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2019-09

宿禰慧一編 「オレミユス」 18 - 2010.05.27 Thu

19、
 翌日、凛一は昼近くになってやっと起きてきた。
 ねぼけまなこで「おはよ」と、言う。
 「朝飯は食うかい?」と聞くと、うんうんと頷いた。
 なんとも愛らしい仕草で応える凛に見惚れた俺は、しばらく掃除機を止めて、寝ぼけた様を目で追った。
 凛はソファに腰掛けるとそのまま横に寝転がってネコのように丸くなる。
 昨晩ふたりで抱き合ったソファだ。
 凛がそれを覚えているのか聞くこともはばかる気がして、俺は切りのいいところで掃除機を片付け、凛の朝食を用意した。

 声を掛けるとソファで寝ていた凛は起き上がって頭を掻き食卓へ座る。
「いただきます」と手を合わせ、テーブルに用意した朝食を黙々と食べ始めた。
 今日は恋人と初詣に出かける予定だったはずだ。
 その事をわかっているのかいないのか、はっきりしないから思わず
「今日…初詣に行くんだろ?」と、声に出してしまう。
「…そうだった。昼飯一緒に食べる約束をしていたんだ」
 間の抜けた返事にこっちも気抜けした。
 この能天気めが。これじゃあ恋人の苦労が目に見える。

 玄関でハグを求めた凛を抱き、 なんとなく心持ち悪そうな様子の凛を送り出した俺は、リビングへ戻った。
 昨日の今日だから、さすがの凛も少しは後ろめたいのかもしれない。
 少々気の毒とも思えるが、より以上にもっと挫(くじ)ければいい、と薄情になる自分が可笑しかった。

 洗濯物も干したし、掃除も完璧。
 後は…いつ帰ってくるかわからぬ凛のためにカレーでも作っておくか…
 それにしても今日はいい天気だ。
 俺はさっきまで凛が寝ていたソファに同じように横になる。
 視線の先の硝子窓から澄み切った山が見える。
 昨晩はここで凛を抱いた。
 入れてはいないが、あれはセックスをしたようなもんだ。

 凛が俺に愛を誓ってくれたとしても、今現在つきあっている恋人との関係をチャラにしろと言う権利など俺にはない。当の本人が付き合いをやめるなどとは思っていないのだし、結局は本人達に委ねるしか無さそうだ。
 どっちみち、凛が高校を卒業して、日本の大学へ行くとしても、俺は傍についていることは出来ないのだから、頭ごなしに「別れろ!」とは、到底言えない。
 肝心な就職の事もまだ話してはいない。
 就職先は向こうでしばらくは帰って来れないと打ち明けたら、凛は怒るだろうなあ。
 …今頃…凛はあの水川と言う子と仲良くデートか。
 凛のことだ、昨日の腹いせにどっかのホテルで彼と抱き合うのだろう。
 あいつはそういう奴だ。
 恋人同士なのだから咎めることなどできようか…

 想像したら穏やかではいられない。
 嫉妬心が渦巻いて仕方がない。
「ちっ、かっこつけないで、抱いておきゃ良かったんだ。あれだけ欲しがっていたのに、抱かなかったのは一生の不覚かなあ~」
 腕枕で天井を仰ぎ、呟いても返事はない。
「梓…」
 俺はとうに居ない妹の名を呼ぶ。
「ついに凛の奴に一切合財白状してしまったんだ。おまえへの約束を破ってしまったけれど…告白してすっきりしたよ」
 天井のアールデコのシャンデリアは、梓のお気に入りで、前の家のやつをこちらに移したんだ。
「なあ、梓。おまえは怒るんだろうなあ。俺を許してはくれないんだろうなあ。だけど凛は…俺を受け入れたんだ。梓、おまえに凛は渡さないよ」

 俺の胸の中で俺を愛してると何度も言ったんだ。抱いてくれと懇願したんだ。
 あのしなやかな肢体を俺は受け止めたんだ。
 凛の白い肌、上ずった喉元、色を湛えた目、アレの感触が手に脳裏に張り付いて、思い描くだけで欲情する。
「俺は…凛が欲しいんだ。たまらなく抱きたい、入れたい。それが出来たなら、梓、おまえから殺されてもいい。俺は凛を犯したい…」
 自分の下腹部に手を伸ばし、凛を思った。
 きっと、今頃あの子とまぐわっているのだろう。
 快楽を味わっているのだろう。
 だけど、凛。俺はおまえに烙印したはずだ。
 それを忘れるなよ。
 凛、おまえは俺のものだ…

 セックスをしなくても、凛一を犯すことはできる。
 あれの中に俺を植えつけてやる。
 その種が育ってあいつのすべてを俺で満杯にするんだ…

「凛っ…」

 誰もいない昼間の部屋に響くのは、俺の喘ぎだけだ。

 


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宿禰慧一のお話はこちら「イリュミナシオン」 
リンミナシリーズはこちらからどうぞ。目次へ



妄想


慧はいつだって変態です。
おかしいのは慧のデフォですからな~
だが、こういう慧が大好きだ(;´∀`)
これから先は3人の視点をいったりきたり~かな~

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