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2019-09

僕の見る夢 14 - 2008.12.05 Fri

香月は俺達の視線を感じて、一瞬動きを止めたが、すぐに後ろ手にドアを閉めた。
「なに?どうかした?」
「…いや…何もねえよ。…そういやおまえどこ行ってた?」眞人が何気なく取り繕う。
「…コンビニ…なに?救急箱…誰か怪我でもしたのか?」出しっぱなしのそれを見て香月が不審な顔をする。
俺は右手を背中に隠した。
「俺だよ。ほら、見て。指切ったの。ちょっとだけだからそんな心配してくれなくてもいいよ、レイくん。おまえの愛は言わなくても判ってるし…」岬が必死で誤魔化してくれてるけど…
「ちょっとの傷かよ…ティシュ、血だらけじゃんか」
眞人…慌てて隠してももう遅いよ。香月はこういうことは目聡い。
「由貴人…ちょっと…」と、香月は俺に近づくと背中に隠した右手を掴んだ。
「は、離せって!」
「…どうしたんだ」
「なんでも無いって」
「何でもない訳ねえだろ」
「麗乃、こいつさあ、ちょっとそこの角で打っただけなんだって」
「そんな傷か、これが」
掴まれた手首を見ると、白い包帯が赤く滲んでいた。

「ユキ、おまえ…なんで…」
香月の声が震えていた。
俺は顔を上げて香月の顔を見る。
…怒りとも悲しみともつかない顔で、麗乃が俺を見つめていた。

どこまで…この人を悲しませれば気が済むんだ。
違う。こんな顔をさせたいわけじゃない。
俺は…
馬鹿だ…

香月の掴む手を振り切り、俺は急いで部屋を出た。

これ以上、あいつに重荷を背負わせて、一体どうしようってんだっ!
だけど…忘れる事も諦める事もできねぇんだよ、俺は。

夢だったら良かった。
俺だけが見る夢だったら…誰も傷つけずに苦しませる事だってなかったはずだ。

この身体がふたつあれば、おまえらに与えられる。夢なら簡単に出来るはずだろ?

どうしたらいい…

頭ん中ぐちゃぐちゃになったまま、スタジオを出た。
人通りの少ない方に向かって逃げる。
ここには居たくない。
麗乃にあんな顔させるぐらいなら、俺なんか居ない方がいいに決まってる。

「ユキっ!」声が聞こえた。
足を止めて振り返る。
遠くに麗乃の姿。
人目も気にせずに俺の名前を呼ぶ。

こんな俺の心配なんてすることないのに…
おまえに心配してもらうような人間じゃねえよ、俺は。

麗乃に背を向けて又俺は走り出そうとした。と、前を行く人にぶつかりそうになり、避けようとして反射的に身体を左に寄せた。
運の悪い事に舗道の脇に止めてあった自転車に正面からぶつかって…転んだ…
なんてザマだ…

「…由貴人、大丈夫か」息を切らした麗乃が、地べたにしゃがみ込んでいる俺の横に腰を下ろして伺う。
今度は心配しながらも半分は呆れてる顔だ。
当たり前だ。俺だって手前のみっともなさに呆れ果てて、宇宙の塵に成り果ててるよ。

「もういい」座り込んで俯いたまま、俺は麗乃に言った。
「良くねえ」即効で返ってくる。クソっ…
「呆れたろ?もう見捨てろよ」
「嫌だ。離さないって言った」
「…なんで…」
「好きだから、由貴人が」
「おまえは…いつか俺のことが嫌になるよ、きっと」
「だから?」
「だから…もう見捨ててくれていいんだって…」
「ユキの予想は当てになんねえよ。前もね、あった。珍しくおまえが旅行の計画立てて、イベントに合わせて行って見たら、日にち間違ってて終わってた。正に後の祭りって奴」
「あ、あれはおまえが…古いパンフレット持って来たからだろ!」
「そんなことはどうでもいい。つまりはおまえの予想は当たんないって事」
「そんなの…」予想って言わねえって…つーか、あれはおまえの所為だ、絶対。

「行こ?」立ち上がって俺の目の前に手を差し出してくる。
「ほらユキ。みんな待ってる」
麗乃が来た方角を見る。
向こうから岬と眞人が走って寄って来た。
「ユキ…大丈夫か?」目ぇでっかくして見るな。
「おまえ…何してんだ?」…笑って言うな。
「当たらない未来予想」
二人の立て続けの質問に不貞腐れていると、麗乃がどうでもいい代弁をする。
「なんだよ、それ?新しい遊びかよ」
「まあな」
「それよか、ほら、ユキ、いい加減立てよ」岬が手を差し出す。
眞人が後ろから腰を掴んで、有無も言わさず俺を立たせる。
…なんだよ…おまえら…いい奴過ぎて…クソっ…腹立ってくるじゃん…
「ほら、手ぇ繋いでやるから、もう転ぶなよ」アホか、小学生ん時みたいに言うなよ、岬。
「由貴人は俺達の大事な王子様だからな」そうやっていつも馬鹿にしてるんじゃん、眞人。

「ユキ、帰ろ、俺達の場所へ」
「…」
何度も差し出すおまえの手を、俺はまた掴んでもいいのか?







自分の描くキャラに悪い奴はいない…と、思うwww

● COMMENT ●

サイさんの

自分のキャラを愛する気持ちはすごいですもんね。
私はキャラよりもストーリーが先行するので、
自分のキャラにサイさんほどの思い入れはないかも…。

やっぱり

愛さないと話しかけては来ないからね。ここのシーンも本当はユキが交通事故で怪我して…の予定だったんだが、ユキが「俺は事故ったりしねーもん」って言い張るので、こうなったのよ~^_^;
勝手にキャラが動くと楽しいけど、後の収拾が大変です。

私も

つい昨日、リアル腐母友に
「キャラが勝手に動き出すってことある?」って訊かれたんですけど、
私の場合、書きたいストーリーがまずあるので、
キャラが動き出しそうになってもほとんど自由にはさせませんね。
まあ、すぐに修正がきく範囲ならいいけど。
サイさんとは真逆の書き方してますね。
りんみな、大丈夫かなぁ…(笑)。

不安ですかい?www

…題名頼む!
普通でいい。
あと出会いとかの話をもうちょっと考えてメールする。
誕生日なんにしよーかな~

勝手に動いた時は~リンにゆってくれwwwしかしこいつは頑固だ。みなもそうだろ?

ホントに・・・

ユキが二人いればいいのに~~
ああ~~どうなってしまうんだ~
次元を超えた三つ巴!!

いや

文体とかテンションが違ってくるのは仕方ないし、
それ自体がりんみなのキャラの違いみたいでおもしろいと思いますよ。
ただ、ストーリーとかキャラの感情が噛み合わないと厳しいっすよね。
そのへんはお互いに歩み寄っていきましょう(笑)。
タイトル、考えます。

まりさん

なんか現実味のないお話でしょ?
冷静にみるとばかばかしいんだけどね~
自分の作る話って結構こういうありえない話が多いんですよ~
たぶんファンタジー本とゲームの所為ですね~
もう少しで終わるので、最後まで付き合ってくださいね。

サクちゃん

はい、人間が出来ているので、どんなんでも歩みよりませう~www
いきなり襲いはしませんからね~


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