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2019-09

僕の見る夢 15 - 2008.12.06 Sat

8.

「痛いか?」
「…痛くない」
「…ユキは素直じゃないからな。まあ…痕は残んないと思うけど…」
夜になって、当然の如く香月は俺の家に居る。
風呂から上がって、どうしても傷の手当をするって聞かないから、してもらった。
傷を見たけど、あれだけ血が出たのに、もう傷は塞がってるもんだから、改めて人体の神秘を身を持って感じたよ。まあ、そんなの考える前に馬鹿な事するなって話だけどな。

「由貴人は…死にたかったのか?」
「いや…そんなんじゃないよ。ただ…」
「ただ?」
「あいつの痛みを知りたかったのかも…なんかね…」
「俺が…諦めろって言ったことが…おまえの負担になった?」
「ちがうよ…そうじゃないって」
わかってるよ。諦めるしかないもん。
だけどさ…どうしても考えてしまう。
「麗乃は…俺なんか好きにならない方がいいと思うよ。おまえは俺の所為でしなくていい思いばっか抱えてるし…俺はおまえの役に立たねえし…ちっとも気の利いた事とかしてやれねえし…俺が傍に居ても意味ないんじゃねえのかな…」
「生きてる限り意味の無いものなんてないって、誰か言ってたな」
「…」
意味はあるだろう。けれど、違う意味も持ってる。おまえを苦しめてばっかりの俺の存在は負担っていう意味だろ。…実際俺なんかよりもっと違う奴を好きになった方が、おまえの為になるんじゃ…ないのか…

…ヤバイ…俺…気づいてるじゃん…

…あ……言いたくない…けど、言わなきゃならない気がして…きた…

「麗乃…」あいつもこんな気持ちだったのか…
「ん?」
「おまえ、は…俺と別れた方がいい…と思う…俺なんかよりもっと別な…その方が、幸せになれる…って…」
「ユキ?どうした…」
「おまえに全部やれない俺は…おまえを幸せには…できないだろ?…それに、俺は…幸せになったりしちゃいけない気がする…」
あいつの気持ちをあれだけ滅茶苦茶にして、俺が幸せになるのはやっぱり違う気がする。
「俺は、おまえに…由貴人に幸せにしてもらおうとか思ってるんじゃねえよ。俺がおまえを好きだから、おまえが俺の事を好きでいてくれるから、幸せなんだろ?ユキは…俺と居て幸せじゃないのか?」
「…幸せだと、思う」
だから困るんじゃないか…
「俺が別な誰かを好きになった方がいいって…おまえ、それ本気で言ってる?…もし本気なら俺にすげぇ失礼なこと言ってるんだぜ?」
「あ?」
「おまえを好きでいる俺を否定してるんだろ?おまえにそれを決める権利があるか?」
「…いや、ない」
「俺は由貴人を…ずっと…ずっと好きだったよ。そんでこれから先もずっとこの気持ちは変わらないって今はね、言える。先の事はわからんけど、今はそう思ってんだからな。この気持ちに文句とか言わせないからな、おまえでも」
「でも…」
「…だから、おまえに対して勝手に諦めろって言ったのは、俺が悪かったって思ってる。おまえが向こうの香月麗乃を好きになったって言う事実は、俺としては腹も立つけど…かなりな。そんな思いしても、やっぱおまえが好きなんだよ、由貴人。それで俺が苦しんだとしても…俺に与えられた試練なんだって…思うことにしてる。なあ、生きてく過程で傷を負わない人生なんてないと思うぜ。もういいんじゃねえか?自分責めるのも…」

麗乃の許しの言葉はありがたいと思った。だけど逆に俺がこいつを傷つけてる事がはっきりとしたから、かなり凹んだのも事実だった。
罪悪感ってのは恐ろしいもんだ。抵抗なんてひとつも出来なくなるからな。
ベッドの上で麗乃に抱かれていても、じゃあ俺はこのまま流され続けてていいのか?って、落ち込んだ。

…俺の横で俺を抱きしめたまま静かに眠る、この人が好きだ。
俺を好きだと言ってくれる、どんなに突き放しても離さないって言ってくれるこの人が大好きだ。
だから…こいつを俺の所為で苦しめるのは、どう考えても俺自身が許せないんだよ。
俺だって…俺だって、おまえが俺を想う以上に、おまえの事愛してんだよ。
だから、おまえには本当に幸せになって欲しい。
それが出来るんなら、俺は何だってしてやれると思うんだ。

…ずっと…考えてる事があった。
本当はすっげえ嫌だけど…なんだかそれを選ぶしかないみたいに思えて仕方なかった。
麗乃の寝息を耳にしたまま、俺は一睡もせずにそれを考えていた。

闇が白み始めた頃、俺は眠っている麗乃を起こさない様、そっとベッドから抜け出した。
後でバレたとしても、朝の散歩とか言えばいい。
いや…もう、その必要もないかもな。





もう少しで終わりますから、辛抱してね( ^^) _旦~~

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