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2019-09

僕の見る夢 11 - 2008.12.02 Tue

6.

帰り着いたとき、見上げればまだ桜は満開で、今が何時なのかすぐには判断つかなかった。確認して今が四月8日で、俺がここから消えた時から一時間ほどしか経ってない事が判った。驚いたけどタイムラグは初めてじゃないからそう深くは考えなかった。それよりも…精神的な落ち込みが酷かった。
とてもじゃないが暫くは立ち直れそうもない。

自宅に帰ってソファに沈み込んだまま動かなかった。何だか身体がだるくて、うとうとしながらも考えることは麗乃の事ばかりだった。
携帯のメールやベルが引っ切り無しに鳴ってるのもわかったけど、取る気にはならなかった。
それでも…大分経って止まないコールになんとか出た。
『ユキ?おまえ何やってんの?パーティ始まってんじゃん!』岬だった。
「あ?」…そうだ。麗乃の誕生日パーティ…
『あ、っておまえ…』呆れた溜息が聞こえた。
『おら、寝てんじゃねえぞ。すぐ、今すぐさっさと飛んで来いっ!』それだけ言って切れた。

…行かなきゃ…麗乃の誕生日だもん。俺が行かなかったらあいつ心配するもん。行かなきゃ…


地下に入ったところの、お洒落なイタ飯屋が会場だった。確か前、麗乃と来た時、美味しかったんだ。だから、決めたんだっけ…
「ユキ、遅い!」店に入ってすぐ岬が出迎えてくれた。
「ごめ…」
「寝てたのか?」岬の後ろから、麗乃が見えた。
「…ん」俺は目を合わさないで俯いた。
とてもじゃないが今の俺にはおまえをまともに見る勇気はない。
「どした?ユキ…気分悪いんか?熱でもあるんか?」って、額に手を当てるから俺は思わず身体を引いた。
麗乃は怪訝な顔をして俺を見てる。
「だ、大丈夫だって…俺のことはいっから。ほら主役はちゃんとお客さんの相手しててよ」そう言うのが精一杯だった。
そうやって麗乃をかわすと、俺は目立たない隅でじっとしてることにした。悪いが人と笑って話せる気分じゃなかった。だけどそういうのは長年付き合ってるこいつ等にはすぐわかっちまう。

「由貴人、おまえ、大丈夫か?気分悪いなら、抜けていいから。家に帰って休め」ビール片手に眞人が寄って来る。
「どした?風邪でも引いたか、ユキ…顔色悪いし…悪かったな、無理矢理呼び出して」岬も心配そうな顔をして駆け寄ってくる。
「いや、大丈夫。気にしなくていいから…」
「そう言っても…な」
「…香月にはちゃんと言っとくから、もうおまえは帰れ」そう言うと、眞人は俺の腕を引いて店の外に出て、タクシーを止めてくれた。
「ちゃんと帰って休めよ」タクシーに乗った俺の頭を撫でてくれるから、俺は泣きそうになった。

自宅に帰って倒れる込むようにベッドに横になった。色んな疲れの所為かすぐに睡魔に獲りつかれた。

…夢を見た。
向こうの麗乃が笑って俺に話しかける。俺には何を言ってるのかが判らない。俺は何度も聞き返す。駄目だ、声が届かない。そしたら麗乃は呆れたように俺を見て、背中を向けて遠くに消えてしまう…
麗乃っ!って何回も俺は叫んでるのに…

「ユキ、…由貴人っ!」
「…うっ…」
肩を揺すられて目を開けたら、目の前に麗乃の顔があった。
「…れ、い…」
一瞬俺はどっちの世界にいるのか迷った、けれど麗乃の目を見て理解した。
「俺…」
次に判ったのは馬鹿みたいに泣いてる自分だった。慌てて顔を拭いて起き上がった。
「…大丈夫か?ユキ…怖い夢でも見たか?」
「ん…」
「毛布も着ないで、また風邪引くって」
「引かねえし」
「子供みたいに泣いてるし…ったく、ほっとけねえよ、おまえは」
呆れるみたい溜息を吐いて、麗乃は俺と向かい合わせになるようにベッドに座り込んで俺の背中を優しく抱きしめてくれた。
「ごめん、せっかくのおまえの誕生日なのに…心配かけて…」
「…そんなの気にしなくていいって。今までにもね、おまえがこうなるの見てきてるからさ。何年一緒に居るって思ってんだよ。俺が駄目な時もおまえが駄目な時もちゃんと一緒に居たじゃん。ずっと傍にいてくれたじゃん」
「…麗乃」
「…由貴人、おまえさ…」俺の前髪を掻き上げて、麗乃が俺を見る。
「…」
目を合わせたら何故か胸が鳴って仕方なくなった。
「…向こうに行ったんじゃねえのか?なんか…そんな感じするんだけど」






暇なんで夜あげました~次は絵もおきます。

● COMMENT ●

うが~

やきもきする~!
ところで、向こうのユキってどうなってるのでしょうか?
これから出てくるのかな?

出てこないよ~

ほら、前のテキストで書いたと思うけど、由貴人だけがいない異次元なんですよ。
それはひとりひとりが持つ次元が無限にあって、由貴人が行ったのは、自分だけがいない異次元なんですよ。
それは自分が変える(還る)場所かも知れない…
なんてね~。
ふたり目のユキは出てこないけど、どうなるか…最後まで楽しみに。


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