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2019-09

宿禰凛一編 「Swingby」 22 - 2010.03.29 Mon

22、
 俺はセックスに快楽と思慕の念を求めてきた。
 女でも男でも入れる側でも入れられる側であっても、違和感など感じることはなかった。
 好きな人の体温を感じ、お互いの身体と心を委ねあい、感じあうコミュニケーションは一時的なものだとしても、その頃の俺には必要だった。
 あの頃、慧一が俺を求めてくれていたとしたら、俺は道義的な疑問も持たずにあそこまで他人と簡単に寝る事ができただろうか。もっと自分の価値を別な角度で見れたのだろうか…

 もしもあの時…と、考えるのは、今を後悔しているからだと言うが、誰だって、あの時こうだったならば、とは考えずにはいられない過去は多い。
 あの時、慧一が俺を見捨てなかったら、嶌谷さんが俺を見捨てていたら、月村さんを追っていなかったなら…梓を止めることができたなら…
 今の俺ではなかった。もっといい子で…慧一の望む者になれたのかもしれない。
 それでも慧一は…こんな俺でも、慧は俺を欲しいと…ずっと変わらずにいてくれたのか?

 本当に…?

 簡単に信じることなど出来なかった。でも…もし俺の想いを受け取ってくれるのなら…

「慧…慧、俺…」
 右手に感じている慧一自身の高ぶりが俺に向けられたものなら…俺はこれが欲しい。
 俺の中に入れて感じたい。
 俺は何も知らない清純無垢な乙女でもなんでもない。中に入れて味わう快楽も知っている。
 だから慧…俺を抱いてくれ…

 言葉にせず、口唇と手を動かした。慧にはわかるはずだ。俺がどれだけ慧に欲情しているか…

 慧はあからさまな俺の動きに少しだけ目を細め、軽くかぶりを振ると、俺の手を払いのけ、身体を押しやった。
 俺の顔も見ずに足早に廊下を歩く後姿にしばし呆然となる。
 …見放された?
 …まさか…そんなことはない。慧は俺に欲情した。間違いなく…

 俺は急いで慧一の後を追いかけ、リビングの先の部屋に向かう慧の前に回りこんでドアの前に立ちはだかった。慧が怒っても手をあげても俺は退く気なんか毛頭ない。
 ドアに背を向け問いただす俺に、慧一はこれまで見た事もないほどあからさまに動揺した様子が窺い知れた。

 何故俺たちは愛し合うことが出来ない。こんなに惹かれあいながら、何故求め合うことが許されない。
 男同士だから?
 兄弟だから?
 タブーだから?
 それを必死に守る意味はなんだ?
 誰の為に何の為にこの愛を縛り付けられる意味がある。
 俺たちは愛し合ってはいけないのか?
 教えてくれ、慧。

「慧…慧はさっき俺に欲情したよね。俺を抱きたいって思ったんだろ?俺とセックスしたいって願ったんだろ?その感情のどこに後ろめたい、やましいものがあるんだ」
 戸惑い、必死に否定しながらも途方に暮れた顔をする慧一に俺は食い下がった。
「そんなもの…どこにもない。俺たちの間にあるのはお互いが欲しいという感情だけだ。違うか?」
「…」
「俺はこの世界のどこに立っても宣言してやる。俺は宿禰慧一を愛していると」
 
 そう言い放った俺は、放心したように俺を見つめる慧一を抱き締め、その口唇に誓いのキスをした。
 慧一は俺の口唇を受け止め、そして俺の身体をしっかりと抱き寄せた。
 何度も舌を絡ませその「誓い」の意味をお互いの視線で確認し合い、そして身体に染みわたらせた。

 ゆっくりと顔を離すとお互いの唾液が糸を引いた。それを見て一層身体が熱くなる。
「慧…俺と寝てくれ。愛してくれるのなら、俺を抱いてくれよ」
 たまらなかった。じっとしていられないほどに慧が欲しくて…これ以上耐えられない。
 ありったけの気持ちで懇願した。
「頼むから、寝てくれ」
 だが、慧一は口を真一文字に閉めたまま、何も言わない。
俺を抱き締める腕の強さはこんなにも強いのに、どうして…どうして俺の願いを聞き届けてくれないんだ、慧…

「…」
 何も言わない慧が憎らしくて仕方がない。
 俺がいらないのなら、そう言えばいい。だけどそうじゃないんだろ?
「そう…どうしても慧が俺を抱きたくないって言うのなら…もういいよ」
 失望より怒りが込み上げてきた。
 俺は慧一の身体から離れた。
 もういい。
 そんなに俺を抱けないのなら…慧一を怒らせてやるだけだ。

 玄関に向かおうとする俺を慧一のバカ力が簡単に引き戻した。
 力で抵抗できなくするぐらいなら…俺をめちゃくちゃにしろよっ!

「慧が抱いてくれないのなら、誰でもいい。他の奴に抱いてもらう。相手なんか関係ない。街に出て立ってりゃ、俺とセックスしたいっていう奴には事欠かないんだから。そしたら俺は相手を慧だと思って…慧とセックスしてると思ってやるだけだ。そうすりゃ、慧も俺を抱かなかったことを後悔するだろう」
「いいかげんにしろ!」
 慧の怒号を久しぶりに聞いた気がした。あの時も俺が夜遊びをして慧はそれを責めたんだ。だけど、今度は俺は絶対に怯んだりするものか。
「どっちがだよっ!慧は、俺を愛してるって言ってるクセに…俺になにもくれない。こんなに欲しいって言ってるのに…どうして…」
 今まで人を、肉欲をこんなに求めた事などはない。
 一度だって俺の求めを拒んだ奴なんていない。
 慧はなんでも俺にくれるって言ったじゃないか。
 なんでセックスだけは駄目なんだよ。
 
 空しさともどかしさに自分が惨めになっていく。
 気がつかないうちに涙がこぼれていくのがわかった。

 リビングの壁に凭れ鼻を啜った。
 嗚咽する自分の声だけが部屋に響くのが聞こえた。
 突然、慧の腕が俺の肩を壁に押しやり、そのまま、全体の身動きが取れなくなるように上背のある身体で俺を押し付けた。
 俺はしゃくりあげながら、慧一の顔を見上げた。
 慧は怒ったような表情で俺を見つめ、そして口唇を合わせた。

 慧の手が俺の身体を這うのがぼんやりと認識できた。
 その手が指が俺のものに直に触れた時、俺は息を呑んだ。
 口唇から逃げ、やっとの思いでいやだと声に出した。
 身体を捩って逆らうが足腰を押さえられてビクともしない。
「…やだ」

 こんな形でいかせられるのは納得できない。
 俺ひとりイッたってそんなのフェアじゃない。俺は慧と繋がりたいのに…
 だが、慧の指先は確実に俺を追い込んでいく。
 気持ち悪いわけがない。
 少なくとも、慧がそうすることを望んでいることに、俺は喜びさえ感じている。
 慧が俺をイカしてくれる…奇妙な愉悦でもあった。
 自分の喘ぐ声を耳にしながら、俺は俺を見つめる慧一の陶然とした顔に満足していた。
 慧は俺と性交っている…感じているんじゃないか…楽しんでいるんじゃないか。

 背中をしならせ、慧の名前を呼びながら、俺は慧に支配される喜びをこの肉体で感じていた。

 慧は俺を愛している。
 俺のすべてを求めている。
 これこそが俺の摂理となる。









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え~…ミナの事は完全に頭にない凛…ですが…(;・∀・)大丈夫か~?

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