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2019-09

宿禰凛一編 「Swingby」 17 - 2010.02.24 Wed

17、
 体育祭は予想通り…それ以上の盛り上がりを見せた。
 こんなに沢山の応援や声援を送られて学校行事に参加するなんて、俺にとって生まれて初めての経験だった。
 小学校の頃から、俺を見守るのは慧一と梓しかいなかった。
 保護者参観の時も、遠足の時も、運動会や文化祭、すべての学校行事に来てくれるのは、慧と梓のふたりだけだった。
 だから、慧一や嶌谷さんやみんなが俺を見守ってくれる視線が、うれしくてたまらなくて。
 大声で俺の名前を呼ぶ声を聞いて周りの奴らは笑うけれど、俺は涙が出るほど有難くて仕方がなかった。

 観覧席に卒業生の美間坂さんと桐生さんの姿が見えたので、挨拶に行ったら、「俺のいない体育祭がどんなものかわざわざ来てやったんだ。俺の後輩としてヨハネの名前を穢すんじゃないぞ。わかったな」と、美間坂さんが睨みつける。
 美間坂さんの後ろから桐生さんが、相変わらずの穏やかな微笑を湛えて俺に顔を近づける。
「真広は昨日から宿禰の応援合戦を楽しみにしていたんだよ。根本とやるんだろ?きっと絵になるダンスだろうね。俺も楽しみにしてる」
「ええ、そりゃ、毎日死ぬほど特訓したんです。期待していいですよ~」
「向こうに君の名前を呼んでいる一団を見たけど、サテュロスの皆さんだよね」
「そう。ああ、桐生さんは嶌谷さん、知ってたよね」
「うん、今でもたまに美間坂を連れて店にお邪魔しているよ。常連客の方とも良くしてもらってる。…良かったな」
「え?」
「宿禰を見守る人たちが沢山いてくれて…幸せに満ちた顔つきをしているよ」
「本当に…なんか…俺、すげえうれしい!」
 満面の笑みを見せると、桐生さんは少し驚きながらも微笑みを返してくれた。
「…素直な宿禰はかわいいなあ~ちょっと抱かせてくれる?」
「勿論」
 俺と桐生さんがしっかり抱き合っているのを、目の前の美間坂さんが引き離そうとするが、俺たちは満足するまで離れなかった。
 辺りの状況がどうなっていたのかは知らないが…

 昼食時は、嶌谷さん達が用意したお弁当を囲んで、みんなと食べた。
 慧一はもちろん、美間坂さんや桐生さんも誘った。
 何事か?と様子を伺いに来た藤宮先生も引き込んで(慧一は微妙な顔つきだったが…)みんなで宴会さながらの賑わいで盛り上がった。
 こんなに楽しい体育祭なんて、夢みたいだと何度も目を擦ってみた。
 感動で目が潤みがちになり、慧一を見ると、慧もなんだか感極まりながら見つめ返すから気持ちを共有しているのだとわかる。

 午後一番のプログラムの応援合戦は大成功を収めた。
 本番の口づけのハプニングはあったけれど。
「リンくんのリードがあんまり巧すぎて、立ちそうになっちゃった~」
と、優勝旗を手にした根本応援団長が泣きながら、教室兼楽屋で俺に寄りかかってきた。
「本気で惚れようかなあ~」
「…ネコ先輩もステキでしたよ」
「じゃあ、ぼくと寝てくれる?」
「それはムリ!」
 先輩を支えていた両手を離すと、先輩の身体は優勝旗と共に床に転がった。
「おい!団長を粗末に扱うなっ!」
 周りの応援団の仲間があわてて根本先輩の身体を起こした。
「ひど~い!先輩を足蹴にした~」
「あんたが迫るからでしょう。それに応援団も解散だしね、ね、岡田先輩」
「みんなのおかげで我が黒組が優勝できたっ!みんな、俺のしごきによくぞ耐えてくれた。これで黒組応援団は解散っ!」
「オッス!ありがとうございました~」
 揃いの型を決めて挨拶が終わった。
 ひとりいじけた奴がいたけれど…
「…団長はぼくなのにさ…」
「先輩、ありがとう。楽しかったよ」
 いじける根本先輩の頬にキスのプレゼントを。

 体育祭の後の片付けも終わり、帰路に着き、慧一と一緒に嶌谷さんの店に出向く事になった。
 打ち上げのパーティで労ってくれるそうだ。
「なんだか本当に感動しちゃったよ。みんなの応援の声を聞いて、何度涙が込み上げてきたかわからないくらいだ」
 電車の中で立ったままの俺たちはドアに寄りかかりながら話す。
「俺もね、自分のことの様に嬉しかったよ。凛が輝いている姿を見るのも、応援してくれるみんなを見るのも…本当に来て良かったよ」
「慧は今まで俺の為に自分を犠牲にした事も多いから。こんな形で少しでも返せるのなら、ほっとする」
「俺は犠牲になっているとは思ったことはない。学校でも凛の様子を見るのは楽しかったしな。でも今日はまた違う感動が湧き上がったね。兄貴として誇りに思ったよ」
「…」
 慧のこんなに穏やかに幸せそうな顔を見るのは久しぶりだった。俺は人前じゃなかったら抱きついてキスをしたいくらいだった。

 
 「Satyri」では、みんなが俺たちを待ち構えて歓迎してくれた。
 後から美間坂さんと桐生さんも合流。楽しい打ち上げ会になった。
「わざわざシカゴから凛くんの応援にくるなんて。さすがはお兄様だわ…」
「弟バカでしょ?」
「どんなにワタシが凛くんを愛しても慧一くんには敵わないってことなのね~」と、わざとらしく泣き崩れるミコシさんは、ほって置いて。
「慧一くん、いつ帰るの?」
「明日です。朝の便なので、今晩は家に帰らずに近くのビジネスホテルに泊まります」
「じゃあ、俺も一緒に泊まるよ」
「凛一は帰りなさい。今日は疲れているんだから、ゆっくり休んだほうがいい」
「だって…」
 だって、こちらに居る時間が短いなら、ぎりぎりまで一緒に居たい。
「じゃあ、俺がいい場所を提供するよ」
「え?」
「俺のマンションに二人とも泊まりなさい。プライスレスだ」
「いいの?」
「おまけに美味しいワインもご馳走しよう」
「あ~あ、またマスターの宿禰兄弟びいきが始まった~」
 ミコシさんの呆れた声が、みんなの笑いを誘った。





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リンミナシリーズはこちらからどうぞ。目次へ



慧一視点で見ると…
↑使いまわし~wwwあと一回は使わせてもらうわ~


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