FC2ブログ
topimage

2019-11

僕の見る夢 7 - 2008.11.30 Sun

4.

思いがけない事が起きた。
夕方近くになって、麗乃が眞人と一緒に帰ってきたんだ。
「どうしても帰るってガキみたいにこいつがごねんの。医者も大概呆れてたな」眞人が大げさに溜め息を吐いた。
「別に病気じゃねえんだから、用がなきゃ帰るよ」
「ホントに大丈夫なの?」
「まあ、無茶しませんって誓約書書かされたけどな」
「それだけ?」
「あと…誰か見張り付けとけって」
「見張りって…」麗乃が眉を顰めて眞人の方を睨む。
「だってそうだろ?ひとりにさせるなって意味は、おまえが馬鹿なことしないように見張っとけって意味じゃん」
「…もうしねえよ」
「当てになるかよ」
「…ユキに泣かれるよりマシ。もうしないし」
「絶対だな」
「約束する」
「…と、言うことなんだ、ユキ。おまえ、この馬鹿が悪いことしない様ちゃんと監視しててくれ」
「あ?…う、うん、わかった」
「おい、木久地。ユキに強要すんな。ユキ、気にしなくていいからな」
「いや、ちゃんと俺、香月のこと見張っとくから大丈夫」
「…由貴人はいい子だな」
俺より随分と背が低いくせに、子供にするみたいに眞人が俺の頭をなでなでするから、おかしくなった。隣で麗乃もクスクスと笑っている。

「じゃあ、俺はこれで帰るから」
「えっ?もう帰るの?岬がカレー作ってくれたの、食ってけば?」
「ああ、ありがたいけどな。サラリーマンは辛いのよ。時間外だろうが残業手当外だろうが仕事が終わらなきゃやんなきゃなんねえの」
「そうなの」なんか大変だな、俺達と違って。
「また来るわ」
「うん」
「それから香月」
「は?」
「セックスはするなよ」
「なっ!」
「医者に言われたろ?疲れることは当分するなって」
「…わかったから、もう、帰れ!」
「そうは言ってもおまえは信用できねえな。…ユキ、こいつが襲ってきたら殴り倒していいから」
「わかった。殴り倒せばいいんだな」
「…由貴人はホントにいい子だ。じゃあな」
「うん、バイバイ。仕事頑張れよ」
玄関まで見送って手を振る。
ドアを閉めたのを確認して振り返ると、麗乃がなんだか照れた様子で見るから、昔の麗乃みたいで嬉しくなった。

「岬もまこちゃんもみんな優しいよね」
「…ったく、人を獣みたいに言ってくれてよお…俺だって理性ぐらいあるつーの、なあ、ユキ」
「さあ、長年付き合ってるまこちゃんの正直な見解なんじゃない?」
「…なんだよ、ユキまで」
「いいから休めよ。疲れただろ?あ、なんか食べる?カレーあるよ。岬がね、二、三日持つからそれ食っとけって一杯作ったの」
「三日連続はきついだろ」
「大丈夫、俺カレー好きだもん、あ、でも香月身体弱ってるし、消化に良くないよね」
「大丈夫だって。でも今はいい。昼飯遅かったから」
「うん」
「部屋、キレイにしてくれたんだ」
「できる分しかやってないよ」
「ありがと」
「いや、いいし…麗乃、休んだ方がいいよ。ベッドもきれいにしたし…寝てな」
「うん…」
「なに?」
「いや、せっかくおまえが居るから、なんか…見ててぇなあって思って」
「…」
麗乃の素直な気持ちが嬉しかった。と、同時に苦しくて堪んなかった。

「レイくん、一緒に寝よ」
「ベッドに?」
「うん」
差し出した手を麗乃はじっと見つめて、そして、握り返してくれた。ぎゅと音がするくらいに強く。

ベッドに手を繋いだまま一緒に寝て、二、三言喋ってたけど、疲れていたのか麗乃はすぐに眠ってしまった。
穏やかな寝顔。顔色も随分いい。…良かった。
ふと胸に置かれた左手を見た。手首に巻かれた包帯から目が外せなくなってしまう。

また、聞けなかった…その傷の理由。
怖くて…もし俺がその原因なら、全部が全部俺がここに来た事が原因なら…俺はどうすればいい?
おまえをこんな風にしちゃた責任をどう償えばいいの?

夢ならいいって何度も思った。夢だったらこの麗乃だって、俺の創った創造のモノだって簡単に割り切って切り捨てられるのに…
だけど、こいつは作り物なんかじゃないし、ちゃんと生きて存在してる人間なんだ。
俺が勝手に振り回したりしちゃいけないんだ。

どうしたらこの人を苦しませずに済むんだろう。
俺に何が出来るんだよ。




おはようございます。眠いです。

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://arrowseternal.blog57.fc2.com/tb.php/88-b0a4aa28
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

僕の見る夢 8 «  | BLOG TOP |  » 挿絵「僕の見る夢」6

プロフィール

サイアート

Author:サイアート
イラストと駄文を更新しております。

少年愛を中心としたシリアス重視なオリジナル作品でございます。

ゆっくりしていってね~

サイズを記憶するフォントサイズ変更ボタン

文字を大きくする 文字を規定のサイズに戻す 文字を小さくする

ツリーカテゴリー

Script by Lc-Factory
(詳細:Lc-Factory/雑記)

最新記事

FC2カウンター

リンク

このブログをリンクに追加する