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2019-09

僕の見る夢 16 - 2008.12.06 Sat

9.

あの携帯を手にして、あの桜の木に向かった。
まだ日の出には早い。
肌寒い空気の中を俺はひとり走った。
もし、出来るなら…俺は…

ハアハアと息を吐く。土手の上を走り続ける。
薄暗い闇に仄に白く浮かぶ桜の木は、なんだか俺を待っているみたいに思えた。

やっと辿り着いた桜の木を前に呼吸を整えて、携帯を開いてみる。
液晶に表示される今の日時。
俺は右手に携帯を持ったまま、左手を桜の幹に置いてみた。
すると、携帯の日時が一瞬にして変わった。
示したのは2006年4月28日PM2時、今より五日後、俺が向こうの世界から帰ってきた向こうの時刻だ。
だから、こうすれば…

俺は一歩だけ、時計回りとは逆に歩く。
…液晶の時刻が一時間だけ戻る。
ほら、ようやく判った。俺用のタイムマシンの使い方。
以前から感じていた、このタイムラグの摂理。
もしかしたらと思っていた。
でも、試す気なんてなかったんだ。

だってこれは…


許されない事だからだ。


俺は歩を進める。そしてぐるりと一周したら、画面は丁度一日前の時刻を指す。
確信してからの俺の行動は早かった。とにかくこの木の周りを歩けばいい。
歩みを速める…
時刻を示すデジタルは目も止まらない程の速さで変わっていく。
…息が上がる。
苦しい。
でもこんなんじゃ足らないよ。
あいつらに与えた苦しさと比べれば…

そして、365日と二週間分をぐるぐると回った俺はやっと足を止めた。
時刻は2005年4月8日PM4時を示していた。


幹に凭れた俺は胸に携帯を抱いたまま、祈った。
向こうの世界に辿り着くように、懸命に祈った。


運命の扉なんてかっこつける代物じゃねえだろ?
こんな携帯をパスポート代わりにしやがって。
早く俺を連れてけよっ、桜。








明日は朝には無理そうなんで、今アップします。

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