FC2ブログ
topimage

2019-09

僕の見る夢 6 - 2008.11.28 Fri

それから暫くして、岬は仕事だからと家を出た。
帰る間際「由貴人、言っとくがな、俺はおまえのこと結構気に入ってんだからな」って言ってくれた。
落ち込んだ俺を見て、気を使ってのことなんだろうが、素直に嬉しかった。

岬が帰った後、ひとりで部屋を見渡してみる。
昨日初めてここに着た時も思ったんだが、前に比べると雑然としてて、なんだか部屋全体が荒んだ感じがして堪んなかった。
そういうのも心の表れなんだろうか。俺はまた悲しくなってしまう。
とにかくあいつがいつ帰ってきてもいいように、出来るだけ居心地のいい環境にするのが大切だと、まず部屋の掃除に取り掛かった。
片付けられるものは片付けて掃除機をかける。寝室は特に酷くて足の踏み場もないくらいに散らかっていた。向こうの麗乃と同じようにこっちの麗乃も案外掃除好きだったのにと思うと、なんだかやるせなくて泣きそうになる。
溜まっていた洗濯物も二回まわして一段落ついてほっとする。
いや、まだ残っていた。仕事場。
じっくりと入って中を伺った事は一度も無かった。
気にも留めずにドアを開けた途端、俺は息を呑んだ。

部屋を埋め尽くす数々のカンバス。
そのすべてに描かれていたのは…俺の姿だった。

ソファに座っている俺、寝ている俺、大口開けて食べてる俺、泣いてる俺、不貞腐れてる俺…
こっちに向かって笑っている…俺…
一際大きいカンバスに描かれているのは、あの桜の木に佇む俺の姿だった。

どうして…

…心臓が破裂しそうになる。

どうして俺なんか…

忘れてしまえばいいのに…

「ユキ」と、声が聞こえた気がした。「好きだよ」と、叫んでる気がした。

…麗乃…

「なんで…」

俺はそこに座り込んだまま、立ち上がることが出来なかった。







忘れているかもしれませんが、ここの麗乃は絵描きさんです。
明日は更新お休みです

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://arrowseternal.blog57.fc2.com/tb.php/86-b7954cc7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

挿絵「僕の見る夢」6 «  | BLOG TOP |  » 僕の見る夢 5

プロフィール

サイアート

Author:サイアート
イラストと駄文を更新しております。

少年愛を中心としたシリアス重視なオリジナル作品でございます。

ゆっくりしていってね~

サイズを記憶するフォントサイズ変更ボタン

文字を大きくする 文字を規定のサイズに戻す 文字を小さくする

ツリーカテゴリー

Script by Lc-Factory
(詳細:Lc-Factory/雑記)

最新記事

FC2カウンター

リンク

このブログをリンクに追加する