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2019-11

君の見た夢 10 - 2008.11.14 Fri

掛ける必要ないからと部屋に置きっぱなしになっていた携帯を取り出した。
何度かは…確かめてはみたんだ。向こうの麗乃に繋がるのを期待して。でもそんなのは無駄だった。麗乃だけじゃない実家も友達も誰一人として繋がる相手なんかいなかった。
こちらの麗乃以外。
ボタンを押してると、データに残っている麗乃の写メが表示された。
「…」懐かしい…
思わず息が止まった。
「何やってんの?」と、麗乃が近づく。
「う、ん。…写真…」
「え?誰の?」
「麗乃」
「…」
「見たい?」
「見る」
俺は麗乃が照れながら微笑んでいる写メを渡した。
受け取った麗乃はなんだか難しそうな顔でそれを凝視している。
俺は少しだけ遠慮がちに言う。
「似てねえ?」
「…似てねえし…」憮然とした顔のまま、携帯を俺に返すと、プイと身を反してキッチンに向かった。

「…怒った?」
「怒ってねえし。ただ…」
「ただ…なんだよ」
「気にいらねぇって言ってんのっ!」
「だからなにがさ」
「全部だって!」
完全に拗ねた麗乃が怒った顔をして俺を見る。

この麗乃は向こうの麗乃よりも素直だと思う。自分の想いを回り道することなく言葉や行動に出せる。
俺はその時思った。ふたりの麗乃の感情表現の違いは、俺の存在の有無じゃないだろうか。
向こう側の麗乃は俺に対して、物凄く色々と考える性質だ。
それは俺の性格の所為とも言える。
お互いが相手の事を考えるのが当たり前になりすぎているところがあるからな、俺達は。
時々、麗乃の俺への過ぎる思いやりに、俺は申し訳なく感じている。
それが息が詰まるほど締めつけられる息苦しさであっても、それはやっぱり俺を想ってくれる強さなんだと、嬉しくなるのも事実。
だけど…麗乃の俺への執着心があいつの心の豊かさや外へ向ける視線を奪っているとするのなら…俺は居ない方がいいのかな…

俺が存在しないこの麗乃は、こんなにも素直なままに生きている。
もしかしたら、こちらが本物の麗乃なのかもしれない。

「帰りたい?ユキ」キッチンの向かいから麗乃が俺を見る。
「えっ?」
「向こうの世界に…俺の事なんか忘れて…帰りたいんだろ?」
「麗乃…」そんな目で見るな…
「でも俺は…おまえを帰したくないんだ」
その声が俺の頭の奥に響いて、俺を迷わせるから…俺はもうどうなってもいいとさえ思ってしまうんだよ。


その夜、麗乃の夢を見た。
抱き合って一緒にイッた夢。
目が覚めて、泣いていた。
何故かそこに麗乃が居て、「大丈夫か?」って聞くから、「おまえが俺を抱く夢を見た」と、言ったら悲しそうな顔をして「抱いていいなら抱きてぇよ、今すぐにでも」と、呟いた。
その顔は俺の一番弱い麗乃の顔で、何一つ拒否できない有り様で、俺はこの弱った心をどうしようもなかった。
…ごめん、麗乃。俺はどうしようもない奴だよ…
「レイ…欲しいんなら…やるよ」
俺の言葉に黒いまなこが真ん丸になって、そして少しの迷いを見せた。
こっちのおまえなら、こんな時に迷ったりするなよ。先の事なんて考えなくていいんだ。
今、俺は弱っているから。
たぶん俺も欲しいって思っているから…
「抱いてくれ…って言ってるの」
「それで…いいの?」
「…いいよ」
「俺は…」
「好きなら抱けよ」
「おまえが後悔するの、わかってる」
「だから?」
「だから…おまえが傷つくのは…おまえを抱いておまえが悲しんだりするのを見たくない…」
「…今更…卑怯だろ?そんなことゆうのは」
「ユキ…」
「抱いてよ。ひとりは…もういやなんだ…」

沈んだ吐息の中に居た。できるだけ向こうの麗乃を思わないように努力した。でも無理な話だ。この身体を抱く麗乃は、向こうの麗乃の全てを持って俺を追いつめる。
だから、快感に飲まれる最中、俺が口にする名前が同じ響きを持っても、それは両方の意味を持つんだ。

この麗乃はとっくに気づいてると、闇の中、俺を見つめる黒い瞳を見ながら思った。




明日はUPできそうもないので、今あげます。これで半分くらいか?

● COMMENT ●

おつかれさまで~す

毎日ストーカーしてすみません><
先が気になってつい・・・
どきどきな展開ですね~♪
落ち着いたらこの二人のイラスト描いてくださいね~

うれしいですよ~

読んでくれる人がいるって幸せなんですから。
二年間ほったらかしにしていたこのお話も喜んでいることでしょう。
こちらこそありがとう、まりさん。
イラストリクもらったから、エロいラフ画は描いたよ~
こっちはそんなんばっかおくから、今後に期待せよ!


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