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2019-09

僕の見る夢 10 - 2008.12.02 Tue

「馬鹿…おまえほんっと馬鹿だ」
「なんだよ」
「俺がおまえを抱いちまったら…向こうにいる香月麗乃はどう思うんだよ。おまえの事本気で愛してんだろ?大事に思ってっから、俺の事だって許してくれたんだろ?…立場が逆だったら、俺は許せるかどうかわかんねえ…だけど、そいつは許した。そんでおまえをずっと好きでいるんだよ…そんな奴を裏切れるかよ…おまえは自分の場所に帰って向こうの香月と幸せに暮らしていけばいい」
「レイ…」
「いや、嘘だ。…そんなんじゃねえ。向こうの奴なんかどうだっていいんだよ。だけどな…おまえが苦しむのは嫌だ。おまえは優しいから嘘付けないから、俺にも向こうの俺の気持ちにも拒否出来ないで苦しむばっかだろ?…そんなの駄目だ。おまえには幸せになって欲しいんだから」
「俺、幸せだよ。麗乃と居られてホントに幸せだよ」
「…ありがと、ユキ。おまえとまた会えてちゃんと話せて、一緒に居られて幸せだったよ」
「な、なに勝手に決めてんだよ」
「もうこっちには来んな。せっかくおまえのこと忘れるって決めんだから」
「なんだよ、忘れるって…さっき忘れないって言ったじゃん」
「…前言撤回、おまえの事なんか忘れてしまうから、さよならだ…じゃあな」
そう言って俺から離れて行こうとするから、
「やだよっ!」
足早に離れようとする麗乃の背中に体当たりしてから、腕を回して力一杯しがみついた。
「ばっ!お、まえ、何…ちょ…馬鹿っ、離せって!」
麗乃はしがみついた俺を、慌てて必死で外そうとする。
「ヤダ!離さないっ!おまえ何一方的に決めちゃてるわけ?…、お、俺の気持ちはどうでもいいのかよっ!」
「な…俺がめちゃめちゃ決心して、やっとゆったのに…おまえなんで…」
「だ、だって!」
気がつかないうちに俺は泣いていた。だっていきなり言われてショック過ぎるよ。
麗乃は俺の手を緩めて、俺の方を向くと、今度は俺を抱きしめて涙を拭いてくれた。
「…ホントに読めねえ奴だよ、おまえは…馬鹿、泣くな…ったく参る…」
「嫌いになったんなら、そ、そう言えばいいじゃん」
「嫌いになってない」
「だ、だって、おまえそれ体の良い別れの言葉じゃん。かっこつけて幸せになれとか言って、俺なんか必要ないいって言ってんじゃん」
「…どう…おまえどっからそんな結論が出てくるよ。俺、言ったじゃん。おまえが好きだ。ずっと忘れないって」
「…忘れるって言った」
「あ…だから、忘れるって言ったのはヤだった事とか苦しかった事とかを忘れんの。おまえを好きなのは一生もんだよ」
「…一生好きでいてくれんの?」
「……もう墓穴じゃねえか…」横向いて苦虫を噛むような顔をする。だからなんでそんな顔すんの?
「麗乃、俺別れたくねえよ」
「俺だって…」
「じゃあ、離れなくて良いじゃん」
「いやだから…あ…もういいよ。……はあ…最後ぐらいはカッコ良くシリアスにやろうって思ったのによお…ユキには敵わねえ……なら、もう…」
「え…」
何の前触れもなく、いきなり口唇にキスされた。それも滅茶苦茶深い奴。

…痺れるくらいに熱くて、気持ちよくて…夢中になる。
やっぱり好きだ。好きだよおまえが。
離れたくないよ…

時間を忘れるくらい続けて、ようやく離れても暫く意識が戻ってこられないくらい深いキスだった。

麗乃を見た。
頬を伝っていく涙が見えた。
濡れた口唇がゆっくり開くのが判った。

「ユキ…ありがとう。…おまえがね、幸せでいてくれる事だけを祈ってっから。…愛してる…ずっと」
そう言うと、麗乃は俺の腕を振り切って、一目散に土手を走っていった。
途中転びそうになりながらも、一度も振り返らずに、自分の世界に帰って行ってしまう。

俺は見送る事しか出来ない。だって…

だって…

俺は…置いて行かれてしまったんだ。
まだ、口唇の温もりは残っているのに、麗乃はもう二度と俺に触れる事はない。そう、はっきり判ってしまうと、涙が止まらなくなった。
あいつは俺の為に、俺を諦めたんだ。じゃなかったら、あんな…あんなキスなんて出来やしない…あんな涙なんか流すわけがない…


帰らなくちゃならないのに、ここに俺の存在する意味なんて無くなったって判っているのに、諦めきれなくて泣きながらしばらく木の周りをぐるぐる回っていた。けど、帰るしかないって思った。
帰り方は判っている。
だってこの桜の木は俺だけのタイムマシンなんだから。






ここらへんからキャラが勝手に動き出しましたので、こっちは修整するのに大わらわでした^_^;
ふたりの心の揺れがどこまで伝わっているのか、心配ですが…

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