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2019-11

ユーリとエルミザード  「黎明」 2 - 2009.07.08 Wed

2.
「エルミ、元気だったかい?」
 長身のヴァレリアウスは、屈みながらエルミザードを覗くように見つめ、その頭を撫でた。
 撫でられたエルミザードは首筋を少し赤くしながら、黙って頷いた。
「背も随分伸びたようだね。ユーリとあんまり変わらない。確か同い年だったよね」
「はい、ヴァルがくれた闘月4日が誕生日です」
「勿論覚えているよ」と、ヴァレリアウスは腰の袋から小さな石を取り出した。
「これは君の誕生石だ」と、東雲色の原石の欠片をエルミザードの手の平に乗せた。
「…綺麗だ」エルミザードは驚きと喜びの入り混じった声を上げ、礼を言った。
 ヴァレリアウスを見上げるエルミザードの信頼のこもった面差しが、自分とはえらく違っているようだなと、ユーリは少しがっかりした。

 その夜、二人のお客人を持て成す為に振舞われた料理をたらふく食べたユーリは、いち早く睡魔に襲われ、席を立つことにした。
「ユーリを客室に案内して」ライラスの言葉に、エルミザードは素直に従い、ユーリを案内した。

「君はまだ居たかったんじゃないのかい?ヴァルとはまだ話し足らないだろう?」
「いいの。明日もあるし…暫くはいるのでしょう?ライラスも僕もヴァレリアウスが好きだから、嬉しいよ」
「…私の事は?」
「…勿論、好きだよ。だってヴァルの甥御さんだもの」
 屈託のない言葉に、ユーリはエルミザードの純粋さ故の残酷さが少し嫌になった。

「エルミ」
「なに?」
 ユーリの休む支度を整えたエルミザードが部屋を出ようとすると、ユーリは声をかけた。
「明日は何か予定ある?」
「うん、お昼まではいつも菜園のお世話をするの。お昼からは…葡萄狩りにでも行く?」
「ご同行させていただいてもよろしいかな?ヴァルばっかりにくっ付いてないで、私の事も忘れなきよう願いたいね」と、半分からかう口調でいうと、
「…忘れないよ」少し拗ねた声で応えた、
 顔を赤らめて膨れた風もエルミらしくていいや、と、ドアを閉めて去っていったエルミザードを見送り、ユーリはベッドに寝転がった。


 ライラスの館の広大な土地は、険しい山の中腹にある。
 厳しい冬や山からの強風など、自然への対応が平地に暮す状況と比べても過酷な為、村の集落は少し下段に偏っていた。
 人を寄せ付けないのは魔術師の得意な本質とするところだが、ライラスは人当たりもいいし、偏屈なところもない。
 ヴァレリアウスはユーリに話して聞かせた。
「あれはもう世捨て人に近い。天上から見ている者と同じ。自分の魔力をこの地上の何事にも関わらせたくないんだよ。…ユーリ、力を持つというのはね、とても怖いことなんだよ。人ひとりの命は偉大だけど、少しの魔力であっけなくその個人の思想や行動、果ては命までも関わってくる。そういうものを知り尽くした者は、もう何もかもをも離れた存在になりたがる。ライラスの姿は何十年後の自分の姿かもしれないって、よく思うよ」

 ユーリは近くの山々や畑をエルミザードの案内で散策して回った。
 初めはユーリに対してもどことなく警戒し、怖気づいていたエルミザードだったが、3日もすると、ユーリにも心を開くようになった。

 エルミザードは強い魔力を持っているがそれを使いこなせない。と、いうヴァレリアウスの言葉が本当なのかどうか、ユーリは一度試そうと、わざと足をとられたフリを演じて、農機具の鎌で腕を切ってみた。
 腕から溢れ出るユーリの血を見たエルミザードは、驚いて躊躇なくその場で止血したのだ。自らの魔力で。
 その魔力の方法、強さとも完璧な治癒法だった。
 咄嗟の出来事にエルミザードは自分の行動を後悔していた。
 彼はできるなら魔術とは一生縁のない所に居たかった。

 偉大なる魔術師ライラス・ジレムと一緒に暮らしていながら、魔法と無縁に生きるとは、またなんて現実味のない話だとユーリは呆れた。
 魔術に縁がない者でも、その魔力を持った者の傍にいればなにがしかの影響はあるはずだ。
 ライラスもヴァレリアウスもそれを知り抜いた上で、自分をここに連れて来た…と、ユーリは感じている。

「自分が言わなくても、どうせ私がエルミを説得するとヴァルは踏んでいる。さすがに当代切っての軍師だけある。自分の手は汚さないんだもの」
 ユーリはエルミザードが自らが丹精込めて育てた赤豆をせっせと捥ぐ姿を目で追いながら、一人で笑っていた。




                                         text by saiart

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背景を書いていないので、何が何やらとお思いでしょうが、このお話は、100パーセント自分の自己満足のために書いてます。
色々な話を後々関連付けていけたら楽しいかな~自分がwww( ^ω^ )



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● COMMENT ●

ヴァルの掌の上で転がされているような「ユーリとエルミザード」
どんなふうにに展開されていくのか興味あります。
ってか、サイさんの頭の中に興味があります。
どんなお話がつまっているのか?

アドさん

いや~たいした話じゃないですよん(^ω^)
このユーリとエルミザードは暫くは青春学園物語でして、あまりBL的なことはないかも…wwまたか(;´∀`)

どう繋がるか…そんなに繋がらないけど、ぼちぼちいろんな魔族のかたがたもリュウの方で活躍してくれるかも…
でもさ、キャラばっか増やしても読んでる人は絶対わからんよね~
これはもう自己まんなので、文章を上手く書くとか、盛り上げるところはここです~とか、一切ない。
まあ、自分の物語に計算はあんまりしていないから起承転結ないね~σ(^_^;)アセアセ...


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