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2019-09

猫日  午前中、その弐 - 2009.10.16 Fri

その弐
 うっ…そ…んな事…マジでありえんのかっ!漫画じゃん!漫画じゃなかったら…ゆ、夢だっ!んな事信じられっかよっ!…で、でもこの手に抱き上げてるコレは…猫…猫以外には見えねぇんだよ…しかも…由貴人と言われりゃ…そうかもって…思えねぇ気がしないでもないところが…怖ぇんだよ…だって…だって俺…こんなにドキドキしてんじゃんっ!

『あっ…んで…』
「…聞こえねぇし」
『…が…なん…』
「ユ、ユキ?」
 目の前の由貴人っていう猫は頭をブンブン振って、にゃあにゃあと鳴く。
「わっかんねぇしっ!」
 焦った俺は思いかけずでかい声で怒鳴った。ビクッと猫が身体を震わす。
「…ごめん…」
 反省して優しく抱き寄せて頭を撫でる。
 俺を見つめていた猫は、何かを思いついたように一声鳴くと、身体を動かして俺の肩によじ登り、前脚を耳んところに引っ掛けてもっと登ろうとする。
「何?頭の上にでも乗っかりたいのか?」
 この猫の行動の意味など知ったことじゃないが、とにかく他に良案もないので、望むままに頭に載せてやった。
 他人が見たらお笑い種だったろう。
 まさに猫を被った人間だ。

 猫は前脚を俺のオデコのところに揃えて、落ちないようにと必死で後ろ足で足場を作ろうともがいている。
「大丈夫かぁ~?」
『なんとかね』
と、今度は比較的はっきりと聞こえた。勿論由貴人の声音で。
「ユキ?」
『そうだよ』
「ホントに?」
『さっきからそればっかだよ、麗乃』
「…嘘だ…」
『…俺が言いたい、よぉ…』
「お、おまっ…なんで…ね、猫になってんだよっ!」
『…だから俺が聞きたいって!つーか、何で俺、猫になってんのさ』
「知るかっ!」
『麗乃、昨日、俺になんかしなかった?』
「はぁ?」
『なんかさぁ、変な事…こう…魔法とか…呪いとか、マジでやってねぇ?』
「ばっ!なんで俺が呪い…とか…」
 …思い当たる…節が無い事は…無い…気がする。
『なんかやったでしょう』
「ばかっ、や、やって…ねぇし…」
『嘘だ。今の声、心なしか語尾が上がってたし』
「うっせ…」とは言っても、なんか段々と思い出してきたぞ…

…そういや昨晩…


 由貴人が泊まりに来て、そんで一緒に風呂入ってイチャイチャした後、ふたりでTVを観だして、丁度猫の映画とかやってて、ふたりとも猫好きだから「かわいいよな~」とか、言ってたんだよ。そんでいつのまにかユキが寝付いてて。

 俺の膝枕で気持ち良さ気に寝ているユキが可愛くて、頭とか頬っぺたとか撫でたりしてたんだよ。なんか、猫みたいだよなぁ…とか、由貴人が猫だったらすっげぇきゃわゆいだろうにゃ~とか…ヤバイ…思ってたよ、確かに。

 で…その映画の後のバラエティ番組をなんとなく観てたら、「超能力コーナー」みたいなのがあって、その自称超能力者のあんちゃんが「TVの前のあなたも超能力が使えるように、私がパワーを与えますっ!」って両手をTV画面に向かって差し出して…「さあ、手を差し伸べて。今あなたの欲しい物をひとつ頭に浮かべなさい。それがこの私の手の平のパワーによってあなたの力を増幅させ、望みが形になるのですっ!」とか、大袈裟なジェスチャーでもって有得ない出任せ叫んでいた…気がする。
そんで、ばかばかしいなぁとは思ったんだけど、左手をこうね、画面に伸ばしてさ、右手は眠っている由貴人の頭を撫でて…「こいつ猫になんねぇかな…」なんてね…


『…』
「マジ冗談だったんだってっ!じょ…冗談でポロッと口に出したのっ!」
『本気で願ったろ…』
「…」
 だって、そんなの信じられっかよっ!
『麗乃ぉ…』
 そんな…簡単に頭に描いた願いが叶ったら、この世の中どんだけ平和になるってんだよ。
『レイくん?』
 そりゃ願ったよ。願ったけど…俺?俺が悪いっての?…だって、だってユキが猫になったらかわいいじゃんよ…俺は別に悪くねぇよ…
『麗乃っ!』
「…すんません、俺が悪かったです。本気で思いました」
『はぁ~』
「けど、けどさ、まさかマジで猫になるとか思わねぇだろ?普通は」
『じゃあ、おまえは普通じゃねぇって事なんじゃねぇ?』
うっ、それを言われたら何も言えねぇし…
「…ほっんと、ごめん、ユキ」
『もう…知らね…』と、言う声とにゃあというため息にも似た鳴き声を同時に聞く。
 そして、俺の頭から飛び降りた由貴人が今度は上手に着地して、こっちを見ようともしないでベッドを降りた。
 その後姿を見送って、俺は物凄い良心の呵責に苛まされてきて…
「ごめん…」
 もうこの部屋には居ない由貴人に謝った。





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