。と言うかこれ「メトネ日記」でしょ?
主人公はメトネちゃんだけど、リュウ・エリアードの方が、私的に付き合いが長いので…
イラストブログから派生した物語を、文章にしたらこうなりました~って物語でした。
本当は「ユーリとエルミザート」とかの話に続くけど、こちらが書く気がなくなってしまって頓挫しております。
けど、キャラには思い入れがあり過ぎて、大好きなんです。


「senso」

と、いうか「魔法使いアーシュの冒険」ってタイトルでよくね?
もう、アーシュが好き勝手に騒ぎまくって、色々なサイドストーリーが出来まくって、どの話でも、自分が王様気取りで、どうしようもない。その愛すべきキャラアーシュを、支えている健気なイールさま…的な話ですね。

これ、最初はね、アーシュの恋人のルシファーがどこかに連れ去られて、彼を取り戻すために、冒険の旅へ…的な話でした。
早く言えば「氷の女王」的な…。
魔王に捉えられたルシファーは記憶を失い、魔王の慰み者に…
で、アーシュが助けに来るけど、全く覚えてない。
魔王は本当はアーシュが欲しくて、ルシファーを囮にした。おまえが俺のものになれば、ルシファーを返してやる…的な感じでした。
魔王のキャラを考えていくうち、この人もしかしたら、アーシュをすげえ好きじゃんじゃね?すげえ好き過ぎてどうしようもなくて、何も考えられないんじゃね?
その頃、「ベルセルク」に嵌ってまして、グリフィスの容姿を見た時、「あ、この人アーシュの恋人だわ、絶対…」と、思い込みましたわ。
で、「this cruel world」が出来上がったんですね。
狂言回しになってしまったルシには悪い事したなあ~と、反省しきりでしたわ…((人д`o)
イールのキャラが出来上がってからは、異世界話で本当描くのが楽しかったです。

他にも大好きなキャラが沢山居まして、描き切れません。
スバルや神也は、とても癒されますし、栄嗣と漣のいじらしい恋愛、ヒロとアスラは絶対幸せにさせてあげたいし、聡良と響のペアはなんかすげえ安心感がある。
レイとセシル、理玖王と弦十郎とか、浅野と吉良とか、色々沢山ございますわ。
麗乃、由貴人…こいつらは三次元だからもういいやww

沢山のペアが生み出されて、色々あるけど、皆精一杯に生きていくんだなあ~
ずっと一緒だぜ!頑張ろうぜ!…って、気持ちです。


十年経っても絵も文章も大して上手くもならないんですけど、これからもボケ防止に少しずつでも続けていけたら、良いかな~と、思っております。
これからも頑張ります。
そして、これからもよろしくお願いします!


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Again 4 - 2018.09.01 Sat

4
 イラストはサムネイルでアップしております。
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ラファ-1-2

ルスラン 2

 母が亡くなった為、僕は父の故郷へ行くことになった。
 十歳になったばかりの僕には、父に付いていく以外の道は知らなかったんだ。
 住み慣れた港町を船が離岸した時、いつか必ず、母と暮らしたこの町へ帰ってくると、誓った。

 船や汽車を乗り継ぎ、父の国へ着くまでの間、父は今まで僕が知らなかった様々な話をしてくれた。


 父、カレルは古い歴史を持つ大国が管理するメジェリ公国の第三公子として生まれた。
 メジェリ公国は険しい山々に囲まれた狭く険しい土地ばかりで、目立った産業も無く、かと言って農業に適してもいない痩せた領地だった。

 父は、早くから国を出て、自由に暮らしたいと願っていた為、進学を理由に好きな絵を学びたいと、パリへ留学した。
 美大時代にカフェで出会った母、ロレーンと恋仲になり、結婚。
 勿論、メジェリ家はこの結婚に反対だった。
 メジェリ公国は貧しく、公家の者達はいくつもの国々との政略結婚で、国の財力をなんとか保ってきたからだ。
 母には何ひとつ後ろ盾は無かった。父は国を捨て、母と駆け落ちをし、そして、僕が生まれたんだ。

