FC2ブログ
topimage

2019-09

「彼方の海より…」 2 - 2009.07.05 Sun


rm1


メトネ日記 第二章 2.

結局、私はこの魔界、そしてこのリュウの邸には、居ても居なくても全く価値のない存在であることが悲しいのだ。
公主であった頃は、それが傀儡としても、私には国を計らう権利と守る義務があった。
私の命なしでは、なにも始まらなかった。
勿論回りの者の諸々の介添えがあったからこその、国作りではあるけれど。
無知であることは重々わかっているから、せめて傲慢にはならぬようにと、努力はしていたつもりだった。
でも…リュウに言わせれば、それはきっと自己満足の限りであって、なんの信頼も得ていなかったと言うことだろう。

リュウは魔界では凄い魔力を持つ魔者で、それは私も目の当たりにしているから、知ってはいるけれど、決して心を許せる者ではない。
でも、私には彼だけしか頼るものはないし、彼を主人だと心に決めた。
だけど、リュウが私をどうするかは自由だ。
リュウが私を捨てたら、私はこの地でどう生きていけばいいんだろう。

考えると何も出来なくなりそうなので、身体を動かして暗い明日など考えるのはよそう。
エーギル兄様に見習い、明日はあすの風が吹く。そう考えることにした。

私は普段リュウの部屋で過ごしている。
リュウの部屋は寝室と居間と別にもうひとつ部屋がある。
どの入り口にも扉がないから、誰が入って来てもおかしくないけれど、さすがにリュウの部屋だろうからか、滅多に人は来ない。
来る者はといえば、リュウの部屋を整える者が、2,3人。それとリュウの一番身近にいるラシュマーという魔族。
リュウが最も信頼しているひとりだろう。

私はいつもリュウや私の服を届けに来るリックという魔者と知り合いになった。
この魔者は、一見私よりも若く少年のように見えるので、思わず声をかけたのだが、実は55年も生きているそうで、まさに魔者は見かけで判断してはいけない。
他の魔者にたがわずこのリックも綺麗な魔族で、最初は私を侮蔑するように避けていたが、何度かこちらから声をかけ、一応、存在を認めてもらった。

リックは一度話し出すとおしゃべりで、日頃溜まってる鬱憤を吐き出しては、自責の念に陥るということを繰り返している。
人間らしくて好感が持てる。
リュウの事を神のように尊敬しており、彼の身の回りの仕事が出来ることを幸せに思っているらしい。
「僕みたいな力の弱い魔族は、リュウの仕事を手伝うことは出来ないけどね、運良くこういう具合に身近にお使え出来ることを誇りに思うよ。こういう事は自分のプライドが傷つくんで言いたくないけれど、君を羨ましく思うよ。人間でありなからリュウの色子になっているじゃないか。彼に抱かれたい魔子はそれこそ山の如くだ」
「そうなの?」
びっくりして、頭を傾げた。そんなにモテているんだ、リュウは…当たり前か?『魔界の守護者』プレシャスハイガーディアンだもの。
そう思いながら昨晩のリュウと自分の目合いを思い出すと、急に顔が火照って仕方ないから、思わず両手で顔を隠した。
それを見ていたリックは呆れた声を出す。
「…君って本当に…天然なんだね~。なんか嫉妬したくても諦めついちゃうし、憎むより庇ってあげたくなるもん。リュウが君を選んだのも、少しはわかる気がする」
「リュウはきっと…珍しがってるだけだと思う。私を本気で好きなわけじゃないよ」
「そうかな?…魔族って結構一途な奴が多いんだぜ。人間よりよっぽど情が深いって言うよ」
「ありがとう、リック。慰めてくれて嬉しいよ」
「…面と向かって礼を言われるのは…照れるよ。…嬉しいけどね」
頭を掻きながら屈託なく笑うリックに、私も癒される気がした。
私が今まで生きてきた中での本当の意味での友人は、このリック・アスミルだろう。

役に立たないながらここで生きる為に、私は彼の仕事を手伝うことにした。



                                           text saiart


■「彼方の海より…」  リュウ・エリアードとメトネのお話はここから プロローグ
メトネ日記第二章 1へ / 3へ



PCを新しく作っているので、(ぬこが)
暫く色々引越しが大変で、更新遅れるかも…
しかし、パーツを買って本格的に作ってくれているので、能力は半端なくなりそう…
使いこなせるのか?




にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
↑お気に召しましたらポチっとお願いします。


こちらの方も参加しております。

● COMMENT ●

メトネかわいい~♪

リュウとメトネの物語やっぱ好きです~~♪
何かメトネがかわいい!!
そしてリュウも飄々としてるんだけどメトネが気に入ってるってとこがまたいいですね~~♪
またつづき楽しみにしてます♪

小説も色々増えてるのでちょっと順番に読んでいきますね。

まりさん

読んでいただきありがとうございます。
このお話も長くなりそうなんで、少しずつ前に進んでいければいいなあ~と思って書いてます。
あの絵も仕上げなきゃね(⌒∇⌒)

ユーリとエミルもこれに少し関連してくるのでお楽しみに。

リュウとメトネは★'.・.LOVE~(^▽^(^▽^*)~LOVE.・.・:☆( ´∀`)つ≡≡≡愛愛愛)Д`)グシャでいきたい!

メトネったら~

天然なんですよね~。
お友達ができる過程すらかわいい。

リュウは相当メトネが気に入ってますね。
リックおお手伝いして大丈夫かな?

アドさん

はい、メトネはめっちゃ天然ですよん(⌒~⌒)
この性格がリュウの癒しなんでしょうねえ~

そうなの、この後ちょっと大変な事が…あはv(o ̄∇ ̄o)


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://arrowseternal.blog57.fc2.com/tb.php/286-9bdf71e7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

ユーリとエルミザード  「黎明」 2 «  | BLOG TOP |  » 水川青弥 「引力」 4

プロフィール

サイアート

Author:サイアート
イラストと駄文を更新しております。

少年愛を中心としたシリアス重視なオリジナル作品でございます。

ゆっくりしていってね~

サイズを記憶するフォントサイズ変更ボタン

文字を大きくする 文字を規定のサイズに戻す 文字を小さくする

ツリーカテゴリー

Script by Lc-Factory
(詳細:Lc-Factory/雑記)

最新記事

FC2カウンター

リンク

このブログをリンクに追加する