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2019-09

green house ~ 水川青弥 「引力」 17 - 2009.10.02 Fri

17、
 リンの部屋は、シンプルなものだった。
 ベッドの大きさには驚いたものの、他には揃いの木目の際立った勉強机と本棚ぐらい。テレビで似たようなものを見たことがあるが、どちらも高価な指物だろう。吹き付けの漆塗りが美しい。
 落ち着いた色調の中にひとつだけ目を惹かれたものがあった。
 本棚に飾られているかなり大きめのフォトフレームだ。
 近づいてよく見ると、コルク製のマットにコラージュのように沢山の写真が貼り付けられている。
 
 おれはそれを近寄って覗き込んだ。
 
 かわいらしい赤ん坊はリンだろう。両親と兄弟揃っての写真は七五三らしく、リンは千歳飴を持っている。リンに良く似た面差しの母親に抱きしめられているリン。ある時期からはお兄さんとお姉さんの三人だけの写真が多くなる。
 リンはいつも真ん中で、ふたりの兄と姉に見守られるようにあどけない笑い顔を見せている。どれもこれもリンは際立って美しく、その両脇を占める兄姉も、リンに相応しい容貌だ。
 
「リンは子供の頃からかわいいね」
「ああ、天使だって言われ続けてきたんだぜ。慧も梓も俺の背中に6枚の羽があるって言い張るんだよ。俺もその気になっていたけどね」
 俺はそれを聞いてリンの姿をまじまじと眺めた。
「…おれには羽なんか見えない」と、言うと、リンは嬉しそうに「だからミナが好きなんだよ」と、言う。
 
 意味がわからなくて、肩を竦めて、また写真の方に目をやる。
「お姉さんって綺麗だったんだね」
「うん、交通事故であっけなく逝ってね。二十歳になったばかりだったんだ。…俺は瀕死の梓を病院でひとりで看取った…悲しかったよ…」
「ひとりで?」
「ああ、その時は俺の他に誰も居なかった。姉貴が死んで俺は酷く落ち込んで、学校にも行けなくなってしまったんだ。梓は母親でもあり、ある意味恋人でもあったから…すごく愛し合っていた。だから、梓が死んだ時、俺も後を追いたかった…死にたがったんだよ。餓死して死のうとしたら、周りは必死で食べさせるしさあ…」
「…」
「俺はたぶん結婚はしない。それに、この先女の人と恋をすることは無いと思う。梓以上に愛せる女が現れるとは思えないからだよ」
「そんなに…愛していたの?」
「慧がいなかったら、自殺でもして死んでいただろうね。慧が居たから…置いていかれたもうひとりの半身である慧をひとりにしてしまいたくなかった。梓を失ってしまった俺達はもうお互いを失うわけにはいかなかったからね」
「…」
「ミナ…俺はおまえが思うほど強くもないし、綺麗でもない。甘ったれで我がままでどうしようもない人間だよ。それでもいい?」
「リンは前に言ったよね。好きなら相手のすべてを知りたいって。それは相手のすべてを受け入れることを覚悟した時だと思う。おれにとって今がその時だと思うんだ。リンがどんな奴でも構わない。おれの前にいる宿禰凛一がおれの好きな奴で、おれはおまえの全部を受け入れたい」

 リンは笑わなかった。伏せ目がちにおれに差しだす右手を、おれは握り締め、指を絡めた。
「リンが好きだ」

 おれとリンは立ったまま抱き合いキスをした。
 今までとは少しだけ違って、甘さに混じった感傷を感じたのは、それはおれがリンの本当の心に少し触れたからだと思った。







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この後、「そうしておれ達は朝を迎えた…」
ってしたら、怒るだろうなあ~www

次はベッドインで…で、まだなにも始まんないんだお(「・・)ン?

真面目な話、自分の求めるこの物語のBLというものは、ふたりを対等にさせるということ。
ミナは頑張ってリンに追いつこうとしている。




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● COMMENT ●

そうしておれ達は朝を迎えた?

それは早過ぎる。せめて「寸止め」までは進んで頂かないと。(笑)

らぶ・しーん、ずっと続くんですね。
私は苦手なシーンだと(今回の場合は剣術のシーン)、まったく筆が進まなくて、原稿用紙一枚分書くのに2時間くらいかかりました。

サイアートさんは、懸案のらぶ・しーんでもサラサラ書けてるんですか?それとも時間かかってますか??

メイさん

いやいや、これからだらだらだらと延々続く予定~

あと3回ぐらいでミナ編は終るのですが、ここのむずかしいところは(自分が感じているだけですが…)ミナ視点とあと、リン視点でも書かなきゃならないので、取りこぼしのないように書かなきゃならないことですかね~
だから一応ミナになって書いて、それからリン視点でこの時俺はこう思っていた…と、思いながらそれをミナ視点におきかえて…まあ、面倒だ~
このやり方をしなかったから、慧一編が誤魔化すのに大変でしたので、今回ミナ編を書く事になって、えらく考えてます。
どっちかだけだったら簡単なんですがね~

と、言っても自分の文章はメイさんみたいに文学的ではなく、あくまでも16才の男の子の感情を綴っているわけですから、難しく書かなくていいんですよ~(逃げてるだけですが)
…上手に書く能力ないものだから…(;へ:)

時々私の話を読んで、「私も創作したくなりました」って、言われる事があって、それはめっちゃうれしいけど、たぶん私の書くものが拙いからだろうなあ~と、思うんですよ。
でもまあ、しかたのないことです。だって、小説のための勉強してねえ~んだもん。

だもんで、サラサラ書いてないよ。ジタバタ悶々としてる~

延々!

だらだらだらと延々、ですかー。それは楽しみ!

上手に書く、うーん。上手に。・・・なんちゅーか、それは、「体裁が整ってる」「巧そうに見える」ってことなら、そりゃあんまし重要でないですよ。
必ずしも「上手」=「面白い」じゃないですから。
絵で言うなら、「きちんとパースは取れてるし、巧いんだろうけど面白味は無い絵」って感じかなあ。・・・あんましうまい喩えじゃないけど。

「私も創作したくなりました」って、言われてみたいなあ。
私は一度も言われたこと無いですー。

メイさん

きちんとパースが取れたらどれだけ背景が楽だろう~…(;´Д`)

人が読んで、私でも書ける!と、思わせるのもいいとは思いますが、メイさんみたいに格調高いと、ここまで書けない~…って、なるんじゃないかね~
私も真似したい表現はあるけど、無理して書いてもやっぱりどっかで無理してるって見えるもんね~
書けるものしか書けない気はする。その中ですこしづつ幅を広げられたらいいなあ~と、思う。

今日も明日も書けないけど、考えているのはかなり…変わった睦言バトルですね。考えてると楽しいです。
リンミナはもうここからはベタベタしてますからね~
ミナもリンもかわいいです。


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