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2019-09

「破壊者のススメ」 6 - 2014.03.14 Fri

6
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誠と宗ふたり1
6、

その年は年の瀬になっても誠一郎は、一度たりとも嶌谷の実家には帰らなかった。
「レポート提出やバイトが忙しくて大変みたいなのよ」と、夏に一度だけ京都のアパートに顔を出した由ノ伯母は、のほほんと言うけれど、言い訳の矛盾を考えれば、案の定の話であることは確かめるまでもない。
あの男の本音は俺や晟太郎伯父と顔を合わせたくないだけだ。俺たちに顔を合わせられない程にロクでもねえことをやっているに違いない。

さて…嶌谷家の平日は売れないデパートの宝飾店売り場の様に閑散としている。
午前中、家事を手伝う家政婦が居なくなると、外見が派手でデカい屋敷だけに、つと侘しさが鼻に付く。
母は晟太郎伯父の秘書兼マネージャーから会社を背負う役員に持ち上げられ、今まで以上に忙しい忙しいと口ではぼやきながらも、誰が見ても生き生きと楽しそうである。
晟太郎伯父も相変わらずマイペースで、仕事以外のことにはあまり執着せず、朗らかに暮らしている。
だが晟太郎伯父と母の間に居る由ノ伯母の立場を考えると、同情せざるを得ない。
勿論、母は充分に気を使い、家に居る時は晟太郎伯父との距離を取り、もっぱら別館の自室にこもっているけれど、食事の時など、能天気な晟太郎伯父が仕事の話などを母にふったりするものだから、母はその度に伯父を叱り、その様子に由ノ伯母が気をもむという悪循環が繰り返されるのだ。

それでも、由ノ伯母は母に対して嫌味や気に障る態度は決して取らない。
もともとおっとりしたお嬢様育ちだ。俺がそれを褒めると、由ノ伯母は「だって、晟太郎さんは一度も浮気をしたこともないのよ。ほら、お義父さまがああだったでしょ?お義母さまや他のお妾さんの胸の内を思ったら…私は随分幸せ者だと思うわ」と、屈託なく笑う。

或る晩、道場の稽古が遅くなり、予定よりかなり遅くに家に戻った俺は、食堂でひとり夕食を取っている由ノ伯母を見た。
晟太郎伯父も母もまだ仕事から帰宅していない。
ひとりで食事をする伯母の後姿は、誰が見ても寂し気に見える。
それが俺や母の所為だとは思わない。
ごく普通の家庭を守る主婦の一面なのだろう。だけど、俺は…この家を留守を健気に守っている由ノ伯母を、独りさびしく食事させてはいけないんじゃないか、と、子供心に決意したんだ。
最愛の息子である誠一郎の代わりにはなれなくても、伯母をひとりぼっちにさせない事は俺にもできる。

「伯母さん、ただいま~」
「あら、お帰りなさい、宗ちゃん」
「腹減った~。飯ある?」
「勿論よ。あ~、宗ちゃん、帰るの遅かったから伯母さん、先に晩御飯頂いてしまったわ」
「ああ、いいよ。でもさ…せっかくだからさ。一緒に食事しない?遅くなる時は連絡するけど、俺、由ノっちの飯が一番好きだから、由ノっちと一緒に食べたいんだよね」
「…そう…ね。うん、伯母さんもその方が嬉しいわ。待っててね、宗ちゃんの分、すぐに用意するわ」
台所へ向かうおばさんは、割烹着の裾で目頭を拭っていた。

幼い頃、俺には母しか家族が居なかった。
だから、晟太郎伯父や由ノ伯母や誠一郎と一緒に暮らせるようになったことが、本当に嬉しかったんだ。
だけど、少しずつ歳を取っていく程に、家族は家から離れていく。
当たり前過ぎる現実の話。
だから家族は人生の冒険に疲れた時にいつでも帰る故郷であり、いつかは終の棲家にならなきゃ。
帰る家があるからこそ、外へ出る者は安心して働くことができるのだから。
由ノ伯母はそんなことを俺に教えてくれた。
俺はいつも、「俺が伯父さんと伯母さんの終の棲家になるよ」と、繰り返した。
そして、その言葉にはいつも誠一郎は含まれてはいなかった。
無意識に俺の中で、誠一郎は家族ではないと、切り離していたのかもしれない。


中学校は近くの公立に通っていたが、晟太郎伯父の望みを敵うべく、高校は誠一郎が通った進学校の私立の受験を受けることにした。

そんな受験シーズンの中三の夏、久しぶりに誠一郎が嶌谷家に帰ってきた。
正月に会ったきりだったから、とても懐かしく思えた。

あれから…
俺が誠一郎を抱くからと宣言してから、誠一郎は自宅に帰っても、まともに俺と顔を合わせようとしない。
寝る時も自室とベランダの鍵を閉め、絶対に俺が入ってこれないように用心する。

廊下ですれ違いざまに誠一郎の腕を取り「キスしてよ。じゃないとバラすぞ」と、脅すと、舌打ちしながら、口唇に軽くキスをする。
いつの間にか、俺の目線は誠一郎と同じ高さになっていた。

