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2019-11

僕の見る夢 9 - 2008.12.01 Mon

5.

こっちに来て二週間を過ぎた頃だろうか。天気のいいお昼過ぎ、麗乃は散歩に行こうと言い出し、買い物もあったから、一緒に出かけた。
途中土手を通って、あの桜の木の場所まで来てみた。

桜はもう散っていて、緑の葉っぱが一杯に芽吹いていた。
「何もかもこっから始まったんだな」
「うん」
「何なんだろうな、この桜の木」
「ホントだね」
「この木はおまえだけに許された異次元へのゲートなのかもな」
「だとしたらさ。この世界のどっかには、ひとりひとりの自分のゲートがあるんじゃねぇの?」
「そうだな。大半の奴が見つけられねえだけなのかもな」
「そだね…見つかんない方が良かったりして…」
「後悔してんの?」
「いや…してないよ」
「俺は…おまえに…ユキに会えてほんと良かったって思ってる」
「俺も思ってるよ」
「ほんとに?」
「馬鹿、マジで決まってんじゃん」
「そっか…それ聞いて安心した…」

緑に繁る桜の枝の向こうには青空が広がってて…
そういや前もこうやってふたり並んで木に凭れて一緒に空を見上げたっけ。
なんだか懐かしいよ。
その枝の先っぽの方、一輪だけ咲いてる桜を見つけた。
「ねえ、見てレイくん。あそこ、ひとつだけ桜咲いてる」
「ああ…ホントだ…」
「凄いね」
「…ユキみてぇだ」
「えっ?なんで」
「…奇跡みてえに、綺麗に咲いてくれてる」
…なんて顔して俺を見るんだよ。俺じゃなくて桜を見ろよ。
馬鹿…そんなの…おまえが愛おしくてたまんなくなんだろ。

「…ユキ、今まで傍に居てくれて…ありがと…」
麗乃は変わらない優しい顔で俺にはっきりとそう言った。
「…な、んだよ…」
「もう十分だから…もう十分おまえを感じられたからさ。もう忘れないから…大丈夫」
「何言ってんの?」
「…ここは、おまえの居る場所じゃない。だから、…おまえは元の世界に帰らなきゃなんねえんだよ」
「なんで…俺、帰らないよ。ずっとおまえの傍に居るって約束したじゃん」
「ここには、おまえの親や知り合いや友達だって一人も居ねえじゃん。そんなんで、おまえをこっちに縛り付けるなんて間違ってるだろ?」
「いいよ。俺には麗乃がいてくれるんだから。岬だって眞人だっているし」
「駄目だ、おまえはここの人間じゃない。それにユキ。おまえはおまえの遣るべき事があんだろ?向こうの世界じゃおまえを必要としてる人がすげえ沢山いるんだろ?その人達残して俺の為にこっちに居るなんて絶対駄目だ」
「そんなのいいんだって。俺はおまえの傍に居たいから居るんだって」
「おまえの気持ちは嬉しいけどな…駄目なんだよ」
「レイ…」
「俺が心配かけてるって事が一番駄目なんだけどな…ちゃんと…時間かかってもちゃんと生きてゆくから…おまえが居なくてもちゃんと幸せになってみせるから…だからおまえは…」
「レイ…俺が嫌になったの?だからいらないって言ってんの?」
「馬鹿っ、なんでおまえを嫌いになんだよっ!」
「だって…おまえ…一度も抱こうとしねえじゃん。俺なんか抱きたくねえんだろ?」






昼にアップしてみたりする。

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