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2019-09

バイバイ サンキュー - 2017.02.14 Tue

イラストはサムネイルでアップしております。
大きく見たい方はイラストをクリックしてください。


栄嗣漣2


バイバイ サンキュー

ずっと片思いだった恋が成就した時、こんなに幸福でいいものかと、この世のすべての人達に申し訳ないくらいだったんだ。
ホントだよ。
僕の大学が決まり、栄嗣が高専の寮を出て、一緒に暮らそうって言ってくれた時も、夢見てるみたいに幸せで一杯だった。
お互いの家族も仲良かったものだから、「今流行りのシェアハウスね」と、栄嗣と一緒に暮らす事に変な勘繰りなど一切なかったね。
逆に僕達以上に、良い部屋探しに奔走する母親たちの様子を見て、栄嗣と僕は罪悪感で一杯になったりねえ~。
でもさ、僕は栄嗣とのふたり暮らしが、めちゃくちゃ楽しみだったんだ。

そして、僕と栄嗣のふたりだけの生活が始まった。

2LDKの間取りだから、お互いの自室があったのだけど、夜はどちらかのベッドに潜り込むのが当たり前になってたね。
SEXはお互い初めてだったから、試行錯誤の毎日で、気持ち良くなるまでに時間がかかったりしたけれど、がっつり嵌るのも早かったね。
けれど、ずっと抱き合ってばかりでいられるわけもない。
僕はそうでもなかったけれど、栄嗣は元々ゲイではないから、時が経つにつれて倦んでしまうのがわかってしまったんだ。

僕はずっと怖かった。
君が僕に厭きてしまう事に…。
あのまま、君に告白せずに、親友のままでいた方が良かったんじゃないかと…ずっと不安だった。
栄嗣は優しいから、僕の想いに応えたいって気持ちは真実だとわかっているけれど、僕は栄嗣の未来を考えたりすると、不安だらけでさ。

「好き」って気持ちと「このままでいいのか」って気持ちが、僕の中でずっと拮抗してたのも事実だよ。
だから、君から「教授からアメリカのM大留学を推薦されているんだけど、漣、どう思う?」と聞かれた時、僕は「栄嗣が後悔しないようにやればいい」と、答えたんだ。だって、それが君が欲しい答えだって思ったから。
君は少しだけ驚いた顔をしたけれど、すぐに「ありがとう」と、僕の手を握るから、僕は泣きそうになりながらも、必死で笑い顔を作ったよ。


今日、ふたりで暮らしてきた部屋を出ていく君に、僕はどうしたら巧い言葉で送り出せるか、ずっと考えていたけれど、なんだか、胸が詰まって言葉が出てこないんだ。

「漣、これ…」
と、栄嗣が僕の前に小さな箱を差し出す。
「今日、バレンタインデーだからさ」
そうだった。
今日は、二月十四日だったね。

「覚えてる?あの日、あの丘で、漣とふたりで食べた事」
「覚えてるよ」
「そのチョコを買ってきたんだ」
「…うん」
「今まで、ありがとな」
お礼なんて言うな。
僕の方がおまえに数万倍感謝してる。

「これが最後じゃないけどさ、しばらくは日本に帰れないと思うから…さ。漣、元気でいろよ」
「…うん、栄嗣も…元気でね」
チョコ、あの時みたいに一緒には食べてくれないんだな…
あの時の苦くて甘い味が、こんなにもはっきりと蘇るのに、僕達はもうあの時には戻れないんだね。

「じゃあ」
差し出された右手を、僕はじっと見つめた。
いやだ。
別れの握手なんかしたくない。
握りしめたら、離さなくちゃならなくなる。

栄嗣はちょっぴり困った顔をして「それじゃ」と、言い、スーツケースを手に、玄関のドアを開けた。
「下まで見送るよ」
僕は慌てて、後を追う。
緩やかな長い上り坂、夕日に向かってひとり歩いて行く栄嗣の後姿は、僕には遠すぎる。


栄嗣
行かないで…行かないでくれ。
ひとりにしないでくれ。
ずっと一緒になんて言わないからさ。
恋人みたいに甘えたりしないからさ。
栄嗣…。

スーツケースを引きずる音が、ふいに止まった。
影になった栄嗣が、こちらを振り向いた気がした。

「バイバイ!漣。サンキュー!」
手を振る栄嗣の声が、辺りにこだました。

「栄嗣…」
馬鹿だな、あんなデカい声出してさ。
周りに迷惑だろ…
そんな必死に手を振らなくたってさ。
わかってるよ…
……




本当に、本当に好きだったよ。
友達になってくれて、好きって言ってくれて、愛してくれて、一緒に居てくれて、心から感謝している。

これからの君の未来が、君の望むものであるように、いつだって僕は心から祈っているからね。

バイバイ…

バイバイ、栄嗣…

バイバイ

サンキュー。


                          2017.2.14



これは「バレンタインデー」という、以前アップした作品の続きです。
現実に恋愛ってハッピーエンドになる確率ってどれくらいなんだろうねえ~
成就しても、その後ずっと続くのは、男同士は難しいんじゃないかな~って思ってます。

栄嗣と漣の物語は、左のカテゴリ「バレンタインデー」から、どうぞ~
こちらからでも、いけますよ~(*^▽^*)
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