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2019-09

僕の見る夢 4 - 2008.11.27 Thu

香月のベッドの端に手を付いて顔をそっと覗き込んだ。
また少しだけ涙が出た。
何も変わっていないと思ったのに…現実は違っていた。
笑って「ユキ、元気そうだな」って…
笑ってくれると思っていたのに…
自殺しようと思うぐらいに、何かに追い詰められていたの?仕事?
…もっと別の事?俺に何か出来る事とかあるんなら…
なんでもするよ。おまえの為なら何でも。

俯いたまま声を押し殺して泣いていると、「ユキ…」って、声がした。
…麗乃を見る。
「…麗乃」
もう陽は落ちていて、廊下の灯りがぼおっと麗乃の痩せた顔を照らしていた。
「…ユキ?…ユキなの?」力のない掠れた声だった。
「うん」
「ほ、…とうに?」
「そうだよ」
「おまえ、こっちに?」
「うん、来たの」
「…夢?」
「違うよ。現実だよ。ほら」
まだ、夢見がちな麗乃の右手を取って、目の前で自分の右手と繋いで見せた。
麗乃はその繋がれた二つの手を凝視しながら、まだ信じられないって顔をしてる。
暫くしてやっと緩んだ顔になって、「…あったかけぇな、ユキの手」って、まるで大事なものに触るみたいに自分の頬に摺り寄せるから、俺は震える声で「レイもあったかいよ…」そういうのが精一杯だった。

「ユキ、顔、もっと見せて」
「うん」俺は涙顔をごしごし拭いて、寝ている麗乃の枕元に近づいた。
麗乃は繋いだ手を離すと、すぐに俺の頬に触れた。
「…ああ、あったかい…」
「麗乃…」
「夢みたいだ…ユキに触れられるなんて…」
「レイ…?」
「夢ばっか見てた、おまえの…笑ってるおまえの顔に触れたくても全然触れられなくてね…あんなに感じてたおまえの体温とか忘れてしまうみたいで…怖かった…」
「レイ…ごめん…」
「謝んな。おまえは悪くねぇ…本気で好きになったのは俺なんだから」
「俺だって、好きだよ」
「フフ…ユキお世辞上手くなった」
「お世辞じゃねえし」
「…ありがと、ユキ」
そうやって薄く笑う顔が余りにも儚かったから…
「俺、麗乃の傍に居てもいい?」
「…居てくれんの?」
「うん、俺が居たいの。迷惑じゃなければ」
「…嬉しいよ」
麗乃の声が震えるから…
「ずっと傍に居るよ」
俺は心からそう思ったんだ。



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毎日どれくらいの文字数にするか、どこで切るか、って悩むとこだね~

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