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2019-11

宿禰凛一 「kissをしよう」 3 - 2009.04.27 Mon

3.
「ごめん、宿禰。補習が長引いて遅くなった」
 息を切らせて胸を押さえる水川を見て、なんだか熱くなった。
「そんなに走ることなかったのに…」
「だって…昼休みも会えなかったから…」
「寂しかった?」
「そんなんじゃないし…」
 目線を外して拗ねる風も凄く愛おしくなって、ますますミナに惹きつけられる。本当にこの恋が成就できるなら…俺は何を捨ててもいいのに…とさえ思えてしまうんだから。

「宿禰…なんか元気ないね」
「そうかな…うん、昨日兄貴がアメリカの大学院に戻ったから…それでかな?」
 先生達の言葉は俺の中で閉まっておくことにした。
 どっちにしろ、ミナに言うことじゃない。
「お兄さん?」
「うん。俺んち、ちょっと変わってて…母親は小さい頃死別してて、親父は長いこと海外赴任だし…あ、今は再婚してて両親揃ってるわけだけど…俺、三人兄弟の末っ子で、真ん中の姉が事故で亡くなって…それで兄貴とふたりで暮らしててさ…一年ほど兄貴とはずっと一緒だったからさ…」
「じゃあ、宿禰はひとりで生活しているの?飯とか家の事とかも?」
「そういうのは、慣れてるんだ。飯も兄貴から結構教わったし…」
「…でもひとりじゃ寂しいだろう」
「ミナが時々俺ん家に来てくれると、寂しくなくなるかも」
「え?宿禰の家に?」
「学校から歩いて15分もかからないよ。今度遊びにおいで、ミナ」
「…う、ん」
 どこか戸惑いを見せるミナの態度に、まだまだ道のりが厳しそうだと見せ付けられ、なかなか敵さんも隙を見せないと認識。まあその方が陥落させる気概が大いに上がるっていうもんだろう。
 恋愛なんて、戦いに近いのさ。
 戦略と時期、それに気合い…だろ?

「怖がらなくてもいいぜ。ミナの了解を得ない限り、俺は何にもしないから」
「…怖がってないし。リンはすぐそういう物の言い方するよね。俺を子供扱いしてさ」
「子供扱いはしていません。純情なミナに敬意を払っているだけです」
「そういう言い方が…もう!リンは勝手なんだよ」
 ミナは時折俺の事を「リン」と呼ぶようになった。
 俺が「リン」と呼ぶように促しても呼ばなかったクセに。今はそう呼んでくれるという事は…少しは俺に 心を許しているのだろう…
 そう思うと、暖かい光が胸に射し込んでくる様で、俺は幸せな気分を味わえる。

 丁度、夕焼けの赤い陽がミナの身体半身を包んで、彼は尊い者になる。
「ミナ、手を貸して」
 俺はミナの手を取って、掌をじっと見た。
 赤い光はミナの掌までも赤く、美しく染める。
 俺はその掌にそっと口付ける。
「ぎゃっ!」と、声を上げたミナが俺の手にあった掌を身の内に引き戻す。
 それにしても…「ぎゃっ」は無かろうぜ。
「な、なにするんだよ!」
「え?キスしただけじゃん」
「き、汚いじゃないか!」
「俺の口唇汚かった?」
「違う!俺の手が…おまえが汚れるだろう?雑菌とか…怖いんだぞ!感染症とか大腸菌とか…」
「…怖くね~よ、バ~カ」
「な、なんでバカとか…」
「手にキスしたぐらいでビビるなよ。口同士だったら、雑菌の混じり具合は半端ないぜ。ミナは雑菌が怖くて、俺と一生キスしないつもりか?」
「す、するよ。するけど…今はしないからな!」
「…はいはい、わかりましたよ」
 いいムードを作ってやったつもりなのにさ。敵も手強いぜ。
 なんでここで意固地になるかさっぱりわからんがな。

 苦笑いを浮かべながら、俺はこういう素っ頓狂なミナに惚れているわけだと知る。

「ミナ、今度の日曜、空いてる?」
「え?…うん、予定ないけど」キスした手を擦りながら、ミナは俺を見る。
「じゃあ、デートしようぜ」
「デート?」
「そう俺たち付き合っているんだから、デートしなきゃな。おまえの行きたいとこ連れて行ってやるからさ。どこがいい?映画でも観る?それとも夢の国?水族館?動物園?あ、渋谷で買い物でもいいぜ。奇をてらって温泉って手もある。ミナ、どれがいい?」
「…」
「ん?」
「考えとく…」
「じゃあ、その時は…キスをしよう。勿論口同士でな」
「…そんなもん…予定に入れるな」と、剥れながら目が嬉しそうなんだよ。

 楽しいデートにしようぜ、ミナ。
 そして素敵なキスを。なっ!



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● COMMENT ●

うは、

怒涛の攻めでミナに「好き」と言わせる作戦ですか。
これがミナじゃなければとっくにおちてるのにね。
っていうか、このミナ、もうおちてないですか?(笑)

さくちゃん

あは、落ちてますかね~www
ミナも攻められると弱いタイプなのかな~
リンは誰にでもいつもこうですからね~(^_^;)
自分のペースに持っていく才能がある。
ミナが嫌がらないことを祈る。
つか、デート場所どうしょう…考えてないのよ~

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内緒さん

会話面白かったですか?
ミナの性格がだんだんと把握できてきたので、見事に彼に言わせています。でもsakutaさんの描くミナともちょっと違うかも知れないですね~ま、そこんところはあまり深く考えずに書いてます。
リンにしてみれば、ミナの心までわかるはずがないんですからね~
しっかし…このふたりのキスはなかなか…簡単にいかない。笑える話ですな~www

3話まで、まとめ読みです~。

旅行から帰ってきたら風邪ひいてました。沖縄で風邪・・・寒かったしね!で、3話も進んでいてビックリ!
堪能しました。
サイさんの会話、弾むな~。最後にミナは完全にデートでキスOKですよ!落ちてます(かわいい)
藤・藤コンビもそれぞれイイ味で、面白い学校です!
三上君のデートどうなるのかな?
トラウマでキスできなかったりして(笑)

アドさん

お帰りなさい~
ブログの更新は続いていたから、元気なものと思っていましたよ。
ご自愛下さいね( ^^) _旦~~

なんか会話ばっかりで…もう漫画みたいなんですが、この後の編が暗くなる予定なので(過去話)ここは明るく行っておきたいのです。
三上?…さあどうなるでしょう。いい奴だから大丈夫でしょうねえ~でもユミちゃんはリンを見たら三上から乗り換えるかもなあ~(^◇^)

あら。

手はミューズで、お口はモンダミンかしらん?(笑)
しっかり言質を取りましたね~~。
二人の最初のキスは、きっとかわいいんだろうーなー。

おふくさん

なんとかミナのキャラに慣れはじめましたね~。
他の方と作るという作業が大変だということに改めて感じさせられました。今までやった事はあるんですが、3次元だったり、完全な自分達のキャラだけを動かすとかそういうものだったんで簡単だったんですよ。
これだけ真面目な話を書くにはやはりキャラの深層心理を追求することが大事なことになってきますからね~
でも楽しいです。
ミナはリンから見ればかわいくてたまらんですわ(^◇^)


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