 平凡だけれど、決して裕福ではなかったけれど、父と母と僕は幸せだった。
 あの日までは。

 メジェリ公が亡くなり、第一公子のクレキが即位したが、持病の心臓病が悪化。即位二月後に亡くなった。すぐに次兄のトゥルが後を継いだが、即位ひと月も経たないうちに、落馬の事故で、打ちどころが悪く、死亡した。
 そして、第三公子である父が、メジェリ公を継ぐことになった。

 父はとても悩んだと言う。
 長兄のクレキには以前から決められていた婚約者がおり、即位をした折に、すぐにでも結婚する予定だった。勿論、これも政略結婚だ。
 婚約者カロリーヌはメジェリ公国を統治する大国の末姫であり、大国の援助が無ければ、公国の統治は難しかった。
クレキが死に、トゥルも無き後、メジェリ公国を継ぐ者がカロリーヌと婚姻する事は必然だった。

 父が母に相談した時、母は少し涙を流し、そして微笑みながら「多くの人々を助ける勤めを任されたのは、あなたにとって素晴らしい使命だと思うの。離れてしまうのは悲しいけれど、この先もあなたを愛し続けてもいい?ラファも立派に育ててみせるから、こちらの事は心配なさらず、懸命に自分の務めを果たして、良い公主さまになって下さい…」と、父を励ました。

 それから父はメジェレ公主になり、カロリーヌと結婚し、一年後に男子が生まれた。僕にとっては母違いの七つ離れた弟となる。

 
「よく聞いて欲しい、ラファ。決して褒められた事ではないが…メジェレはとても貧しい国だ。民は皆、餓えずに食べて行くのがやっとの状況で、それは私達公族であっても同じ。おまえに贅沢な暮らしはさせてやれない。だけど、皆、働くのが大好きな良き者たちばかりなのだ。慣れない事もあるだろうけれど、国の人々と仲よくやって欲しいんだ」
「わかった」
「それから、妻の…公妃の事だが…、悪い性質ではないのだけれど、気が強くてね。きっとおまえにも厳しいだろうけれど…我慢しておくれ」
「…わかった」

 僕は母と約束した「天の王」寄宿学校の事は父には話せなかった。
 元々僕が行きたいわけでもなかったし、父の国が貧乏なら、僕の為に税金を使わせるわけもいかないだろう。(母が僕の為に貯めたであろう貯蓄があってもだ)

 
 メジェリ公国は険しい山に囲まれて、他国との行き来は山間を馬車で抜けるか、船で港へ着くかしか手立てはない。
 三日間かけて、僕は初めて父の祖国へ足を踏み入れた。
 過ごしてきた町では当たり前の自動車もあまり見当たらず、港から馬車で一時間ほどかけて城へ向かった。
 途中、馬車から覗く風景は、遠くに雪が残った峰々、段々と森の木立が並び、少しだけ開けた牧草に放牧された牛や羊がちらほらと。その合間にファームハウスが見える。
 城近くの城下町はそれなりに賑わいを見せていたが、道を歩く人々の恰好も、今まで居た町とは違い、お洒落とは程遠い質素なものだ。
 父の言う通り、華やかさなど微塵もない。

 だが、メジェリの城は、こちらが想像するよりは充分立派だと感じた。お城と言うよりも、住み心地の良いマナーハウスに近い構造だ。外敵と抗争する必要もない為だろう。
 待ち受けた執事や使用人たちに挨拶し、僕は城に隣接する使用人が使うコテージに連れて行かれ、その中にある、一人用の小さな個室を与えられた。
 父からは前もって、言われていたことなので、驚きはしなかった。野宿よりはマシだし、何よりお城の使用人達は、僕をメジェリ公の息子と言う事で、可愛がってくれたのだ。それは父が公主として、愛されている証拠のような気がして、嬉しかった。

 新しい生活は最初戸惑いもあった。
 なにしろ陽が昇ると同時に起き、陽が沈むまで、使用人だけじゃなく、見る限りの人々が全員ずっと働いているんだ。
 僕は子供だったから、難しい仕事や力仕事をする事はなかったけれど、町に住む僕と同じような子供たちも親の仕事を手伝っていたから、それが当たり前の国なのだろう。

 僕は一日を草原で過ごすヤギ飼いや、庭の花の手入れや温室の世話をするのが好きだった。勉強は城にある図書館で、その都度知りたい事を、城に勤めるチューターに教えてもらっていた。

