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2019-09

「彼方の海より…」  9  - 2009.08.08 Sat

9.
「こっちへおいで」
ぼーっとしていたら、オセ・ゲーティアに腕を取られ、無理矢理に隣に座らされた。
何故か肩を捕まえられている。まだ身体のあちこちが痛む感じがするので、腕を引かれたり肩を抱かれたり…とにかく触られるのに敏感になって、思わず顔を顰めた。
「なんだよ、愛想ないなあ~王様だった人間は魔者の色子になってもプライドが高いと見える」
「そ、んなわけじゃありません。ちょっと…具合が…」
私は向かいのリュウの顔色を伺いながら、なんとかオセ・ゲーティアの腕から逃げようと腰をずらす。
「じゃあ、俺の杯ぐらい受けろよ」
「え?」
顎を捕まえられオセの顔の正面に向けさせられると、瞬時に口を合わせられた。
驚いたが抵抗する間も無く、合わせた口から強い酒が流し込まれる。
「うう…」
熱い液体が喉へ流れ込む。

口唇をやっとの事で離し、あまりに急なことにむせ返っていると、オセはなんだか呆れたように笑う。
「なんだよ、やたらとウブじゃないか?…じゃあ、あっちの方はどうなんだ。試してみてもいいか?リュウ」
「…どうぞ」
なんの話なのか、全くわからなかった。
試すって…どういうこと?
答えを考える間も無く、オセは私の着ている上着の帯を取り、驚くほど簡単に服を脱がせた。
私は何度も目を瞬かせた。
なに?…何をしようとしているんだろう?

「そんなぽけっとしたかわいい顔するなよ。どうして人間ってのはこうも嗜虐的感覚を高ぶらせるんだろうね~。まったくどいつもこいつも…哀れといえば哀れだが…」
下着に手がかかり、さすがにどういう行為に望んでいるのか理解した。
私は青ざめ、「離して下さい!」と叫んだ。
…全然聞いてない。
抵抗しようにも力は強いし、どこを掴まれても身体は痛むし、思わず「痛い」と、泣いた。
構わずオセは裸になった私をうつ伏せにして、指を入れる。
私は叫んだ。

回りの魔者たちは私を嘲るように見下し、笑い、楽しんでいる。
遠くにリックが見えた。ただひとり、私を心配する友人の顔は青ざめている。
私はリュウが見れなかった。
こんな痴態を命じ、ほくそ笑んでいるであろうリュウの顔など見たくない。
指が抜かれ、腰を強く掴まれた。すぐに違う質量のものが入ってくる。
私は目を瞑り、歯を食いしばった。
泣き言など言うものか。辱めを受けたとて、今更だろう。
ただ、わけも無く涙が溢れた。
どうして…どうしてリュウは私をこんな目に合わせる。
私は…リュウだけのものになりたかったというのに…

快感など一切なく、必死で痛みに耐えた。
噛み締めた隙間から苦痛にあえぐ声が漏れた。
痛みと悲しみの涙でしゃくり返る。

「やめた!」
突然オセの声が聞こえ、圧し掛かられた身体が私から離れた。
だからといって私は自分の身体を動かす事もできないほどで、ただ泣くばかりだった。

「こいつ全然使えないじゃないか。リュウ、おまえちゃんと躾けたのか?」
「…悪いな、役立たずで」
呆れ返ったオセ・ゲーティアの声に、リュウは答える。

役立たず…その言葉が私の胸に突き刺さった。
やはり私はリュウには必要のないものなのだ。

「口直しに良いのを見繕って、ゲストルームで楽しんでくれ」
「そうするよ。全く、おまえの趣味には付き合えないよ」
オセは私の尻を叩くと、立ち上がって部屋から出て行く。
何人かの取り巻きが彼の後を追っていくのが見えた。

私は向かいのリュウに目をやった。
感情の見えぬ平素な顔をして、私を見つめている。
この私の醜態をどう思っているのだろう。
命令どおりに動かなかった私を、リュウは歓迎していないはずだ。
殺されるんだろうか…私は溢れる涙を拭き、裸の身体を竦ませた。

