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2019-09

R-a-guardian-sprite 2 その1 - 2010.02.08 Mon

「R-a guardian sprite」は 「悩まない男」の7月さんとのコラボです。


前作の続編です。

文章はすべて7月さんの創作です。

この世界感、キャラは私が創造したものだ。
私は今まで他人に自分のキャラで文章を書いてもらったことがない。
もらいたいとも思ってない。
それは私の頭で生み出したキャラを他人が理解できるわけがないと思っているからだ。
キャラが生まれる時、私はそのキャラの一生まで考える。
どんな性格、背格好、どんな風に生きて死んでいくのか…
それを私以外の者が、物語にできるのだろうか…

このキャラで書いてみないかと誘ったのは私の方である。
7月さんが何かを書きたがっているのは感じていたし、このキャラに非常に興味があるのも知っていた。
だが、果たしてこれを書けるのだろうか…
いや、もしかしたら、7月さんなら書けるかもしれない。
そう思わせてしまう文章力が7月さんにはあったからだ。

7月さんの作品はファンタジーも現代文も非常に描写が巧みだ。
巧みであり、音符のように言葉が流れ、ひとつのソナタや協奏曲を奏でる。(交響曲でないところがミソ)
文章は個人の好みである。
そして7月さんの文章は私にとって非常に興味深い。

彼女は見事にルカとナルヴィの物語を作り上げた。
前回の話は出会いであり、その内容に私が驚くことはない。なぜなら私はその話をもうとうに私の頭の中で描いているからだ。
だが、他人がここまで自分の意思と違うなく描写できるものだろうか。違和感と言うものが無い。
ここはこういう感情じゃなくて、もっと違う言葉で言って欲しいのに…と、いうジレンマがまったくなかった。
私の頭の中身をすっぽり盗み見られたような感じなのだ。

だが前作に些細な不満はあった。
猫ルカの描写が自分にとっては足りないと感じていた。
(見返したら充分な分量を書かれているのにもかかわらず)
今回、それを完璧に払拭した。
猫ルカの描写に不覚にも泣いてしまった。
猫ルカがあっての人ルカなのである。
ナルヴィにとっては猫ルカは人ルカよりも(ある意味)重要でなければならない。
今の時点では、である。

間違いなく7月さんの中でこのキャラたちは息づいている。奇跡的にそれは私が思考するキャラたちと寸分違わない形なのである。
つまり私達は現存しないキャラを、あたかも目の前にいるかのように同じ角度で見ているのだ。(これはひとつの奇跡ではないのか?)

今回、7月さんは私に頼まれたわけでもなく、自分の意思、創作力により執筆された。
そしてそれに対応するように私もイラストを描いた。
それが本来の創作であり、コラボであると思うからだ。

創作とは苦悩することだ。苦悩し生み出すことを喜びと知る。そしてまたこれで良かったのかと苦悩する。その繰り返し。
だが生まれてきた作品のキャラたちは、勝手よろしく、息吹の声を上げ、よろよろしながらも自らの足で歩き始める。
私はそれを見守り、それを書いて(描いて)いくのだと思う。

普通なら7月さんに対し、「私のキャラを使って書いてくれてありがとう。感謝の気持ちで一杯です」と、言うところだろう。しかし敢えてお礼は言わない。
代わりにこう言いたい。

私達は自分たちの意思のもとに、ひとつの創作作品を作りあげた。
とても楽しい時間を共有できて、最高だ。

そして、みなさん、
どうぞ、良かったら見てやってください。


表紙

R-a-guardian-sprite 2

みずからは光源を擁さないちいさな衛星が、恒星からの強烈な光を与り、じょじょにそのかたちをあらわしていく。
猫の爪さながらに弧を描くしらじら尖った月が、くらい夜をひとつまたひとつとかさねてゆくごとにふっくら丸みをおびていき、やがては群青の天窓にその真円を掲示する。
正体をあらわす。露呈するのだといってもいい。


満月になるとなあ、と、払い下げとなった一人乗り飛行艇の修理改造をナルヴィのところへもちこんでいた隣人が、いましも昇らんとしていたくだんの星を高窓のむこうにあおぎながらぽつんと口をきる。
「女房のやつがどうにも情緒不安定になりやがるんだ。
なんだか近寄るのもぶっそうなほどにぴりぴりしてるかと思えば、びしゃりとひっくり返したみたいにだしぬけに上機嫌になる。
たのむよ、気味が悪いんだと釘を刺したらどこがよと笑いながらおれのつらをひっぱたきやがった。
10年もいっしょにいてようやく月との因果関係に気がついた」