 父は時折「寂しくはないかい?」と、僕の様子をこっそりと伺う。
 夜遅く部屋に来て、そのまま僕のベッドで一緒に眠ったり。
 父は母と僕を捨てた事を、ずっと気に病んでいるのだ。
 小さな僕は謝りながら泣く父を、どんな風に慰めて良いのかわからず、母と暮らした日々を語る事が多かった。
 僕は母とふたりの暮らしが決して不幸ではなかったと伝えたかった。
 母が占いとしていたと言うと、父は「ロレーンは良い魔女だったからね」と、嬉しそうに微笑んだ。
「知ってたの?」
「夫婦なんだから当然さ。彼女はあまり僕の前でそれを使うことはしなかったけれど、困った人を見ると、なんとか助けてやりたいと、力を使っていたんだ。僕はね、ロレーンのような魔法使いがこの世界に沢山いてくれれば…力を持たない人々が少しは幸せになれるんじゃないかと、近頃よく思うんだ。まあ、魔法にばかり頼るのは良くないけれど、この国のように痩せた土地に住む人々が、少しでも暮らしが良くなる方法…それを教えてくれたら、どんなにかねえ…。ラファはロレーンに良く似ているから、魔力も強いのだろう?君がこの国の魔法使いになってくれれば、嬉しいんだけどさ。でも君を縛りつけるのも、なんだかね…」
「…」

 父は良い人だった。傍らに眠る父の頭の中を覗いても、純粋に生真面目で、この国の事ばかりを考えていた。
しかし領主としては、気が弱く、周りに気を使い過ぎで、頼り甲斐がなさ過ぎた。
 母はそんな父を愛していたのだろうけれど。

 父は亡くなったふたりの兄についても、僕に話してくれた。
 三人は仲の良い兄弟で、国を出ていく時も、母と駆け落ちする時も、皆が反対する中、父を応援し続けてくれたと言う。
 「その恩返しが僕にできるといいんだけどね…」と、自信なさ気に言う。
 十歳の僕は、ただ「お父さん、頑張ろう。僕も頑張るよ」と、しか返す言葉が無かった。


 公妃のカロリーヌとはあまり顔を合わせる事も無く、会っても会釈ぐらいで話した事はない。
 無理もない。向こうにしてみれば、父の愛情を死んでも受け続ける女の子供だ。憎らしいばかりのガキだったであろう。それに加え、彼女は魔法使い嫌いだった。
 何でも以前にロクでもない魔法使いの口車に乗せられ、国のお金を騙され取られたらしいんだ。
 元よりこれも父のふがいなさや人の好さにも原因があると思うのだけれど。

 義理の弟のユークはまだ幼くて、周りに僕以外の子供が見当たらない所為だろうか、城内で僕の姿を見ると「おにいちゃま~」と、大声で僕を追いかけてくる。その姿が愛らしくて、僕もつい頭を撫でたり、抱っこをしたり…。
 公妃が僕を兄弟だと認めてくれたのは意外だったけれど、やっぱりそれは嬉しくて。
 お母さんとは呼べなくても、義弟のユークを精一杯愛してあげようと思った…けれど。

 母が僕に残したいくつかの言葉の中で、とても気になる教えがあった。
 「むやみに人を愛してはならない」…と。

 魔力を持つ者は、気づかぬ内に、惹かれた相手を自分のものにしたいと念じてしまう。それは純愛ではなく、魔力によって理不尽に歪められた感情であり、相手に忠実ではない。本当の愛は、裸の心で引き寄せられるもの…だと。

 僕は人を愛する事を疑うことにした。
 好きな人、かわいい人、かわいそうな人、愛されたい人、愛したい人…どの者に対しても、魔力を使っていないだろうか…。利用してはいないだろうか…。
 僕の周りがこんなに良い人達ばかりなのは、僕の魔力の所為じゃないのか…。
 時折、僕は怖くなる。

 僕を純粋に愛してくれる人は居るのだろうか。
 僕は心から愛する人に出会えるのだろうか…と。


 メジェリ国での暮らしが二年ほど過ぎようとした春、僕は教えを乞うべき人と出会った。
 「天の王」学園の学長「トゥエ・イェタル」、その人だった。



Again 3へ /5へ

九月です。少しずつ秋の気配が漂って…きたら良いですよね~

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