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2019-12

「彼方の海より…」 メトネ日記 5 - 2009.02.09 Mon

メトネ日記 5

魔の世界というところをおよそ人間が住めないような混沌の世界だと御伽話程度には聞いていたが、この目で見る情景はそれとは全く違っていた。
リュウ・エリアードの屋敷に着く間、私はリュウの背中に掴まりながら、白夜の風景に心奪われる始末だった。
地上では出会ったことも無い、奇妙なそれでいて整然とした眺めだった。
見たことも無い木々のそよぎに髪を撫でられながら、前方を見つめると、薄暮に仄かに藍く海底のように光る建物が見える。
魔界の四天王と呼ばれるリュウ・エリアードの住処だ。

二重の扉を開けて、部屋に入ると、リュウを出迎える魔族達が、遠巻きにだがそれぞれに安堵の顔を見せ、敬意を払っている。
彼、リュウ・エリアードがどれだけの要人なのか、彼等の態度でわかる。
私も傅かれるのは知っている。けれど、あんな風に存在しただけで、回りの空気が緊張し、畏怖と信頼を込めた視線を浴びたことはない。

リュウは彼等の…統治者なのか?
罪も無い大勢の人々を、躊躇わずに殺してしまえる傍若無人ぶりの悪魔なのに。

「リュウ。ご無事で何より…この度の首尾は?」
銀色の髪を後ろに束ねた壮年の男がリュウに近づき、話しかけた。
「上々…と、言いたいところだが、思ったより時間を食ったな。魔宝は取り返した。ほら…」

手を合わせゆっくりと両方の指をひとつずつ開いていくと、深い紺色の輝きを放ちながら彼の掌に、宝石のようなそれでいて歪な形をした石が現れた。
「皆も良く見ておくんだな。魔界を守る結界石のひとつだ。そう簡単にお目にはかかれない」
「何処に?」
「それを聞くなよ。まあ、簡単に言えぬところだよ」
「ユエ・イェンリーは?」
「それも聞くな。忘れたい名前だよ。あいつは魔族の名を捨てた。それで終わりにしよう」
「では次の四天王を決めなければな」
「…判っているよ。だが、今はこっちが先決。魔宝を示してこなければ」
「お疲れのようでしたら私が行きましょうか?」
「いや、いい。これはこれで扱いがややこしいんだ。他の野暮用もあるし…あ~…たく。面倒!」
「ご苦労様」
大げさに頭を抱えるリュウに、その側近の者が同情するように笑った。
彼等の間に流れる空気は、お互いへの信頼と仲間意識だ。
私は公主として、私の臣達にあんな信頼感を与える器量が果たしてあったのだろうか…

と、突然、何者かが、私の髪を(私は兄上から頂いた髪留めで両脇の長い髪を耳際で留め、長く垂らしていた)いきなり掴んで来た。
「触れるな!」
声を荒げ、手を撥ねると、その黒髪の背の高い魔族が私の手を掴んだ。放そうとしてもビクともしない。
私だって大人の男なのに。
なんだ、このバカ力。
「放せっ!」
「活きのいい人間だが…リュウ、あんたの趣味は変わってるなあ。なんでこんな人間連れてきたんだ?」
「そうそう、連れてくるんならもっと歳若く小さいのがいい。こいつを味合うのは相当な物好きだろう」別の男が私の顎を掴んでまじまじと顔を覗き込んだ。
私は身動きひとつ出来なくなった。

「ゆっとくがな、こいつはこんなんだが、大国を司る王様だよ、一応は」
「それは…珍しいと言えなくはない。可愛がってやってもいいのかい?」
「やめとけよ。俺が貰ったんだからな。…俺の許可無しには触れるなよ」
最後の韻だけリュウ・エリアード凄みを効かせると、私の身体に触れていた者達は舌打ちしながらも私を解放した。

「では、一寸行って片付けてくるから、後は頼んだよ、ラシュマー」
私を一瞥もせず、リュウは片手を挙げて出口の扉へ向かおうとする。
「で、これはどうすればいい?」
振り向いたリュウにラシュマーと呼ばれた男が私を指差す。
「あ?…そうだった。…風呂に入れて適当に飯でも食わせて、俺の部屋で待たせとけ」
「客人扱いで?」
「まさか…役にたたん奴をどうするかぐらい、誰でもわかるだろう」
彼は両手を軽くあげながら、どうでもいい風に笑って扉の向こうに消えていった。




まだまだ初夜は遠い…(^◇^)
話は頭には出来上がってはおりますが、如何せん時間が~
絵も描いてるんでね~どっちも楽しいからいいんですが、もし待たれていたらすいません。
まだまだ長いのでゆっくりしていってね~( ^^) _旦~~



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● COMMENT ●

兄上の髪留め

メトネの髪型、兄上から頂いた髪留をつけていたのね。
カワイそう、健気~。
お風呂に入れられてどうなるの~?

アドさん

メトネはエーギルから貰ったいろんな護符を片っ端から付けているので、飾りは多いですよ。
エーギルは昔のばーさん見たいに神事に五月蝿いからね~
お風呂でやるのとか?…全くないからwww


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