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2019-11

猫日  午前中、その八 - 2009.10.21 Wed

午前中 その八
 俺達はさっきの会議室に戻って、コンビニで買ってきた昼飯を四人で取った。
 ユキには五目御飯と幕の内の煮物とか小さく砕いてあげた。さして苦情も言われなかったから美味かったのだろう。ついでに言うと、ミルクよりはお茶の方が断然好きらしい。
 眞人と岬の二人は、もうユキに関して何も言わなかった。本当に信じているかどうかはわかんなかったが。
「で、どうする?麗乃」
「何?」
「昼からの撮影、由貴人が居ないじゃん…まあ居るけどさ」と、テーブルの上で前足を舐めてるユキを見る。
「そうだな…今日は個別に撮るか、別の日に撮るかしてもらうしかねぇよな」
「了解。じゃあ俺ちょっくらマネージャーに言ってくるわ」
「悪い。頼んだ」
 言うが早いか、岬は食い終わってない弁当を片して部屋を出た。
 残った俺と眞人は黙ったまま、残りの弁当を食う。

 食い終わったユキは陽の当たる場所を見つけて、そこで身体を伸ばし寝る態勢に入ってる。
 又寝るのかよと思い、呆れながら溜息を付くと、ふいに眞人が「こいつは良く寝るなぁ」と、同じ事を言うので俺は少し笑った。
「なあ、呆れるだろ?昨日もテレビ観ながら俺の膝で寝てたんだよ…」と、つい、馬鹿正直に口に出してしまった。
「由貴人はおまえんちに泊まったのか?」
「…まあ、そう」
「じゃあ、おまえが魔法でもかけたのか?」
 眞人にしてはえらいロマンチックな事を言い出すもんだと思ったが、その通りだと言わざるを得ないところが何とも…
 俺はコクンと頷いた。
「なんか…目が覚めたら、こうなってた…ホント参る」
「元に戻るんだろうな」
「そうじゃないと困る」
「おまえもだが由貴人が一番困るだろう」
「…ん…」判ってるけど…
「どうすりゃいいのか、わかんねぇ…」
「…」
 二人で既に気持ち良さ気に寝ている由貴人を見つめる。

 …猫だったら可愛いなぁとは確かに思ったさ。けれど本物の猫になって欲しいとか望んでなかった。
 もう猫のユキはかっわいいなとか思わねぇから、人間のユキに戻って欲しい。

「大丈夫なんじゃね」
 由貴人を見つめ続けていた眞人が、突然きっぱりと言い切った。
「えっ?」
「なんだかそんな気がする」
「何?…眞人に魔法能力なんぞあったか?」
「馬鹿、そうじゃなくて…おまえの想いが強かったら、きっと由貴人は元に戻る。…そんな気しねぇか?」
「そうなら…いいけどな」
「お姫様の呪いを解くのは王子様のキスだろ?」
「呪いをかけたのは俺なのに?」
「そう、だから解くのもおまえにしか出来ない」
 実に真面目に言われたので、冗句で躱す気にはならなかった。

「…俺にしか出来ない…か」
「ユキ自身がどうなのかは判らんけどな」
「判らんって?」
「いや…案外猫の方が心地良かったりしてな」
「まさか」
「さっきも…あの掃除のオジサンにな、連れて行かれそうになったじゃん」
「…ん」
 思い出したくもねぇし。
「あん時、ユキ全然嫌がんねぇの。黙ってそのオジサンに首んとこ摘まれてんの。…暴れりゃいいのに」
「…」
「なんかそん時思ったわ。由貴人はもう…なんか猫でもなんでもユキはユキなんだなぁってさあ」
「…うん」
「だからもう、…おまえ絶対離すな、ユキを」
「わかった」


 岬が戻って来た。
 結局撮影は由貴人無しでも予定通りやる事になったらしい。由貴人だけ別撮りって訳だ。
「ほら、コレ、いいもんあったから貰ってきた」と、岬が目の前にシルクみたいな生地の赤いリボンをぶら下げた。
「何?」
「ユキにすんの。首輪とかしてないから、野良と間違われんの。これでもしときゃ飼い猫だって判るしょ?」
それはいい考えかも知んねぇ。
「由貴人、起きろ」
 俺は寝ているユキを起こした。勿論抱いてやって優しくね。
 由貴人は顔を上げてにゃあと眠そうに応える。 

「ユキ、じっとしてろよ」
 岬がユキの首にリボンを掛けて、きつくならない様に注意しながら、背中んとこで蝶々結びにする。
「はい、できあがり!」
「…」
 テーブルにお行儀良くお座りをして、ちょっと首を傾けた由貴人はなんか…ちょっと…やばい…

「すげぇ、可愛いじゃん!」
「なんかモデル猫みたいだな」
「写真撮ったらマジ売れるぞ!」
「ふむ…これで猫のユキに萌えたら、俺もおしまいだな」
 …おい、すでに終ってる俺はどうすんだ?
 しっかし…有り得ねえ程可愛いじゃん。
 恐ろしきかな、赤いリボンの魔力。
 さっき俺は、猫のユキはもう十分だと思っていたのに…こんなに可愛いともうちょっと猫でもいいじゃん…とか、思っちまうだろうが…
 …サイアクだ、俺…ごめんなユキ…やっぱ猫のおまえも可愛いわ…


 何でも行動に移すのが早い岬が、カバンからカメラを取り出し、早速由貴人を被写体にし始めた。
「つーか、おまえまたカメラ買ったのか?」
 見かけねえ新しい一眼レフカメラを自慢げに見せつけ、格好つけながらシャッターを押しまくる。
 ユキは逃げる様に俺に抱きついてきた。言いたい事がありそうなんで頭に乗っけてみる。
『岬、ニタニタしてて気持ち悪いよ。なんであんなに俺撮るの?』
「…」
 そりゃおまえが可愛いからだろ?
「気にすんなよ。それよりユキ、午後から撮影で外行くけど、いい?」
『いーよ。なんかね、猫の視点で観んの、面白い』
「そっか」
 思いもかけず暢気な調子で言われたので、由貴人は猫の方がよっぽどポジティブじゃないかと、思わず笑った。
「ユキ、絶対俺から離れんなよ」と、言うと、
『麗乃が離さなきゃね』と、頭を叩かれた。

 もう絶対離すかよっ!


午前中 終わり


neko


7へ

一応、午前中はコレで終わりです…こんなの最早BLではないんですが…www
いや、終わりまで考えてはいるんですが、なにしろキスさえないので…猫とはするが~
そんなわけで、ここからは暫く放置(;^ω^)
そして、すべての更新は一日おきにします~

イラは…適当に鉛筆で~すんませんね~(;´▽`A``





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