「なあ、俺の事嫌いなのか?」
「…別に、嫌いじゃない」
「じゃあ、なんでセックスしてくれねえんだよ」
「子供だからだよ」
「俺、女も男も知ってるし、やり方も覚えたし、誠を満足させられるよ」
「…ちょ…、おまえ、まだ中三だろ?どこで…」
本気であわてる誠一郎がかわいくて、俺はもっと困らせたくなった。

「誠だって高一の頃はもう男としてたじゃん。あれが初めて?…それとも中学の頃からやってたの?」
「答える義務はない」
「あるよ。誠は俺のもんだしな。大体、誠が相手してくれねえから、色んな奴とやるしかねえじゃねえの」
「い、色んな?」
「そういうイロモノの店でね、色んな奴を紹介してもらってさ。好みの奴と寝てんだぜ。(嘘だ。女は三人、男は二人ほどだ)みんな大人だし、教わるのも上手いし、勉強させてもらった。(これはホント)」
「…」
精一杯の見栄を張った俺の言葉に、誠一郎はこちらが思う以上に動揺している。

「バカ…なんで…。せっかく離れて…。おまえだけはマトモにって…」
「誠がマトモじゃないなら、誠を好きな俺もマトモじゃないってことだ」
「…」
「健全な良識や至ってふつーの道徳観念なんて、俺にはどうでもいいことなんだよ。俺は誠一郎が欲しいだけだ…。なあ、やろうよ。三年も待ったんだぜ。誠を抱きたい。誠を犯したい。めちゃくちゃにいかせたい」
「……」
眉を顰めながらもうっすらと頬を染めた誠一郎は、伏目がちに俺をじっと見つめた。
その潤んだ目には、俺への欲情がはっきりと見えた。


その晩、誠一郎の部屋のベランダ側の鍵は開いたままで、俺はそこから忍び込み、すぐにベッドへ潜り込んだ。
誠一郎は別段驚きもせず、裸の俺の侵入に僅かばかりの抵抗を見せて、耳元で俺を叱った。
かまわずに誠一郎の肌触りのいい絹のパジャマとパンツを適当に脱がし、誠のをまさぐり、煽らせた。
黙ったまま口唇を噛みしめる誠一郎の裸の胸に耳を置いて、鼓動を確かめる。
「…早いね。興奮してる?」
「バカ…ヤロ…。きっと、後悔するから」
「するもんか。やっと、誠を俺のものにできるんだ。最高の真夏の夜だ…、夢なんかじゃねえし…」
「宗…」

俺は、誠一郎を抱いた。
青臭い俺の欲望をすべて受け入れる誠一郎の身体は想像以上にしっとりと柔らかく、どこまでも俺を包み込み、誠一郎をこんな身体にした過去の男たちを俺は激しく憎んだ。
勿論、この憎しみは、誠一郎の身体へと相当に浴びせられることとなり、これにより、俺はまさにサディストの真理を得た気分になった。

打ち付けるたびに身体を震わせながらも、声を出さないようにと自ら枕に顔を押し付けて耐える誠一郎が、たまらなく愛おしく、俺は「愛してる」と、その耳元に何度も繰り返した。
返事はなかったけれど、俺の言葉は誠一郎の身体を興奮させていた。
応える身体が嬉しくて、ますます火を点け、止まらなくなる。

母の呼ぶ声とドアを叩く音が一度だけ鳴り、俺たちは一瞬息を顰め、硬直したように動きを止めた。
重なり合った身体に薄いタオルケットを巻きつけ、お互いの口唇に指を押し付け合い、じっと黙り込んだ。
母の足音が遠くなるのを確認すると、お互いに忍び笑う。そして、嫌と言うほどキスを繰り返した。

古くなったエアコンの音がいつまでも響く。
誠一郎と俺は暗闇の中で、子供の時の様に絡み合い、交じり合った。

明け方が近づく頃になると、もうこれ以上は味わえない程に十分過ぎる満足感と疲労に重なったまま動けなくなった。

「…あんたは最高だ、誠一郎。俺はあんたを絶対に離さない」
疲れ果てた力の入らない腕で、俺は誠一郎の身体を抱きしめた。
誠一郎もまた疲れた笑みを見せ、だるそうなキスで応えた。


とどのつまり俺と誠一郎は、相思相愛なのだ。




5へ /7へ

無鉄砲で独占欲の塊みたいな宗二朗は、若い頃の凛一に似てるのかもしれない。だから嶌谷さんは、凛一に惹かれたのだろうね。誠一郎はまだまだ屈折し続けます。頑張れ、宗二朗!


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● COMMENT ●

「ゲイにとって この世界は狭い」と、以前 テレビで聞きました。
それは 世間での公認度であったり 働く場所であったり そして 恋愛は特に!

誠一郎と宗二朗の世界は、どうなんだろう?
今後 宗二朗は、嶌谷家の晟太郎伯父の後継者となり 家庭も持つのですが、やはり 全ては誠一郎の為 そして  それは自分の為でしょ!?

