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2019-09

「彼方の海より…」 5 - 2009.07.17 Fri

ryuu1

5.
あれから私はリュウの身支度や部屋の片付けなどの仕事をもらい、ここで暮す意義を少しだけ見つけていた。
リュウがいない時は、リックや他のリュウの世話係りの方に色々と仕事を教えてもらっている。
リュウは私が他の魔族と親しくするのを好まないから、リュウが帰る頃を見計らっては、ひとりで待っていなきゃならない。
帰らない時には3日も4日もいない日もあるけれど、そうでない時は、リュウとはベッドで過ごす時間が多い。

私を抱く時、リュウはワザと私をひどく痛みつけたりするけれど、それも近頃は間隔があくようになった。
私が感じるようになったからかもしれないが、苦痛とも快感ともしれない声を上げたり、泣いてしまったりする私をじっと見ては、それ以上ひどくせずにいかせてくれるようになった。
私は快感に溺れるのが怖い。リュウという恐ろしい魔者に服従され、抱かれるのは私の意志だ。私が弱いから、貢物として差し出されたから、リュウを主人として言うがままになるのは仕方が無いと思っている。
だから、この身体をどんなに痛みつけられようが、犯されようが逆らってはいけないんだ。
でも、リュウからの愛撫には戸惑ってしまう。
彼が私の男根を口に咥えた時は、私は驚きのあまり彼から逃げたほどだ。
私が奉仕するのは構わない。でもリュウがそんな風に私を快楽に包む事をするのは、私はとても…いたたまれないのだ。
自分がリュウによって快感を与えられるのが怖い。
私は間違ってしまいそうだからだ。
リュウが私を好きなのかも知れない…そんな風に私の身体が覚えてしまうかも知れない。
それなのに、もしリュウに飽きられたり捨てられたりしたら、私のこの感情はどうすればいい。

…そんな思いなど知らないで、私の身体も心も揺さぶり、気持ち良くてたまらない行為を教えてくれるリュウが、私は嫌いだ。
…嫌いになれたらと思う。
あの見事なまでに整った美しい冷徹な容貌の、あの薄い紫水晶を光に捧げたような瞳で私を見つめるたびに、私は身体中が熱くなり、その細く長く白い指が私に触れる毎、私はこの魔者に殺されてもいいと、身を委ねてしまうのだ。

リュウは言葉使いは悪いが、心根は案外細やかで、不思議と人当たりもいい。
仲間に対しても上下隔たり無く言葉を交わし、他の魔族も一切謙譲語など使わず、誰もが「リュウ」と呼び捨ててもその響きにはあらゆる信頼の念がこもっているのがわかる。
私に対しても、バカにしたり、嫌味を言ったりとブラックユーモアは欠かさないけれど、よく考えれば、私はそのおかげでリュウに対して卑屈にならずに済んだような気がする。
この人は一体どんな人なのだろう。
どういう風にこの魔界の長として生きてきたのだろう。
私はリュウと過ごすうちにリュウのすべてが知りたくて仕方が無くなってしまう。

人間界にいた頃、回りの者たちは誰もが等しく優しく、私を大事に育ててくれたから、私は優しさに慣れていた。
だけど、リュウは違う。
リュウが優しくないのではなく、リュウは強いのだ。
だからメソメソと泣くだけの私がきっと…きっといつか嫌になるだろう。
私はそれが来るのが怖い…

「メトネ、どうしたの?」
刺繍の手を止めて、ふさぎ込んでいると、着替えを運んできたリックが声をかける。
なんでもないと、笑い、私はまた針を刺した。
「へぇ~上手になったじゃない。綺麗に出来てる。それリュウの帯だろ?」
「…まだ全然駄目…ミズキの作ったものとは比べられないよ」
「ミズキに張り合おうなんて100年は早い。って言ってもメトネは人間だから百年は生きられないけどね」
「そうだね…」
リュウより長く生きられなくて良かったと思う。
リュウの死に顔なんか見たく無いもの。
でも私が死んでもきっとリュウは泣いたり悲しんだりしないのだろう。
リュウからすれば私は興味本位で抱く遊び女ぐらいなものだから。
私は気分を変えるため、日頃からの疑問をリックに聞いてみた。