感情をどこやらへおきざりにしたまま、へえ、そうなんですかとナルヴィは相槌をうつ。
おまえ信じてないなと隣人は髭面をぴくぴくふるわせ、
「あのクソいまいましい月にはぜったいになにか、得体の知れない力があるんだ。
ふだんはあるかないかわからんぐらいに薄っぺらいくせに、ひとたびそれが円に結ばれてみろよ、隠匿していたぞっとしない代物を嘔吐さながらにまきちらす。
地上にへばりつくおれたちにむけて、そのほそく光り輝く槍が幾千幾万とつきささってくるんだ。
こっちはどこへ逃げられるわけもない。
当然さ、光だもの、どこまでいってもつかまっちまうに決まってる」
どこまでいっても、とナルヴィが問う。
どこまでいってもだと隣人も鬱々とうなずいた。


それでも抵抗はしてみたのだった。
すまないけど使い立てをされてくれないか、けして急がないからねといいふくめ、なんの意味もないささやかな荷をルカに預けた。
この守護番人はひじょうに律儀だからどんなに時間がかかってもきちんとそれをあいてに手渡そうとするだろう、とちゅうで投げだしたりはまずしないだろう。
いまいましい満月が天にかかるころといってはナルヴィの家からすでに遠く距たっている、とうてい一晩かけてもどってこられる距離でない、これでルカを遠ざけておける、そうもくろんだのだった。
みずからの浅はかさをかれはみずからの身をもって思い知ることになる。


ほんとにこの男にはできぬことなどなにひとつないのかとほとんど恐怖した。
あれだけの距離をまさに一跨ぎでもどり、なんでもない顔をして少年を抱いた。
(おれを閉め出せるとでも思ったのか)酷薄な笑みとともにいいわたされことばをなくした。
あてつけででもあるかのように、ことさらに執拗に痛めつけるがごとき、深々とえぐり、乾声になるまであえがせ、おそるべき高みへと少年をいざなっていった。
曙光がさしこむぎりぎりまでその端麗な人型を維持し、一晩まるごとを消費してはげしい交接をつづけ、いくどもナルヴィの精神を分厚い闇にべたりと塗りこめた。
ながい紐に剣呑な結節をいくつも拵えさせられ、そこをまたぐにはこころを呼びもどし、さあと励ましてやらねばならなかった。


これまで五たびにわたってひとのかたちをしたルカとからだを繋げさせられたが、ナルヴィにとってこのひとつきにいちどの情交は、たとえていえば一方的にやってくる津波のようなもので、どうあがこうが回避できるものでなかった。
よるべない木の葉さながらにただひたすら攫われていくだけ、もみくちゃにされ息をうばわれ、涙は血に、血はとろりとした愛液にと転換させられていくのだった。
ナルヴィはといえばひたぶるに男の名を呼んで高腕を宙にさしのばすしかなかったが、自分はいったいだれのことを呼び求めているのかと混濁した意識のうちで首を傾げざるをえない。


この疑問は正しい。
五ヶ月まえまではルカという名にはたったひとつの存在しか意味づけがなされていなかったというに、いまではこれがすっかり変わってしまった、もうひとりの別条たる人格が「おれを認めろ」とナルヴィの視界のあらかたを問答無用で蹴散らしにあらわれたのだ。
自分もまたまぎれもなくルカであると男のいう、しかしながらナルヴィにとってかれらは別個の人格だった、同一ではなかった。
だが(青い両眼をきついおもてに冠した)ルカのいうこともまた真実であるのだと、ずいぶんとあとになって苦渋ととともに諒承するようになる。

(「R-a-guardian-sprite 2 その2」につづく)


ルカナル1

文章…7月
イラスト…サイアート



● COMMENT ●

お世話になりました~
今晩は予約投稿大丈夫よ。

こちらこそ、あんがとね~
2話は泣いたよ~
かわいいなあ~猫ルカは。
さすがは私が作っただけあるよwwww
自画自賛しねえと誰も褒めてくれん(;´▽`A``


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