互いが 互いを 『終の棲家』と、そう信じ そう思えているなら 幸せなのでしょうけど。
誠一郎の本心がねー(。-`ω´-)ゞ...ンー...byebye☆



昨日 母は退院でき 家に帰れたのが よほど嬉しかったのでしょう。
テンションが高くて いつにも増して 喋る~喋る~(笑)
「アレもしなきゃ!コレもしなきゃ!」と、ヤル気満々なのは いいけど、気持ちに足が付いて行けない状態なので 見ている此方が ハラハラします。
主治医に「転倒して また骨折しないように。そういう人って 案外 多いんだよねー」と 笑顔で忠告されてたのに~~

でも 元気で 何よりです(o^-^o) ウヒッ♪



 

実際のところ、ゲイの世界がどうなのか…知り合いに居ないので、こればかりは想像で描くしかないんですよね。
自分の思うホモセクシャルな恋愛って…隠しながら、愛し合う…的な時代でもないんでしょうが、社会的地位に立つ人には、そういう趣向は隠して楽しむ…ものなんでしょうか。つうか、そういうBLって多いですよね~。
社長とペット的な…とか。
互いを終の棲家と認め合う…この話の終わりはそのシーンにしたいなあ~と、思っているんです。
でもまだまだお互い脆弱で甘ちゃんで子供なんでしょうね。
そこまで行くには、しばらく時間がかかりそうです。

年を取ってひとりになると、やっぱり喋る相手が居ることが一番うれしいんだと思います。
でもねえ…私は自分の親でもずっと一緒に居て面倒みたいとは思わないし、できないだろうなあ~って思うんですよね。
だから実親でも義理でも同居されてる方とか、すげえなあ~って本気で感心します。
けいったんさんも疲れないようにね~。

このころから、一応両想いってことなんですね。
>「バカ…なんで…。せっかく離れて…。おまえだけはマトモにって…」
そういうことか。


続・バレンタインでーから、こtっちに頭を戻さなきゃ。

私は、夫の両親と同居しています。二世帯住宅なので、そんなに一緒に居ることもなく、気遣いもまぁまぁ位です。
1日1回くらいは顔を合わす程度です。
今まで子どもの面倒色々見てもらったことに感謝してます。
でも、核家族だったら、私も甘えずに努力しただろうし、どっちの人生でもよかったかな?
気持ちが楽か、時間が楽か。親に子どもを見て貰って、他の人より時間を好きに使ってきたなって思います(^-^;

二世帯住宅が一番の理想ですねえ~
それも割と早い時期から始めた方が後になっても、お互い安心できますからね。
問題は…親のどちらかが亡くなってから…の話なんです。
母親の方なら、家事の心配もなく、今まで通りにできる気がするんですが、父親だと、まず食事の用意、家事全般、すべて主婦であるお嫁さんがしなきゃならなくなる…うちの場合はそれだったので、無理でしたね。
ある程度できる方ならいいんでしょうが、それに身体の不自由さとか痴呆とかでてくると…もう、面倒見るとかできません。
二世帯なら、別々の家に住んでも、長年の信頼関係があるから、介護をする側も愛情もってできるかもしれませんね。

誠一郎と宗二朗の恋愛のテーマは…なんというかBLってHで愛を確かめあうところで満足してる感じがするので、そうじゃなくて、無条件の愛とか色々な要素のつまった愛を考えてみたいんです。
だからHしたからって、愛してる…とは限らなくて、誠一郎の心はもっと複雑で、この話は宗二朗視点なので、まだまるでなにもわかっていない状況なのです。

追記

そうなんですよね~
今は両親とも健在なんですけど。
1人が長い間残るってことなく、長く患う事なく、って願ってますね。
でももう80過ぎなんですけど(笑)
今のところは、2人で元気に過ごしてくれてます。
近所に義父の弟が3人いて、よく一緒に過ごしているので、元気なのかもしれません。
女性は料理とか家事するので、いつまでも元気ですよね。

義母は孫の世話が命、の人ですし。
子どもたちが家を出ない限り元気なのかも知れません。
私は1人暮らしを経験しろと、本人の希望には反対しないのです。
どうなることやら・・・

蝶丸さん、お返事ありがとうございます。

うちの子供たちの経験から言いますと…

ふたりとも男子なんですが、大学も地元で、上の子は地元に就職して、今は家から通勤ですが、他県に転勤したら、初めて家を出るので、不安ですけど、もう大概大人なので心配はしてません。
下の子も大学は地元でしたが、就職していきなり大阪で…社会人としても一人暮らしも始めてて、すぐにストレス障害になってしまいました。今は元気に楽しく東京で生活してますけど、割と明るく誰とでも仲よくなれる子が、本当に落ち込んでしまった時は…こちらも心配で心配で…
後になって下の子が言ってました。独り暮らしに慣れることが大切だったって。できるなら大学は独り暮らしをした方が、就職から独り暮らしを始めるよりも精神的に楽だよ~って。

孫が家から離れた時は、義母様のフォローが大変そうですねえ~( `^ω^)=3


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