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2019-09

green house ~ 水川青弥 「引力」 12 - 2009.09.26 Sat

12.
「誕生日まで待って欲しい」
 言わなくちゃいけないと思って、口を開こうとすると、リンはおれの顎を掴み、自分の方に向けさせ、口を合わせた。
 互いの舌を舐めあいながら貪るキスはおれも嫌いじゃない。だけど、今はもっと大事な話があって…
 背後からしっかりと腰を捕まえられて身動きの出来ないおれは、身体を這うリンの指先にも刺激を受けて次第に息が上がる。

「リ、リン…おれ…あの…」声が裏返ってうまく言葉が紡げない。
「いやなの?」
 リンの甘い囁きにおれは、力なく首を横に振る。
 嫌じゃない…そうじゃないけれど…
「いつまでもじらさないでおくれよ。俺も気の長い方じゃないんだ。ねえ、いいだろう?」
 リンの唇が、おれの耳の後ろから首筋を伝わっていくのがわかる。
 ぞくりとする。
 リンはおれの感じる場所を知り尽くしているのかもしれない。
 抵抗なんてひとつも出来ない。

 カチャリと音がして朦朧となりかけたおれの意識が引き戻された。
 下を向くと自分の足元がぼんやりと見える。気が付かないうちに眼鏡を取り外されたらしい。
 リンは全く躊躇いもせずに、ベルトを外した俺のズボンに中に手を滑り込ませ、下着の上からではなく、直接おれのものに触り始めた。
 「あ…」
 おれは息を飲み込んだ。そして急いで右左と辺りを見渡した。勿論裸眼で0,1もない視力では誰かが居たとしても、はっきりと見えるわけではない。
 だけど、まだ宵の口で、しかも外からでも見ようと思えば丸見えの温室の中だ。
 リンは本気でこんなところでおれを抱こうとしているんだろうか…
 それともこれくらいで動揺するおれの方が、ガキなのか…

 おれはリンの恋人で、俺はリンを好きで、リンは俺を好きで…お互いに欲しいと思っていて…セックスしたいと望んでいて…それから…
 おれは居たたまれず、目を強く閉じた。
 
 リンの触り方は巧みだった。おれが自分でするよりも遥かに要領を得、快感を与えてくれる。
 だけどおれはそれが怖かった。
 リンに一方的に与えられ、翻弄されまくっている自分は嫌だ。

 セックスってそういうものなのか?
 おれがまだ何も知らないガキだとしても、おまえに抱かれる側であっても、こんなに惨めな気分でおまえに好きなようにいかされて…
 リン、おれはおまえと分かち合いたいんだよ。互いの気持ちを確認しあって、見つめ合って、ゆっくりとひとつずつ繋ぎ合わせて、快楽に委ね、与え合い、一緒に辿り着く。
 おれはおまえとそういう風に抱き合いたいと思っている。
 それはくだらない勝手な妄想でしかないのか?

「うっ…っ…」
 おれはいつの間にか泣いていた。
 自分の嗚咽に自分で驚いたが、止まらなかった。
 両手で顔を覆い、「無理だよ」と、しゃくりあげながら掠れた声をだした。
 リンは動きを止め、きつく抱きしめていた片方の手の力を弛めた。
 力の抜けたおれはその場にしゃがみこみ、泣き続けた。

「ミナ…ごめん。ごめんな。そんなに嫌がるなんて…思わなかった…」
 リンの心配そうな声が、おれの胸を更に締め付けた。
「もうしないから…泣かないで…」
 頭を撫でてくれるリンの優しさが、酷く無神経に思えた。

 …ちがう、宿禰が悪いんじゃない。おれがバカみたいに夢を見ていたのがいけなかったんだ。
 おまえが欲しいのにおまえにやる勇気もない…
 おれは…なにも、おまえに応える事なんかできやしない、くだらない男なんだ。

 おれは机に置いてあった眼鏡とカバンを持つと、宿禰の姿を一瞥もすることもなく、逃げるように温室から走り去った。








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● COMMENT ●

NoTitle

私は本番えろよりも、むしろそこに至るまでの葛藤や攻防に萌えます。
えっちに幻想を抱いて現実に怯えるミナもかわいいです♪

色っぽいよん♪

ん?色っぽいとエロっぽいのは違うのかな???

色っぽくて、切なくてカワイイ。
こんなに可愛かったら、メロメロにされちゃうのも分かります~~。

白状します。
私は、こういう甘い擦れ違いが大好きですっ。

さくちゃん

もともとここはさくちゃんが書きたかったシーンだったからね~思い入れはあると思うんだよ。具体的なことは聞いてなかったから、私なりのシーンにしてしまったけどね。
たぶんさくちゃんはもっとぎりぎりまでを想像していたと思うんだよね~ごめんね、中途半端で(;^ω^)
ここから先は、予定よりかなり早くくっ付かせるよ。
わたししゃこのふたりはモタモタしている性格じゃない気がするんだよね。特にリンは待てないし、ミナもぎりぎりなところまできているから、さっさと行き着いたほうがいい。
あとあともっと大変だから、蜜月は沢山時間を与えてあげたい。

メイさん

ミナは頭脳明晰で冷静な感じなのですが…自分が書くとどうもその頭の良さがかけている気がするなあ~www
ミナはミナなりに頑張っているとは思うんだよね~高1なんだもん。
相手がリンっていうのがまずかったね。
リンは特殊な人間だもん。
もっと普通な奴だったらミナもほんわか恋愛を楽しめたかもしれない。
ミナは成長していきますよ、絶対に、自分で幸せを掴む子です。
見守ってやってください。

ミナって

メガネをはずされたといってるからあのメガネの子?
まああああああ……
ミナの独白が、煩悶が、心にささる……

ところでサイアートさんってネーミングの天才ですねえ。
リンとかミナとか。
いちど耳にしたら忘れられない。

七月さん

天才…ではないと思うんですがねえwww(;´▽`A``
結構名前は大変ですなあ~
でもキャラ作りが趣味なので、名前も自然と考えないといけないのよね~
キャラが多すぎて(あの…100人ぐらいは作っているの。イラストブログの方に…)名前は覚えられん状態になっております。

よくよく考えたらミナもリンもまだ16なんだよね~だから泣くのは当たり前なのかも知れない。
うちの子もよく泣く子だったもん。


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