「ねえ、リック。不思議に思うんだけど、この邸で女性を見たことないけれど…私が会っていないだけなの?」
「いや、この邸には女はいないよ。当たり前のことだよ」
「?」
私は首を傾げた。
女性が居なければ子供は生まれないだろう。
私は幼い魔族の子らを幾度となく見ている。あの子達の母親はどこにいるのだろう。
「メトネは人間だから、男と女が揃って一緒にいるのが普通だろうけどね、根本的に違うんだよ」
「何が?」
「まずね、魔界では女は一生に一度しか子供は産めない。そして産んだその日から一年以内に自分は死んでしまう。これは絶対だと言っていい法則みたいなもんだね」
「一年で?」
「そう、稀に産んでも生き残る女もいるけれど、本当にごく僅かだ。だから女の魔族は子供を産むことは即ち『死ぬこと』と理解する。そうなると簡単に男の魔族とは契らないよね。だって自分の命を賭けるのだもん。だけど、子供は欲しい。だから魔力が強くて丈夫な魔族の男を選びたがるんだ。
そしてここが大事。もし子供が生まれたら、その子は絶対に双子、もしくはそれ以上の数の子供が生まれる。そしてその中のひとりは必ず女だ。女性が三人一緒に生まれる場合だって珍しくない。だから女の魔族は子供を産んですぐ死んじゃうけれど、女性の数は少なくならないんだ」
「不思議だ…」私は驚いて、仕事の手を止めて、リックの話を聞き入った。

「なぜ、この邸に女が居ないのかはね。男の魔族は自分の種を持った子供が欲しいって思うよね。だから女の魔族がいると、すぐに襲いたがるんだよ。ちゃんと恋愛して了解し合って子供を作るのが当たり前なんだけど、そうなると男も愛している女を出産で死なせたくないから、作ろうとしない。その間に他の魔族が強姦したり…そういう話も珍しくないんだ。だからリュウとこの次元の魔界の創始者であるサイアートっていう魔者がね、男と女の住む場所を分けたんだよ。
その地域はヴォルバと呼ばれ、この魔界の中心に点在するんだよ。女魔族の戦士が女達の舘を守る。そしてその回りの四方を、リュウ達四天王が守っているんだ。
子供が欲しいと思う女や、好きな男と安全に暮す場所もリュウ達が作った。秩序は大切だからね」
「安心して暮らせるように法を定めたわけだね」
「法っていうのとは違う気がするけどね~」
リックは首を竦めて私の頭を撫でる。
「メトネは男で良かったね」
「…」
結論はそうなるのかな?

リックの話はとても興味深く私の記憶に残った。
地上とは異質な性の営み。男女区別された生活をする魔界。
その中に住んでいる私という人間もまた異質な存在なのだろう。


                                          
                                             text by saiart

■「彼方の海より…」  リュウ・エリアードとメトネのお話はここから
プロローグ
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BL物語なので、基本女性はでない。でも世界観としては女性がいないのはおかしい。と、いうわけで色々なつじつま合わせを考え、こういう話を考えてみた。しかし、どこかに穴があるかもしれないかもと、戦々恐々たる心持である。(;´Д`)





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● COMMENT ●

なーるほど

メトネのキョットンとした、反応がいちいち可愛いです。
女性の国の、お話面白かったです。
そっちの世界も覗いてみたい、リュウ、いい人っぽくなってきてメトネは開発されてますね。
二人がラブラブになる日が見たい!!

アドさん

説明はまだまだ続きますww
いや長すぎたので二つに分けました。
こういうこじつけの説明はこれからの話にあんまり関係ないんだけどね~一応書いていたほうがいいかな~と思って考えました。
女の舘は別名ユリの園www
まあリュウたちの邸は薔薇邸なんでいっかヽ(`◇´)/

もうすぐ★'.・.LOVE~(^▽^(^▽^*)~LOVE.・.・になるとは思うのですが、そうなったらやってるシーンばっかになるじゃん。
それもいかがなものかと(;・∀・)


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