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2019-09

君の見た夢 3 - 2008.11.07 Fri

「おーい、麗乃!邪魔するよ~」
ふたりでたわいも無い話をリビングでしていると、玄関から聞きなれた声。
「Happy Birthday!レイくん。今日はこのスーパーシェフ岬様が、腕によりかけてご馳走作ってやっから…って……」」
両手に抱えきれないぐらいの紙袋やスーパーの袋を、キッチンのテーブルに置いた岬がリビングでくつろぐ俺達を不思議そうに見る。
「へっ?そいつ誰?」
後ろからケーキの袋をぶら下げた木久地が、何も知らずに「うぇ~す」と続く。
「あれ?香月の友達?」
友達とゆーか、さっき知り合ったばかりなんだけどね。
「誰?誰?紹介して?」
人懐っこい仕草で岬がユキの側に近寄る。続いて木久地も興味深げにユキを眺める。
ふたりに見つめられてユキが困った顔を俺にしてくるから、大丈夫だよって微笑んだ。

「こいつさ、ユキってゆーの」
「ゆ、ユキです。コンニチワ」
「ユキ?かわいい名前だなあ~あっ、俺、臼羽岬っての。こいつの幼馴染みね。岬って呼んでね」
「岬?…きれいな名前だ…」
「うん、よく言われる。ギャップありすぎるって」
「そ、そんなこと、ないですよ。な、んか合ってるって、思う…」
「…まあ、そんな顔して言われると…照れる」
「照れる顔じゃねえだろうが…」
「うっせよ!マコトっ。でね、この黒いのが木久地眞人」
「黒いゆーなっ!」
「だって、黒いじゃん」
「今日わ、マコちゃんって呼んでくれ」
「キモイよ…マコト」
「うるせ!で、ユキちゃんは幾つかな?」
「おい、ガキに聞くような言い方ヤメロ」
「だってユキしかいわねーからさ。普通、フルネーム言うだろう」
「それは…」
「ごめんなさい。俺、記憶喪失みたいなんで…覚えてなくて…」
「はっ?記憶そーしつ?」
「マジで?」
「…はい」
「麗乃、ホントなの?」
「うん、えーと、土手のでかい桜の木があるじゃん」
「うん」
「あそこで…ひろった」
「ひろったって…」
『おい、大丈夫かよ』岬が俺の耳元で囁く。
『っな事言ったって、ほっとくわけいかねーじゃん』

「で、ユキくんはどっから来たのかわかんないのかな?」
木久地の奴がニコニコしながら、先生みたいな言い方でユキと会話してる。初対面の奴とは滅多にコミュニケーション取らないのに珍しい。こいつもユキが気に入ったらしい。
「すみません。わかんないんです」相変わらず舌ったらずの言い方で律儀に答えてる。
「あっ…でも、なんか思い出した」
「えっ?何?」
「俺ね、たぶん…25になってる。なんかクリスマス頃、誕生日のお祝いしたの覚えてるし…あれ?どこだったかなぁ~…う~ん」
「えっ?じゃあ、俺達とタメじゃん。ねぇ、レイくん」
「う、うん。いや、ちょっと下かなって思ったけど…そっかタメだったのかぁ」
なんか、ちょっと嬉しいかも知れね…
「みんな一緒なの?」今度はユキがちょっとビックリしてる。
今風のギャル男の岬とスーツをカッチリ着たサラリーマン風の眞人と、まるでプー太郎の俺とじゃ、同い年とは思えねーか。
「俺達みんな幼稚園からの幼馴染みなんよ」
「へぇ~凄いね。今も仲いいんだ」
「うん、仕事は全然違うんだけどね。俺はフランス料理店のシェフで、眞人は出版会社のサラリーマン。で、将来はエロ小説家になるんだよな~、マコちゃん」
「エロは余計だ。見てろ、今に直木賞取ってやっから」
「うん、有名になったら、俺も超嬉しいよ~」
「って、紹介終ったところで、岬、晩飯よろしく頼むな。なんか俺あんま料理できねーからさ。ユキに何に食べさせるか、悩んでたの」
「そんな…俺、なんでもいいよ」
「…うん、じゃあ、麗乃、ちょっと手伝って」
「オッケ」
「マコちゃん、悪いけどさ、ビールとジュース買ってきて、あと白ワインも」
「え~面倒くせぇ」
「ビールはマコちゃんしか飲まないんだしさ。ねっ、行ってきて」
かわいく頼めば何でも言う事を聞くと思っている岬に、眞人はいつだって逆らえない。
「んじゃあ、行ってくる」
「ん、ワインは安いのでいいからね」

で、ふたりでキッチンに立って下ごしらえをする。
「なあ、麗乃。あいつホントに大丈夫か?」岬が小声で俺に言う。たぶん状況を詳しく知りたいんだろう。でも、俺もあんまりよくわかんないんだよねぇ。
「何が?」
「だって、警察とか届けなくていいのか?捜索願いとかさ、出てるかも知れねーし…もしかしたらどっかの病院から逃げてきたのかも…」
「バカ、ンな事あるんよ。あいつ、すごくマトモだよ。受け答えもしっかりしてるし…」
「レイくん、気に入っちゃった?」
「えっ?」
「たってさ、おまえのお気に入りのトレーナーなんか着せちゃってさ」
「…」岬に返事もせずに、リビングでおとなしくテレビ見ているユキを振り返り…
「もしかしたら…おまえ、マジで…恋しちゃったの?」
「ばっか、声でけぇよ、岬」
「いや、そりゃおまえの好みちゅーのは分かるケド、あいつどーみても男だよ?」
「見りゃわかるよ」
「…そう…なら何も言わねーケドさ…確かにな…かわいいっちゃ~かわいい…」
ふたりしてユキを見たら、目が合って思わず意味無くにっこり…だよ。ユキも首傾けてにっこりって…マジかわいい…

「…ありゃ天然に天使系だな」
「だろ?」
「でも、おまえ、出会って何時間だよ」
「好きになるのに時間は関係ない」
「…すげぇ、言い切ってる…おまえ、本気?」
「本気だよ」
「はぁ~、なんか大変だと思うけどねぇ」
「恋に試練はつきものだ」
「はいはい、わかりました。幼馴染みのよしみだ。協力は惜しまんよ」
「ありがと、岬」



☆彡まだ誕生日終わらないね~^_^;

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