リュウは立ち上がって私に近づいた。
私はうつ伏せたまま、鳴き声を押し殺した。
これからどうなってしまうのか、恐ろしさに少しだけ震えてしまう。

するとリュウは思いがけない事をし始めた。
自分のマントを私の身体に掛け、そのまま私の身体を両腕で横抱きに抱えたのだ。
彼は私を抱いたまま、客間を後にした。

長い回廊にカツカツと靴の音が響く。
リュウはさっきから一言も喋らない。
リュウのマントで包まれているとはいえ、身体の半分も隠れていない。
リュウの胸と密着した肌が、なんだか熱くなってしまい、私は恥ずかしくなった。
「あ、あの…降ろして下さい」
「身体が痛むんだろ?じっとしていろ」
「…はい」
願いもむなしく取り下げられ、すべからくリュウが身体を引き付けるので私は顔を見られたくなくて、肩に顔を埋めた。

先程のリュウの仕業を私は酷いとは思っても、許せないとは思わない。
この者は私の主人なのだから、抱かれろと言われたらその指示に従わなければならない。
それなのに、私はできなかったのだ。役に立たないと言われても仕方のないことだった。

「嫌なのか?」
「え?」
「オセに抱かれるのは嫌だったのかと聞いているんだ」
「…嫌です。私はあなた以外の者と肌を交わしたくない」
迷ったが私は本当のことを口走った。

リュウの歩が止まった。
私の顔をしばらく見つめ、形の良い眉を顰める。
「メトネ、おまえ変な事を言うなあ」
「何が?」
「その言い方じゃ、おまえはまるで俺を好きみたいじゃないか」
「好きみたいじゃなくて…す、好きなのです…あなたが」
「…おまえは俺を憎んでいると言った」
「それは昔の話です。今は…あなたが好き。好きになってしまったんです」
「…」
リュウは真っ赤になる私をじっと凝視し、それからまた黙って歩き出した。

私は自分がバカ正直に告白した事を後悔しながら、リュウの腕に抱かれるのもこれが最後と覚悟し始めていた。



                                   


■「彼方の海より…」  リュウ・エリアードとメトネのお話はここから プロローグ
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● COMMENT ●

そうか~~、リュウはメトネに憎まれてると思ってるんでしたね~><
でもきっとリュウはメトネのこと無意識に好きなんですよね~
メトネも告白しちゃいましたね♪
これから先が楽しみです>▽<

誕生日イラストにホントはリュウとメトネを描こうかと思ったのですがsaiさんのリュウがカッコよすぎてかけませんでした~><
リュウほんとにカッコいい~♪
惚れました>▽<

まりさん

リュウは自分が好かれているとは思っていなかったんですね。出会いがあれだったから…
よくよく考えればメトネは結構脳天気だと思う。あんだけ被害が出ていて沢山死んだ人がいるんだから、その罪は負わなきゃならないのに、かる~く忘れている気がするんだよねwww
そこがまたメトネのオトメンたるところだとも思う・

ここが終ったらこの章は終わり。
ここからは冒険編になる予定。

いやいやまりさんのリュウとメトネもかっこいいと思うよ。暇があったら描いてみてね~

メトネって…

可哀想なんだけど、どうにもほほえましい!
サイさんの予想通り、このお話は私好みです。
いろんな参事や悲しいすれ違いがあっても可愛い純愛は
一途にリュウに向けられているってのが、いいんですよねぇ!

次で終わりなのが残念です。

アドさん

メトネの日記だから色っぽくもならないし、なんも知らない子だから沢山説明しなきゃならないしで…(;´∀`)
でもメトネは愛される子なので自分もすごく好きなんです。
この脳天気がリュウには萌え要素になっていると思われ…www

また次の章がありますから。
ユーリたちの話を暫く続けたら、また始めようかと…思っているのですが…


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