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2019-09

Simple 2 - 2008.10.24 Fri

冗談の延長なんだろうなとは、感じていた。
居酒屋を出て、並んで歩く帰り道。
いつもと同じ空気だったし、別にあの話を持ち出す雰囲気でもなかったから、ああ、ハルはあれを只の酔っ払った勢いでの与太話にするつもりなんだろうと、俺は思っていた。
俺は…そうだな。半分冗談。で、半分は本気だった。

暫く歩いてたら、人通りも少なくなって、辺りも暗くて、何だか二人きりみたいになって…クシュン…鼻水出た。
「風邪?」下から覗くみたいにして、ハルが聞く。
違うよ。ちょっと寒かったの。十月も終りっていうのに、薄着しすぎたみたい。
ハルは昔から、こんな風に優しい。
「大丈夫だよ」
「そう」って言うと、ハルの左手が俺の右手を掴んで握り締めた。なんだろ、これ?って俺がその繋がれたふたつの手を凝視していると、
「うん、手はあったかいな」ってハルが言う。…酔っ払ってるからな、まだ身体はあったかいの。
黙ってたら、ハルが俺の顔を見てクスリと笑う。
「な、なに?」
「いや、なんか…おまえ、ポケッってしてんなって」
「…」どーせ、間の抜けた顔ですよ。生まれつきです、そんなの、ずっと見てきてわかってんだろっ!
いちいちうるせっ…
「なんかかわいいなって…」
「…」
「思ったの」
冗談だと思ったけど、ハルの顔がマジですごく優しかったから、胸がドクンって鳴った。
「うち、来る?」
「えっ?こ、これから?」
「何か用あった?」
「別にない…けど」明日は…大学は昼からだし…な。
「じゃあ、泊まれよ」
わかるけど…だっておまえん家まで、ここから歩いて十分もかかんないし、俺ん家帰るとなったら、地下鉄乗らなきゃならないし…いつもだったら、二つ返事で返すところなんだけどな…いつもの…親友同士だったら…
「否か?」
「ううん、別に。行くよ、ハルん家」
だってそれが俺達の普通でしょ?やましい事じゃないよね。
いつもと同じ帰り道。でも、いつもとはちょっと違うんだ。
ふたりの間をブラブラする繋がった手だけ…ね。



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