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2019-11

君の見た夢 1 - 2008.11.04 Tue

1. 出会い

その日は、俺の26回目の誕生日だった。

「腹減った」
冷蔵庫に食い物が入ってなかったので、コンビニまで買い出しに行こうと、まだ肌寒い春雨の降る中を、傘さして出かけてみた。
いつものように、変わり映えのしないパンとカップラーメンを買い込んでの帰り道、せっかくだから、土手の桜並木でも眺めてみようと、寄り道をする。

ああ、あのひと際でかい桜の木、今年はすげぇ咲き誇ってる。確か去年はこの桜の木は、ひとつも花を咲かせていなかったんじゃないかな。一本だけ花が咲いていないのが珍しくて、逆に覚えていた。そうか、今年はキレイに咲いたんだな、おまえ。

もっと近くで見ようと近寄ると、木の陰から脚が見えて、反対側に回ってみると、根元に凭れるように人が倒れてる。
眠っているのか?いや、昼寝をするには天気が悪すぎるし、寒いし、ジーンズの裾も大分濡れてる。
死んでる?…おい、ぶっそうだ。パトカー?いや、救急車呼ばないとダメなのか?

そっと近づいて、様子を伺う。
若い男。俺より、少し下くらい?
白い顔。透き通るぐらいに白い。雨粒が濡らしているのか、伏せられた睫毛も濡れている。髪は茶褐色。長い前髪が、少し湿って額にくっ付いている。
桜の花びらが身体全体にまばらに散っていて、一瞬だが、桜の化身かもって思った。

なんだろ。初めて見る顔なのにどこか懐かしい…

ともかく、生きてるかどうか確かめなきゃ…そっと首筋に指を当てた。
…あたたかいし、脈もある。良かった、生きてる。
「あの、ちょっと…君?大丈夫ですか?」
肩をゆすってみる。
「…ん…うん…」声を聞いて安堵した。
「こんなところで寝ていると、風邪引くよ」
「…あっ…」
「それともどっか具合悪い?…救急車呼ぶ?」
「あの…」
「はい」
「ここ…どこですか?」
…?何?記憶喪失…なのか?……ドラマみてぇ…
「どこって?分からないの?」
「…はあ」
「…」
やはり、救急車を呼ぶべきなんだろうな。俺は腰に入れてた携帯を取り出す。
「…寒い…」
男は身体を縮ませて震えている。このままにしておくのはまずいか。救急車呼ぶにも、それなりの時間がかかるし、とにかく俺がそのままにしておく気分じゃない。取り出した携帯を元に戻し、男を見た。
「俺んちね、すぐ近くだから、とにかく来てくれないか?」
「あ…でも」
「立てる?」
「う、うん」
右手を差し出したら、思ったよりしっかりと掴んでくれて、実在するそのぬくもりにホッとした。
よろめきながらなんとか立ち上がっても、まだふらつくのか、足元がおぼつかない。
よろめいた瞬間、危ないと思ってその腰を掴んだら、その細さに驚いてしまった。身長は…俺より高いぐらいあるのに、なんだ?この細さは。
「大丈夫?」
「あ…なんだか…フラフラする」
「肩貸すよ」
「すみません…」
片手で傘を持ちながら、もう片方でふらつく男を抱きかかえるように歩く。さすがにこっちも体力もガタイもないから、ヨロヨロと歩く羽目になる。

なんとか我が家に着いた。
傘一本ではその役目は半分しか役目を果たさず、随分と濡れさせてしまった。男の薄いジャケットもジーンズも左側はびしょびしょになってる。
とにかくシャワーを浴びるように促すと、その男は素直に従った。
風呂場に連れてゆき、バスタオルを渡す。
「すみません」と、短く答える。
「風邪引かないようにちゃんとあったまってな」そう言いながら男の顔を見ると、濡れた髪の間から覗く目が柔らかく笑ったので、つられて笑みが零れる。

着替えは…俺のでいいな。背格好は同じ様なモンだし…新しいパンツとTシャツとトレーナーとジャージをたたんで、脱衣所に持っていく。丁度、風呂場から出てきた男の身体にちょっと驚いた。
すげぇ白いし、細い…それは大体分かっていたが…やっぱり男だ…それも分かってはいたが…
「…これ、着替え」
「あっ、すみません」
濡れたままの髪の毛から、雫が滴る。思わず横にあったタオルで、その髪を拭いてやった。なんだろ、俺、そんなに世話好きではないのに、かまってやりたくなる。
「あっ、自分でやりますから」
「いいよ、ついでだから」…何がついでなのか、さっぱりだよ。自分で言っておいて可笑しくて、笑いを堪えた。
「…すみません…なんか…」さっきからそればっかりだな。
「じゃあ、着替えたら何か食べるだろ?ってゆうか、気分は良くなった?」
「はい、大丈夫です」
「よかった」
「すいません、なんか、色々してもらって…」
「それ、やめよう。俺達あんまり変わらない気がするんだ」
「えっ?」
「いや、歳…年齢だよ」
「はあ」
「だからさ、タメ語でいいよ」
「そうですか?」
「そうだよ」
「わかった」
素直でよろしい。



相変わらずの長編パラレル文です。すんません<(_ _)>ゆっくりとUPしていきますので…

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