FC2ブログ
topimage

2019-09

A WISH STAR 前編 - 2008.12.23 Tue

A WISH STAR

まだ、幼い…幼稚園の頃の話だ。

この季節のメインイベントとなるクリスマス会は、誰しもが楽しみにしている恒例行事だったわけで、もちろん俺だって大好きだった。
クリスマスの意味さえ分からないのに、あの音楽と派手に飾られたクリスマスツリー。
赤い服を着たサンタクロースの背中に背負ってる袋の中には何が入っているのか…想像するだけでワクワクするじゃねぇか。

そんでもって、そんな宗教とか一切わけのわかんねぇガキ共にもプレゼント交換会ってシャレたイベントがあった。
前日の工作の時間、各自が作ったクリスマスカードが交換アイテム、然りプレゼントだ。
全員が大きな輪になって、俺らは音楽に合わせて隣りの奴に順繰りに手渡し、曲が終った時に手にあるカードが自分のプレゼントとなる。
当然、子供のおぼつかない技術には大幅な差があるから、出来のいいカードとそうでないものがある。
出来上がりの例として先生たちの作ったサンプル品を模倣する奴が多いが、例によって俺は独自のすげぇクリスマスカードを作り上げた。それは自分で感心するくらいの出来映えで、カードを開くとサンタが飛び出すという仕掛けまであるんだ。
本音かますと誰にもやらないで自分でとっときたいぐらいのシロモノだった。
それでもそんな我儘言う気になんか全然ならなかった。

現実のこのイベントには、心から魅了される充分なパワーがあって、人に施すという一見とんでもねぇ自己満足の世界が、クリスマスというシチュエーションの中ではとてつもなく美しく見えるもんなんだ。
俺の作ったカードを受け取った奴がどんな顔して驚くか、喜んで受け取るかって考えたら、それだけで十ニ分に、この小さな胸のプライドを満足させるものだった。

そして、音楽は流れる。
俺は自分の作ったカードの行方を追うのに必死になる。
…一体誰が俺のカードを手にするんだろう…
隣りに移り、そして又隣りへ…そっちの方ばかりに気を取られ、自分の手の中に来るカードにはさほど注意は払っていなかった。
「ほらっ、ハルくん。ぼーっとしてないで、さっさと回せって!」
隣りのアキラが俺の肩を小突く。
「あっ、ああ、ごめん」と、と、落としかけた己のカードをしっかり持って、アキラに渡した。
…あっ、俺のカードは?…と、さっきまで追っていたカードの行方を捜すが、誰の手に渡っているのか判らなくなってしまった。
…ちぇっ、せっかく、そいつの驚く顔見たかったのに…

曲が鳴り止む。
みんなの手が一斉に止まる。
結局見失ってしまったカードの行方にちょっとだけ落ち込んで、ため息を吐いた。
俺の手元に残った真っ黒なカードを恨めし気に見つめた。
表紙には何も無い。
…俺が作ったのはこんなんじゃなかったのにな。表紙にだってリースにロウソクなんか折り紙で切り抜いて貼ったんだよ。すげぇキレイなの…

半分に折られた黒い画用紙に失望しながらも開いてみると…
目に飛び込んできたのは…
なんだよ、これ…

…星だ…

カードからはみ出すくらいにデカイ金色の星が、唯ひとつ…あった。
メリークリスマスの言葉もサンタももみの木もなにも無い。
本当に何一つないんだ。
ただ、五角形の綺麗な星が、キラキラと輝いていた。

俺は息を呑んだ。
じっと見ていると何だがわからんが、段々と胸の鼓動が激しく打つのが判って、そんで身体が熱くなってくる。

なんか…なんかドキドキする。

周りの奴らは「サンタさんかわいいっ!」とか、「このツリー、よくできてんなぁ~」とかはしゃいでいる。
隣りのアキラが俺の肩を抱くと、自分のカードを目の前に差し出した。
「ほら、見て見て、ハルくん。俺のカード、クリスマスケーキなの。美味そうだよ」
「…」ああ、そうかい。良かったな。おい、邪魔だから俺のカードの上にそのケーキかなんかわからんようなのが貼ってあるカードを置くなよ。
「おまえのは…何?コレ…」
「星だよ」
「…そんだけ?」
「うん」
「ハズレだな」俺の耳元にそう囁いたアキラは、ニヤッと笑って走り去っていった。

…ハズレ?コレが?…本気で言ってんのか?アキラ。違うよ、コレすげぇよ。すっげぇプレゼントだよ。

俺はずっと立ち尽くしたまま、そのカードを見つめていた。
綺麗に切られたキラキラ輝く五角形の星が…まるで…俺の星みたいに思えたんだ。

誰かが俺の前に立った。少しだけ星が影になった。
…邪魔だ、どけよ。せっかくキラキラしてんのに…
「あっ、これ…ボクがつくったのだ」
「えっ?」俺は聞き覚えのある声の主の方を見た。
「コレ…おまえが作ったの?」
「うん、ミナがつくったの。お星さまキレイでしょ?」
「うん…」
「ハルくんに届いたんだね、ミナくんのお星さま」
そう言ってミナトは、あのふわっとした、お花みたいな微笑を俺に向けたんだ。

「…あ、りがと、ミナ…ト」
「どういたち…ま、して…ふふ」
そんな無邪気な笑いするから、俺もなんだか釣られて笑った気がするよ、そん時。


俺に届いたおまえの星が…俺の星になったんだ。
ドキドキする。まるで…目指すものを掲げられたみたいな…本当にドキドキしたんだ…

結局、あん時の俺のカードが誰の手に渡ったのかは、判らず仕舞いだったけれど。なんかな、そんなのはどうでも良くなってしまっていたんだよ。
あまりにもミナトのくれたプレゼントが凄すぎて…

そして、二十数年たった今でも、こんな風に思い出しただけで…ドキドキした胸は鳴り止まないでいるんだ。




せっかくのクリスマスだからだしとこ!
これはつまり…感受性のお話です。
他の人にはなんでもないもの(人)が、或る人には輝く星に見える。
そんなお話です。
ちなみに自分の幼稚園もありましたよ、カード作るの。不器用な自分はマトモなサンタが出来なかった…(T_T)

しかし…ミナトか…被ったね^_^;

● COMMENT ●

クリスマスプレゼントだ~

キャワイイ、お話です。後編へゴー!!

はい、まだ純な頃です。

こいつらは幼稚園の頃からこうなんですよ~^_^;


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://arrowseternal.blog57.fc2.com/tb.php/122-7b509709
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

A WISH STAR 後編  «  | BLOG TOP |  » リンクについて

プロフィール

サイアート

Author:サイアート
イラストと駄文を更新しております。

少年愛を中心としたシリアス重視なオリジナル作品でございます。

ゆっくりしていってね~

サイズを記憶するフォントサイズ変更ボタン

文字を大きくする 文字を規定のサイズに戻す 文字を小さくする

ツリーカテゴリー

Script by Lc-Factory
(詳細:Lc-Factory/雑記)

最新記事

FC2カウンター

リンク

このブログをリンクに追加する